二〇一五年一月十四日、恒例「日本を語るワインの会」が代表自邸にて開催されました。伝統的に日本との友好関係を築いてきたエルサルバドル大使のマルタ・リディア・セラヤンディア・シスネロス氏、東北大学に留学して博士号を得たアルバニア大使のブヤール・ディダ氏と令夫人のレコ・ディダ氏、日本を代表する経営者へのインタビューを行うTOP CONNECT代表取締役社長・内田雅章氏、ITベンチャーとして急速に成長を続ける株式会社DYMの取締役新卒紹介事業部長・沖之城雅弘氏をお迎えし、年明けから激しく動く世界情勢について意見を交わしました。
 

今、日本の景気は大幅に良くなってきている
第二次安倍政権が誕生してからの二年で、日本は大きく変わった。新聞はアベノミクスの悪口や景気に対する悲観論を懸命に報道しているが、実際には日本の景気は大幅に良くなっている。GDPの数値(七月~九月)がマイナスだったのは、住宅建設が止まってしまったことの影響だ。止まった理由は、東日本大震災による福島原発事故の放射能を一ミリシーベルト以内に除染するとか、津波対策の堤防の建設、その他復興のための建設ラッシュとなっている東北からの出稼ぎ労働者が様々な手当等がついて給料が良いということもあって、出てこなくなってしまい、人手不足となったからだ。ただ人手不足なのは全分野ではない。建設現場でも土建工や型枠大工・鉄筋工など単純な仕事では人手不足だが、他の仕事では工事量が減って人手が余ってきている。結局はこの人手不足によって建築費が急騰し、マンションの新規建設が半減したことが、GDPマイナスの大きな要因であり、消費税増税の影響というのは少ない。マスメディアの報道では、行間を読まなくてはならない。
日本人は中国にも韓国にもアメリカにも、さらに東北にも沖縄にも「慮って」、本当のことを言わない。ニュースは悪いことしか報道しない。これは国民がいいニュースを聞きたがらないことにも原因がある。だから日本がすでにデフレを脱却しているのに、それを報道しない。年間八百九十万人が宿泊し、都内ホテルの平均稼働率が九九・二%にも達しているアパホテルの好業績が、日本の好況を証明している。多くのニュースは事実を報じるというよりも、報じ手の方向性や意図が先に決まっていて、それに合わせた取材をしているだけだ。そしてメディアは既得権益勢力と結びついている。新興企業は突き抜けて誰にも文句を言われない存在になるまで、この体制と戦わなければならない。
フランスの風刺漫画新聞社への攻撃から始まった一連のテロで十七名が亡くなり、これに抗議する三百万人もの規模のデモが行われた。しかし中国では、チベットやウイグル(東トルキスタン)でのテロやそれに対する弾圧でもっと多くの人が死んでいるのに、中国が情報を遮断していて全くニュースにならない。本来公正な報道を行わなければならないのに偏向報道が目立ったNHKだが、最近籾井勝人氏が会長となり、経営委員に百田尚樹氏が入るなどで徐々に変わってくるだろう。

ギリシャがEUから追い出されることはない
安部首相の就任によって日本が変化したのと同様のことが、今アルバニアでも進行している。二〇一三年六月の選挙で政権交代が起こり、九月に新しくエディ・ラマ首相が就任した。ラマ首相は安部首相同様に経済成長戦略を前面に押し出し、ギリシャに端を発したヨーロッパ危機を上手く切り抜け、さらに成長を加速させようとしている。この四年間でアルバニア経済の成長率は落ちたが、マイナスには至らなかった。経済成長に寄与しているのは、企業に対して融資から税務まであらゆることを一箇所対応する民間の「ワンストップショップ」が数多く作られたことだ。またラマ首相もやる気まんまんで、アルバニアは一層の成長が期待できる。
年明けすぐ、今月末に行われるギリシャの総選挙の結果次第ではドイツがギリシャのEUからの離脱を容認するのでは? という報道が行われた。元々通貨マルクが強かったドイツだが、ユーロ参加により弱い他のヨーロッパ通貨と一緒になって通貨が弱くなることが輸出に有利に働き、これがドイツの経済成長の原動力となってきた。一方放漫経営とも言える財政を行ったギリシャはすっかりEUのお荷物となっている。しかしギリシャのEUからの切り離しは現実的ではない。代わりに外貨交換の凍結などなんらかの経済活動の制約を受けるだけに留まるのではないだろうか。
そもそもEUは、冷戦後に誕生したアメリカの一極世界支配体制に対抗して作られたものだ。そのためイギリスは消極的で、ドイツとフランスが中心だ。しかしこれもフランスが核を保有しているからこそ、可能なことだ。イギリスも核を保有しているからこそ、EUに対する独自の距離感を保つことができるのだろう。アメリカが徐々に手を引こうとしている東アジアでも、日本の核保有によってバランスが保たれるはずだ。核兵器は使用できない兵器だが、戦争抑止力としての役割がある。東アジアの安定のためには、かつての大東亜共栄圏のような経済圏を作ることが必至だが、そのためにも中核国となる日本には核武装が必要だ。しかしアメリカは絶対にこれを認めない。日本はNATO諸国では行われているアメリカからのレンタル核である「ニュークリア・シェアリング」を導入することを、アメリカに要求するべきだ。強制的予算削減法に基づき毎年軍事費を大幅に削減しているアメリカは、アジアでの肩代わりを日本により求めてくるはずだ、この過程で、ニュークリア・シェアリングによる核武装を日本に認める可能性は高い。
真の独立国家にならないよう日本を牽制するアメリカ
エルサルバドルが世界に誇るのは、内戦の終結の方法だ。一九七九年に勃発した政府軍とゲリラ勢力との内戦は、七万五千人もの犠牲者を出したが、双方歩み寄りによる対話によって一九九二年一月十六日に和平協定が結ばれ終結した。これは世界紛争の模範的な終結方法と言われ、毎年一月十六日にはエルサルバドルで記念式典が行われている。この内戦には当然東西冷戦の代理戦争という側面があった。しかし双方の対話はベルリンの壁が崩壊する前から行われた。大きかったのは、政府側が最初、「犯罪者」とか「テロリスト」と看做していたゲリラ勢力を、次第にいい国を目指しているが政治的な活動の余地がないために軍事行動に出た人々と考えるようになったことだ。メキシコやフランスなどの協力によって対話が進み、和平へとこぎつけた。ただ残念なのは、この和平協定の少し前からユーゴスラビア紛争が勃発し、エルサルバドルはまだまだ援助が欲しかったのに、世界の注目がヨーロッパに向いてしまったことだ。アルバニア人がいつも違和感を感じるのは、国の名前を言うといつも「ああ、旧ユーゴスラビアですね」と言われることだ、アルバニアは以前からアルバニアでユーゴスラビアではないのに。ロシアに対して「旧ソ連ですね」とわざわざ言う人はいないだろう。少し腹立たしさを感じる。
昨年十二月にアメリカとキューバが国交正常化交渉を行うことが突然発表されて、世界を驚かせた。しかし以前代表がフィデル・カストロに会った時に、彼はできればアメリカとは仲良くしたいと言っていた。様々な形で行われていた交渉が、ようやく実を結んだということだろうか。アメリカは安倍首相がロシアに接近することを恐れて、日本に忠告したと言われている。アメリカは日本が真の独立国家になることを望んでいない。いつまでも支配下の同盟国家としていたいのだ。
二〇二〇年に目指すべきは外国人観光客三千万人だ
来年(平成二十八年)九月開業予定のアパホテル〈広島駅前大橋〉は、七百二十七室を持つ中四国最大のホテルとなる。広島に大きなホテルを建てることには、しっかりとした読みがある。日本は今、観光立国を目指している。海外からの旅行者が増えれば、従来から人気の東京、京都に加えて、世界では日本にしかない被爆地である広島と長崎に、「再び惨劇を起こさないために」と多くの外国人が訪れることになるだろう。二〇一〇年、アメリカのルース駐日大使が、大使として初めて広島の平和記念式典に参列したが、この先オバマ大統領自身が広島・長崎に訪れる可能性も高い、そうすればアメリカ人も行きやすくなり、どんどん観光コースに組み込まれることになるだろう。それを見越しての、広島での大型のアパホテルの建設なのだ。駅前で便利、川沿いで景色も良く、大浴場もある。十五階建てと高さはさほどでもないが、敷地が非常に広いのが特徴だ。
貧しい国が豊かになる過程において、様々な産業が生まれる。資源のない国でまず発達する産業は、安い賃金を生かし、輸入した原材料で工業製品を作って輸出する加工貿易だ。日本も中国もこの道を辿ってきたのだが、豊かになり賃金が上昇するに従って、サービス業の割合が上昇してくる。その最たるものは、年間八千万人もの外国人観光客を迎え、巨大な観光産業を抱えているフランスだ。昨年の訪日外国人旅行者数が一千三百万人を超えたことが話題になった、政府は二〇二〇年の東京オリンピック時には年間二千万人の外国人旅行者を目標としているが、フランスを考えればそれでは少なすぎる。日本は治安が良く、美味しく調理された世界中のどんな料理でも不安なく食べることができ、交通機関も時間通りに運行される。日本人は当たり前だと思っているが、こんな国は世界の他にはない。二〇二〇年には二千五百万人、いやがんばれば三千万人の外国人観光客を迎えることができるようになるだろう。これを考えると、東京にはまだまだホテルが足りない。
昨年十二月の衆議院議員選挙では、勝兵塾から二十五人の候補者に推薦状を出し、そのうち十七人が当選した。自民党、次世代の党はもちろん、民主党から維新の党まで党派を問わず、ただ「日本派」の政治家であることが条件だ。国会でも地方議会でも中国派、アメリカ派ばかりで、まだまだ日本派の議員は少ない。これから行われる統一地方選にも、現愛知県知事の大村秀章氏など日本派の政治家には積極的に勝兵塾は推薦状を出していくつもりだ。