Essay

輝かしい 日本の歴史を 取り戻そう

藤 誠志

中国・韓国を越えて日本は世界最大の反日国家だ

 昨年十二月にミャンマー、ブラジル、アルゼンチンを訪問し、さらに恒例となったラスベガスのホテル「ベラージオ」での年越しパーティーに参加した。これまで私は世界八十一カ国を訪問し、国王や大統領経験者など各国の要人達と真摯な議論を行ってきたが、どの国の人々も、過去と現在、いずれも日本を高く評価してくれていた。世界で反日を掲げる国は三つしかない。まずは中国だ。習近平国家主席は、先の大戦時に南京で三十万人が虐殺されたという虚構や、全く歴史的根拠のない尖閣諸島の領有の主張を繰り返す。しかし共産党政権が誕生できたのは日本軍が国民党軍と戦ったおかげであり、「南京大虐殺」は国民党・蒋介石の情報謀略戦の一環であることを充分に知った上で、強い日本の復活を抑え、自らの政権基盤強化が必要という理由からの主張である。尖閣諸島の領有を主張し始めた狙いは、海底資源が発見されたため、その資源の横取りと、太平洋への出口を確保して太平洋をアメリカと分割支配することにある。
 中国同様反日を掲げるのは韓国だ。これまでの韓国大統領は、退任後に汚職疑惑で批判され、逮捕されたり自殺したりした。李明博前大統領は実兄が収賄疑惑で逮捕されていて、退任すれば間違いなく逮捕されると目されていたが、退任直前に大統領としては初めて不法占拠している日本領土の竹島に上陸し、天皇陛下を貶める発言(天皇が『痛惜の念』などという良く分からない単語を持ってくるだけなら、来る必要はない。韓国に来たいのであれば、独立運動家を回って跪いて謝るべきだ)をすることにより、愛国者を装って逮捕を逃れた。これを教訓に、朴槿恵大統領も自分では全く信じていない荒唐無稽な、二十万人の朝鮮人女性が日本軍の強制連行によって性奴隷になったという主張を繰り返している。彼女の父親である朴正煕元大統領は、日本の陸軍士官学校に留学した満州国軍の軍人であり、対日参戦したソ連とも戦った根っからの親日派だ。これがあるために、朴槿恵は極力親日と思われないよう、わざと極端な反日を装って愛国者と思わせている。そして三カ国目の反日国は、誠に残念ながら日本だ。その反日度合いは三つの国の中で最も強い。
 日本内部に反日勢力が多い原因は、占領下の日本のメディアにアメリカが課したプレスコード(新聞編集綱領)を、メディアが今でも自主規制として守っていることと、戦後敗戦利得者から東大法学部出身者のエリートネットワークであるステルス複合体に、「アメリカの間接支配のための尖兵」としての役割が引き継がれてきたためだ。本当のことを報道すれば、皆が保守になるのだが、プレスコードに縛られたメディアは本当のことが分かっているのに言えない。また日本の歴史学界もおかしい。コミンテルンのアメリカ潜入工作員(スパイ)の暗号通信を解読したベノナファイルなどで、新しい真実が次々と発見されているのに、一度確定した「定説」を決して変えようとしない。
 習近平、朴槿恵などと同様、世界の指導者(リーダー)は、真実や自らの信条とは別に、イデオロギーや宗教、国家・国益のためには、「嘘もつくし、人も殺し、大量虐殺もする」というのが国際社会の常識である。その際たるものが、原爆投下だ。アメリカは、ドイツが原爆開発しているとの情報に恐れを抱き、議会機密費で亡命ドイツ人科学者などを使って原爆開発を開始した。アメリカは「敵の敵は味方」と、対ドイツ戦争に勝利するために膨大な軍事援助をアメリカの軍需産業などの求めるままにソ連に与え、モンスター(軍事大国)を作り出してしまった。そしてドイツとの戦いに勝利する目途が見え始めてきた時から戦後ヨーロッパの支配を巡りソ連との対立が深まり、対日戦争に勝利すればその後は世界赤化のための第三次世界大戦へとなだれ込み、一千万人以上の戦死傷者が出るかも知れないことを恐れて、日本に対して天皇制の存続を曖昧にして、原爆投下するまで一斉の終戦工作を無視し続けて、ウラニウム型とプルトニウム型の二つの原爆を広島と長崎に投下。実戦で使用して、その絶大な破壊力を見せつけ、第三次世界大戦を冷戦としたのだ。「正しいことを主張していれば報われる」というのは誤りで、世の中は基本的には邪悪なのだ。ナイーブ過ぎる日本人には、これに対抗する自覚が必要だろう。

ITの積極的な活用で真の民主主義を目指せ

 大手新聞社が傘下にテレビやラジオを持つ日本のメディアは、世界のメディアを牛耳るアングロサクソン&ユダヤの通信社の、「報じても良い」フィルターを通った情報しか流れず、プレスコードに縛られる新聞社によって、全体が情報統制を受けている状態だ。だから欧米寄りの報道が流れる一方、イスラム諸国などからの見方が報じられることはほとんどない。この旧来の情報の偏りを打破するのが、IT技術の浸透だ。インターネットを使えば、イスラム世界からの主張など、アングロサクソンやユダヤのバイアスが掛かっていない世界中の情報を集めることができる。個々人がマスメディアや偏った教科書などの縛りのない情報を自らの頭で理解することが重要だ。その結果、考えを同じくする人が集まって政党を作り、議会で多数派となった政党が政権を獲得するというのが、民主主義の基本だ。しかし今は、マスメディアが世論を誘導するという、歪んだ民主主義になっている。アメリカの精神的占領支配から逃れて、真の民主主義を目指すため、ITを活用して一人ひとりの国民が真実を追求していくべき時代になったのだ。
 第一回「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀賞を獲得した田母神俊雄氏の論文は、このように結ばれている。「人は特別な思想を注入されない限りは自分の生まれた故郷や自分の生まれた国を自然に愛するものである。日本の場合は歴史的事実を丹念に見ていくだけでこの国が実施してきたことが素晴らしいことであることがわかる。嘘やねつ造は全く必要がない。個別事象に目を向ければ悪行と言われるものもあるだろう。それは現在の先進国の中でも暴行や殺人が起こるのと同じことである。私たちは輝かしい日本の歴史を取り戻さなければならない。歴史を抹殺された国家は衰退の一途を辿るのみである」。正にこの通りだ。

歴史の真実に目を向け祖国に対して誇りを

 私は靖国神社が発行している社報「靖国」の三月発行号に掲載する原稿の執筆を求められ、以下のような原稿を書いている。掲載前の原稿で、「靖国」に掲載される時には、若干変わるかもしれないが、ひと足早く読んでいただきたい。

真の近現代史を知り、祖国に誇りを取り戻せ

 毎年終戦記念日には靖国神社へ参拝しているが、昨年の終戦記念日はこれまでにない数の参拝者で溢れ、特に若者や女性の姿が目立った。百田尚樹氏の著書『永遠の0(ゼロ)』が大ブームとなり、さらにこれが映画化されたことによって、これまで戦争や特攻に対して無知、無関心であった人々が、先の大戦の意義や、特攻隊の方々の祖国や家族への強い思いを知り、英霊に対して尊崇の念を感じて靖国に参拝するようになったと思われる。戦後の自虐史観から覚醒し、自ら歴史の真実に目を向けようとする若者が増えてきたことは、大変喜ばしいことである。
 今年で戦後七十年を迎えるが、アメリカによる巧みな占領政策と、それを受け継いだ戦後敗戦利得者である反日日本人によって、戦後一貫して歴史の真実は歪められ、自虐史観に基づく教育と反日報道が行なわれ、戦後の日本人の中に、自虐史観が植え付けられた。私はこの自虐史観の呪縛を解き、「誇れる国、日本」の再興を目指すため、二〇〇八年に「真の近現代史観」懸賞論文制度を創設し、第一回の最優秀賞に当時現役の航空幕僚長であった田母神俊雄氏が受賞したことが大きな話題となった。田母神氏の「日本は良い国だった」と主張した論文は、「現役自衛隊幹部が政府見解に反する論文を発表した」としてメディアのバッシングを受け、末期的状態にあった麻生自民党政権によって田母神氏は更迭されて自動的に退職に追い込まれた。当時と今日とを比べると、この六年間で歴史認識や祖国に対する誇りという点で、世論に大きな変化が起こったと感じている。竹島・尖閣問題で多くの国民が憤り、第二次安倍内閣が誕生し、『永遠の0(ゼロ)』ブームが起こったのも、田母神氏の登場をきっかけとして、日本の保守化が進んだからではないかと見ている。
 一八五三年六月のペリー来航からの日本の近現代史を振り返ると、当時既に世界の多くの地域が西欧列強の植民地にされ、その波がヨーロッパから最も遠い「極東」にまで及んできたことに対する危機感の中で、日本が独立国家として存続していくための戦いの連続だったと言える。当時日本の知識階級達は長崎の出島のオランダ人を通じて、アフリカ、中南米、アジアなど有色人種国の植民地化、アヘン戦争後の中国の悲惨な結果などを聞き、最後の有色人種の独立国日本が植民地化されれば、有色人種の世界はこの先数百年にも亘って植民地支配を受け続けてもおかしくないという危機感を持っていたのである。朝鮮半島の独立を巡る日清、日露戦争を経て、日本は列強国の仲間入りを果たしたが、日本が白人国家ロシアを破ったことは、植民地支配を受けていた有色人種に大きな希望を与えた。さらに一九一九年には、日本は国際連盟において、人種的差別撤廃を連盟規約に挿入することを提案した。同年四月十一日、採決が行われ、多数の賛成を得られたが、議長であったアメリカのウィルソン大統領が全会一致を主張したため採択されなかった。このように日本は白人支配の世界の中で、いち早く人種平等を世界に向けて主張していたのである。しかしこうした誇れる歴史を戦後教育の中で教えられることはほとんどない。
 さらに先の大戦において、日本はアメリカとの戦争を望まずギリギリまで対米交渉に向けて努力を続けたが、戦争をしないと公約して三選を果たしたルーズベルト大統領がヨーロッパ戦線に裏口から参戦するために、海軍や外交の暗号を解読し日本の手の内を全て知った上で、日本に最初の一撃を打たせるよう、謀略によって日本を追い込んでいった。軍令部総長の永野修身が「戦わざれば亡国必至、戦うもまた亡国を免れぬとすれば、戦わずして亡国にゆだねるは身も心も民族永遠の亡国であるが、戦って護国の精神に徹するならば、たとい戦い勝たずとも祖国護持の精神が残り、われらの子孫はかならず再起三起するであろう」と御前会議で発言したように、日本は祖国の誇りを守り、植民地支配を受けていたアジア諸国を解放するためにやむなく戦ったのである。日本は戦争に負けたが戦争の目的は達せられたと言われるのは、日本が宗主国である白人国家と戦ったことで、戦後白人による植民地支配が終焉し、数多くの有色人種国家が誕生したからである。
 一方、大戦末期にはソ連による世界赤化の脅威が高まり、アメリカは議会機密費で密かに開発を進めてきた原爆を日本に対して使うことで、大戦後の覇権を握ろうとした。ソ連や国民党政府の蒋介石、バチカンなど数々のチャンネルを使って終戦の意思を伝えていた日本、天皇制の存続が唯一の条件である日本に対して、その回答を曖昧にして時間稼ぎを行い、原爆実験が成功したところでポツダム宣言を出し、事前に一切通常爆弾での空襲を行っていなかった広島と長崎に、ウラン原爆とプルトニウム原爆の二つの異なったタイプの原爆を投下し、その効果を確認した。また原爆だけが非道な兵器ではないことを示すために、一九四五年三月十日の東京大空襲で、一晩で十万人もの民間人を虐殺した。
 無抵抗な民間人を原爆で虐殺した以上、アメリカが正義の国であるためには、日本が悪の国でなければならない。そのためにアメリカは、国府軍が主張する虚偽の南京三十万人大虐殺説を東京裁判に持ち出して松井石根大将をB級戦犯として処刑し、日本軍が朝鮮女性を二十万人強制連行して性奴隷にしたなどと主張する韓国を支持している。さらに、検閲による日本人の洗脳も行われた。終戦から一カ月後の一九四五年九月十八日、鳩山一郎の「原爆使用は国際法違反」という談話を掲載した朝日新聞に対して、GHQは二日間の発行停止処分を下し、その翌日に三十項目からなるプレスコードを出した。破格の高給で雇われた四千人もの日本人検閲官がこれに従い、新聞、ラジオから出版物、個人の手紙二億通もチェックし、徹底的に思想を統制した。戦時中の日本の検閲とは異なり、検閲に引っかかったものは墨塗りなどでは許さず再印刷となり経費がかかる為、出版社や新聞社は自主規制をする傾向が強くなっていった。言論統制が行われたことは秘密とされたが、冷戦が終結してソ連が崩壊し、機密情報が流出したり、アメリカが情報を開示したりすることによって、だんだん真実が明らかになってきている。にもかかわらず、日本のメディアは未だに検閲官の名簿を報ずることもなくプレスコードを自主規制として守っており、東京裁判史観に沿う報道しか行わない。
 私は昨年十二月に、ブラジル日本会議の徳力啓三理事長の招きにより、ブラジル・サンパウロを訪れ、講演を行ってきたが、ブラジルの日系人の方々と話すと、そこには古き日本精神が色濃く残っていることを強く感じた。ブラジルでは日本のような反日教育や反日報道が行われていないため、戦後七十年経ってもなお日本精神が失われていない。
 かつて日本は天皇を頂点とする大家族国家であり、戦前の日本では家督相続制の下、長男が家のすべてを相続するかわりに両親をはじめ一族の面倒を見ることが当然のこととされていた。現在、核家族化と高齢化を背景に老人の孤独死が問題となっているが、私は現代社会の中でも孤独死は最も不幸なことの一つであると感じている。戦後の平等相続制度と個人主義教育によって家族は分断され、親の面倒を社会保障制度に委ね、子は自らの責任を放棄する傾向にある。本来「私」がやるべきことを「公」に任せようとしてきたことが、社会保障制度を肥大化させ、財政問題を引き起こしている。日本の良き伝統が戦後失われたのも、戦時中に見せた日本精神に対してアメリカが恐怖心を持ち、占領政策の中で、再び日本が立ち上がれないよう精神的に解体してきたためである。
 二〇一二年十二月に第二次安倍政権が誕生して以来、近隣諸国に対して一定の配慮はしつつも、国際社会に対して日本の立場を堂々と主張してきた。いわゆる「南京大虐殺」や「従軍慰安婦強制連行」などの歴史の捏造に対して、政府として反論するようになったことは大きな進歩である。昨年十一月に衆議院解散に打って出た安倍自民党政権は大勝し、安倍総理は党内基盤を固め、長期政権への準備は整った。安倍総理は一月五日に年頭記者会見で、戦後七十年談話に言及したが、早速アメリカから「村山談話」を継承するよう注文が付いた。上下両院で共和党が多数派となりレームダック化したオバマが大統領である間に「戦後レジーム」からの脱却への足掛かりを作るためにも、「村山談話」「河野談話」に囚われず、真実の主張をしていくべきだ。弱い大統領であるオバマの間に主張すべきことを主張し、次期大統領との交渉につなげていけばよいのである。次期の大統領は多分共和党で強い大統領となると思われるが、膨張してくる中国を抑えて東アジアの平和と繁栄には日本の軍事力で力のバランスをとる必要があると共和党大統領は理解するであろう。
 戦後日本の経済的繁栄は、これまで祖国のために命を落とした多くの英霊の犠牲の上に成り立っている。自虐史観に基づき日本の歴史を貶めることは、我々の祖先を貶めることでもある。戦後七十年を機に、我々日本人が、靖国神社に祀られる英霊への尊崇の念を抱き、改めて歴史の真実に目を向け、祖国に対して誇りを持てるようになるためにも、私はこれからも事業以上に言論活動に力を入れていきたい。

2015年01月19日(月)23時00分校了

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