日本を語るワインの会177

ワイン177二〇一八年二月十四日、代表邸で恒例「日本を語るワインの会」が行われました。ベラルーシ議員連盟会長も務める衆議院議員の渡辺博道氏、ICBMの開発の後東洋医療と西洋医療を結びつける仕事をしていたINTERNATIONAL RESEARCH FOUNDATION PRESIDENTのアレクサンドル・カイリス氏、戦前にアメリカに移住した日系人の親戚が多数いるために英語が非常に堪能になった在日本ルーマニア商工会議所会頭の酒生文弥氏をお迎えし、観光政策から外交まで今の日本で注目されている数々の論点について、語り合いました。
友好条約締結四十周年
日中関係はさらに深化する
 カイリス氏はモスクワで日本人女性と結婚し、一九七七年に日本に来た。当時のソ連は出入国制限が厳しかったが、ジャーナリストや学者はある程度自由に動くことができた。カイリス氏の場合はブレジネフ書記長と親しく、その夫人に依頼することで来日することができた。ソ連ではエネルギー技術や医学が進んでおり、一九九一年の崩壊時には周辺国がそれらを求めて、ソ連の学者や医者を呼び寄せることがあったという。今の日本の医療現場最大の問題は、優秀な医者が忙し過ぎること。人材の活用方法を再考する必要がある。
 中国がチベットや東トルキスタン、モンゴルなどの領土内の自治区にどんどん漢民族を移住させて同化政策を行っているのとは異なり、かつてのソ連は連邦を構成する共和国のそれぞれ文化を非常に大事にしていた。モンゴルの場合も、ソ連と親しかった外モンゴルがモンゴル国として独立しているのに比べ、内モンゴルは自治区として中国の支配下のまま、漢民族化が進んでいることがその象徴だ。
 白ロシアと呼ばれていたベラルーシの大統領はルカシェンコ氏で、きわめて親ロシア的な政策を展開している。旧ソ連の共和国の動きは様々だ。ソ連崩壊後、ウズベキスタンには韓国が進出、カザフスタンには中国が入り込んで、今も一帯一路の中心となっている。逆にタジキスタンはどちらかと言えば中国嫌いだ。これらの情勢をよく見て、日本は進出先を考えなければならない。
 今年は一九七八年の日中平和友好条約締結から四十周年の節目の年だ。所謂「南京大虐殺」や尖閣諸島問題など、シビアな対立は依然続いているが、最近の中国は李克強首相の訪日を実現させ、安倍首相も訪中の予定だが、日本政府は言うべきことはしっかりと言う姿勢を崩すべきではない。一方、今年になってトランプ政権はランディ・シュライバー氏を国防総省のアジア担当に任命した。彼は「中国共産党こそが歴史の改ざんを行っている」と主張するシンクタンク・プロジェクト2049研究所を創設した対中強硬派だ。これまでは中国から顧問料を貰っていると見られている元国務長官のヘンリー・キッシンジャー氏に依存していたトランプ政権の対中政策は、ランディ氏の登場で強硬なものに変わるだろう。

軍を掌握するために
軍区を戦区に改めた習近平
 ハワイ・真珠湾の太平洋航空博物館にあった、ドゥーリットル空襲後、日本軍がドゥーリットル隊員を匿ったとして二十五万人の中国人を虐殺したという誤った展示プレートは、代表の連絡を受けた衆議院議員の秋葉賢也氏の外務省への通報によって、三月一杯で撤去されることになった。しかしテキサス州にある太平洋戦争博物館にも、誤った展示がまだ行われているという。ハワイの件は日本の領事館も気づいていて、三年前に抗議したという。しかし抗議するのであれば、撤去するまで抗議を続けなければ駄目だ。テキサスの博物館では中国からの圧力が凄いという。中国の考えとしては、とりあえず日本に不利な記述を様々なところに仕掛け、抗議があれば引っ込める。そしてまた別のところで出すなどして、次第に既成事実化していくのだろう。尖閣諸島周辺で領海侵犯を行うのも同じ考えだ。日本はこれに対して断固とした対応を行わなければならない。
 二〇一六年に中国政府は人民解放軍の改革を行い、それまでの七つの軍区を改変して、五つの戦区とした。七つの軍区だった時に政府がそのコントロールに一番苦労したのは、東北部をエリアとする瀋陽軍区だ。人種的に朝鮮人や満州人が多く中央の統制が効かず、北朝鮮の資源を使って利益を分け合ってる。中国では軍や警察がビジネスをするのは当たり前だ。以前のことではあるが車で走っていて、警察が曲がれと誘導するから曲がるとそこは洗車場。しかたなく通過しようとすると必要もないのに洗車されて洗車料金を徴収されるということもあった。また軍隊は軍需工場を建設して、国庫から膨大な兵器代金を受け取っている。金にまつわる腐敗も酷い。習近平はこの軍の掌握を目指して、七軍区から五戦区に改変しトップの異動を断行、上下の人脈を断ち切った。習近平が人民解放軍を非常に恐れていることの表れだろう。

特殊慰安隊を保有していた韓国に日本を責める資格はない
 日本の自衛隊も海賊対策として拠点を持つアフリカのジブチ共和国に昨年八月、中国が初の国外基地を建設した。自衛隊の拠点よりも広大な土地をべらぼうな金額で中国が借りたために、拠点の拡張を行おうとした自衛隊にも、高い借地代がふっかけられたという。上空から中国の基地を撮影された写真を見ると、完全な要塞化が行われている。中国はジブチの港湾整備にも巨額の援助を行い、その一部を軍港として利用している。財力に物を言わせてインフラを整備、それらを軍事的に利用していくというのは中国お得意の流れだ。
 在日朝鮮人・韓国人の人々は日本の財界や芸能界でも活躍している。国籍は北朝鮮や韓国にある永住外国人という扱いなので、戸籍はもちろん存在しない。問題は相続だ。土地の場合、登記されているのが日本人であれば、戸籍を調べれば誰が相続者かがわかる。しかし永住外国人の場合はそれができずに、所有者がなくなってしまう場合がある。
 北朝鮮にせよ韓国にせよ、非常に貧しい国が日本領になったことでインフラ整備が進んだ。各地に小学校が作られ、京城府には帝国大学もできた。戦後、韓国は日本からの賠償金で漢江の奇跡と呼ばれる経済成長を達成した。北朝鮮は日本から流れた資金や技術で核兵器やミサイルを開発した。それだけの恩恵を与えたのに感謝の気持ちもなく、戦時中は同じ大日本帝国だったのに両国とも戦勝国のように振る舞っている。韓国は日本の慰安婦について責め立てるが、韓国軍は朝鮮戦争時、特殊慰安隊として軍内部に慰安婦を組織していたし、ベトナム戦争時も慰安所経営に関与していた。とても日本のことを言えた歴史ではない。
 今多くの日本企業が注目しているアジアの国はミャンマーだ。渡辺博道氏も参加しているミャンマー議連では、昨年一月にミャンマーのオン・マウン観光大臣の協力の下、百本の桜を贈り、首都・ネピドーに植樹した。二年以内に桜を千本に増やし、アメリカのワシントンのポトマック川沿いの桜並木のように、将来は多くの人が集まる名物になることを目指している。ミャンマーは部族社会であり、統治するにはそれを理解することが必要だ。しかしアウンサンスーチー氏はイギリスの生活が長く、そこをあまり理解していないのかもしれない。

原子炉自体が爆発した
チェルノブイリと建屋が水素爆発した福島とは全く違う
 チェルノブイリの原発事故は原子炉自体が暴走して爆発したのだが、福島では建屋が水素爆発で吹き飛んだだけであり、拡散した放射性物質の量も全く異なる。チェルノブイリでも事故から七年後にガンの発生が増えたので福島でも…という人がいるが、あまりにも量が異なるので、福島ではその心配はない。しかし民主党政権下での原発事故対応は大失敗だった。当時の菅直人首相がヘリコプターによる原発の視察を行ったために、ベントが遅れて水素爆発が起こった。菅氏はこの二月の予算委員会の質問でも原発事故の対応の件を持ち出し、自分は海水注入を止めなかったことを懸命に立証しようとしていたが、安倍首相は取り合わなかった。自分の正当性を主張したいがために、国会の時間を浪費している。
 福島第一原発の敷地内の汚染水タンクが千個を越えている。今の程度の放射性物質の含有度合いであれば、海に流せばすぐに希釈されて全く問題はないのに、様々な力学があってそれが行われない。一ミリシーベルトの除染基準も全くナンセンスだが、国会議員でも文句が言えないのが現状だ。
 アメリカはトモダチ作戦を展開したが、空母ロナルド・レーガンの甲板上で除染するヘリコプターの映像を繰り返し流すことで、人々の不安を煽った。そして菅首相の浜岡原発停止という大愚策のために、結局全国の原発が法律に基づかずに停止することになり、発電量を補うために毎日百億円、余分に火力発電用の石油代が掛かるようになった。このような負担は累積では三十兆円を超えることになるはずだ。民主党政権の罪は重い。
 今年六月から一定条件を満たせば民泊を認める民泊新法が施行される。しかし民泊は様々な問題をはらんでいる。テロリストが民泊を拠点とすることもあるかもしれないし、何かトラブルがあったらどうするのか。また近くの住居に入れ代わり立ち代わり異なる外国人が宿泊することは、地域住民の不安を煽るだろう。ゴミの出し方でのトラブルも報告されている。基本的には宿泊は旅館業法に基づいた業者が担うべきだ。何でも規制緩和すれば経済が活性化するというのは幻想。Uberの進出で白タクを認めろという声もあるが、事故が起きたら誰が責任をとるのか。守るべき日本の仕組みは守らなければならない。宿泊業もタクシーも筋を通すべきだ。