参院選前に改憲の発議を
本誌Apple Townの先月号、社会時評エッセイの「参議院選挙の前に改憲の発議を行うべき」との小見出しで始まる段落において、私は以下のように書いた。「今年の参議院選挙は七月二十一日の投開票が有力だと言われているが、私は早急に自民党改憲案をまとめ、この参議院選挙を衆参同日選挙とすべきだと考えている。」
まず、六月二十六日に会期末を迎える通常国会を、改選期の参議院議員の任期ぎりぎりである七月二十八日まで大幅に延長する。そうすれば、八月二十五日まで参議院選挙を先送りすることができる。
そして衆参ともに改憲勢力が三分の二を占める今の国会で、改憲の発議を行う。その上で七月下旬に衆議院を解散して八月十三日に公示すれば、八月二十五日に衆参同日選挙を行うことができる。「この選挙に先立って、自民党は公認選びに際して小泉政権の郵政民営化選挙と同様、各議員に自民党改憲案を支持するかしないかを問い、支持しない議員は、その他の点では公認とすべき候補であっても公認とはせず、刺客を立てるというスタンス」で臨むべきだ。そうして改憲発議の後、万が一選挙の結果、自民党改憲案を支持する議員が三分の二を割ったとしても、その前に行った発議は有効である。同日選挙の後、十月に予定している消費税の増税を延期すべきとの意見もあるが、三度の延期では安倍政権の信頼が揺らぐ。消費税対策補助金として、年間所得五〇〇万円以下の人にその所得の全てを消費税課税となる増税分の二%である十万円を現金で支給するなどで、惜しみなく使ってでも、景気の落ち込みを抑えて、増税を実行しなければならない。
七月下旬の発議から半年以内の、一月下旬に行われるであろう、憲法改正の国民投票に向けて一大国民運動を起こし、過半数以上の支持を得て、改憲を実現させなければならない。このタイミングで改憲を行わないと、この後には改憲のチャンスは二度とない。
こう書いたことには根拠がある。今回の改憲は主に自衛隊を憲法に明記するだけであるが、東京新聞の今年一月一日朝刊の「こう動く二〇一九日本」という記事の中に、「参院の改憲勢力は自民、公明両党のほか、改憲を掲げる日本維新の会と希望の党の四党、さらに改憲に前向きな無所属議員四人と判断した。四人のうち三人は改選を迎える。非改選は藤末健三氏。一六年参院選の比例代表に民進党(当時)から立候補して当選したがその後、自民党会派に入ったため、改憲勢力に含めた。改憲勢力は計百六十六議席になる。」「参院選は三年に一度、半数が改選される。改憲勢力の改選議席は八十九で、非改選議席は七十七。三分の二を維持するには、今回改選される百二十四議席のうち、八十七議席を獲得しなければならない。三年前の参院選で、改憲勢力の獲得議席は七十七にとどまり、改選議席の三分の二に届かなかった。」とある。
つまり前回の参院選では改選議席の六二%の七十七議席しか獲得することができなかった改憲勢力が、今回の参院選では八十七議席・七一%を獲得しなければ、三分の二を維持できないということだ。ほとんど全てのメディアが改憲阻止の無視戦略をとり話題としない現下の情勢では、現行憲法改正条項に基づく改憲は、今回の参院選後において、改憲勢力の三分の二確保は不可能であり、現有議席での改憲の発議が必須となる。
日本が真っ当な独立国家となるためには、自衛隊を憲法に明記するだけの改憲ではダメで、憲法第九条の改正が必要であるが、安倍政権の任期も残すところ二年と数カ月しかなく、第二回目の改憲を成し遂げるには、自民党の党則を改正して、総裁任期を四回までとする必要がある。その為にも衆参同日選挙で圧勝しなければならない。だから先月の本稿であのように書いたのだ。
ぜひ靖國参拝をして欲しい
トランプ大統領夫妻は五月二十五日、令和初の国賓として来日する。これを機会に是非靖國神社へ参拝して欲しいとネットを賑わせている。私も是非参拝して欲しいと思う。そうすれば一段と日米同盟が強化されることとなり、これまで靖國参拝を非難してきた中国や韓国は沈黙するだろう。
日本を取り巻くロシアも中国も北朝鮮も、弾道ミサイルを持つ核保有国となり、東アジアの軍事的緊張感は増す一方だ。ロシアも中国も軍事力を増強し、北朝鮮は核弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイルを開発している。日米安保の下、日本はアメリカの核の傘を信じてきたが、北朝鮮がアメリカ本土に届く大陸間弾道ミサイルを開発した今、状況は変わった。日本が核攻撃を受けた場合、アメリカが本土を攻撃されるリスクを冒してまで、核で反撃することはあり得ない。日本は一刻も早く、憲法を改正して、戦争抑止の為、攻撃用兵器としての最先端科学兵器を開発保有し、独自の軍事力を増強すると同時に、国会決議である非核三原則の廃止決議をして、アメリカとニュークリア・シェアリング協定を結び、有事の際、日本が核兵器の使用権限を得られるようにして核抑止力としなければならない。
親台・親米をアピール
筑波大学名誉教授である遠藤誉氏の手による五月五日付けの「トランプ大統領と会談した郭台銘・次期台湾総統候補の狙い」という記事が、YAHOO!ニュースなど様々なネットメディアに掲載されていた。これは二〇二〇年の台湾総統選挙への出馬を表明した鴻海の郭台銘会長の話だ。「五月一日、ホンハイの郭台銘会長はホワイトハウスでトランプ大統領と会談した。会談中、郭氏は米国国旗と、北京が認めない『中華民国』の国旗を付けた青い帽子をかぶっていた。その狙いは何か?」「【中華民国とアメリカの国旗を付けた帽子の意味】世界最大のハイテク製品受託生産企業である台湾の鴻海精密工業(以下、ホンハイ)の郭台銘(Guo‐TaiMing)会長が、五月一日、トランプ大統領と会談した。彼はホワイトハウスに入る際に、青い地色に『中華民国』の国旗とアメリカの国旗をあしらった野球帽をかぶっていた。郭氏は四月一七日に、国民党から来年の総統選に立候補すると宣言している。一方、『中華民国』という国家が存在することを中国(中華人民共和国)は認めていない。一九七一年七月九日、ニクソン政権時代のキッシンジャー大統領補佐官が忍者外交により訪中し、『一つの中国』を取り付けてから、中国は『中華人民共和国を唯一の中国を代表する国家』と米国に認めさせた上で、同年の一〇月二五日、国連に加盟した。この日、アメリカの裏切りに激怒した『中華民国』代表の蒋介石総統は国連を脱退。かくして中国、中華人民共和国=北京政府の天下となったのである。アメリカのお墨付きを手にした中国は一気呵成に『一つの中国』を旗印として、世界中の多くの国と『一つの中国』を条件に国交を結び、絶対に『中華民国』という『国家』の存在を認めさせていない。その中国の習近平国家主席や李克強首相とも仲睦まじい郭氏は、親中的傾向が強すぎるとして、台湾での人気が今一つだ。そこで、頭に禁断の『中華民国』の国旗『青天白日満地紅旗』を掲げ、それをアメリカ国旗と並べることによって、『親中ではなく、親米であり、アメリカと仲良くやっていくのだ』ということを台湾国民およびアメリカにアピールしようとしたものと解釈できる」。
日本にも大きく影響する
「メディアによると、トランプ大統領との会見後、郭氏は以下のように記者団に語っている。
●トランプ大統領との会談の間、私は最初から最後まで、『中華民国』の国旗を付けたこの帽子をかぶっていた。それによって『中華民国』の存在と尊厳をアピールした。
●もし私が中華民国総統に当選したら、中華民国総統としてホワイトハウスでトランプと会談することだろう。もし、それが出来なかったら、私は能力のない人間だということになる。少なくともアメリカは私の訪米を反対しないだろう。反対するのは北京だ。北京は私に(台湾に)、それだけの活動できる空間を与えるべきだ。
●もし北京が台湾に、いかなる国際組織にも参加させないようなことをしたら、台湾の如何なる指導者も、北京から益々遠ざかることになるだろう。
●私はトランプ大統領との面談の全過程においてこの帽子をかぶっていただけでなく、トランプ大統領に同じ帽子をプレゼントした。
●するとトランプ大統領は、そこにあったコースターにサインをして私にプレゼントしただけでなく、サインをしたペンを私にプレゼントしてくれた。
●中華民国の国旗を飾った帽子をかぶってホワイトハウスに入ったことは『中華民国の尊厳を守ったことにならないか?』(なるだろう!)。民進党の中に、中華民国国旗の帽子をかぶってホワイトハウスに入ることのできる指導者が一人でもいるだろうか? もし、私のように最高の儀礼を受けながら、あの楕円形の大統領オフィスに入る方法を持っている民進党の官僚がいたら、教えてほしい(=私以外にその方法を持っている人間は台湾にはいない!)。
●実はこの間、台湾で、この国旗帽をかぶってメディアに出たところ、(中国)大陸のメディアは帽子の国旗の部分にモザイクをかけて見えないようにして報道していた。そんな必要があるだろうか? 私は実に(大陸のこのやり方に)不満だ。北京は中華民国に十分な活動空間を与え、中華民国が存在している事実を(北京は)正視すべきである。
●中華民国総統選に立候補することに関して、トランプ大統領は『総統になるっていうのは大変なことだよ』と感想を漏らしたが、アメリカは他国の選挙に干渉する気はないだろうし、また私もトランプのアドバイスを必要としているわけではない」。
この後、遠藤氏は、中国とも近く、アメリカにも大型投資を約束して、トランプ大統領とも親しい郭台銘氏が、米中それぞれの経済的目標を両方共支持する一方、その中で台湾が利益を得ることを考えていると指摘する。誰が総統になるかで台湾の方向性が変わり、それは日本にも大きな影響を与える。幸い、次期台湾総統候補である国民党の郭台銘氏の支持率は低いが、一国二制度を餌に台湾を香港のように絡めとろうとしている中国の動きに警戒が必要である。
日本はますます観光大国化
私の本業はホテル事業だが、このアパホテルの訪日外国人旅行者の宿泊が年々増加している。日本に訪れる訪日外国人旅行者の数は二〇一二年には年間八三六万人だったが、二〇一七年には二、八六九万人、二〇一八年には三、一一九万人に上っている。これは安倍政権が「戦略的なビザ緩和、免税制度の拡充、出入国管理体制の充実、航空ネットワーク拡大など、大胆な『改革』を断行」した成果だというのが観光庁の見解であり、私も同感だ。今後の訪日外国人旅行者数の目標は二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年には六千万人であり、それに伴う訪日外国人旅行消費額は二〇二〇年で八兆円、二〇三〇年で十五兆円を見込んでいる。この十五兆円という数字は二〇一五年の四倍以上にもなる。実際、これらの目標に向けて順調に訪日外国人旅行者は増え続けている。
アパホテルの宿泊客の外国人比率はかつて二〇〜二五%だったが、東京においては既に五〇%となり、行く行くは七〇%にまで達するだろう。その時には、全国でも外国人比率が三〇~四〇%になっているはずだ。アパホテルに宿泊する外国人の国籍も変化してきている。今、東京のアパホテルで最も多いのはアメリカからの旅行者であり、次にヨーロッパからの旅行者が続く。後は台湾、タイ、韓国、香港、シンガポールからといった感じだ。これら訪日外国人旅行者の増加を背景として、今後も日本の観光産業は成長が期待できるだろう。
このGWの十連休を利用して、私がカナダに保有しているホテルの一つ、コースト・コールハーバー・バンクーバーホテル by APAに宿泊し、コースト・プリンスジョージ・ホテルby APAと、コースト・チリワック・ホテル by APAのグランドオープンセレモニーに地元の市長にも参加していただき、盛大に行うと共に、カナダ観光を楽しんできた。
驚いたのは、成田空港での出入国審査が自動化されていたことだ。パスポートを係員ではなく機械が読み取り、出国時も帰国時も列に並ぶことがなく、スムーズに進むことができた。来年の東京オリンピックに向けて、この一年間で様々な改革が行われている。
オリンピックには相当数の外国人旅行者が日本を訪れるだろうが、その後一年は反動で旅行者が減少するはずだ。しかし、過去のオリンピック開催都市の実績を見ると、開催二年後からは再び観光客数が拡大している。治安が良くて、歴史もあり、公共交通機関が充実していて時間も正確、食事も美味しく安全で、四季の自然が美しい日本は、オリンピックを経てますます観光大国化していくだろう。
台湾や韓国など近隣アジア諸国からの旅行者のアパホテルの宿泊者は一泊利用が一番多いが、欧米からの旅行者は三〜四泊の連泊利用が多い。実際ホテル側から見ると、連泊者が増える方が対応が効率的になる。アメリカ人の日本への旅行の意向が強いという調査結果もあり、今後も益々欧米からの旅行者が重要なターゲットになっていくことは間違いない。
実際、三月十九日にオープンした、アパホテルチェーン内でも最高級の仕様を施したアパホテルプライド〈国会議事堂前〉の宿泊客は、かなりの比率でアメリカ・フランス・ドイツなどの単価が高く連泊数の多い欧米からの外国人旅行者だ。今後はこの「プライド」を冠した最上級ブランドのアパホテルを増やしていくことも検討している。
アパグループは昨年十一月の連結決算でも増収増益となり、売上高は一、三三九億円、経常利益は三六二億円で利益率は三〇%に近い。ホテル業界でこの利益率は世界最強だ。その利益率を維持し人材不足に対応すべく、東京のアパホテルを中心に、スタッフ抜きでお客様が自分で完結できる自動チェックイン機の導入を進めている。またフリーチェックアウト・ボックスにお客様がキーを挿し入れると、清掃担当者のスマホにインターネットを介して自動的に連絡が行くシステムも導入した。速やかにルームクリーニングを行い、日帰りプランの部屋として販売して、宿泊との二度売りで、稼働率が一〇〇%以上となるホテルが多い。東京のアパホテルで最も高い稼働率は一一七%にも達しているのだ。訪日外国人旅行者マーケットも積極的に獲得すると共に、今後も事業活動を積極的に展開し、同時に改憲推進などの言論活動にも注力して、経済と言論両面から日本に貢献をしていきたいと考えている。
2019年5月18日(土) 18時00分校了