三月十四日の日本経済新聞朝刊の一面トップは、「日経平均一五年ぶり一万九◯◯◯円台」「変わる企業 市場期待」「消費刺激で好循環」という見出しが並んでいる。リード記事はこうだ。「株高が一段と加速している。日経平均株価は一三日、二◯◯◯年四月以来ほぼ一五年ぶりに一万九◯◯◯円台を回復した。業績改善を追い風に企業が相次いで賃上げや成長投資にお金を使い始めており、消費を刺激し景気を押し上げる好循環への期待が高まった。こうした企業の変化が海外マネーを呼び込み、急ピッチな株高の原動力となった」「二月一六日に一万八◯◯◯円台に乗せ、わずか一九営業日での台替わりを達成した。一三年春の日銀・異次元緩和直後に一八営業日で一◯◯◯円上昇したのに並ぶ速さだ」「世界的な金融緩和を背景に市場にあふれた海外マネーが日本株に向かっている。背景には『変化への期待がある』」という。
ドル建てで考えれば、今の日本の株価はまだ割安だ。海外から見れば、今後の株価の上昇も期待できるし、将来円高に転じた時の為替差益も狙える。日本以外を見ると、ヨーロッパ経済は、厳しい財政緊縮に反対するチプラス政権がギリシャに誕生したことから、先行き不透明だ。ロシアも中国もバブルが崩壊、産油国もこのところの原油安で経済状況は危うくなってきている。この状況の中で日本にマネーが集まるのは、当然のことだと言える。
二〇一二年九月二十六日に安倍氏が自民党総裁に就任した時の日経平均株価は八千九百六円、為替レートは一ドル七十七円七十二銭だったが、この原稿を書いている時点で株価は二・一八倍の一万九、五〇〇円前後、為替レートは四三円安の一ドル一二一円前後となっている。日本を苦しめたデフレの原因は、円高政策を取らされたことだ。円安政策に転換したことで、株価が高騰し、資産効果もあり、経済は好循環を取り戻しつつある。リーマン・ショックから一年半後の二〇一〇年四月にスタートしたアパグループの頂上戦略・中期五カ年計画「SUMMIT5」は、第一次計画をこの三月末で終了する。五年間で北は池袋、東は浅草・両国、南は品川、西は新宿・渋谷と、皇居を取り囲む都心の四角いエリアに、当初ホテルを設計ベースで七千五百室建設、アパポイントが付与される全国アパホテルネットワークは四万室に、アパカード会員数を八百万人達成を目標に掲げたが、途中で都心新築計画を一万室に、全国では五万室とする計画に上方修正した。現在のところ、エリア内では八千七百十四室の新築で、累計では既に一万六百八室となり、全国でも五万室を突破した。また、アパカード会員数も八百七十万人を突破して目標を達成。この頂上戦略を始めた時にはリーマン・ショックの影響で、日本の金融機関の全てで新規貸出停止は当然、融資金の貸し剥がしが横行する状態だった。金融引き締めによって、東京の新興デベロッパーが全滅するとまで言われたほどだ。しかし手元資金が潤沢なアパグループはこの機をチャンスに、毎週のように都心エリアで大手が買わない地上げ失敗地や変形地・矮小地の他、大通りから一本入った通りの土地で、地下鉄の駅から二~三分のところの新規物件を購入し、その全てを手元のキャッシュで支払っていた。
しかし安倍政権の誕生後、異次元の金融緩和などアベノミクスの推進で株価が持ち直し、為替も大幅円安となった。二〇一三年九月には二〇二〇年の東京オリンピックの開催が決定し、その前年の二〇一九年にはラグビーワールドカップが日本で開催される。これに向けて建設されるカジノを中核とした統合型リゾート(IR)の候補地を大阪市と横浜市にすることが、政府の方針として決まった。その結果、株価は大幅値上がりし、二〇二〇年に向けて、日本の経済は大きく躍進してきた。
二〇一一年三月十一日に発生した東日本大震災時の津波によって、福島第一原発の非常用電源設備が水没、電気の供給が絶たれて、原子炉の冷却ができなくなった。高温になった燃料棒のジルコニウムが冷却水と反応し水素が発生、原子炉建屋に溜まり、相次いで水素爆発を起こした。これは建屋の爆発であり、チェルノブイリでの原発事故の時のように、原子炉自体が爆発したわけではない。にも拘らず、当初レベル五とされた国際原子力事象評価尺度による事故評価は、その後にチェルノブイリの事故と同じレベル七に引き上げられてしまった。また初期において政府は同心円状に避難指示を出し、風上から実際に放射能汚染の酷い風下に人々を避難させることもあったりと、指示も混乱を極めた。
すぐ近くの日本製の女川原発は津波に耐え、放射能漏れ事故を全く起こさなかったのに、アメリカのジェネラルエレクトリック社製の福島第一原発はなぜ事故を起こしたのか。製造物責任法(PL法)で言えば、アメリカの製造会社の責任は大きいはずだ。それなのに原子力空母を派遣したアメリカは、放射能被ばく数値を示さずに、丹念に除染する映像を全世界に配信し、日本の放射能汚染が酷いと多くの人々に思わせた。また支援の米軍関係者に、福島第一原発から八〇キロメートル圏内に入らないように指示するなどで更に不安を煽った。これらによって、多くの外国人が東京は危ないと関西に避難したり、帰国したりしたのだ。
いたずらに不安を煽るのではなく、科学的な根拠に基づいて考えるべきだ。人体にはダメージを受けても修復能力があるので、低線量の放射線を浴びても健康被害は出ない。医学的な知見としては、イランのラームサルの一部地区などは、二〇〇ミリシーベルトの放射能を受けるところもあり、そこでも健康な生活をしているし、一〇〇ミリシーベルト以下の放射線を受けて、がんの発生の確率が増えたケースはない。それなのに今、年間二〇ミリシーベルトが避難基準となっている。重篤な入院患者や高齢者などがこの基準で避難したために、災害関連死としてこれまでに三千人以上の人が亡くなっている。これらの人々は本当に避難する必要があったのか。当時の民主党・菅直人首相は政権延命のために最大限に不安を煽り、メディアもそれに便乗した結果、年間一ミリシーベルトというあり得ない基準であらゆる場所を除染することになり、巨額の費用を掛けて、高さ一〇~十五メートルものスーパー堤防が造られている。視界を遮り、観光業にも漁業にも大変なダメージを与えるスーパー堤防を造るよりも、震災直後から私が提唱している六階建ての防災マンションを建設して、低家賃で貸した方が有益だ。普段はここで生活し、津波の時には屋上に逃げる。それらの防災マンションを二百メートル間隔に建てれば、マンション付近に住む人が津波を目や耳で感じてから逃げこんでも間に合うだろう。
過度な除染やスーパー堤防建設の影響は今、全国に及んでいる。東京を中心に出稼ぎに来ていた東北の労働者が、危険手当が上乗せされた除染や堤防建設などに高額の報酬で雇われて東北に留まっている。そのおかげで、全国の建設業で人手が不足しており、建築価格の高騰と工期の遅れを招いている。さらに金を浪費しているのは、タンクに貯蔵している高濃度汚染水だ。水一リットル当り一〇ベクレルという日本の基準に対して、一九〇ベクレルという一〇倍の放射能が含まれているから高濃度汚染水だというのだが、アメリカの基準は一、二〇〇ベクレル/リットル、ヨーロッパの基準は一、〇〇〇ベクレル/リットルだ。欧米では日本の高濃度汚染水でコーヒーを飲んでいるのだ。無駄なタンク貯蔵などは止め、海に流して希釈すべきだろう。
直近の十~十二月の実質GDPがプラス〇・四%と八%への消費税増税の影響も薄れつつある。なによりも景気の回復を示しているのは、アパホテルの好調ぶりだ。アベノミクス以降、東京のアパホテルの稼働率はどんどん伸び、今やほとんどのホテルが月間一〇〇%をキープしている。この高稼働率の波は東京から大阪へ、そして西日本全域、北海道、北陸と日本全国に波及している。全国に五万室(設計ベース)を越えるホテルネットワークを運営しているアパだからこそ、景気の回復状況が分かるのだ。訪日外国人観光客数は二〇一三年に一千万人を突破し更に増えている。オリンピックまでの政府の訪日外国人観光客数の目標は二千万人だが、おそらく二千五百万人以上になるだろう。日本は観光大国になれる要素が揃っている。治安が良く安心して夜歩きができ、食べるものも不安がなく美味しい、交通機関の全てが時間通りに運行されている。四季折々の自然が美しく、長い歴史があり、見どころも豊富などなど。フランスを訪れる外国人観光客数が年間八千五百万人であることを考えると、訪日外国人観光客が三千万人、四千万人となってもおかしくない。観光大国時代に備え、国もホテル用地の容積率を二〇%アップするなどしてホテル事業をサポートすべきだ。本年四月一日から開始するアパグループの第二次中期五カ年計画では、全国でアパホテル十万室、アパカード会員数一千五百万人が目標となる。
観光だけではなく、先端科学技術も先端医療技術も日本の経済の牽引車になる。これまで安売りしてきた技術を適正価格に戻すだけで、まだまだGDPは伸びるだろう。日本の未来は明るいはずなのだが、それを遮るのが、助成金をもらっている企業からのわずかな政治献金を問題視するなど、低レベルの政権批判だ。そんな批判にも拘らず、安倍政権の支持率は揺らいでいない。安倍首相が再登板してから二年三カ月が経った。日本の発展のためにも、自らが決めた二〇二〇年の東京オリンピックまで政権を維持、開会式のスピーチを行って欲しい。そのために重要なのが、今年の戦後七十年の安倍談話だ。
先の大戦後、日本が貶められてきた原因は、アメリカの原爆投下だ。投下を行った戦勝国アメリカが正義の国であるためには、敗戦国日本を悪の国にしなければならなかった。終戦直後の一九四五年九月十五日に「原爆投下は戦争犯罪だ」という鳩山一郎の談話を掲載した朝日新聞は、二日間の業務停止命令を受けた。そしてGHQは、その六日後の九月二十一日にプレスコードと呼ばれる新聞編集綱領三十項目を出した。プレスコードでは、連合国への批判、アメリカの原爆投下への批判、中国や朝鮮人への批判や、まだ起草もしていない日本国憲法を起草したことへの批判などの全てが禁止されていた。だから人口二十万人の南京で三十万人を虐殺し、占領一か月後に二十五万人に人口が増えていたというあり得ない南京大虐殺や、二十万人を拉致して性奴隷にしたという従軍慰安婦という捏造批判に反論できずに今日まで来てしまったのだ。これ以降、戦前・戦中、戦争賛美をして部数を稼いでいた朝日新聞は戦犯にされることを恐れ、GHQに擦り寄ってプレスコードの番人に成り下がった。
しかしアメリカの原爆投下にも理由がある。ナチス・ドイツを倒すために、アメリカはソ連に多大な軍事援助を行い、そのためにソ連は軍事的なモンスターになってしまった。その結果、第二次大戦後には、陸続きのヨーロッパのみならず、中国、朝鮮、日本、インド、中近東、アフリカまでを赤化される可能性が高くなった。それを阻むためにアメリカは、第三次世界大戦となれば、一千万人を越える人々が犠牲になることが予想されるとして、議会機密費で開発を進めていた原爆を完成させて使用し、ソ連を牽制するしかなかったのだ。アメリカのルーズベルト大統領はイギリスのチャーチル首相と一九四四年九月、ハイドパーク協定で、完成した原爆はドイツではなく日本へ投下することで合意した。すでにソ連や蒋介石、バチカンを通じて終戦工作を行っていた日本の天皇制維持の要求に曖昧な対応で時間を稼ぎ、アメリカはウラニウム型とプルトニウム型の二種類の原爆を完成させた。また原爆使用の批判を通常爆弾でも甚大な被害が出ると抗弁してかわすため、東京大空襲を行った。瓦職人や畳職人などを集めて砂漠に多数の日本家屋を建設し、焼夷弾の効果的な使用方法を研究した上で、一九四五年三月十日、三百二十五機のB‐29によって東京に低空から侵入、投下後小爆弾に分裂する収束爆弾の焼夷弾を投下し、東京を火の海にして十万人もの非戦闘員を一晩で殺戮した。また本土決戦となれば、百万人ものアメリカ将兵の犠牲が出ることを証明するために、戦略的には価値のない硫黄島に海兵隊をむりやり上陸させ、日本人の戦死者を上回る二万八千人以上の戦死傷者を出した。
本土決戦ともなれば百万人を超える戦死傷者が出ることが予想され、これを避けるために原爆投下の必要があったと主張するためだった。原爆投下のために、アメリカはここまで犠牲を払い入念に準備をしたのだ。
そもそも日米戦争はアメリカが仕組んだものだった。イギリスからの矢のような参戦要請に応じるため、ルーズベルトは三国同盟を利用、日本を暴発させて日米戦争を起こすことで、日本の同盟国であるドイツと戦うことを可能にしたのだ。日本の外交暗号と海軍暗号のほとんどを解読していたアメリカは、日本が真珠湾を奇襲することを察知、空母と新鋭艦は演習と称して湾から離脱させていた。そして日曜日にも拘らず戦艦アリゾナに多数の将兵を動員していたところに日本機が来襲、真珠湾での犠牲者二千四百人の約半数の千二百人がアリゾナ一艦で戦死している。アリゾナ爆沈の理由は、弾薬庫の誘爆とのことだが、通常弾薬庫は船底にあり、爆撃程度で誘爆はしないし、爆撃の六分後に爆発することはない。米西戦争の際も、アメリカは戦艦メイン号を自ら爆沈させてスペインのせいにし、「リメンバー・ザ・メイン」の合言葉で、国民の戦意を煽った。これと同じことを先の大戦でも行い、「リメンバー・パールハーバー」をスローガンにしたのだ。事前に日本軍の攻撃を知らされていなかった米太平洋艦隊司令官のキンメル提督は、真珠湾の責任を問われ更迭された。遺族の要望で一九九九年に上院で、二〇〇〇年に下院で名誉回復決議が採択されたが、当時のクリントン大統領も次のブッシュ大統領もこの決議に署名をしていない。認めれば「リメンバー・パールハーバー」の陰謀を認めることになるからだ。真相は情報公開法による公開を待つしかないだろう。
アメリカのヨーロッパ参戦の口実のために戦争に巻き込まれた日本だが、この戦いのおかげで世界に人種平等意識が芽生え、植民地からの独立の流れが加速したことを考えると、結果的には意義ある戦争だった。戦後日本は急速な経済復興を果たし、科学技術大国となり、観光大国にもなろうとしている。今後はさらに世界のリーダー国として国連での存在感も増し、旧敵国条項を撤廃して安全保障理事会の常任理事国となるべきだ。そのためにも、謀略戦によって先の大戦から戦後に至る、矛盾に満ちた欺瞞の歴史の真実を公表していかなければならない。第二次世界大戦後のアメリカの戦争の大半は産軍複合体が望んだ戦争だった。ロシアのプーチンが大統領選に当選できたのは、一九九九年に自作自演の連続アパート爆破事件で、三〇〇人もの犠牲者を出し、これをチェチェンの犯行だと主張。これを口実に始めた第二次チェチェン戦争で人気を得ることができたからだ。この三月に野党指導者のネムツォフ氏が暗殺されるなど、ロシアでは野党の政治家やジャーナリストなど、政府を批判する多くの人々が不審死を遂げている。国の指導者が自らの権益や国益のために虐殺を行った例は、歴史に枚挙の暇がない。
そんな世界情勢の中、日本は一刻も早く真っ当な国家となるべく憲法を改正し、尖閣諸島や小笠原諸島で領海侵犯を繰り返し、軍事力を増強し続ける中国に対抗して、東アジアでの力のバランスを保つことができる力を持たなければ、力の空白地帯が生じて戦争が誘発されるだろう。そのためにも、日本はアメリカが広島・長崎に原爆を投下したことの必要性を認め、その代わりに、日本が真実の歴史を主張できるように、中国・韓国の歴史の捏造批判に加担しないことをアメリカに求めるべきだ。安倍政権の下、これを実現できれば真の日米友好関係への道が大きく開ける。さらに中国、ロシア、北朝鮮と核保有国に包囲されていることと、もはや核の傘が成り立たなくなっている状況に鑑み、東アジアの平和の維持のためには、非常事態において、アメリカの一部の核兵器とその指揮権を日本に譲るレンタル核システム(ニュークリア・シェアリング)の導入をアメリカに認めさせなければならない。東京オリンピックまでの五年間、日本の株価はまだまだ上昇する。この間、安倍政権が継続し、日本の国益のために大きな成果を上げることを私は強く望んでいる。
2015年3月23日(月)23時00分校了