二〇二〇一五年三月十一日、恒例「日本を語るワインの会」が代表自邸にて開催されました。日本の「真の主権回復」の達成を目標に掲げる靖國會総代の湯澤貞氏、国内における不妊治療の第一人者の山王病院院長の堤治氏、堤治氏の奥様で自身も眼科医のつつみ眼科クリニックの堤篤子氏、世界でも有数の親日国・モンゴルの駐日大使館参事官のルンダー・ダワージャンガル氏、元産経新聞・フジテレビ記者のフリージャーナリストの宮田修氏をお招きし、最新のニュースやモンゴルに関して意見を交わしました。
 

視野を広く数字を重視してメディアの報道を検証する
イスラム国に囚われた湯川遥菜さんと後藤健二さんが殺害され、日本中が大騒ぎになった。しかしイスラム国はもっと多くの人々を殺し続けている。日本では日本人が絡むとニュースになるし、海外で事故や事件が起こると、必ず日本人が犠牲になったかどうかが報じられる。日本人が関わったかに関係なく、世界では悲惨なことが常に起きているのに、それにメディアは目を向けようとしない。また各メディアが異なる視点を持ち、どんな事象にでも賛否両論が出て、人々が様々な意見を知ることができるのが理想だが、日本のメディアは常に一色に染まった報道しかしない。しかもそれは、世界のメディアを牛耳るユダヤとアングロ・サクソンのフィルターを通ったものだけだ。日本の場合にはさらにプレスコードによるメディアの自粛も重なる。もっと異なる視点の報道が求められている。
 イスラム国など過激派の活動やシーア派とスンニ派の争いなどを見ていると、イスラム教に恐怖を感じる人もいるだろうが、キリスト教徒もかつて同様のことをしていたことを知るという、公平な視野が必要だ。十七世紀にヨーロッパで勃発した三十年戦争は、プロテスタントとカトリックの宗派対立だった。宗教色の強い国・アメリカでは、多数のネイティブアメリカンが虐殺された。オーストラリアでも、イギリスからの移民が「スポーツハンティング」と称して先住民族のアボリジニを虐殺して、絶滅に近いところにまで追いやった。数字をちゃんと見ることも重要だ。一九三七年の南京陥落当時の調査では、この街の人口は二十万人だった。また南京陥落から一カ月後の調査では、人口は二十五万人。五万人増えているのに、その間に三十万人が虐殺されたなどということはあり得ない。従軍慰安婦についても、朝鮮半島から二十万人が強制連行されたというが、そこまで多数の女性が連れていかれることに、男性達が抵抗したという記録が一切存在していない。これもあり得ないだろう。先の大戦での日本人の軍人・軍属の戦死者は二百三十万人だが、朝鮮半島の軍人・軍属の戦死者は二万人、台湾では三万人と日本人の約一%で、人口の違いはあるにせよ、朝鮮・台湾での戦死者の率が格段に少ないのは明らかだ。これは朝鮮・台湾での徴兵が遅かったからである。通常の植民地であれば、イギリスのグルカ兵のようにまず植民地の人間が前線に送られたはずだ。日本は朝鮮と台湾に多額のインフラ投資をし、ソウルと台北に大阪や名古屋より先に帝国大学を創設するなど、物心両面で地域的な発展を促進し、兵役も優遇したのだ。これは欧米の植民地政策とは全く逆である。

チンギス・ハーンは東洋人の英雄といってよい
収容所が実際に存在し、研究によって具体的な犠牲者数まで把握されているユダヤ人に対するホロコーストと、上海大学の朱学勤教授が「いわゆる南京大虐殺の被害者名簿は一人分もない」と論文で発表した様にその被害者数やそもそもその存在や実態について虚構が明らかな南京大虐殺や従軍慰安婦を同列に論じるのはおかしい。ドイツのメルケル首相が民主党の岡田克也代表に「従軍慰安婦問題をきちんと解決した方がいい」と言ったと報道されているが、そんなことを言われっぱなしなのは、岡田氏が親中派だからだ。日本の政治家であれば、きちんと日本の立場を説明すべきだろう。勝者が歴史を作るのは確か。日本が勝っていれば、マッカーサーや東京大空襲を行ったカーチス・ルメイなどは、A級戦犯で処刑されていただろう。しかしルメイは逆に、戦後航空自衛隊の育成に協力したことにより、日本から勲一等旭日大綬章を受けている。
 チンギス・ハーンは、東洋人でありながら十三世紀に中国から今のロシア、ウクライナまで及ぶ大帝国を築き上げた。アジア人の英雄と言っても良いだろう。世界の歴史は欧米がスタンダードを築いているので、チンギス・ハーンは過小評価されているが、日本では人気がある。モンゴルの人口は三百万人だが、これが三千万人なら、チンギス・ハーンの評価はもっと高かったはずだ。彼は帝国内の交通路を整備し、通信網も作った。治世にあたっては、反攻すれば叩きつぶしにかかったが、そうでなければ、それぞれの国の文化や習慣はそのままにした。世界でも有数の親日国であるモンゴルへは、夏なら毎日、冬でも週二回、直行便が飛んでいる。二国間で一番注目されているのは、モンゴル人力士の活躍だ。白鵬、日馬富士、鶴竜の三人の横綱をはじめ、ベテランの旭天鵬がいるが、これから有望なのは、やはり今をときめく逸ノ城だろう。少し先輩の照ノ富士にも期待がかかる。この二人はタイプは似ているが、照ノ富士の方が気が強く、陽気で冗談好きだ。そのふんどし姿が嫌われるからか、近年日本人で力士のなり手が減っているのが寂しい。
農耕民族の日本は長子相続遊牧民では末子相続
毛沢東も習近平も片親はモンゴル人との説がある。特に習近平は、モンゴル訪問時に自分の口から言っていたので、間違いないだろう。モンゴル人から見ると、モンゴルは元として中国を支配したことがあるが、その逆はない。モンゴルと同じ遊牧民族である満州族は、清としてモンゴルと中国の両方を支配していた。一九一一年の辛亥革命の時に、モンゴルは中華民国と共に独立したのだが、その後、中華民国に併合されることになる。今の中国の論理では、一度でも中国領になった土地は今でも中国領。その論理で言うならば、今の中国は全てモンゴル領。北京はフビライ・ハンが造った街だ。モンゴル人は馬を飼うことに長けているが、馬は牛と違って、雪の下の草を食べることができる。今のモンゴルの問題は砂漠化だ。社会主義国時代には二千五百万頭だった家畜の数が、今は六千万頭に増えている。この過剰な数の家畜が草を食べ尽くしている。多くの人々が商売の便を考えて幹線道路沿いに家畜を連れてきているので、特にこのエリアの砂漠化が激しい。社会主義時代には、国が井戸を掘って国民に与え、幹線道路沿いへの家畜の侵入は禁止していた。民主化の弊害が砂漠化という形で出てきている。
農耕民族である日本では長子相続が伝統的だが、モンゴルでは逆で末子相続が基本だ。年長者から結婚して家畜を分け与えられて家を出る。最後に残った末子が家を継ぎ親の面倒も見る。またモンゴルには特有のジェンダー問題がある。大学進学者の七割、医者の九割が女性なのだ。もっと男性を強くするか、各種試験に「下駄を履かせる」必要があるという。現在のモンゴルの出生率は約二・五だが、三十五年前には六を超えていた。豊かになると子供の数が減るのは万国共通だ。日本も女性が輝く社会を目指しているが、近年、結婚、出産を後回しにする女性が増え、初産年齢も三十歳を越えている。しかし四十歳を越えると妊娠しにくくなるという事実が知られていないことが問題だ。リプロダクティブ・ヘルスとは、子供を持つか持たないか、いつ持つか、何人持つかを決める自由を持つこと。日本では今二十七人に一人の子供が体外受精で生まれている。これは全国平均なので、東京だけで考えれば十人に一人が体外受精ではないか。不妊治療も働きながらではなかなか時間が取れない。産休も取りにくい。モンゴルでは産休は短くて九カ月、最長で三年まで。また雇用者は産休後に復帰する女性を必ず雇用しなければならないという法律がある。浦安市は卵子凍結事業に補助金を出し、市民の負担を軽減することを発表している。アメリカでは女性社員の卵子凍結に金銭的サポートを行っている企業もある。しかしそもそも精子は冷凍保存に強いが、卵子は弱い。冷凍により様々な倫理的な問題も発生する。この辺りの整理が今後の課題だろう。
戦艦大和の特攻は不条理陸軍悪玉・海軍善玉は誤り
マイクロソフトの共同創業者のポール・アレン氏が戦艦武蔵をフィリピンのシブヤン海で七十一年ぶりに発見した。深さ千メートルの海底での映像が公開されているが、武蔵であることは間違いない。武蔵と同型艦の戦艦大和は、一九四五年四月に航空戦力に守られることもなく、海上特攻として沖縄に向かい、坊ノ岬沖で沈没した。大和やその他の巡洋艦、駆逐艦を含め三千七百人もの命を犠牲にしてまで行う作戦だったかどうか、非常に疑問だ。海軍にA級戦犯がいないなど、旧日本軍では陸軍悪玉論が強いが、海軍も責められる点が多い。その一つが、海軍の暗号の七~八割がアメリカに解読されていたのに使い続けていたことだ。山本五十六大将の死も暗号が解読されていたことが原因だが、開戦前に「やれと言われれば初め半年や一年の間は随分暴れてご覧に入れる」と言っていた山本は、敗戦の色が濃くなる前にほとんど自決と言ってよい選択をしたのではないだろうか。結果、山本五十六は今でも軍神のように扱われているが、終戦まで生き長らえていれば、A級戦犯の謗りは免れなかっただろう。戦艦大和の特攻は、その後の本土決戦の一億総玉砕の先駆けだったのだろうが、乗り組む海兵にとっては非常に不条理なことだ。
 三月十四日に念願の北陸新幹線が開通し、人の流れが大きく変わることが予想される。アパホテルでも加賀市の片山津温泉にある佳水郷の改修を行い、最上階の部屋は全て露天風呂付の部屋とした。東京のアパホテルの稼働率も軒並み一〇〇%と好調だ。これはどのホテルも駅から二~三分の好立地に建てたからに他ならない。アパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉は、二〇一四年四月に五百室のウエストウイングを増築したが、さらに五百室増室して二千室のホテルとなる予定だ。四月からはアパホテルの第二期五カ年計画がスタートするが、この段階では海外でのアパホテルのフランチャイズ展開も視野にいれる。様々な国からオファーが来ているが、複数のホテルを一度に展開できるパートナーを求めて検証を行っているところだ。