世界経済が沈滞化している
世界がこれほどの規模の感染症の拡散に晒されることは、久しくなかった。米国メディアが、中国人民解放軍の細菌兵器開発に関わっている武漢の国立病原体研究機関から流出した人工的ウイルスが発生源では、との説を発表している。
新型コロナウイルス(COVID‐一九)の感染力はかなり強いが、致死率はさほど高くはない。この稿を執筆している三月六日段階の日本での感染者の数は三六〇名で、死者は六名だが、死者の多くは既往症のある高齢者である。日本の多くのメディアはこの感染者数にダイヤモンド・プリンセス号の六九六名を足して、千人を超えたと騒いでいるが、本来クルーズ船の感染者数は船籍国のイギリスか、運航国のアメリカにカウントすべきだろう。しかしアメリカもイギリスも何も言わない。WHO(世界保健機構)やアメリカのジョンズ・ホプキンス大学の統計では、ダイヤモンド・プリンセス号は国とは別枠でカウントされている。
インフルエンザで毎年、日本では約三千人、アメリカでは約一万二千人が亡くなっている。これと比べれば、コロナウイルスで三月六日段階で亡くなった人は世界全体で合わせて三三八三名で、そのほとんどは医療も衛生状態もさほど良くない中国の武漢でのことで、日本では風邪の一種ともいえる程度で、それ程恐れる必要がある感染症とは思えない。しかし、その報道の影響は甚大で、毎日、新聞やテレビで繰り返し、あらゆるイベントやコンサート、パーティーから、観光や出張まで自粛するように報じている。この風評被害は甚大である。
ニューズウィークの三月一〇日号には、「世界が想定すべき最悪のシナリオ」という見出しで、次のような記事が掲載されている。「世界的に感染が拡大している今、中国が既に直面し、これから世界の他の国々も経験するだろう問題にはどのようなものがあるだろうか」「一つ目は封鎖社会だ。中国政府は七億人以上の移動を制限し、このうち一億五○○○万人に自宅待機を命じた。しかし経済が崩壊しかねない状況となり、現在は措置を緩和して人々を仕事に復帰させようとしているが、当局も社会も混乱している」「湖北省武漢市では封鎖の緩和が発表されてから、わずか三時間後に撤回された。北京や上海の街頭も、今なお閑散としている。小規模の企業は破綻寸前で、各業界の売り上げは大幅に落ち込んでいる。中国の港を出る貨物船はほとんど空っぽだ」「外国企業も、既にサプライチェーンの混乱に直面している。二月二四日の世界的な株安は感染拡大のリスクを完全には織り込んでいない可能性があり、さらなる下落の恐れもある」「中国では春節(旧正月)の直前に感染拡大が始まり、多くの人が帰省したまま職場に復帰できなくなったことで、経済への打撃は深刻化した。企業や工場の閉鎖はしばらく続く可能性が高い。理論上は自宅などからのリモートワークである程度補えるはずだが、システム導入や通信インフラが追い付いていない」「このような事態が、これから世界を待ち受けているのだ。とはいえ、民主主義国では、中国のように国内の経済活動に対する強権的な制限はできないかもしれない」。
日本の感染拡大は止まる
確かに共産党一党独裁の中国だからこそ、人口約一千百万人の武漢市を封鎖して、市外に出ることも市内に入ることも禁止できたのだろう。住民は外出を禁止、もしくは数日に一回の外出が許可されている。商店はほとんど閉鎖しているので、食料はネットスーパーで購入するか、一部開いている店舗の小さな出し入れ口で購入するしかない。当局がドローンによってマスクを付けていない人を見つけて注意したり、麻雀をしている人の麻雀卓を破壊して人が集まらないようにしたりする等、強圧的な感染対策を行う映像が公開されている。一党独裁国ならではの強権的な対応によって、中国での感染拡大の勢いは衰えてきた。二月下旬になって、新規感染者の数を回復者が上回ってきているからだ。一時期、中国政府は日本からの旅行者の入国制限を「研究している」とも述べて、感染者数も死者数も桁違いに多い韓国と同じ扱いにするような意図が感じられた。
民主主義国家である日本では、中国のような強権的な感染封じ込め策を採用することは難しい。その分、国民それぞれが自己防衛のために手洗いやマスクの着用を必要に応じてきちんと行い、これ以上の感染者や死者がでないようにしていくべきだ。
安倍首相は二月二十九日に小学校、中学校、高校の一斉休校を要請した。野党は首相の決断を一斉に批判したが、私はこれを支持する。安倍首相の意図としては一斉休校を打ち出すことで、国民の緊張感と危機感を高めて、一気に感染拡大を止める方向に持っていこうとしたのだろう。時間が経過すれば結果ははっきりすると思うが、他の首相であればさらに感染は拡大していたと私は考える。自らの政治責任で思い切った要請を出すことができるのは、やはり安倍首相しかいないだろう。
情報省創設で対抗を
この先、日本経済が相当厳しい状況を迎えることは容易に想像がつく。新型コロナウイルスの感染は接触感染と飛沫感染が主であり、日本での感染者はまだ少ないが、特に今問題なのは、メディアによる風評被害だ。新型コロナウイルスに関しても感染者や死者の絶対数だけではなく、人口から考えた感染率や死亡率も勘案するべきだ。他国と比較すれば明らかなように、日本の死者数の人口比は韓国やイタリアと比べても多くない。また毎年のインフルエンザと比べれば、死者数は数百分の一と格段に少ない。メディアは科学的根拠と統計学的確率計算に基づく報道をするべきであって、実際の被害の何倍もの影響が、メディアによる風評によって生まれている。しかしこの結果、インフルエンザや風邪で亡くなる人は今年は激減したという説もある。またこの報道の過激さが他の国に大きな不安感を与えて、日本からの入国制限を行う国が増えてきている。この謂れなき批判は実際にはなかった南京大虐殺への批判と同じだ。
一九三七年十二月に日本軍は南京を攻略して入城した。その際に三十万人もの民間人を虐殺したと中国側は主張するのだが、戦闘が終わって占領した街の住民を軍規厳しい日本軍が無意味に殺戮するわけがない。その一つの証拠として、直後の正月に中国の子どもが爆竹を鳴らして遊んでいる横を日本の兵隊が鉄砲を担いで通り過ぎるフィルム映像が残っている。そんな大殺戮が行われていれば、子どもは爆竹を鳴らして遊んでいるはずがないし、もし日本兵が来れば、散らかって逃げるはずである。日本兵がそのようなことで非武装の民間人を一人でも殺せば、確実に軍法会議で厳しく裁かれることになる。にもかかわらず、二〇一〇年に報告書が出された、北岡伸一氏が日本側座長を務めた日中歴史共同研究で、「日本軍は南京で一人も非武装の民間人を殺戮していない」と主張すべきところを、追い詰められたのか、南京で捕虜、敗残兵、便衣兵に一部の市民の虐殺があったと認めてしまい、「日本側の研究では二十万人を上限として、四万人、二万人など様々な推計がなされている」と非常に曖昧な結論を出してしまった。そんなこともあって、二〇一七年に中国の外務大臣などを始めとした中国政府は、私が「南京で一般市民の大虐殺はなかった」としたアパホテルの部屋に置いている書籍に対して、「日本政府が認める南京大虐殺を否定している書籍を撤去せよ」と批判してきた。これも日中歴史共同研究が誤った結論を出していたからであり、あの研究で日本側は「非武装の民間人の虐殺は一切なかった」と主張するべきだったのだ。
吉田清治の偽作が原因
また、吉田清治は一九八三年に朝鮮半島で女性を強制連行して慰安婦にしたという、事実とは全く異なる本を出版、その年に韓国に行き、勇気ある書を執筆したと称賛を受けていた。この偽作が原因で、日本の慰安婦に関する糾弾がなされて、ソウルをはじめ世界中に慰安婦像が建てられている。これも日本が謂れなき非難を受けている例だ。二〇一五年に日韓で慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決を確認」した合意を結び、日本政府は韓国政府が設立した財団に十億円を拠出したが、慰安婦像の撤去等、合意の内容は実行されず、二〇一九年に財団も解散。その後、日韓での慰安婦問題は再び蒸し返されている。
南京にある南京大虐殺記念館の建設資金は日本の総評が出したとも言われている。正に反日、自虐日本人がいるのだ。そういう人達の息が掛かった左翼メディアが、今回の新型コロナウイルスに関しても日本を辱める報道を続けている。海外メディアの尻馬に乗って、日本のメディアも厚生労働省のダイヤモンド・プリンセス号の対応を批判しているが、本来であれば船の中の出来事は運航国であるアメリカが処理すべきことであり、日本としては横浜港に寄港させなければ、全く関係のない話だった。また外国船籍であることから船長と船会社の意向も重視しながら、閉鎖空間である船内の検疫を行うというのは人類史上経験のない、非常にハードルの高いオペレーションだったことも、徐々に公表されてきている。このクルーズ船での不手際を根拠にした他国からの批判は、非常に不条理なことだ。この騒動を奇貨として、私が予てから提唱していた情報省を、外務省とは別の機関として創設し、年間予算三千億円、職員三千人で世界中のメディアをチェック、間違った報道や、謂れなき批判・報道が行われれば、二十四時間以内にその国の言葉と英語で反論を行うべきであると主張してきた。そのメディアが訂正を行わないのであれば、行うまで何度も徹底的に反論を行う。これが誇れる祖国・日本の再興には必須ではないだろうか。
普段通りの生活を
私は石川護国神社にある大東亜聖戦大碑護持会の最高顧問を務めているが、先の大戦は正に聖戦だった。ドイツがヨーロッパを席巻して陥落寸前のイギリスをアメリカが救済するために、「ヨーロッパの戦争には参戦しない」と公約して大統領に当選したルーズベルトが、日独伊三国同盟の締結を機に、日本を追い込み暴発させるために、ABCD包囲網でヨーロッパの戦争に参戦する口実を作るために日本を追い込んだ。その一環としてアメリカが対日「経済封鎖」として石油の対日全面禁輸を行ったために、日本は開戦のやむなきに至ったもので、先の大戦は日本がアジア諸国を侵略するために始めたのではなく、西欧列強が侵略して植民地化していたアジア諸国を開放、独立に導くものであった。日本がこの戦いを始めた時には世界は白人・キリスト教徒のものと言っても良い状況で、アジアやアフリカで独立していた国は、日本の他には英・仏の緩衝国として独立を保っていたタイとエチオピアぐらいだった。それが今日全ての国が独立国家になったのは、先の戦争で負けたとはいえ、日本が西洋列強と戦った成果だ。この日本の功績に疑いを持つ人も多いが、そもそも日本政府は一九一九年、第一次世界大戦後のパリ講和会議の国際連盟委員会において、国際連盟規約の中に人種差別撤廃を明記すべきだと提案していたのだ。委員会では賛成多数を得たが、議長であるアメリカのウッドロウ・ウィルソン大統領が全会一致ではないため不成立と宣言、提案は否決された。この事実は、日本の歴史教科書には記載されていない。教育が間違っていて、テレビや新聞等メディアも間違った報道をするから、多くの日本人が日本は間違ったことをした戦犯国家だと思っている。だから海外に行って、国の歴史を自信と誇りを持って語ることができないのだ。多くの人が真実を知り、日本の歴史に誇りを持つようにしなければならない。
今回の新型コロナウイルスは新しい感染症の一つであり、対処する薬品やワクチンの開発ができれば自然に収束する可能性が高いが、あと四~五か月は続く可能性が高い。
しかし、感染者と一緒に屋内にいれば感染のリスクがあるが、屋外で接触しなければさほど心配はない。手洗い等をしっかりと行いながらも過激な自粛は行わず、できる限り普段どおりの生活を行うべきだ。一方、この新型コロナウイルス騒動の余波として、インフルエンザの感染者も死亡者も減ったが、今後日本でも世界でも風評被害による深刻な経済危機が予想される。今年はオリンピックイヤーであり、良い年になると期待していたが、中国発の新型コロナウイルスによって大変な状況に陥った。しかし東京オリンピックはこれに挫けずに、たとえ延期することになったとしても、ぜひ開催すべきである。
2020年3月14日(土) 10時00分校了