日本を語るワインの会205

ワイン205二〇二○年六月十二日、代表邸で恒例「日本を語るワインの会」が行われました。前環境大臣の衆議院議員の原田義昭氏、国鉄からJR九州を経て政界入りをした衆議院議員の今村雅弘氏、二〇一八年の第十一回「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀藤誠志賞を獲得した文明工学研究家の草間洋一氏、「顔の見える電力」の普及を目指すみんな電力株式会社代表取締役の大石英司氏をお招きし、新型コロナウイルス対策から経済動向、そして日本酒の酒蔵の話まで、多彩な話題に花が咲きました。
トランプ再選に危険信号
この半年で挽回を望む
 新型コロナウイルスの騒動に世界中の人々が巻き込まれ、三カ月が過ぎた。これだけ世界中の人々を巻き込むのは第三次世界大戦として始まった核戦争だけかと思っていたら、このようなウイルスの感染ということもあり得るのかと多くの人が驚いただろう。近年を振り返っても、十年おきに感染症の流行が発生している。政治家もアフターコロナ、ウィズコロナを考えていく必要があるだろう。この四月の訪日外国人は二千九百人と昨年の千分の一になった。新幹線も飛行機も軒並み乗車率は九九%ダウン。移動を制限されると、経済はどうにもならない。とはいえ、ブラジルのボロソナロ大統領のように「あらゆる人は死ぬ宿命」と経済のみを重視した政策を主張するのも問題だ。中国は感染を抑え込んだとしているが、かなり過小に死者数を発表している可能性が大きい。
 日本はGDPの成長やIT産業への注力に関して、隣国と比べて準備が足りない。人口減少だからと諦めるのではなく、人口対策も行いつつも経済の成長、生産性の向上をもっと真剣に考えるべきだ。この過程で考え直す必要があるのが、平等教育だ。これからは平等教育ではなく、突出した才能のある人には特別な道を与えるエリート教育を行うべきだ。また日本には国力、つまり経済力と軍事力が必要だ。そして世界の多くの国とアライアンスを組む。どんなに小さな国でも国際機関では一票を持つ。そうすることで、中国と対峙していく必要がある。しかし日本はこの二十年間経済成長をしてこなかった。これは自民党も民主党も含めた、この期間のリーダーに責任がある。
 アメリカのトランプ大統領には再選して欲しいが、危険信号が灯ってきた。黒人死亡事件を発端とした抗議デモの対応に米軍を配備するというトランプ大統領の考えに、ミリー統合参謀本部議長やエスパー国防長官が大反対をしている。何事も強気の発言をすれば済むとこれまでやってきたトランプ大統領だが、新型コロナに続くこの黒人死亡問題では政治経験、行政経験のなさがストレートに露呈してしまっている。民主党の大統領候補であるバイデン氏は新型コロナの影響でろくに選挙活動もできていないが、それでも六月のCNNの調査では支持率でトランプ大統領を一〇ポイント以上リードしている状況だ。対中国を考えれば、日本にとってはトランプ大統領があと半年で挽回することを願うしかない。
今、世界中で中国に対する損害賠償請求の訴訟が起きている

 みんな電力株式会社が手掛けているのは「顔の見える電力」を提供するサービス。みんな電力では日本各地の大小様々な自然エネルギーの発電所と契約、個人や法人の契約者が支払う電気料金のうちから、明確にわかる形で契約発電所に支払われる。また故郷にある発電所等好きな発電所に毎月百円の応援金を送ることも可能だ。二〇一六年の電力の小売自由化によって多くの独立系の電力会社が参入してきたが、そんな電力ベンチャーの中でもみんな電力は頭一つ飛び抜けている。自然エネルギーの中でも有望なのが、洋上で行われている風力発電だ。洋上の場合、海底に固定する着床式よりも海上に浮かべる浮体式の方が日本では上手くいっている。日本初の洋上風力発電は、二〇一六年長崎県の五島列島に作られたもので、これも浮体式だ。日本の電力は高額過ぎる。アメリカとは数倍、韓国とでも二倍前後違いがある。三年おきに通産省が作成するエネルギー基本計画でも、エネルギーの安定供給は強く訴えられているが、値段のことには触れられてこなかった。経済団体等から強い要望があり、昨年作成されたエネルギー基本計画には電力価格の件が盛り込まれた。みんな電力がこの三月に開始したサービス「みんなエアー」は、空気中の浮遊菌対策のコンサルティング事業だ。例えばTBSラジオの場合、スタジオ壁面に紫外線で空気を殺菌する装置を設置。その効果を測定した結果から次の施策を提案していくというものだ。
 新型コロナウイルスは天災のように言われているが、その発生源である中国の責任は免れない。今、世界中で中国に対する損害賠償請求の訴訟が起きている。このような状況で、習近平国家主席を国賓として日本に迎え、天皇陛下に会わせることなどできるわけがない。習近平主席の来日は延期となっているが、これは中止にしなければならない。
 戦国武将の上杉謙信は戦いの前に部下に最高の食事を振る舞ったとして知られる。その末裔として米沢藩九代藩主となった上杉鷹山は、藩政を立て直した中興の祖だ。一九六一年に四十三歳でアメリカ大統領に就任したジョン・F・ケネディが最も尊敬する日本の政治家として挙げたのが、この上杉鷹山だった。当時のアメリカに駐在していた日本の新聞記者はこの鷹山を知らず、急いで国際電話で日本の本社に確認をしたという。
成功したJR九州の養鶏事業
頑張る日本酒の酒蔵が多い
 JR九州が二〇一一年から手掛けているのが、卵を生産するための養鶏事業だ。バブル崩壊直後にオープンしたJR内野カントリークラブだが、当初予定していた三コース二十七ホールから二コース十八ホールに計画を縮小したために広大な遊休地が生じていた。ここに近代的な鶏舎六棟が建てられ、美味しいと評判の卵を生産していた富山県の養鶏業者の指導を受けて健康的に鶏を飼育、「うちのたまご」というブランドで売出して大成功を収めた。羽田空港にもこの卵を使った卵かけご飯や親子丼を提供する店を出店している。
 新潟県の今代司酒造に「錦鯉」という日本酒がある。ボトル自体が錦鯉のようなデザインで美しく、味も良い。福井県の名物珍味が、かゞみやの「汐うに」。福井産等のうにを加工したもので、ご飯にも日本酒にも合う。福井県の銘酒でまず思い浮かぶのは、黒龍酒造の熟成純米大吟醸「黒龍 石田屋」だ。四合瓶で一万円のこのお酒は、例え地元の名士でも手に入れるのに三年待ちだという。福井県鯖江市にある合資会社加藤吉平商店は「梵(ぼん)」という酒で知られるが、特にその中でも純米大吟醸の「梵・超吟」は精米歩合二〇%で素晴らしい味。これも四合瓶で一万円の銘酒だ。岩手県の南部美人も美味しい日本酒を醸す蔵だが、今回の新型コロナウイルス感染拡大に際して、アルコール度数七七%と六五%の消毒液の製造・販売を開始。無症状・軽症の感染者を受け入れているアパホテルに、消毒液百本を寄贈した。日本酒業界も新型コロナウイルス騒動で飲食店の日本酒ニーズが激減したことで、どこも苦境に立たされている。そんな中での南部美人の決断は素晴らしい。全国に大小の酒蔵があるが、若い経営者に一本筋の通った尊敬できる人が多い。
先を見越したキャンペーン
アプリのダウンロードも増
 五月十日から六月三十日まで、アパホテルでは「新型コロナウイルスに負けるなキャンペーン」を行い、アパ直(公式サイト、アパアプリ)からの予約だと、最安で一泊二千五百円(税サ込)で宿泊できるようにした。このキャンペーンによって低迷していた稼働率は七〇〜八〇%に上昇した。二千五百円という金額は、短期的には利益はほぼないものの、アパホテルはクオリティに絶対の自信があるため、一度宿泊したお客様は将来必ず再度宿泊してくれると考えており、キャンペーンは先を見越したものとなっている。またスマートフォン向けのアパホテルのアプリのダウンロードがこのキャンペーンで飛躍的に増加し、Google等のランキングに入るようになった。これも将来に向けた大きな財産になるはずだ。アパホテルは部屋の照明が事務所並の明るさであり、ベッドも広く書類等を広げやすいため、テレワークのスペースとしても人気だ。部屋単位で接続するWi‐Fiも繋がりやすい。
 アパ社長カレーも売れ行きが好調で、ついに六百万食を達成した。味はもちろん、税込三百九十円という価格設定も良いのか、ホテルのフロントで家族へのお土産として購入する人も多い。郵便局でも販売している。このカレーが好評であることも、アパホテルの宣伝に一役買っている。某ビジネス情報誌が作成したカレーランキングでは、値段が遥かに高い某老舗ホテルのカレーよりも高い評価を得た。
 アパホテルはこれからも四十以上の新築ホテルをオープンしていく予定だが、開業計画に一切変更はない。東京のアパホテルは現在設計・建築中を含めて七十七棟で、駅から三分以内の好立地のものばかりだ。東京でこれだけのホテルを展開している企業はない。某経済誌によるとアパグループの総資産は一兆三千億円に上る。借入金の三千億円を引いても、純資産として一兆円は残る計算だ。二〇〇七年、姉歯氏による耐震強度偽装事件の煽りで、アパホテルにも耐震強度偽装疑惑が発生した。この影響で金融機関からの返済を迫られ、一部の資産を売却したが、時はファンドバブルの真っ盛りでかなりの高値で売り抜けることができ、借入金を一掃した上にキャッシュも潤沢に抱えることになった。そして翌年の二〇〇八年にリーマン・ショックが起こり、地価が大幅に下落、その東京の土地を豊富なキャッシュで買い占めた。その土地を利用して二〇一〇年から東京都心に集中的にホテル・マンションを建設する頂上戦略を実施したことが、今のアパの躍進に繋がっている。
 代表はこれまで政治献金を一切したことがなく、親しくしている多くの政治家とは、その考え方で連帯している。これが耐震強度偽装疑惑の時に功を奏した。もし少しでも政治家への金の流れがこの時明らかになっていれば、それをメディアが報道、東京地検特捜部が国策捜査を行うことで、第二のリクルート事件にでっち上げられていたかもしれない。