日本を語るワインの会157

ワイン156二〇一六年八月三日、恒例「日本を語るワインの会」が代表自邸にて開催されました。日本大学医学部教授まで勤めていた医師であり八月まで厚生労働大臣政務官だった衆議院議員の三ッ林裕巳氏、太陽光発電など再生可能エネルギーのプロジェクトを手掛けるレッドウッド・グループ・ジャパン株式会社シニアコンサルタントのブライアン・グールド氏、T‐BOLANで一世を風靡、今も音楽活動を続ける森友嵐士氏、浄土真宗の僧侶でもある在日ルーマニア商工会議所会頭の酒生文弥氏、豊富な職歴と幅広い人脈から企業トップに繋げるコンサルティング業務を行うTOP CONNECT代表取締役の内田雅章氏をお迎えし、政治から経済、文化まで、様々な話題で盛り上がりました。
安倍首相の任期を延長
その後継は稲田朋美氏に
 新しく自民党幹事長に二階俊博氏が就任した。二階氏は公明党とも東京都知事に当選した小池百合子氏ともパイプを持っていて、安倍首相と考えが全く一緒というわけではないが優秀な人物で、非常にバランスの良い人事だ。新体制をバックに、二階氏が触れたように自民党の規則を変更、総裁を三期務めることを可能にし、自身のスピーチで決めた東京オリンピックの開会式に出席するまで、安倍氏が首相を務めるべきだ。その後の自民党総裁は、男性では安倍氏と何かと比較されることになりやりにくくなる。注目すべきは今回防衛大臣となった稲田朋美氏だ。日本初の女性首相として、安倍首相の後継となるのがベストではないだろうか。
 この夏の参議院選挙で衆参ともに改憲勢力が三分の二となったが、改憲勢力が共通して持つ改憲項目はなく、すぐに改憲の発議ができる状況ではない。しかし安倍政権が続く間が改憲の絶好のチャンスであることは間違いない。まずは可能だという実績を作り、本格的な改憲は二回目以降という流れが良いのではないか。憲法前文など、改憲勢力のコンセンサスが得やすく、国民も同意しそうな項目の改憲発議をぜひ早急に実現させて欲しい。
 世界の海上戦力はアメリカのズムウォルトのようなハイテクステルス駆逐艦が主流になる。その兵器はレールガンにレーザー砲といった最先端科学技術兵器で原子炉格納容器を製造する日本製鋼の技術で生産する砲身が必要である。
 自衛隊は哨戒機P‐3Cによって、冷戦期はソ連の潜水艦を日本海に封じ込める作戦を展開していたが、今、相手は空母拡充などを図る中国海軍だ。その中国は南シナ海での一方的な岩礁の埋め立て・基地化と、東シナ海の尖閣諸島への干渉を続け、北朝鮮は日本のEEZ(排他的経済水域)にミサイルを打ち込んできている。東アジアの緊張感は高まる一方だ。今の安定した安倍政権時は国力を強化し、独立自衛へと移行するチャンスだ。稲田朋美氏が防衛大臣になったことにも、大いに期待したい。

東シナ海は一触即発の状態
安保を真剣に考えるべき
 一向に解決に向かわない北朝鮮による拉致問題だが、これは日本側の意志の問題だ。レバノンは粘り強い交渉によって、北朝鮮から拉致された女性を奪還している。日朝関係においても、日本海に出没していた北朝鮮の不審船は、日本側が一隻を撃沈してからは現れなくなった。最近、尖閣諸島付近の日本領海に中国の公船が侵入してきているが、これらに対しても断固たる対応をとるべきだ。日本の外務省は害務省であり、メディアと呼応して、相手国の利益になるような行動ばかりをとっている。交渉には、領海侵犯をして退去警告に従わなければ撃沈するぞという「力の背景」が必要だ。
 六月、航空自衛隊の元空将である織田邦男氏がネットのニュースサイトに、東シナ海上空でスクランブル発進した自衛隊機に対して、中国軍の戦闘機が攻撃動作を仕掛けてきたため、ドッグファイトに巻き込まれまいと、自衛隊機は「フレア」と呼ばれる自己防御装置を使用しながら戦域から離脱したと書いたことが波紋を呼んだ。これが本当だとすれば、中国軍の日本への圧力は想像以上のものだということになる。領空には領海のような無害通航権などない。中国軍戦闘機が尖閣諸島の領有権を主張するがゆえに、領空侵犯として自衛隊機を撃ち落とす事態も、十分にあり得るのだ。日本政府は織田氏が書いたような事実はないと否定しているが、氏は無闇にデマを流すような人物ではない。航空自衛隊でF4戦闘機のパイロットとして活躍、アメリカの空軍大学でも学び、スタンフォード大学の客員研究員も務めた織田氏は空自のエリート中のエリートだったが、元航空幕僚長の田母神俊雄氏の論文を批判しなかったために航空幕僚長にはなれなかったという信念の人だ。
 かつては陸軍だけに力が注がれていた中国人民解放軍だが、近年航空母艦の保有、第五世代戦闘機の導入などで、急速に海軍力、空軍力を伸ばし、その圧力を日本に向け始めている。にもかかわらず、アメリカ共和党の大統領候補であるトランプ氏は、在日米軍撤退までを匂わす発言を行っている。日本は早急に憲法九条を改正して、防衛軍を整備・強化するべきなのだが、まだまだ時間が掛かる。その間に中国はさらに圧力を強めてくるだろう。尖閣諸島に上陸しようとする中国軍を押し止めようとすれば、海上保安庁や自衛隊の人員の流血は必至だ。メディアが大騒ぎすることで何も手出しができず、占領されるがままということもあり得る。この危機を真剣に考えなければならない。いくら国民が自衛隊、頑張ってくれと思っていても、憲法によって交戦権は否定され、警察官と同じ基準の正当防衛でないと武器の使用が許されない。映画にもなった麻生幾の小説「宣戦布告」に詳しいが、今のままでは自衛隊は日本を守れない。安全保障を国民がきちんと学び、考える必要がある。

支持頭打ちのクリントン氏
トランプ大統領の可能性大

 アメリカ大統領選挙は共和党候補のトランプ氏と民主党候補のクリントン氏が互角の状況だ。日本にとっては親中派のクリントン氏よりもトランプ氏が大統領になるほうが良いかもしれない。在日米軍の在り方を見直せというトランプ大統領の要請に呼応して、日本国内で憲法改正・自主防衛の気運が高まり、アメリカからの親離れが可能になるかもしれないからだ。私用メールサーバーを公務に使用した事件でのFBIからの訴追は免れたクリントン氏だが、政治的圧力で訴追を逃れたのではという疑惑も沸き起こり、これが支持の伸びを抑えている。女性でありながら、女性からの支持が高くないのもクリントン氏の懸念材料だ。共和党と民主党の大統領候補によるテレビ討論会でトランプ氏が勝利すれば、トランプ氏が大統領になる可能性は高いと思われる。
 グールド氏は今、アフリカのケニアを舞台にした太陽光ビジネスに挑んでいる。ケニアでのビジネスは今が面白い盛りだ。バックリベートなどが蔓延るお国柄は相変わらずだが、イギリスの植民地だったことで英語が通じるアドバンテージもあり、急速な経済発展を遂げている。ケニアの隣国にはウガンダとルワンダがある。ルワンダは一九九四年の虐殺で知られているが、この虐殺の原因は旧宗主国のベルギーが行った占領政策にある。元々同じ部族だった国民を、保有する牛の頭数を基準に豊かなツチ族、それ以外のフツ族に分け、少数のツチ族が中間支配層として、多数のフツ族を治めたのだ。独立後は逆に多数派のフツ族から大統領が選出され、ツチ族は反政府勢力を組織して抵抗、一時は内戦状態になっていた。和平となるかというタイミングでフツ族の大統領が乗る専用機が地対空ミサイルで撃ち落とされて大統領は死亡、これをきっかけにフツ政権とフツ過激派によるツチ族とフツ穏健派の虐殺が行われ、約八十万人が殺されたと言われている。正に西欧列強によるデバイド・アンド・コンカー(分割して統治せよ)政策が悲劇を産んだケースだ。

陸海軍合同で真珠湾を攻め
早期の和睦をすべきだった
 海外へ日本に関して誤った情報が流れている。間違ったことを、まことしやかに伝えているのは、国内外のメディアだ。これまでは日本は弱腰で、間違いを黙って見過ごしてきたが、いつまでもそれではいけない。メディアだけではなく、政治家も海外に正しい情報を伝えるべく努力すべきだ。ビジネスでも国の政治でも、戦略的に考えて、必ず勝利することが重要だ。個別の戦いでは勝ったり負けたりがあってもいい。織田信長の桶狭間の戦いでは、兵の一人ひとりを見れば殺されたり殺したりしただろうが、全体の戦略として、敵の大将を狙う奇襲を行ったことが勝利を引き寄せることになった。先の大戦でも太平洋では負けていた日本軍だが、中国大陸では勝っていた。しかし補給を考えない中、戦争を長引かせてしまった戦略の失敗で、敗戦国となってしまったのだ。先の大戦のもう一つの敗因は、日露戦争とは異なり、戦略的に終戦までのシミュレーションを行っていなかったことにある。日露戦争では、海軍は日本海で敵艦隊を殲滅させ、陸軍はロシア軍に勝ちはしないが負けない程度に一矢報い、第三国の和平調停を待つというシナリオがあった。しかし先の大戦では、海軍の山本五十六大将が「半年や一年はずいぶんと暴れてご覧に入れます」と生半可に答えたことを頼りにするなど、終戦の見込がないまま開戦するという愚を犯した。戦略的にアメリカと戦うのであれば、真珠湾攻撃を陸海軍合同で行い、陸軍によってハワイを占領、石油などの豊富な備蓄物とドックを手に入れ、パナマ運河攻撃を行って、大西洋艦隊の太平洋への進出を阻止、その段階で好条件での和平提案をアメリカに申し出るべきだった。
 成功しているホテル分野のビジネスモデルとしての評価が高まり、アパホテルには世界中から様々な引き合いが殺到している。中には三十万室を保有するホテルオーナーからのものもある。そんな中から今回選んだのは、カナダとアメリカで三十九のホテルを展開する企業の買収だ。これにより、六月にグランドオープンしたアメリカ・ニュージャージー州のアパホテル〈ウッドブリッジ〉と合わせて、一気に四十ホテルを海外で展開することになった。世界最大の広告会社に依頼して作成したアパホテルの世界進出のためのキャッチフレーズは、”You’ll be back”だ。一度アパホテルに宿泊すれば、次もその次もアパホテルに泊まりたいと思い、必ず戻ってくるという意味だ。一方国内での大型開発案件も目白押しで、横浜には二千四百室のホテル、両国国技館には一千室のホテル、そして首相官邸前にも新しいホテルを現在建築中だ。また六本木には既存の一棟に加えて、新たに並びで五棟を新築、合計六棟のホテル群を建設するという計画も進行している。