二〇一四年九月十日、恒例「日本を語るワインの会」が代表自邸にて開催されました。一九五二年の日パ国交樹立から、日本と非常に親密な関係を維持してきたパキスタン・イスラム共和国の特命全権大使のファルーク・アーミル氏、今年から日本での名称をトルコ航空から変更したターキッシュエアラインズ東京支社長のムスタファ・ドクメタシュ氏、予備自衛官としての活動も続けるキャスターの佐波優子氏、日本語習得のために留学生として来日して十一年目、非常に日本語が堪能なターキッシュエアラインズ東京支社広報宣伝部部長のジェム・アルデミル氏をお迎えし、パキスタンやトルコの最新事情、外国人から見た日本について語り合いました。
 

パキスタンもトルコも非常に親日的な国家である
非常に親日的な国・パキスタンの人口は約一億八千万人、国土は日本の二倍、首都はイスラマバードだ。インダス文明から約七千年もの歴史を誇る。多民族国家であり、話される言葉も様々。しかし誰もが英語は話す。最も盛んなスポーツは、旧イギリス領だけあって、クリケット。一見野球に似ているが、ルールはもっと複雑で、一試合で五日間掛かることもある。重要な試合の最中は、国中の活動が停止して、人々はテレビに釘付けになる。この競技が盛んな国は、発祥のイングランド、オーストラリア、ニュージーランド、インド、スリランカ、南アフリカなどだ。サッカーはパキスタンでは日本ほど盛んではない。その他人気のスポーツはフィールドホッケーだ。一九五一年、サンフランシスコ講和条約のために行われた会議の席上、南アジアから唯一の主要国として参加したパキスタンの代表は、日本は尊敬と品位をもって扱われるべきだと主張した。民主主義や人権を標榜する国家が大事にするべきなのは、お互いに尊敬と品位を保ち続けることだ。他の国の悪口をプロパガンダのように言い募るのは、良いことではない。世界中で中国と韓国だけが日本を悪く言い、それを日本のメディアが積極的に報道するという悪循環になっている。これは断ち切らなければならない。
トルコは日本の二倍の国土を持つが、人口は約七千六百万人。平均年齢が三十歳と若く、毎年人口が百万人程度増加している。アジアとヨーロッパを繋ぐ国として知られ、どちらかというとヨーロッパの国として見られることが多いが、国民の構成はアジア系九七%、ヨーロッパ系三%となっている。人口が一千万人と東京並のイスタンブールが最大の都市だが、首都はアンカラ。政治的な機能はアンカラに、経済的な機能はイスタンブールに集約されている。人口の九八%がイスラム教徒だが、国として信仰の自由はしっかりと保証している。戒律も比較的緩く、通常イスラム教では禁じられているお酒を飲む人も多く、国内でビールやワインを生産している。女性も顔を隠すことなく堂々と街を歩くなど、非常に自由だ。
トルココーヒーは世界遺産文化面で世界をリード
トルコの起源は古い。紀元前からヒッタイト、東ローマ帝国、オスマン帝国など様々な国が勃興してきた。七十ぐらいの民族からなる多民族国家だ。トルコ語はアルタイ語族に属し、この中にはモンゴル語が入り、朝鮮語や日本語もこの語族に属するという説もある。日本人とトルコ人がお互いの言語を学び合うことは、比較的容易だ。経済成長率が近年四~八%で推移、国民一人当りのGDPも一万二千ドルに達しようとしているなど、経済的にも成長中だ。日本の多くの企業もトルコに注目していて、トヨタ、ホンダ、味の素、資生堂、損保ジャパンなど約三百社が進出している。皮革製品の製造が盛んで、革とテキスタイルでは世界第二位の生産量を誇る。ファッション関連メーカーの進出も多く、スペインのZARAやスウェーデンのH&M、日本のユニクロもトルコに工場を建設している。トルコは世界の文化に多大な影響を与えた。紀元前七世紀に貨幣を世界で最初に作ったのはトルコにあったリディア王国だ。日本の和食と同じくユネスコの世界無形文化遺産に登録されたのが、「トルココーヒーの文化と伝統」だ。今の形の焙煎したコーヒー豆を使って作る飲料を発明したのはトルコ人。世界初のカフェもイスタンブールに登場し、その後ヨーロッパに広まっていった。チューリップも原産国はトルコだ。十六世紀にオスマン帝国がオランダにチューリップを贈り、その後オランダが一大生産地となっていった。世界のバラの七割はトルコで生産されている。ヨーグルトという言葉も、元々はトルコ語だ。サンタクロースの起源となった聖ニコラオスは四世紀にトルコで活躍した人物。世界最古の都市遺跡といわれるチャタル・ヒュユクもトルコにある。
トルコ航空は、今年日本での名称をターキッシュエアラインズに変更した。世界の二百六十の空港に路線を持つ大航空会社だ。トルコから、ヨーロッパへはどこへでも飛行機で四時間以内に行くことができる。中近東にも旧ソ連諸国に行くにも便利だということで、ターキッシュエアラインズは路線を拡大してきた。二〇〇二年に国営から民営に変わり、株式が公開されて、五一%が民間所有に、四九%が国の所有となっている。毎年売上で二〇%の成長をしていて、十年前に一千五百万人だった年間の旅客数が、今は六千万人になっている。乗客の多くの人々が訪れるトルコは観光資源が豊富だ。歴史的な遺跡が残るエーゲ海、リゾートでゆったりと寛げる地中海、自然が豊かな黒海と、三つの海に囲まれている。
誤報の責任をとって改革を朝日が変われば日本が変わる
ドイツの十三都市など、数多くの都市に乗り入れているターキッシュエアラインズは、イスタンブールで乗り継ぐだけで、多くの都市に行ける。ユニークなサービスとして、イスタンブールトランジットの場合のホテルの無料提供がある。乗り換えのためだけに一泊するのだが、その時に魅力に取り憑かれ、多くの人が必ずもう一度イスタンブールを訪れて長期滞在するというのだ。非常に上手い顧客獲得戦略と言える。今トルコは二〇一七年の開港に向けて、イスタンブールに世界第二位の規模となる新しい空港を建設していて、さらに乗客数は拡大する見込みだ。現在日本からのターキッシュエアラインズ便は、毎日成田から二便、関空から一便、イスタンブール行きが飛んでいる。来年には羽田からも飛ぶ予定だ。
トルコは親日的な国として知られる。東郷平八郎にちなんだ「トーゴー通り」がイスタンブールにはあるし、日本人女性はトルコではとにかく良くモテる。両国が親しくなった理由としてまず挙げられるのが、エルトゥールル号の遭難事件だ。一八九〇年に日本を訪問したトルコのフリゲート艦・エルトゥールル号が和歌山沖で沈没、地元の住民が救助に奔走し、さらに生存者に日本全国から義援金が集まった。このことは、トルコでは歴史の授業の中で必ず学ぶ。また一九八五年、イラン・イラク戦争が勃発した際にイランに取り残された約二百名の日本人の脱出のために、駐イラク日本大使の要請を受けてトルコ政府はトルコ航空機二機をイランに派遣、無事に日本人救出に成功した。この時トルコ側は、「エルトゥールル号の恩返し」だと言ったという。また一九九〇年、湾岸戦争勃発直前のイラクでアントニオ猪木議員が開放した在留日本人の救出機を派遣したのも、トルコ航空だった。このエルトゥールル号からイラン・イラク戦争、湾岸戦争に至るトルコと日本の物語を映画化する計画が今進んでいる。イスラム教徒は凶悪なテロリストだというバッシングが激しい。一部がテロリストになっているのは確かだが、それはイスラム教徒全体に共通のことではなく、間違いだ。朝日新聞は従軍慰安婦問題で、朝鮮半島の女性を強制的に性奴隷にしたという嘘の報道を、三十年以上訂正しなかった。こんな全くの捏造報道を行い、責任を取らずにただ間違えましたという朝日新聞は、もう解体すべきだろう。この報道の影響で事実ではないことで日本は諸外国から非難され、日本と韓国、日本と中国、そして日本とアメリカの関係まで悪化したのだ。その責任は重い。三十万人の南京大虐殺も証拠がまるでない虚構だ。このようなことは本来誰も信じないはずなのに、日本国内の「反日」メディアが大きく取り上げることで、世界中が信じてしまった。正に日本人の敵は日本人である。しかし謝罪をするなど、朝日新聞は変わろうとしている。朝日新聞が変わる時は日本が変わる時だ。
探査機「はやぶさ」でも証明高いレベルの日本の先端技術
外国人から見ても日本には良い所が多い。オバマ大統領の好物だという抹茶アイスは、日本らしい食べ物だ。日本伝統の抹茶と西洋からやってきたアイスクリームが、ぴったりマッチしている。独自の文化と取り入れた文化の良い所を融合することが、日本人は上手だ。また「おもてなし」という言葉に表わされるような、ホスピタリティの心持ちにも満ちている。「もったいない」という言葉も、ノーベル平和賞を受賞したケニアの環境保護活動家、ワンガリ・マータイ氏が世界中に広め、世界で通じる言葉になった。自然を常に生活の中で大切にしている。気候も四季がはっきりしていて、どの季節も美しい。また桜の花見をしたり、紅葉狩りをしたりと、一年中四季と自然に関連した「イベント」が多い。さらに江戸時代に確立した武士道精神が、国民一人ひとりの心の中で生き続けている。これが日本の強みだ。高いレベルの先端技術力も、日本の大きな魅力だ。ボーイングの最新鋭機である七八七のボディに使われている炭素繊維は、日本の技術だ。これをボディに採用することによって、航空機の機内の湿度を地上並に上げることができるようになり、エコノミー症候群を防ぐことにも繋がる。MRJ(三菱リージョナルジェット)も、試作一号機の試験飛行が間近だ。戦後一時期日本の航空機開発を禁じていたアメリカだが、解禁後も様々な形で圧力をかけてきている。今でも大きな航空機の開発は許されておらず、今回のMRJもカナダのボンバルディアやブラジルのエンブラエルと競合するような小型機分野のみの進出が許された結果だ。探査機「はやぶさ」によって小惑星イトカワの探索を成功させたように、日本の宇宙技術は非常に優れている。アメリカによる歯止めがなければ、航空宇宙産業での日本の存在感はもっと増していくはずだ。