日本を語るワインの会212

ワイン212恒例「日本を語るワインの会」が代表邸で行われました。一代で東証一部上場企業を築き上げた加賀電子株式会社代表取締役会長の塚本勲氏、ラテンアメリカで最初の独立国家であるカリブ海の国・ハイチ共和国の特命全権大使、オノラ・エルフモノド氏、自ら発案したスーパーシティ構想を全国行脚のセミナーで広めている参議院議員の片山さつき氏をお迎えし、コロナ禍の世界と日本の向かうべき方向について、語り合いました。
感染率の高さが裏付ける
新型コロナ武漢発生源説
 日本中が新型コロナウイルスに翻弄されている。この影響で、毎年日本で約一万人が亡くなるインフルエンザが、一月上旬になっても流行の気配を見せていない。そもそも医師会は無責任だ。医療が逼迫しているので国民に頑張れと言う割には、自分達はコロナ感染者の受け入れなどほとんど行っていない。受け入れているのは公立病院や大学病院のような準公立病院ばかりだ。看護師不足とも言われているが、ボーナスは別に月給五十万程度で募集すれば応募者が来るだろう。
 アパホテルが新型コロナウイルス感染症の軽症者および無症状者の受け入れを快諾したことで、一気に業界に広がったホテルの一棟貸しだが、新型コロナ対策の特措法の改正によって、ホテルの位置付けもしっかりと定まり、また外出禁止等収容者の行動抑制にも根拠が定められる予定だ。アパホテルではオープンしたばかりのアパホテル&リゾート〈両国駅タワー〉(一一一一室)や日本最大級二三一一室のアパホテル&リゾート〈横浜ベイタワー〉を提供したが、関係者に非常に喜ばれた。百室のホテルを二十棟管理する方が、二千室のホテル一棟を管理するよりも大変だからだ。
 日本にやってきている技能実習生の集団感染も出ている。労働環境と居住環境が劣悪な場合には、グループ全員が感染してしまう。このようなことがないよう当局は監視すべきだし、クラスターが発生した場合の収容や食事等の対応もしっかり整備すべきだ。
 中国は武漢が新型コロナウイルスの発生源であることを認めていない。しかし昨年十二月に中国の公衆衛生当局が公表した、四月に行われた武漢市民三万四千人に対する血清検査によると、約四・四%の人が新型コロナに対する抗体を持っていた。これは過去に感染していたことを示している。武漢市の人口一千百万人の四・四%といえば五十万人となり、この数字は保健当局が報告していた五万件のほぼ十倍だ。また中国の武漢周辺の地域での抗体保有率は一%を切っている。このことは、武漢からウイルスが広がったことを明確に示しているのではないか。
日本の神道と同様に
万物を神とするハイチ
 人の動きを止めると観光客がいなくなり、ホテルの宿泊客もいなくなる。二〇一九年には三千万人を超えていた訪日外国人旅行者だが、二〇二〇年は四百六万人と激減した。人が動くことが世界経済の前提なのだが、それが成り立たなくなっている。日本有数の航空会社のトップは、「何が何でも生き残る」という意欲を示している。航空機や宿泊施設、その他観光関連の企業のトップは、こんな気概を持ってコロナを乗り越えていくべきだ。
 世界的に新型コロナの感染が一向に止まる気配を見せない。今回のウイルスの致死率はさほど高くはないのでまだ良かったが、これが一〇%に近いものだと、世界中がパニックに陥っただろう。そしてアジアとヨーロッパとの感染者数、死亡者数が数十倍も異なるのも奇妙だ。新型コロナにはまだまだ不明な点が数多く存在している。二十世紀初頭のスペイン風邪をはじめとして、昔から数十年に一回はこのようなパンデミックが起こっていたが、抗生物質もワクチンもない頃には、被害はもっと甚大だった。
 大阪にある家電スタートアップのカルテック株式会社の、光触媒によって新型コロナウイルスを不活化する技術が注目されている。社長の染井潤一氏はシャープ出身だ。長年デバイス開発を手掛けていた染井氏が着目していた光触媒技術だが、シャープの親会社となった鴻海精密工業は研究の中止を通告してきた。それではと独立して始めたのがカルテックだ。
 カリブ海に浮かぶイスパニョーラ島をドミニカ共和国と分け合う美しい国・ハイチ。テニスの大坂なおみ選手の父親の母国として、日本でも近年知られるようになった。国土の面積は北海道の三分の一程度で人口は約千百万人、国民の九五%がアフリカ系の国だ。一七世紀にフランス領となるが一八〇四年にラテンアメリカで最初に独立、世界で最初の植民地から独立した黒人主導国家となった。公用語はフランス語とハイチの言葉であるクレオール語になる。キリスト教の他に、古くから伝わるブードゥー教が信仰されている。この宗教は日本の神道に良く似ていて、山、海、川、太陽、月、星等、自然の全てを神と見做すものだ。またブードゥー教の信者は祖先の精神を尊重、「家族の再会の休日」には祖先の墓を掃除し、死んだ人々を称えて家族で過ごす習慣がある。食事には米を食べるが、主食は米だけではなくコーンミールや粟、小麦も食べる。魚も良く食べるが生では食べない。
個性を出して当選するには
参議院比例区しかない
 衆議院議員選挙の小選挙区制では、どんなに優秀な議員候補でも同一選挙区に有力なライバルがいれば、落選する可能性が常に存在する。中選挙区なら二〜三〇%の得票率でも当選できるのでユニークな議員も誕生しやすいが、小選挙区では五〇%近い得票率が必要なため、減点主義に陥り、政治家が小さくなる。選挙区も市会議員並みに狭く、東京では都議会議員よりも狭い小選挙区がある。また公認を得るために党に従っていなければならない。小選挙区でビッグプロジェクトが減った。カジノでもそうだが、ビッグプロジェクトを打ち上げると必ず反対派が出てきて、反対派が出ると小選挙区では勝てなくなるからだ。ほどほどに働いて六期当選を果たし大臣に…という議員ばかりだ。自分の個性で当選できるのは、今や参議院の比例区しかないだろう。
 香港の状況に対して日本が抗議声明を出したとしても、中国が言うことを聞くわけがない。彼らにとって国際世論や経済的な損得勘定は関係なく、一党独裁の維持だけが行動の動機だからだ。明らかに香港の経済力を広州側に取り込もうとしている。そろそろ日本は、香港から国際金融都市としてのステイタスを取り戻す時期だ。実際、まともな企業は徐々に香港から撤退している。
 東映グループの会長だった岡田裕介氏が、昨年十一月に七十一歳で急逝した。最期に手掛けていたのは、吉永小百合主演でこの五月に公開される映画「いのちの停車場」だ。岡田氏の死因は急性大動脈解離だ。これはストレスが原因とも言われる。東映社長の岡田茂氏の長男だった岡田氏は、慶應義塾大学在学時に俳優活動を開始、映画「赤頭巾ちゃん気をつけて」で注目を集め、その後テレビドラマ「江戸川乱歩シリーズ 明智小五郎」の小林青年役等数々の出演作がある。東映入社後は吉永小百合主演作品を中心に多くの映画をプロデュースした。アパグループも一九九〇年頃、節税のためにハリウッド映画に投資をしたことがある。映画への投資は航空機等よりも償却が早く、有利な面がある。脱税はもちろん駄目だが、できる節税を行わないようでは経営者失格だ。
安倍氏は三選を目指すべきだ
 一月六日にトランプ大統領支持者が連邦議会議事堂を占拠、警察官一名を含む五名が死亡する結果となった。民主化途上の国ではなく、世界の民主主義のお手本と思われていたアメリカでのこの事件は、世界中に大きなショックを与えた。死者が出たのは暴徒も警備も双方が武装していたからだろう。アメリカでは自らを武器で守るのは正当な行為であり、停止を命じられていたのにも
かかわらず他人の敷地に三歩以上入ったら、撃ち殺されてもやむを得ない。正当防衛で相手は罪を免れる。親は息子や娘に拳銃を撃つ時は小さい頭を狙わずに、大きな胴体を狙えと指導している。武装したトランプ支持者が徘徊していることを考えると、今次期大統領のバイデン氏には最大限に厳重な警備が付いているだろう。緩やかに政権移行を行って、四年後の再選の芽を残そうとしていたトランプ大統領だが、議会議事堂占拠を扇動したと糾弾されている。
 再選の可能性が無くなると、多額の借金の返済を求められてトランプ大統領は早晩破産するのではないか。大富豪と呼ばれているが、資産はあまり持っていない。そこで早晩撤退戦を行い再選を目指すだろう。世界ではホテル等の不動産の所有、運営、ブランドをそれぞれ別の企業が担っていることが普通だ。それぞれが一〇%ずつ利益を確保して、事業全体では三〇%の利益率ということが多いだろう。しかしアパホテルは自社で保有している物件を自ら運営し、ブランドも自前だ。そのためアパグループはホテルだけだと三〇%程度、マンション等の事業を合わせて二六%の利益率を誇っている。アパホテルは新規ホテルの設計・建設・開業を続けているが、これらにより雇用も需要も創造されている。誰かが投資を続けないと景気は良くならない。そしてこの局面を乗り切れば、一気に総取りのチャンスが巡ってくるはずだ。
 安倍前首相は二〇一九年十月段階で「最後の人事」とつぶやいていた。任期より一年早く、東京オリンピックが終わったら辞任、岸田氏にバトンタッチするつもりだったのだろう。その後コロナの流行でいろいろと歯車が狂ってきたが、病気を理由に結局目論見通りの任期一年前に辞任した。新しい薬が効いた安倍氏はすっかり健康を取り戻しており、年齢もまだ若いのだからもう一度首相の座に返り咲くべきだ。病気と付き合いながらあれだけの成果を上げたと、安倍氏の精神力を評価する人も多い。安倍氏は三選を目指すべきだが、幹部の定年延長問題の法改正案で安倍氏に恨みを持つ検察とマスメディアが、桜を見る会の前夜祭を蒸し返して、安倍氏再登板の芽を潰そうとしている。しかし誰ともきちんとディベートができ、世界の首脳らとも対等に話ができる日本の政治家は安倍晋三しかいないだろう。