二〇一九年一月十一日、代表邸で恒例「日本を語るワインの会」が行われました。徳島県を本拠地としてゴルフ場、ホテル事業から医療・介護事業、中高一貫教育の学校経営までを手がける株式会社タカガワホールディングスの代表取締役会長の高川晶氏、代表取締役兼CEOの高川准子氏、専務取締役の三宅文子氏、常務取締役の池北賀代子氏をお迎えし、ビジネスに関する話題で大いに盛り上がりました。
様々な「日本一」が
アパホテルの求心力となる
アパホテルの求心力となる
アパホテルは、基本東京、大阪、名古屋圏のホテルは建設して自社保有、地方は買収して自社保有するかフランチャイズという戦略で展開している。ホテルのフランチャイズの部屋数ではアパホテルは日本一。例えば、徳島県のアパホテル〈徳島駅前〉はフランチャイズホテルだ。一方、山口県防府市のアパホテル〈山口防府〉は買収して自社保有となったホテル。北海道の直営のアパホテルも全て買収したものだ。今期のアパホテルの業績は売上約一千三百億円、経常利益約三百六十億円と増収増益だ。東京のアパホテルの稼働率は一〇〇%で客単価は約一万一千円、地方の稼働率は約七五%で客単価は六〜七千円であり、利益の多くは東京のホテルから生み出されている。今年の四月にアパグループに入社する新卒は三百四十人。これでグループ全体の社員数は約五千人になる。アパグループは創業から約五十年掛かって、ここまでの雇用を生み出す企業へと成長してきた。
アパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉は、元は幕張プリンスホテルだったものを西武鉄道から購入して二〇〇六年にリブランドオープン、元々千一室だった客室を二回に分けて増築、現在は二千七室になっている。ホテル単体の建物としては日本最高層であり、アパとしてはそのブランドに着目して、このホテルを購入した。今年九月にオープンする予定のアパホテル&リゾート〈横浜ベイタワー〉はみなとみらい線「馬車道駅」から徒歩三分の好立地であり、二千三百十一室の日本最大級の部屋数を擁する。三月には皇居とともに日本の中心である国会議事堂前に、アパホテルプライド〈国会議事堂前〉がオープン。これらのホテルはアパホテルのブランド力の象徴であり、フランチャイズも含む全国のアパホテルの求心力となっている。
タカガワホールディングスは元々学習塾事業からスタート。最盛期に生徒数七千人を数えたその成長ぶりは注目を集め、全国から視察が訪れるほどだった。しかし若年人口の減少が明らかだったため、二〇〇八年に学習塾事業を大幅に縮小した。そしてオリジナリティのある事業展開を熟慮した上で、民事再生法適用を申請したゴルフ場やホテルの再生事業に進出。現在八つのゴルフ場と二つのホテルを経営している。さらに二つの病院・クリニックを展開する医療事業、有料老人ホームなど七つの施設を持つ介護事業などを展開している。
山口県防府市のJR山陽本線・大道駅駅前に三万坪もの敷地を有する高川学園高等学校・中学校は、二〇〇五年に私立高校として初めて民事再生法適用を申請、タカガワホールディングスが再建者となり、二〇〇六年に今の学校名となって再出発した。人工芝のグラウンドを持つこの高校は元々サッカーの名門校であり、再出発後も二〇一一年、二〇一四年、二〇一六年、二〇一七年に全国高等学校サッカー選手権大会に出場している。また野球部も二〇一六年の全国高等学校野球選手権大会に出場して、甲子園の土を踏んだ。
アパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉は、元は幕張プリンスホテルだったものを西武鉄道から購入して二〇〇六年にリブランドオープン、元々千一室だった客室を二回に分けて増築、現在は二千七室になっている。ホテル単体の建物としては日本最高層であり、アパとしてはそのブランドに着目して、このホテルを購入した。今年九月にオープンする予定のアパホテル&リゾート〈横浜ベイタワー〉はみなとみらい線「馬車道駅」から徒歩三分の好立地であり、二千三百十一室の日本最大級の部屋数を擁する。三月には皇居とともに日本の中心である国会議事堂前に、アパホテルプライド〈国会議事堂前〉がオープン。これらのホテルはアパホテルのブランド力の象徴であり、フランチャイズも含む全国のアパホテルの求心力となっている。
タカガワホールディングスは元々学習塾事業からスタート。最盛期に生徒数七千人を数えたその成長ぶりは注目を集め、全国から視察が訪れるほどだった。しかし若年人口の減少が明らかだったため、二〇〇八年に学習塾事業を大幅に縮小した。そしてオリジナリティのある事業展開を熟慮した上で、民事再生法適用を申請したゴルフ場やホテルの再生事業に進出。現在八つのゴルフ場と二つのホテルを経営している。さらに二つの病院・クリニックを展開する医療事業、有料老人ホームなど七つの施設を持つ介護事業などを展開している。
山口県防府市のJR山陽本線・大道駅駅前に三万坪もの敷地を有する高川学園高等学校・中学校は、二〇〇五年に私立高校として初めて民事再生法適用を申請、タカガワホールディングスが再建者となり、二〇〇六年に今の学校名となって再出発した。人工芝のグラウンドを持つこの高校は元々サッカーの名門校であり、再出発後も二〇一一年、二〇一四年、二〇一六年、二〇一七年に全国高等学校サッカー選手権大会に出場している。また野球部も二〇一六年の全国高等学校野球選手権大会に出場して、甲子園の土を踏んだ。
きちんと経営をすれば
ゴルフ場は黒字になる
ゴルフ場は黒字になる
アパホテル快進撃の要因の一つは、千五百万人の累積会員がいることだ。五万円の利用で五千円のキャッシュバックが得られることで、多くのリピーターを獲得することができた。タカガワホールディングスの八つのゴルフ場は共通メンバーシステムをとっており、メンバーであればどのゴルフ場も優待料金で利用できる。ネット予約も可能にしたり、レストランやグリーンキーパーを外注ではなく自社運営にしてコストダウンを図ることで、どのゴルフ場の経営状況も順調だ。これらのゴルフ場が民事再生法適用を申請したのは、最初から諦めて経営努力を怠ったからだろう。きちんと経営すれば、ゴルフ場は黒字になる。アパリゾートの栃木の森ゴルフコースと上越妙高の森ゴルフコースも、イベント性を持たせたホールを設置するなどの工夫で、しっかりと収益を上げている。
日本の人口は二〇六五年には今から四千万人減って、八千八百万人になるという推計がある。そこで訪日外国人旅行者が重要になるのだが、その中で中国人客が全国で見ると二五%を占める中、アパホテルの中国人比率は外国人客の六・五%と非常に低い。最近は欧米客が顕著に増加している。徳島県の人口は約七十四万人で、後十年で六十五万人になると言われている。大鳴門橋などを通ってどんどん神戸や大阪に人が流れていくために、徳島県は消費地としての価値がどんどん減衰している。観光地も少なく、それもあって来客も少ない。美馬市の「うだつの町並み」も、平日に訪れるとほとんど人がいない状態だ。また徳島県から高知県への道路の便が非常に悪く、これも周遊観光の弊害になっている。消費者の減少に伴ってビジネスも発展しにくくなり、経営者が育ちにくい土地柄になってしまっている。
日本の人口は二〇六五年には今から四千万人減って、八千八百万人になるという推計がある。そこで訪日外国人旅行者が重要になるのだが、その中で中国人客が全国で見ると二五%を占める中、アパホテルの中国人比率は外国人客の六・五%と非常に低い。最近は欧米客が顕著に増加している。徳島県の人口は約七十四万人で、後十年で六十五万人になると言われている。大鳴門橋などを通ってどんどん神戸や大阪に人が流れていくために、徳島県は消費地としての価値がどんどん減衰している。観光地も少なく、それもあって来客も少ない。美馬市の「うだつの町並み」も、平日に訪れるとほとんど人がいない状態だ。また徳島県から高知県への道路の便が非常に悪く、これも周遊観光の弊害になっている。消費者の減少に伴ってビジネスも発展しにくくなり、経営者が育ちにくい土地柄になってしまっている。
物事を始める時には
必ず二つの目的を持て
必ず二つの目的を持て
働き方改革が叫ばれて久しいが、日本がどんどん貧しくなっているのは、官庁が主導して作った制度によって、働かない風潮が強まっているからではないか。役人は税金を集めて配るだけの仕事だから休みが増えてもいいのかもしれないが、まともなビジネスには労働力が必要だ。日本の人口が減少する中、一方的に労働時間を減少させることは、日本経済に対して非常に危険なことになる。
物事を行う時には、一つではなく二つの目的を持つべき。赤穂四十七士は忠義だけで吉良上野介を討ったのではないはずだ。もし目的がそれ一つなら、討ち入りを果たした後、泉岳寺で全員切腹していただろう。幕府から温情の沙汰を得て、他家に召し抱えられるというもう一つの目的があったのではないか。大石内蔵助が凄いのは、どっちに転んでもいいように仕組んでいたこと。大義なき戦いは、必ず敗れると肝に銘じるべきだ。
経営者が政治家になるというケースが非常に少ないためか、経済に疎い政治家が多い。これは外交にもマイナスだ。歴史を振り返っても、国家間の争いの背景には必ず経済問題が存在していて、儲かるか儲からないかが絡んでいる。北方領土に関しても同様であり、領土問題が通常戦争以外ではなかなか解決されないことを踏まえると、簡単に歯舞諸島や色丹島が帰ってくるとは考えにくく、相当な経済的な見返りをロシアから日本は要求されるだろう。沖縄は例外であり、冷戦下日本を不沈空母とするために、アメリカ軍の基地温存を条件に返還された。ロシアのプーチン大統領は、返還された北方領土にアメリカ軍の基地が建設されることへの懸念をストレートに表明しているが、ここは日本が丁寧に信頼感を醸成して説得していくしかない。交渉時には欲しいものはいらない顔を、いらないものには欲しい顔をする必要がある。北方領土問題を解決して日露平和条約を有利に締結するためには、日本は一旦歯舞諸島や色丹島などいらないという態度を取るべきではないか。
物事を行う時には、一つではなく二つの目的を持つべき。赤穂四十七士は忠義だけで吉良上野介を討ったのではないはずだ。もし目的がそれ一つなら、討ち入りを果たした後、泉岳寺で全員切腹していただろう。幕府から温情の沙汰を得て、他家に召し抱えられるというもう一つの目的があったのではないか。大石内蔵助が凄いのは、どっちに転んでもいいように仕組んでいたこと。大義なき戦いは、必ず敗れると肝に銘じるべきだ。
経営者が政治家になるというケースが非常に少ないためか、経済に疎い政治家が多い。これは外交にもマイナスだ。歴史を振り返っても、国家間の争いの背景には必ず経済問題が存在していて、儲かるか儲からないかが絡んでいる。北方領土に関しても同様であり、領土問題が通常戦争以外ではなかなか解決されないことを踏まえると、簡単に歯舞諸島や色丹島が帰ってくるとは考えにくく、相当な経済的な見返りをロシアから日本は要求されるだろう。沖縄は例外であり、冷戦下日本を不沈空母とするために、アメリカ軍の基地温存を条件に返還された。ロシアのプーチン大統領は、返還された北方領土にアメリカ軍の基地が建設されることへの懸念をストレートに表明しているが、ここは日本が丁寧に信頼感を醸成して説得していくしかない。交渉時には欲しいものはいらない顔を、いらないものには欲しい顔をする必要がある。北方領土問題を解決して日露平和条約を有利に締結するためには、日本は一旦歯舞諸島や色丹島などいらないという態度を取るべきではないか。
良いアイデアを人に話すと
もっと良い考えが集まる
もっと良い考えが集まる
昔から日本の学校で尊ぶ偉人に、経営で成功した人はいない。戦前は日本中の小学校の校庭に銅像のあった二宮金次郎は、最初は相模小田原藩の、晩年は幕府の役人だった。歩きながらの読書は、精神論としては良いのだろうが、とても頭に内容が入るとは思えない。
経済に詳しい政治家が増えることは好ましいが、経営者が必要以上に政治家に接近するのは危険だ。あまりに優遇していると、逆に政治家の方の動きが取れなくなることが出てくる。アパグループでは政治家への献金は一切行わず、政治家とはお金ではなく、同じ思想を持つもの同士の連帯感で繋がっている。
戦国時代最強と言われた上杉謙信は、結局天下を取ることができなかった。それは運と実行力の問題だ。その点、代表とホテル社長は機会を逃さず二〇〇一年に東京に進出し、そのことでアパグループを飛躍的に成長させることに成功した。早死した家は栄えにくく、長寿の家系は栄える。七十三歳と当時では長生きだった徳川家康だが、早々に秀忠に将軍位を譲り自らは駿府城へと引き下がり、自分の経験を影から秀忠に伝えた。代々相続される中で重要なのは初代、三代、五代であり、これは徳川家も加賀藩の前田家も同じだ。加賀前田家第三代の前田利常は「うつけ者」を装って江戸幕府から無用の疑いをかけられないようにした一方、文化の移入に力をいれて、金沢文化を開花させた。
成功する人と出世する人は違う。成功する人は、毎日何かが起こる中でも利益を得なければならない「言い訳無用の世界」に生きている。だから豊かな発想が可能なのだ。一方大学の教授などは、二十年間同じ講義を繰り返しても生きていける。一方出世をする人は上司に好かれる人だ。組織の中では個性が強すぎると上に好かれない。例えば大学の医学部の場合、教授らの言った通りに行動しないと、「そんなことじゃ医者になれないよ」と脅される。どの科目も必須で単位を落とすわけにはいかないので、教師が学生を完全に支配できるのだ。パーティーでも上司が帰るのを見送るために、何分も直立不動で出入り口に立っている人がいるが、そんなことをしている組織は何かが狂ってくるだろう。また上司に好かれるかどうかには、顧客が無関係な場合が多い。自らを高めることを疎かにしたくないのであれば、早い段階で大きな組織からは独立するべきだ。
アイデアを後生大事に秘密に抱えている人が多いが、良い考えはどんどん人に言った方がいい。そうすれば、さらに良いアイデアが集まってくる。そしてアイデアよりも実行力が大事。どこからか聞いたアイデアを実現できずに潰れていく人が実は多い。
経済に詳しい政治家が増えることは好ましいが、経営者が必要以上に政治家に接近するのは危険だ。あまりに優遇していると、逆に政治家の方の動きが取れなくなることが出てくる。アパグループでは政治家への献金は一切行わず、政治家とはお金ではなく、同じ思想を持つもの同士の連帯感で繋がっている。
戦国時代最強と言われた上杉謙信は、結局天下を取ることができなかった。それは運と実行力の問題だ。その点、代表とホテル社長は機会を逃さず二〇〇一年に東京に進出し、そのことでアパグループを飛躍的に成長させることに成功した。早死した家は栄えにくく、長寿の家系は栄える。七十三歳と当時では長生きだった徳川家康だが、早々に秀忠に将軍位を譲り自らは駿府城へと引き下がり、自分の経験を影から秀忠に伝えた。代々相続される中で重要なのは初代、三代、五代であり、これは徳川家も加賀藩の前田家も同じだ。加賀前田家第三代の前田利常は「うつけ者」を装って江戸幕府から無用の疑いをかけられないようにした一方、文化の移入に力をいれて、金沢文化を開花させた。
成功する人と出世する人は違う。成功する人は、毎日何かが起こる中でも利益を得なければならない「言い訳無用の世界」に生きている。だから豊かな発想が可能なのだ。一方大学の教授などは、二十年間同じ講義を繰り返しても生きていける。一方出世をする人は上司に好かれる人だ。組織の中では個性が強すぎると上に好かれない。例えば大学の医学部の場合、教授らの言った通りに行動しないと、「そんなことじゃ医者になれないよ」と脅される。どの科目も必須で単位を落とすわけにはいかないので、教師が学生を完全に支配できるのだ。パーティーでも上司が帰るのを見送るために、何分も直立不動で出入り口に立っている人がいるが、そんなことをしている組織は何かが狂ってくるだろう。また上司に好かれるかどうかには、顧客が無関係な場合が多い。自らを高めることを疎かにしたくないのであれば、早い段階で大きな組織からは独立するべきだ。
アイデアを後生大事に秘密に抱えている人が多いが、良い考えはどんどん人に言った方がいい。そうすれば、さらに良いアイデアが集まってくる。そしてアイデアよりも実行力が大事。どこからか聞いたアイデアを実現できずに潰れていく人が実は多い。