ルーマニアの人口は約二千万人で、国土の面積は日本の本州プラス四国の半分と同じぐらいだ。首都はブカレスト。経済成長率が年間約四%とEU内では最高レベルのパフォーマンスとなっていて、ルーマニアはヨーロッパでは「タイガー」と呼ばれている。さらに二〇二〇年までに総額五兆数千億円の資金を、経済繁栄のためのファンドとして、EUから調達できることになっている。この資金は主にドイツから来るはずだ、強いドイツの通貨マルクがバスケット通貨ユーロへの統合の結果、安いユーロによって輸出増となり儲けたドイツがルーマニアに金を払うのは、ある意味当然のことだ。
二〇一四年に当選したヨハニス大統領はまだ五十五歳と若い。大統領職の任期は五年で二選まで可能だ。ヨハニス大統領は日本と親しい関係を維持している。というのも、高山市の姉妹都市となっているシビウ市の市長から、いきなり大統領になったからだ。議院内閣制の首相とは異なり、直接選挙で選ばれる大統領では十分に有り得る話だ。ルーマニアの民族構成はルーマニア人が八割を越えるが、ヨハニス大統領は少数派のドイツ系だ。ルーマニアの公用語はルーマニア語だが、この言葉は古代ローマで話されていたラテン語に近く、スラブ系とは全く異なる。イタリア語には似ていて、東北弁と九州弁が喋っているような感覚で、ある程度お互いが何を言っているのかがわかるという。ルーマニアは本来ローマニアと呼ばれるべきで、言語だけではなく様々な面で古代ローマを引き継いでいる。黒海に面するコンスタンツァはアムステルダムに次ぐヨーロッパ第二の港だが、この街の名前はコンスタンティヌス帝にちなんだものだ。第二次世界大戦後はソ連の影響下にあり、一時期はロシア語を強要されたが、ソ連崩壊後の今はロシア語は使われず、ルーマニア語の次は英語が話されている。
二〇一四年五月にバングラデシュのハシナ首相が日本を訪問、その直後の同年九月に安倍首相がバングラデシュを訪問した。この際両国で合意したのは、国連安保理の非常任理事国の立候補をバングラデシュが取り下げて、同じく立候補している日本のサポートに回るというものだった。その結果、見事日本は非常任理事国に選ばれ、今年、その任に就いている。日本の約四割の国土に日本を越える約一億六千万人の人が暮らすバングラデシュ。経済成長も目覚ましく、過去七年成長率は常に六%を越えている。日本はこれまでもバングラデシュに多大な援助を行ってきたが、バングラデシュ側も日本を一番の援助国として深い感謝の念を持っている。
極東国際軍事裁判、俗にいう東京裁判には十一人の判事がいた。インド代表だったパール判事は、バングラデシュのクシュティヤというインド国境に近い場所の出身だ。パキスタンはイスラム教徒の国だが、バングラデシュにはヒンドゥー教徒もイスラム教徒もどちらもいる。パール判事はヒンドゥー教徒だった。東京裁判において、他の判事が平和に対する罪と人道に対する罪で被告らを有罪とする中、パール判事だけは事後法による裁判はおかしいと無罪を主張した。判事の中ではパール判事だけが国際法の専門家だった。結局裁判はうわさ話まで取り上げる極めて不公平な形で結審した。実はパール判事はイギリス政府の極秘文書として、アメリカが日米開戦の十年も前から対日戦争を計画していたという証拠を持っていた。それもあって、彼は無罪を主張したのではないか。日本人はパール判事を尊敬し、靖国神社内に顕彰碑が作られている。また二〇〇七年にインドを訪問した安倍首相は、パール判事のご子息と懇談した。
バングラデシュに進出している日本企業は二百社を越える。株式会社光波のバングラデシュの子会社であるオプシードは、千人近くの従業員を雇用して、自動販売機に組み込まれるボタンなどを製造している。その他にも、ホンダ、三菱商事、丸紅、YKK、ソニーなど。ユニクロもバングラデシュに二つの工場を持っている。この国に日本企業が進出するのは、賃金が安く、労働者の質が高いことに加えて、労働力が豊富なためだ。国民の平均年令が二十五歳というのも魅力となっている。
先の大戦中、日本人がインドネシアに酷いことをしたと言うと、バリ島では現地の人にそれは考え違いだと怒られる。当時はインドネシアという国はなく、オランダ領東インドという植民地だった。そして教育の機会を奪われていたインドネシア人に教育を与え、オランダに挑むだけの知力・体力を授けたのは、日本人だ。それを知るバリの人々は、皆日本人に感謝している。またインドネシア独立のために尽力し、日本の敗戦によって解放の約束が果たせなかったことに責任を感じて自殺した三浦襄も尊敬を集めている。バリ島にある独立運動に協力した日本兵の墓標には、インドネシアの国旗の色をモチーフにしたリボンが飾られていて、遠くから見てもわかるようになっている。こういう事実を日本人は知るべきだし、教科書に載せて、子供達にも教えるべきだ。バリのヒンドゥー教と日本の真言密教の教えはぴったりと合う。宗教的にも日本とバリ島は、古くからの結びつきがある。
企業の七割が法人税を支払っていない。様々な優遇措置を経てほとんど税金を払っていない企業もあるが、企業活動の中で多くの社会インフラを利用している以上、応分の負担は行うべきだろう。さらに海外に本社を移すなどで税金を逃れようとしている企業もある。節税は良いが、脱税をしてはだめだ。
日本の存在感が世界的には薄れつつある。例年通り代表はラスベガスで年越しを行った。毎年ホテルのテレビでNHKの「紅白歌合戦」を観ていたのだが、昨年の大晦日にテレビをつけたところ、日本語のチャンネルがなくなっており、代わりに中国語や韓国語のチャンネルが増えていた。円安ということもあるが、日本人の海外旅行や留学が減少していることが大きい。ハングリー精神が足りなくなっているのではないか。
疑問を持たない大人を育てるのが日本の教育システムだ。常に答えは一つであり、答えが二つある問題を出題した教師は批判される。結果教えられたことをそのまま答えることが良いという感覚が身につく。しかし実際の世の中には、正解は無数にある。この教育システムはアメリカが日本を間接支配するために構築したものだ。冷戦終結から二十五年、日本はアメリカの影響から脱して独立自衛の国にならなければならない。まずは憲法改正だ。そのためには今年の参院選で自民党が勝たなければならない。衆参同時選挙ではなく、友党の公明党に配慮して時間差で参院選の前後一カ月程度で解散し、衆院選になるのではないか。しかし、なんとか衆参議員の三分の二の賛成で憲法改正の発議ができたとしても、その後の国民投票が大きな課題だ。投票権は十八歳からだ。若い人々にしっかりと真実を教える組織を構築していくべきだろう。