日本を語るワインの会178

ワイン178二〇一八年三月九日、代表邸で恒例の「日本を語るワインの会」が行われました。外交官としてイタリア、オマーン、オーストラリアなどに赴任した経験のあるエジプト・アラブ共和国大使館特命全権大使のアイマン・アリー・カメル氏、自民党の政務調査会副会長を務める衆議院議員の秋葉賢也氏、メディアでの発信も多い、シンクタンク社長から請われて選挙に出馬し当選した参議院議員の青山繁晴氏、「真の近現代史観」懸賞論文審査委員長の加瀬英明氏が作った「史実を世界に発信する会」の会長代行を務める茂木弘道氏をお迎えし、政治、経済、外交と幅広い話題で盛り上がりました。
誤った記述は即修正
正しい歴史を広く世界に
 誤った歴史は修正されなければならない。エジプトの高名な考古学者のザヒ・ハワス博士は、ピラミッドを造っていた人々が奴隷ではなく、きちんとした待遇を受けていた労働者であったことを明らかにして、それまでの欧米の学者の説を覆した。代表がハワイ・真珠湾の太平洋航空博物館の展示で発見した、ドゥーリットル空襲に関して、日本軍が中国人二十五万人を殺害したという誤った記述はまだ訂正されていない。期限である三月中に訂正されることが望まれる。テキサス州ヒューストンの国立太平洋戦争博物館の展示にあった、日本が中国から沖縄を奪ったという記述は、昨年の四月、実際に現地を訪れた青山繁晴氏が館長と直接話をして、九月に訂正された。青山氏によると、館長は歴史学者で、沖縄の歴史の話をするとちゃんと聞いてくれて、その場で修正を確約してくれたという。英文から「中国から」という部分は削除されたが、「奪った」(seized)という単語はそのままというのが残念だったという。そもそも青山氏がヒューストンを訪れたのは、外務省から依頼があったからだ。同博物館への駐米領事館からの要請では埒が明かなかったので、青山氏に頼んだという流れらしい。太平洋戦争博物館の館長はかなりの日本通で、東郷平八郎の崇拝者だ。今年外務省が日本に招聘することが決まっている。自民党でも中曽根弘文衆議院議員を委員長に「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」を開き、アメリカで設置が広がる慰安婦像に対して「広報活動を強化し、事実でないことは正していく」としている。茂木弘道氏が会長代行を務める「史実を世界に発信する会」も英語のHPを作り、海外へ正しい歴史を発信している。こういった動きは引き続き強化すべきだ。
 今国会に上程される予定の働き方改革関連法案だが、一つの法律ではなく、八つの法律からなるものだ。これにはやむを得ない厚生労働省の事情がある。厚労省は一番のブラック官庁で、残業代が突出して多い。厚生省と労働省を合体させたため、所管業務が非常に多いからだ。昨年の通常国会における厚生労働大臣や副大臣、政務官の答弁回数は三千五百八十四回と、二位の外務省の二千八十六回を大きく上回り、厚生労働委員会の審議時間も三百六時間と委員会平均百四十八時間の倍になっている。だからある程度法案を束ねて出さないと、仕方がないのだ。しかし通常は束ねても二つか三つ。八法案というのはやはり無理があるのかもしれない。

第九条には軍と明記
武器使用基準の変更を
 近畿財務局の職員が自殺し、佐川国税庁長官が辞任。財務省の公文書改ざんが大きな問題となっている。改ざんの理由として財務官僚の忖度はあったかもしれないが、安倍首相が指示したのではないことは明らかだ。野党やメディアが改ざんを安倍叩きに利用し国会を空転させるのは、国益を損ねるだけだ。
 憲法改正論議が活発になってきた。憲法第九条の改正に関して、一項、二項を残して三項を追加するという流れになっているが、そうであれば「自衛のために陸海空『軍』を保有する」と明記するべきだ。安倍首相は自衛隊を憲法に明記するだけで、今と何も変わらないと言っているようだが、それではいけない。現状、自衛隊の武器使用基準は警察と同じ場合が多く、正当防衛や緊急避難に該当しないと反攻撃出来ない。撃たれてからでないと撃ち返せないのであれば、戦闘機同士のドッグファイトなどでは圧倒的に不利だ。やはり自衛隊は自衛権を行使するための軍だとすることで、他国同様の武器使用基準にしなければ、日本を守ることさえできない。領空領海侵犯に関しても、警告に従わない相手には武器を使用して実力で排除すべきだ。一回でもこの様に対処すれば、二度と領空領海侵犯をしようとは思わないだろう。中国の漁船等から体当たりされても日本の海上保安庁が何も抵抗しないから、領海侵犯を繰り返すのだ。
 亡命したロシア人のスパイ父娘がイギリス国内で毒殺されかかったことを受け、イギリスがロシアを強く非難している。イギリスはいざという時に強い決意を見せる国だ。一九八二年のフォークランド紛争の際に、イギリスはアルゼンチンに輸送船として、国のシンボルでもある、クイーン・エリザベス二世号を出した。派遣された空母インヴィンシブルには、ヘリコプターパイロットとしてチャールズ皇太子の弟、アンドルー王子が乗っていた。この強い決意の表れが、この戦いにおいてイギリスに勝利をもたらしたのだろう。こういった面は、日本も見習わなければならない。

サイバー攻撃対策として
ホワイトハッカーを育成
 河野太郎外務大臣が外相専用機の購入を要望しているが、それは無理。来年新しい政府専用機としてボーイング七七七が二機導入され、運航・整備が今のJALからANAに変わる。二機購入するのは故障などを考えて、政府専用機は常に二機同時に飛ばすからであり、この購入費用には九百億円以上掛かる。さらに首相がニューヨークに一度出張する際に掛かる移動コストは約二億円だ。費用対効果から考えると、外相専用機は難しいので、十分の一の費用で済むチャーター便を活用することを提案している。中国は政府専用機を十機保有していて、主席以外も使う。日本の政府専用機も閣僚の利用がルール的には可能なのだが、麻生財務大臣兼副総理以外は使ったことがなく、基本的には首相と皇族のみが利用することになっている。
 ビットコインなど仮想通貨の取引が盛況だ。しかしエジプトは仮想通貨を認めず国内での取引を禁止している。為替に比べて取引を行う人の数が少なく、その分博打的な要素が強くなっていて、交換所など中間は儲かるが、末端の人間は損をするようにできている。一月に仮想通貨交換所のコインチェックから五百八十億円相当の仮想通貨XEMが奪われたが、これに北朝鮮のサイバー部隊の関与が疑われている。また昨年五月には、北朝鮮がバングラデシュの中央銀行にサイバー攻撃を仕掛け、九十二億円を奪ったという報道もあった。今日本で求められるのは、IT・情報システムに依存している社会をこのような悪意のハッキングから守るホワイトハッカーの育成だろう。ITはプラットフォーム、ソフト、通信など何層にも分かれていて、それぞれに専門家がいる状態だが、天才的なハッカーはそれら全てに通じている。
 代表は一九九二年にキューバのフィデル・カストロ議長と会った。代表が心底核戦争の危機を感じた一九六二年のキューバ危機について聞くと、カストロはキューバがどうなってもいいからロサンゼルスに核攻撃をと、ソ連のフルシチョフに訴えたという。代表がそれはフルシチョフに実行する度胸がないとわかっていたからでしょう?と聞くと、カストロは笑って答えなかった。青山氏も記者時代にカストロに会ったが、目が綺麗で思わず引き込まれそうになったという。キューバの共産主義は明るく、国を出ていく人々に制限を掛けなかったところが他の社会主義国とは異なる。二〇一五年、アメリカのオバマ大統領は自身のレガシーづくりの一環として、アメリカとキューバの国交を回復。対外的にはないことになっていたが、実はキューバにアメリカ大使館はずっと存在して機能していた。このアメリカ大使館の再オープニング・セレモニーに、当時自民党外交部会長だった、秋葉賢也氏も参加した。秋葉氏はかつてキューバ議連会長だった同郷の三塚博氏と親交が深く、それもあってのキューバ行きだったという。

節税を考えない経営者は
日本では成功できない
 アパグループは二〇一〇年から頂上戦略を実施、東京都心のマンションとホテルでトップを取ることを目標に事業を進め、大きな成果を上げることができた。リーマン・ショック後でタイミングも良かった。銀行の貸し剥がしで資産の投げ売りを余儀なくされた新興ディベロッパーは全滅状態になった。それらの物件を銀行がどんどんアパに持ち込み、今の地価の三分の一から四分の一で土地をどんどん仕込むことができた。さらに建築費が今の二分の一。これが現在のアパホテルの三〇%強という、世界最高水準の高利益率に繋がっている。この世界最強のホテルスタンダードを、アパでは新都市型ホテルと呼んでいる。通常のホテルでは顧客とホテルスタッフの関係は主人と召使いだが、アパホテルでは対等だ。だから顧客の入った客室にスタッフが勝手に立ち入ることは決してない。このホテルスタンダードがやがて世界を席巻すると代表は考えている。
 住宅ローンを組み合わせた注文住宅から始まったアパグループの事業だが、次第に建売住宅、マンション、そしてホテルへと事業を転換させていき、ホテル事業を始めたのは節税のためである。マンションを建設して販売すると、一気に利益が生じる。これを減価償却で損益通算するためにホテルチェーンを構築することにしたのだ。またバブル崩壊もアパのチャンスになった。地価も株価もどんどん上昇していた一九八七年、ブラックマンデーによって株価が暴落。日本には土地神話があり、株価が下がっても地価は下がらないと誰もが言っていた。しかしアメリカの友人からアメリカでは地価は収益還元法で決めるのが常識と聞いていた代表は、計算によって日本の地価がその「常識」の数倍にも達していると判断、これが限界とバブル崩壊の数年前に多くの土地を売却して膨大な利益を得た。そこでレバレッジドリースを使って償却期間が短い航空機を購入、利益と減価償却を損益通算することで大幅な節税を行い、同時に利益を未来に先延ばしして、返ってきた特別利益でホテルを次々と建設したのだ。ビジネスでは軍資金のある人間が勝つ。また、節税を考えない経営者は日本では成功しない。