恒例「日本を語るワインの会」が会長邸で行われました。第一回「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀藤誠志賞を獲得した元航空幕僚長で田母神事務所代表の田母神俊雄氏、パプアニューギニアを皮切りに世界中で活躍してきた危機対応・危機管理のスペシャリスト、アルファ・リード株式会社代表取締役の丸谷元人氏、日本が先人の遺産を糧に成長してきたという観点から過去を見据える近代史研究家の鈴木荘一氏をお迎えし、日本経済の今後や世界情勢について語り合いました。
減税と財政支出の増加で
日本のGDPはまだ伸びる
日本のGDPはまだ伸びる
GHQは日本が戦後に軍備を拡張して、再びアメリカに向かってこないように、まず日本国憲法第九条で戦力の不保持を定め、さらに財政法四条を次のように定めた。「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる」。つまり基本的には税収の範囲で歳出を行い、国債を発行する場合でも、「公共事業」等と用途が限定される。戦前のように、借金をして防衛費を賄うことをGHQは禁じたのだ。
税金は一種の罰金だ。消費税は金を使ったら払う罰金。相続税は死んだら払う罰金。年金は若いから取る罰金であり、介護保険は四十歳になったら払う罰金だ。年間約七十兆円の税収があるが、手数料を二%としても一兆四千億円になる。税の徴収に関わる人達が、莫大な利益を得ているのだ。国債は六十年償還ルールがあり、年間約二十五兆円が国債の償還費として使われているが、本来国債は返済する必要がない。自国通貨を発行している国がデフォルトになることはないのだ。
一九九〇年の日本国民の租税負担率は約三〇%だったが、二〇二二年は四七・五%となった。さらに児童手当の財源としての医療保険の五百円値上げだったり、退職金への課税だったりと、様々な増税案が浮上してきていて、もはや五公五民の世界だ。
税金は国民の行動をコントロールするためにある。東京都都心の特定エリアに入ってくる車から通行税を取れば、都心の車は少なくなるだろう。レジ袋を有料にすれば、エコバッグを持つ人が増えるのと同じだ。消費税は消費に対する罰金だから、国民に金を使うなと言っているようなもの。日本のGDPの三分の二は個人消費であり、これに罰金を掛けたらGDPが増えるわけがない。
日本も税金を下げて政府の支出を増やせば、再度復活する可能性がある。この三十年、日本は国の財政支出をできるだけ削る「小さな政府」を志向してきた。しかし世界では、この三十年政府支出を増やした国のGDPが伸びている。平成の三十年で世界のGDPは二・五倍になったのに、日本は〇・九八倍にしかならなかった。国民がサボッていたのではなく、政府の経済政策が間違っていただけだ。まともな支出をすれば、日本人は十分なモノづくり能力やサービス提供の能力を持っているから、これからでもGDPはどんどん伸びるはずだ。
税金は一種の罰金だ。消費税は金を使ったら払う罰金。相続税は死んだら払う罰金。年金は若いから取る罰金であり、介護保険は四十歳になったら払う罰金だ。年間約七十兆円の税収があるが、手数料を二%としても一兆四千億円になる。税の徴収に関わる人達が、莫大な利益を得ているのだ。国債は六十年償還ルールがあり、年間約二十五兆円が国債の償還費として使われているが、本来国債は返済する必要がない。自国通貨を発行している国がデフォルトになることはないのだ。
一九九〇年の日本国民の租税負担率は約三〇%だったが、二〇二二年は四七・五%となった。さらに児童手当の財源としての医療保険の五百円値上げだったり、退職金への課税だったりと、様々な増税案が浮上してきていて、もはや五公五民の世界だ。
税金は国民の行動をコントロールするためにある。東京都都心の特定エリアに入ってくる車から通行税を取れば、都心の車は少なくなるだろう。レジ袋を有料にすれば、エコバッグを持つ人が増えるのと同じだ。消費税は消費に対する罰金だから、国民に金を使うなと言っているようなもの。日本のGDPの三分の二は個人消費であり、これに罰金を掛けたらGDPが増えるわけがない。
日本も税金を下げて政府の支出を増やせば、再度復活する可能性がある。この三十年、日本は国の財政支出をできるだけ削る「小さな政府」を志向してきた。しかし世界では、この三十年政府支出を増やした国のGDPが伸びている。平成の三十年で世界のGDPは二・五倍になったのに、日本は〇・九八倍にしかならなかった。国民がサボッていたのではなく、政府の経済政策が間違っていただけだ。まともな支出をすれば、日本人は十分なモノづくり能力やサービス提供の能力を持っているから、これからでもGDPはどんどん伸びるはずだ。
軍産複合体の影響力で
戦争を続けるアメリカ
戦争を続けるアメリカ
財政均衡を目指す財務省の思惑通りになる一因としては、小選挙区制によって当選するためには言いたいことが言えず、俗に言う大物政治家が登場しなくなったことが考えられる。政治家には一番言論の自由が保証されなくてはならないのに、今の日本の政治家には言論の自由がない。
株式会社の使命は株主配当を最大にすることという、アメリカから来た発想が日本企業を蝕んだ。この二十年で日本の上場企業の株主配当は十倍になっている。社外取締役がコスト削減で、株主配当を増やす提言ばかりを行ってきたからだ。だから従業員の労働意欲が高まらない。女性が輝く社会をいうスローガンも掲げられているが、今は喰えないので共稼ぎという家庭が多すぎる。株主配当よりも適正な人件費、適正な下請けへの発注等で、国民全員の所得を増やしていくべきだ。
日本には未だにアメリカに植え付けられた軍事アレルギーが強く、軍事力はない方が平和になるという考えを持っている人も多い。しかし軍事力が強い方が国は安全だ。相手国が軍事行動を検討する際、結局行動を起こすことが損だと思わせる状況を作ることが、抑止力を整備することだ。軍事力を強化するのは戦争をするためではなく、戦争をしないため。ウクライナは、二〇一四年からロシアとは局地的に戦ってきたのだが、その頃から強化した軍事力をきちんとロシアに示していれば、あの侵略はなかったかもしれない。
日本のメディアは特に海外のニュースについては独自の情報源を持たず、海外の報道を翻訳するだけだ。しかし海外に百の情報があるとすれば、日本語になっているのはその中の一か二であり、さらに編集委員の変な意見がついていたりして、本質からかけ離れている。このような言論空間で過ごしていると、日本人だけがどんどん取り残されていく。
第二次世界大戦が終わってから七十八年、アメリカは二十四回の戦争をしている。それは何故か。アメリカの外交政策に大きな影響を与えているのは、外交問題評議会(CFR)であり、この組織には歴代大統領や国務長官、国防長官、CIA長官等、名だたるメンバーが顔を揃えている。ニューヨークのロックフェラー・センターに事務局があり、この評議会の財政的基盤となっているのは、ロックフェラー財団だ。ロックフェラー家はボーイングやロッキード・マーティン等の軍需産業の大株主であり、当然戦争が起きれば兵器の需要が増し、莫大な利益を得ることができる。アメリカ政府はロックフェラーに忖度して動き、そのためにアメリカは継続的に戦争をしている。今行われているウクライナ戦争も例外ではない。日本には一部にアメリカは正義の国と信じる人々がいるが、特に指導層である白人エリートは、損得勘定で動いていると指摘する人も多い。
株式会社の使命は株主配当を最大にすることという、アメリカから来た発想が日本企業を蝕んだ。この二十年で日本の上場企業の株主配当は十倍になっている。社外取締役がコスト削減で、株主配当を増やす提言ばかりを行ってきたからだ。だから従業員の労働意欲が高まらない。女性が輝く社会をいうスローガンも掲げられているが、今は喰えないので共稼ぎという家庭が多すぎる。株主配当よりも適正な人件費、適正な下請けへの発注等で、国民全員の所得を増やしていくべきだ。
日本には未だにアメリカに植え付けられた軍事アレルギーが強く、軍事力はない方が平和になるという考えを持っている人も多い。しかし軍事力が強い方が国は安全だ。相手国が軍事行動を検討する際、結局行動を起こすことが損だと思わせる状況を作ることが、抑止力を整備することだ。軍事力を強化するのは戦争をするためではなく、戦争をしないため。ウクライナは、二〇一四年からロシアとは局地的に戦ってきたのだが、その頃から強化した軍事力をきちんとロシアに示していれば、あの侵略はなかったかもしれない。
日本のメディアは特に海外のニュースについては独自の情報源を持たず、海外の報道を翻訳するだけだ。しかし海外に百の情報があるとすれば、日本語になっているのはその中の一か二であり、さらに編集委員の変な意見がついていたりして、本質からかけ離れている。このような言論空間で過ごしていると、日本人だけがどんどん取り残されていく。
第二次世界大戦が終わってから七十八年、アメリカは二十四回の戦争をしている。それは何故か。アメリカの外交政策に大きな影響を与えているのは、外交問題評議会(CFR)であり、この組織には歴代大統領や国務長官、国防長官、CIA長官等、名だたるメンバーが顔を揃えている。ニューヨークのロックフェラー・センターに事務局があり、この評議会の財政的基盤となっているのは、ロックフェラー財団だ。ロックフェラー家はボーイングやロッキード・マーティン等の軍需産業の大株主であり、当然戦争が起きれば兵器の需要が増し、莫大な利益を得ることができる。アメリカ政府はロックフェラーに忖度して動き、そのためにアメリカは継続的に戦争をしている。今行われているウクライナ戦争も例外ではない。日本には一部にアメリカは正義の国と信じる人々がいるが、特に指導層である白人エリートは、損得勘定で動いていると指摘する人も多い。
ネタニヤフ首相の執着が
戦いの集結を遅らせている
戦いの集結を遅らせている
二〇二二年二月二十四日、ロシアがウクライナ侵略を開始したが、これは一九四一年十二月八日に大東亜戦争が真珠湾攻撃で始まったのと同様、背後にアメリカの影がある。アメリカは産業構造的に戦争をし続けないと食っていけない国だ。二〇二一年にアメリカ軍がいきなりアフガニスタンから撤退したのは、陸上の戦いも激減、航空兵力による爆撃もなく、「儲からない」からだ。ウクライナ戦争は陸上兵器が中心なので、アメリカがこれによって非常に儲かっている。
イスラエルとパレスチナの紛争はこれまでも頻発していたが、どれも一週間ぐらいの短期間で終わっていた。これは約束事だ。ハマスは金が無くなってくると、イスラエルに向かってロケット弾を撃つ。イスラエルは「アイアンドーム」と呼ばれる鉄壁防空網でこれを撃墜するので、ほぼ被害はでない。これがパレスチナを攻撃せよという合図だ。イスラエルは何月何日何時から攻撃するということを事前に通告して、最初はゴム弾の発砲で人々を逃走させ、それから爆撃を行った。破壊は凄いが、犠牲者は少ない。その繰り返しだったのだ。今回のイスラエルとハマスの争いが収まらないのは、イスラエルのネタニヤフ政権が崩壊寸前だったからだ。人気回復のために、あえてガザの攻撃を続けている。
イスラエルとパレスチナの紛争はこれまでも頻発していたが、どれも一週間ぐらいの短期間で終わっていた。これは約束事だ。ハマスは金が無くなってくると、イスラエルに向かってロケット弾を撃つ。イスラエルは「アイアンドーム」と呼ばれる鉄壁防空網でこれを撃墜するので、ほぼ被害はでない。これがパレスチナを攻撃せよという合図だ。イスラエルは何月何日何時から攻撃するということを事前に通告して、最初はゴム弾の発砲で人々を逃走させ、それから爆撃を行った。破壊は凄いが、犠牲者は少ない。その繰り返しだったのだ。今回のイスラエルとハマスの争いが収まらないのは、イスラエルのネタニヤフ政権が崩壊寸前だったからだ。人気回復のために、あえてガザの攻撃を続けている。
昭和は経営者が色を出せた
令和は無色の経営が必要
令和は無色の経営が必要
アパグループの二〇二三年十一月期決算は、売上高一九一二億円、経常利益五五三億円となり、目標を三年前倒しで過去最高益を達成した。やはり昨年五月八日にコロナが二類から五類に変わったのが大きく、一棟貸しをしていたホテルが戻ってきたことも利益に寄与、この結果となった。そんな中、ニュースサイト・ニュースピックスの経済インタビュー番組「デューデリだん!」にCEOが登場した。会長とホテル社長の「色」が非常に目立つアパグループだが、CEOが丁寧にアパの高収益の理由と現在の方針を語る姿が非常に好評だった。昭和と令和を比べると、昭和は色を出す時代だが、令和は色を出すことができない時代だ。出さずにどう経営するか、カメレオンに近い対応が求められる。また従来ならグレーゾーンだった事柄が、どんどん黒になってきている。令和の経営者は息苦しく、「白河の清きに魚も住みかねてもとの濁りの田沼恋しき」という心境だ。こんな中で、どう企業としての独自色を出していくかが問われる。
先日CEOは会長やホテル社長と連れ立って、大磯プリンスホテルを訪れた。このホテルは西武鉄道グループ元オーナーの堤義明氏が早稲田大学時代に書いた論文を基に、一九五三年に仲間と一緒に立ち上げたもので、堤氏にとっても非常に思い入れのあるホテルだ。今でも堤氏は、大磯プリンスホテルを訪れることがあるそう。「大磯ロングビーチ」という巨大プールがあり、海が苦手でもビーチを楽しめる。建物はエレベーターの配置に工夫をして、富士山が美しく見えるように設計されている。残念なのはオーシャンビューなのは客室の半分で、残り半分は陸しか見えないことだ。この反省から、堤氏と丹下健三氏が考えて建設したのが、一九九三年にオープンした幕張プリンスホテル(現アパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉)で、全室オーシャンビューになっている。アパホテルとなる二〇〇六年まで、堤氏の肝いりで、ここには武蔵丘ゴルフコースのグリーンを再現したものがあり、専用のグリーンキーパーも雇用していた。しかし堤氏は結局、十三年間で二回しか来なかったという。
堤義明氏は現在八十九歳だが、お元気だとのこと。堤氏は、一九八〇〜九〇年代に雑誌「フォーブス」の毎年恒例の世界長者番付で、六回一位になった。その後は一位になる日本人は出ていないし、一九九五年には一四・五%が世界のGDPの中の日本の割合だったのが、二〇一八年には四・二%まで減少している現状を考えれば、今後も一位になる日本人は出てこないだろう。堤氏に、たった二回のために十三年間グリーンキーパーを雇い続けることも無駄とは思わないほどの資産があったのだ。堤氏にとっての大磯プリンスホテルのような思い入れのあるホテルを、CEOもこれから作っていきたいと考えている。
先日CEOは会長やホテル社長と連れ立って、大磯プリンスホテルを訪れた。このホテルは西武鉄道グループ元オーナーの堤義明氏が早稲田大学時代に書いた論文を基に、一九五三年に仲間と一緒に立ち上げたもので、堤氏にとっても非常に思い入れのあるホテルだ。今でも堤氏は、大磯プリンスホテルを訪れることがあるそう。「大磯ロングビーチ」という巨大プールがあり、海が苦手でもビーチを楽しめる。建物はエレベーターの配置に工夫をして、富士山が美しく見えるように設計されている。残念なのはオーシャンビューなのは客室の半分で、残り半分は陸しか見えないことだ。この反省から、堤氏と丹下健三氏が考えて建設したのが、一九九三年にオープンした幕張プリンスホテル(現アパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉)で、全室オーシャンビューになっている。アパホテルとなる二〇〇六年まで、堤氏の肝いりで、ここには武蔵丘ゴルフコースのグリーンを再現したものがあり、専用のグリーンキーパーも雇用していた。しかし堤氏は結局、十三年間で二回しか来なかったという。
堤義明氏は現在八十九歳だが、お元気だとのこと。堤氏は、一九八〇〜九〇年代に雑誌「フォーブス」の毎年恒例の世界長者番付で、六回一位になった。その後は一位になる日本人は出ていないし、一九九五年には一四・五%が世界のGDPの中の日本の割合だったのが、二〇一八年には四・二%まで減少している現状を考えれば、今後も一位になる日本人は出てこないだろう。堤氏に、たった二回のために十三年間グリーンキーパーを雇い続けることも無駄とは思わないほどの資産があったのだ。堤氏にとっての大磯プリンスホテルのような思い入れのあるホテルを、CEOもこれから作っていきたいと考えている。