二〇〇八年にスタートした「真の近現代史観」懸賞論文の最優秀藤誠志賞の受賞者は、第一回は元航空幕僚長の田母神俊雄氏、第二回は今や作家として大活躍の竹田恒泰氏、第三回は戦後問題ジャーナリストの佐波優子氏、第四回は札幌医科大学教授の高田純氏、第五回はsengoku38と名乗って中国漁船衝突の映像を流出させた一色正春氏、第六回は民主党政権で大臣を務めた松原仁氏、第七回は初めて国会でプレスコードについて質問をした杉田水脈氏と、錚々たる顔ぶれだ。今年の第八回の受賞者は、テレビ番組「世界まるごとHOWマッチ」でお茶の間の人気ものになったカリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏だ。二〇一五年十一月十日に美しい日本の憲法をつくる国民の会主催で行われた「今こそ憲法改正を! 武道館一万人大会」でも堂々たるスピーチを行っていた。ギルバート氏は、十二月八日に明治記念館で行われる授賞式後のパーティーでも講演を行う予定だ。
アパグループは創業時は信金開発という社名だったが、大蔵省から「信用金庫の関連会社だと思われるので変えろ」と命じられ、「信開産業」に変えた。代表はこの社名変更には納得しておらず、いつかきちんとした社名を付け直すことを考えていた。そこで日本航空やコカ・コーラのCIも手掛けた世界一のCI会社であるアメリカのランドー・アソシエイツ社に依頼して、一九九七年に社名とロゴを一新、APA(アパ)とした。これが大成功。日本語にせよ英語にせよ、とにかく覚えやすい。ネットで検索する場合も、短い入力でOKだ。アパ社長ブランドのオリジナルグッズはどれも好評。累計百四十万食も売れている大ヒット商品が「アパ社長カレー」だ。しっかり煮こまれた洋食店風のカレーは、某経済誌でもホテルの中で一番美味しいと絶賛された。アパホテル公式ミネラルウォーター「富士川源流 天然水」も累計七百万本の販売を達成。最近人気が出てきているのは、甘い香りとすっきりとした味わいでノンカフェインのとうもろこし茶だ。アパホテルでの宴会を予約した団体などにプレゼントしていたのが、アパホテルオジリナル「うまい棒」だ。同じくプレゼントとしては、石川県産のコシヒカリなどをパックしたアパ社長米もある。
日本への外国人観光客が大幅に増加している。都心のアパホテルでは、お客様の約三割が外国人になっている。当然スタッフの英語力の強化も必要になっている。一説には十四パターンの英会話ができれば、ホテルのフロント業務の八〇%はこなせると言われているが、そんなホテル英語だけで良いわけではない。日本語を生きた英語に変えて伝えるのは難しい。「松島や ああ松島や 松島や」という俳句を英語に直訳しても、意味を成さない。日本語の意図や雰囲気を英語にして伝える必要がある。
二〇一五年十一月十三日に海外初のアパホテルであるアパホテル〈ウッドブリッジ〉が、ニューヨークの隣であるニュージャージー州にオープンした。ニューアーク・リバティー空港まで車で二十分と近く、マンハッタンまでも鉄道で二駅、三十分で到着する。マンハッタンのホテルの宿泊料金は一泊約四〜五万円と非常に高く、ビジネスマンはニュージャージー州など周辺にあって、宿泊料金が一泊二〜三万円と半額のホテルに宿泊することが多い。〈ウッドブリッジ〉はアパホテルのフランチャイズホテルだ。オーナーはアメリカに渡って不動産ビジネスで成功を収めた台湾人の大富豪の次男で、まだ四十代の若さだ。彼は、今後もアメリカでアパホテルを展開したいと要望している。こうした出会いから、予定よりも二年前倒しでアパホテルの海外進出を代表は決断した。他にもアパホテル進出の引き合いは、世界各国から来ている。
もう一つ、アパホテルの重要な理念は、ゲスト(お客様)とスタッフが対等だということだ。インドのホテルのレジデンシャルスイートには、部屋付きの召使がいる。そこまでいかなくても、通常の都市ホテルであれば、チェックイン後にベルが荷物を運び、部屋のスイッチについて説明してくれる。また宿泊客が不在でも、ベッドのターンダウンを行ったり、クリーニングした衣服をクローゼットに掛けたりとスタッフが部屋に入って作業を行うことがある。他人に部屋に勝手に入られても気にならないのは、これらのサービスの基本的な考え方が、欧米型のご主人様と召使の関係だからだ。会田雄次が「アーロン収容所」に描いた、日本人捕虜に裸を見せてもなんとも思わない欧米人の女性将校の話にも通じるものがある。アパホテルのサービスは、このような「奉仕」とは全く異なり、誇りを持って宿泊していただけるお客様を、スタッフが誇りを持っておもてなしをするというスタイルだ。スタッフとお客様との関係は対等であり、過度なサービスは廃して、求めている人には必要なサービスを…という考えだ。だからチェックイン済の客室はお客様のプライベートな空間と考え、ここに勝手にスタッフが入ることはない。アパホテルのおもてなしのイメージはお城の石垣の「崩れ積み」だ。画一化されたマニュアルはなく、スタッフそれぞれが自分の長所を活かした心からのおもてなしをすることが、ホテル全体として柔軟性があり永続的なおもてなしに繋がるという考え方を貫いている。これがお客様の感動を呼び、リピーターを増やし、ホテルの稼働率を向上させているのだ。