日本を語るワインの会179

ワイン179二〇一八年四月十一日、代表邸で恒例の「日本を語るワインの会」が行われました。二年に一度、アフリカ最大の映画祭が開催される西アフリカの国・ブルキナファソ大使館特命全権大使のパスカル・バジョボ氏、全国会議員の中で唯一現職の大工職人である衆議院議員の櫻田義孝氏、サイバー攻撃から企業を守るスペシャリストであると同時にアイリッシュパブの経営も行うTITANIC HOLDINGS CO., LTD. CEOのカータン・ジョセフ・マクラクリン氏、知覧の特攻隊記念館で隊員の遺書を読んだことがきっかけで政治の世界に飛び込んだ元衆議院議員の田沼隆志氏をお迎えし、仮想通貨から先の大戦の評価まで、幅広い話題を語り合いました。
朝日新聞は改憲潰しのため
モリカケ報道を続けている
 先の大戦での敗戦後、アメリカが作った日教組が国民の自虐教育を先導してきた。教育とメディアの報道がおかしいから、日本人はおかしいことを正しいと信じてきた。しかし朝日新聞の購読者が減少していることでわかるように、国民も大分わかってきた。政府の悪口を言うことが正義というスタンスは、民主主義に反する。朝日新聞はモリカケ問題を社運をかけて報じているが、その理由は安倍首相が憲法改正に本格的に着手したからだ。しかしその報道の内容は、本質を突かないこじつけだ。
 アメリカのトランプ大統領が今考えているのは自身の再選と、そのための今年の中間選挙での共和党の勝利だけだ。本当にできるかどうかはともかく、選挙中に掲げた公約の実現に努力している姿を見せないと、メディアが何を報道しても崩れない四〇%近いコアな支持層が逃げてしまうからだ。この支持層を基に残りの六〇%から十数%を獲得して五〇%を超える支持を集めることができれば、選挙に勝つことができる。日本のメディアはトランプ大統領を批判するアメリカメディアの報道ばかりを伝えるが、アメリカの現実はこの報道とは違う。これまでのアメリカ社会で虐げられていた人々が、トランプ大統領を熱狂的に支持しているのだ。日本にとっては親中のヒラリー・クリントンが大統領になるよりは、トランプ大統領の方が遥かに良い。しかしヒラリー・クリントンは、もう一度大統領選に挑戦する動きも見せている。彼女と夫のビル・クリントンが運営するクリントン財団には中国からの金が相当流れているという。中国からコンサルタントフィーをもらっていたヘンリー・キッシンジャー元国務長官は、一時期トランプ政権のアドバイザー的役割だったが、方針が変わって、政権はキッシンジャーとは手を切り、対中強硬派のランディ・シュライバー氏を国防総省アジア担当に任命した。アメリカの対中政策が厳しいものになることは、歴史の捏造など中国の金に物を言わせた情報戦に手を焼く日本にとっても朗報だ。

仮想通貨が政府の規制で
一気に価値を失うことも
 杉田水脈衆議院議員がかつて国会で質問したプレスコード(新聞編集綱領)は、終戦直後にGHQが定めたものだが、今でも朝日新聞が守護神となり、メディア全体がこのコードに従っている。二〇〇〇年に森喜朗首相が挨拶の中で使った『神の国』がメディアから大批判を浴びたのも、プレスコードで『神国日本の宣伝』が禁じられているからだ。『大東亜戦争』とテレビで言うと、その部分はカットされる。日本の従軍慰安婦を批判する韓国はベトナム戦争に参戦、兵士達の強姦によって二万人以上もの韓国・ベトナムの混血児(ライダイハン)を生み出した。またベトナムには韓国人兵士によって人々が虐殺され、その様子を描いた碑を建立している村もある。なぜベトナムは韓国を非難しないのかと聞くと、ベトナム人は政府の要人が「お茶を飲んでいる」からと答える。お茶とは賄賂のこと。中国では賄賂は文化だ。習近平が汚職撲滅キャンペーンで江沢民派、胡錦濤派などを粛清してきたが、中国では誰もが賄賂をもらっているので、それを理由に潰すのは簡単なことだった。
 今年一月、仮想通貨取引所大手のコインチェックから、NEMと呼ばれる仮想通貨約五百八十億円が流出した。この事件からわかるのは、日本で今投機としての仮想通貨がブームとなっていることと、国境を越えたサイバー攻撃が激しくなってきていることだ。このコインチェック事件の犯人という噂も出ているほど、北朝鮮はサイバー攻撃に長けていて、銀行をハッキングして金を奪っているとも言われている。通貨はかつては金が価値の裏付けに、現在は発行している政府の保証が裏付けになって流通するものだ。仮想通貨にはそういった裏付けは何もない。今、金の価値に基づく仮想通貨を作る検討が行われてはいるが、投機の対象として見た場合、仮想通貨は何も生産をしていないのだからゼロサム世界であり、大儲けする人がいるということは、その背後には大損している人がいるということだ。仮想通貨の特徴の一つは、送金の容易さだ。中国の闇の銀行の間では、利用者の残高を変えることで実際には送金していないのに、送金同様となるサービスを提供している。仮想通貨がマネーロンダリングに使われているという話もある。昔はスイスの銀行がマネーロンダリングのメッカだったが、今は情報開示の義務ができたので、金が集まらなくなっている。一時期カジノをマネーロンダリングに使う手法が盛んになり、マカオがラスベガスを上回るカジノ王国となったが、習近平が規制を厳しくした結果、マカオでのカジノ取引は減少、再びラスベガスの後塵を拝するようになった。これと同様に、仮想通貨にもいつ国家レベルの規制が入るかわからない。将来、デジタル通貨の流通が激しくなり、通貨のペーパーレス時代になるかもしれないが、それは仮想通貨ではない。

ヨーロッパで続く
EUとロシアのせめぎ合い
 増える訪日外国人旅行者を目当てに、全国でホテルの建設ラッシュが続いているが、そろそろホテル過剰になることが目に見えている。ホテル不足のために普及した民泊は、今年六月の改正法の施行で、正式な登録のハードルが低くなるが、衛生管理が不十分になる可能性や、犯罪に利用される可能性、盗撮が行われる可能性など問題は依然として多い。実際、二月には大阪で民泊が犯行現場となる殺人事件が発生している。スマホのアプリを利用して宿泊手続きを行う場合、オーナーと利用者が全く顔を合わせない。この特性を生かして、テロリストが潜伏することも十分に考えられる。民泊や自家用車を利用した配車サービス、乗り捨て自由のレンタル自転車など、スマートフォンを使ってモノを共有して利用するシェアリングエコノミーがもてはやされているが、その裏には様々な問題が発生していることも忘れてはならない。
 ウイスキーの発祥はアイルランドであり、ワインの発祥はジョージアだ。ジョージアから黒海を挟んだモルドバ、ルーマニアでも古くからワインが盛んに作られている。ルーマニアで一番有名なワインメーカーはコトナリ、モルドバではプルカリだ。ルーマニアのクラウス・ヨハニス大統領はドイツ系で、一方モルドバのイーゴル・ドドン大統領は、ロシア派だ。ヨーロッパは未だにドイツを中心とするEUとロシアとのせめぎ合いが行われている。チャウシェスク大統領の独裁が終わって二十九年経過したルーマニアは、今や経済成長率が五%とEU内でトップだ。
 一九八二年のフォークランド紛争があったから、サッチャー首相は名宰相として歴史に名を残した。フォークランド諸島に手を出したアルゼンチンは、こんな小さな島でイギリスが本気で戦争を起こすとは思っていなかったのだろう。しかしイギリスは空母インヴィンシブルだけではなく、輸送船として国を象徴する客船・クイーンエリザベス二世号を派遣、チャールズ皇太子の弟にあたるアンドルー王子もヘリコプターパイロットとして参戦した。先の大戦の時もイギリスは貴族が戦った。ノーブレス・オブリージュとして身分の高いものが戦うことは、ヨーロッパのリーダーとして当然の感覚だ。

首都圏のIRの有力候補は
ダークホースの千葉県
 千葉県の中でも柏市は人気で、実際人口も増えている。つくばエクスプレスが通ったことも大きい。東京大学や千葉大学のキャンパスがあり、国立がん研究センターなど病院も充実している。柏市から千葉市までは高速道路がうまく接続していないので、人々が思うよりも時間が掛かる。幕張のアパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉は、今やグループのドル箱ホテルになった。買収当初は一千一室だったのだが、二回の増築を経て今では二千七室と倍の規模になっている。今全国でカジノも含むIR(統合型リゾート)の誘致合戦が行われているが、東京都心に一番近い候補地は幕張だろう。千葉ではもう一つ、国際空港に近い成田市の可能性もある。成田の場合は関連施設を一から作る必要があり費用が掛かるが、幕張であれば既存の施設の流用も可能だ。日本全体でIR建設は三カ所と言われており、首都圏以外でも大阪市、佐世保市、沖縄県辺りが積極的だ。
 今年のアパグループの研修旅行の行き先はウズベキスタン。予想を上回る希望者があり、九十人程度の人数になりそうだ。一番の目的は、ソ連に抑留された旧日本兵がウズベキスタンの首都・タシケントに建設したナヴォイ劇場を見ることだ。ウズベキスタンは、参議院議員の中山恭子氏が、かつて特命全権大使を務めた国。その任期中の一九九九年にキルギス日本人誘拐事件が起こり、日本人炭鉱技師がウズベキスタンの反政府組織に誘拐された。中山大使は外務省とは別ルートで組織との接触に成功、通訳のみを連れて単身山中の組織のアジトに乗り込み交渉した結果、人質全員の開放に至ったという。中山氏は非常に勇敢な人だ。
 四月一日から第十一回「真の近現代史観」懸賞論文の募集を開始、また今年新設されたアパ日本再興大賞の推薦も始まった。「真の近現代史観」懸賞論文は従来と同様、論文を応募するものだが、アパ日本再興大賞は公益財団法人アパ日本再興財団の理事、評議員、幹事、「勝兵塾」の特別講師顧問、講師特待生が推薦した書籍、論文の中から選考される。これらの審査委員に今年から、歴史学者である東京大学名誉教授の伊藤隆氏が新たに加わり、一層権威のある賞となった。