日本を語るワインの会254

ワイン254恒例「日本を語るワインの会」が会長邸で行われました。昨年第十六回「真の近現代史観」懸賞論文で社会人部門の優秀賞を獲得した議員立法研究所代表の宮﨑貞行氏、一昨年第五回アパ日本再興大賞で優秀賞を獲得した中村恵子氏、フランス出身で日本の永住権を取得、通訳・翻訳の分野で活躍しながら國學院大學にて博士号取得を目指すポール・ド・ラクビビエ氏、元警察官で今は各種訓練やSP活動、護身具の製造販売等を手掛ける田村装備開発株式会社代表取締役社長の田村忠嗣氏をお迎えし、ビジネスから政治まで幅広い話題で議論を交わしました。
江戸時代の北海道も
幕府の管轄下にあった
 宮﨑貞行氏は元警察官僚で、その後の大学教授を経て、現在は作家として年二冊程度のペースで自著を出版している。現在八月三十一日締め切りで、第七回アパ日本再興大賞の推薦が行われているが、今年はこの賞の獲得を目指している。
 中村恵子氏はクリニックの経営の傍ら、循環型社会の実現がライフワークで、環境省の環境カウンセラーも務める。アパ日本再興大賞優秀賞を獲得した著書『江戸幕府の北方防衛~いかにして武士は「日本の領土」を守ってきたのか~』(ハート出版)では、江戸幕府が蝦夷地を明確に日本の領土と認識していて、ロシアからの防衛のために東北諸藩の藩士を蝦夷地へ向かわせる等、様々な手を打っていたことを明らかにした。今後は北海道各地の博物館の年表が江戸時代の北海道を「アイヌ時代」としているのを正すこと、また小学生の教科書が江戸時代の地図の北海道の部分を、どの国の領土でもない「白地」とするよう文科省が検定意見で指導したのを改めることを目指す。中村氏が東京の勝兵塾で北海道は明治から日本になったと思っている人は? と聞いたところ、かなり多くの人が手を挙げた。しかし金沢の勝兵塾で同じ質問をしたところ、だれも手を挙げなかった。日本海側では北前船の交易の歴史がしっかりと人々に刻まれているために、北海道の歴史についても正しい理解が広がっているのだろう。
 北海道でも旭川から富良野のエリアは盆地であり、冬寒くて夏暑い。この辺りは最後に開拓されたところで、丘のようなところも、きっちりと区分けして開拓していった。それが美瑛で有名になったパッチワークの丘のような、独特の美しい田園風景に繋がっている。
 ポール・ド・ラクビビエ氏は王権学会を主宰、フランスの王室とその王統、日本の皇室とその皇統等古き良き政治の歴史から、その現代的な意味を考えるシンポジウム等を開催している。
安倍元首相を狙撃したのは
山上徹也被告ではない
 田村忠嗣氏は警察官時代、埼玉県警察機動戦術部隊RATS(ラッツ)というテロや銃器を所持した犯罪者への対処を行う特殊部隊に所属していた。十六年前に県警を退職して作った会社では、警察官や自衛官の訓練、警察や自衛隊の装備品の製造、一般人向けの護身具の製造、四号警備と呼ばれるSPとしての業務を行っている。護身具として大切なのは、まず頭と眼を守ること。警察が暴れる犯罪者制圧に使用する刺股(さすまた)は、犯罪者を傷つけないという目的にはいいが、自分達を守るには使い勝手が悪い。田村氏らが開発した「守護臣」という護身具は、コンパクトな盾と護身棒、止血帯、ライトがセットになっていて、武道等の心得がない人でも、相手の攻撃から身を守りながら、犯罪者に打撃を与えて自身を守ることができる。懐中電灯のようなライトは通常は五百ルーメン程度の明るさだが、田村氏が販売するライトは三千ルーメンと非常に明るく、照らされた相手はほぼ何も見えなくなる。
 日本では安全であることを当たり前だと思っている人が多いが、いざとなったら自分の身は自分で守る覚悟と準備が必要で、それを警察力が補う形が理想だ。これは国単位でも同じで、自分の国は自分で守るという意志がまずあって、それを同盟等で補強するのが「普通の国」だ。日本では学校で平和憲法があるから戦争にはならないと平気で教えているが、それは全くの嘘だ。力の空白が生じないように常に備えていなければ、あっという間に戦争に巻き込まれてしまう。
 田村氏が社長を務める会社には、自衛隊の特殊部隊出身の社員もいる。一昨年、安倍晋三元首相が狙撃された事件も、すぐに社員で検証を行った。全員一致の見解は、安倍氏を狙撃したのは山上徹也被告ではないということだ。まずあの山上被告の銃の形状だと、間違いなく暴発する。また使用したとされる黒色火薬では、あれだけの威力はでない。遺体の弾が入ったところと出たところの傷の形も、山上被告が撃ったとすると不自然だ。地上からではなく、もっと上から別の誰かが発砲したと考えるのが自然だ。またSPの動きも、警察の鑑識の動きもおかしい。本来殺人事件であれば、すぐに規制線を張って鑑識が入る。しかしこの事件の場合、鑑識の調査が行われたのは事件の三日後。警察の常識からすれば異常で、捜査をする気がないように見える。それが警察の不手際なのか、警察が発砲した人または組織とグルなのかはわからない。一説には中国と北朝鮮が背後にいて、北朝鮮と繋がりのある山上被告をダミーにして、別の建物の上からスナイパーが撃ったという話がある。山上被告の発砲は空砲だ。これだけの疑惑があるのだから、安倍氏の狙撃事件は再度調べ直す必要があるのではないか。
訪日外国人旅行者の数が
今後もどんどん増えていく
 大々的にアパホテルを増やすために、会長は全国各地のホテルを買収してアパホテルにしたが、その際希望するスタッフは全員アパホテルの社員として採用した。今のCEOも社員を大事にしていて、給与や福利厚生に気を配っている。今年も六百人以上の新入社員が入社したが、アパグループには買収ホテルのスタッフもいて年齢層も幅広い。年齢層で常識が全て異なるので、経営者はかなり頭を柔らかくして、全体の最適解を考えていく必要がある。
 アパホテルの宿泊客の訪日外国人旅行者比率は、全国で三割を越えている。東京だけだとホテルによっては、八割〜九割が訪日外国人旅行者というところもある。常識は国によっても全く異なる。以前、アパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉の大浴場に、某国の国会議員御一行が全員着衣のまま入ったことがあった。郷に入れば郷に従えと言いたいところだが、今後、宿泊客の外国人比率が四割、五割と上がっていくと、それもなかなか難しくなる。まず大浴場で今問題となっているのが、タトゥーをしている人の扱いだ。アパホテルでは基本入れ墨(タトゥー)をした方の大浴場の利用をお断りしていて、一泊一名に対して二枚まで無料提供するホテル指定のシールを貼った場合のみ、入浴可能としている。しかし特に欧米ではスポーツ選手を中心にタトゥーを普通に入れていて、それが全身にわたっていてシールでは覆い切れないことがある。今温泉旅館でも貸切風呂が人気だが、これもタトゥー問題が絡んでいるのかもしれない。フランスでも昔は、タトゥーはチンピラが入れるものだったが、この十年ぐらいで一般化してきたという。
 今外国人旅行者が日本に多いのは、円安のおかげでお得に快適な日本滞在が楽しめるからだろう。アパホテルの会員は累積二千万人を突破しており、アパアプリは、国内ホテルチェーンの公式アプリとしては断トツNo・1の五百万ダウンロードを突破している。現在アプリは国内向けのものしか開発していないが、今後は訪日客向けに、部屋やベッドの表記の多言語化等、検討するべきポイントも多い。
 外国人旅行者の比率が高いのは、新宿、浅草、渋谷のアパホテルだ。韓国で一番有名な日本の街は新宿。渋谷はポップカルチャーやすっかり観光スポットとなったスクランブル交差点で知られており、ハロウィンには多くの仮装した人々が集まり、アパホテルも特に集客力が高くなる。最近の日本の若者はハロウィンのような新しい海外からのイベントに熱中して、七夕など日本の古くからの風習が顧みられなくなっている。もっと国が保護を打ち出さないと、日本の伝統文化が廃れていくのではないか。ハロウィンは元々アメリカの習慣だが、今ではヨーロッパにも広がっている。クリスマスは日本にすっかり定着している。カナダの人々は十二月十日ぐらいから二十五日までクリスマス休暇で休むが、正月は全く苦にせず働く。フランスもクリスマス休暇を二週間程度とるが、正月は休まない。夏休みは二カ月程度休む。
再生入管法の成立に伴い
日本も移民時代に突入する
 今年六月に改正入管法が国会で成立、新しく実質的な移民の開始とも言われる「育成就労」制度が創設され、二〇二七年までに施行される見通しだ。先進諸国はいずれも少子化で、人口減に対して移民を認めることで人口問題の対策としているが、入れすぎると治安が悪化して社会問題となる。これまで日本は移民をかなり制限していたが、今後はそれが緩和されることになり、治安の心配をする人も多い。アメリカは移民が多く、人口は常に増加していて三億三千万人を突破した。カナダの人口も常に増加していて、四千万人を突破している。ヨーロッパでは移民政策の是非を巡って政治的混乱が起きている。イタリアのメローニ首相は移民を自国から排除するのに成功しているというが、それはそもそも最初から移民達がイタリアではなくフランスやドイツを目指しているからだ。そのヨーロッパを見習って日本に移民政策を導入することに対して批判も出ている。しかし日本の生産労働人口が減ることによって経済が縮小し、税収が成り立たなくなる可能性があるが、それをどうするのか。少子化対策は一向に効果を出ておらず、移民以外で人口を増やす手立ては皆無といった状態だ。少子化よりも未婚化の方が人口減少の要因とも言われている。
 ウクライナ戦争でヨーロッパ諸国はエネルギー価格の高騰で苦しんでいるが、ロシアは経済的に困っていないと言われる。しかしロシアは今戦時だから経済が維持できているように見えるが、民間の設備等には投資は回っておらず、その老朽化等が今後ボディーブローのようにロシア経済に効いてくるはずだ。