二〇一四年八月十九日、恒例「日本を語るワインの会」が代表自邸にて開催されました。愛知県をさらに活気のある県にするべく奔走する愛知県知事の大村秀章氏、幅広い人脈を活かした事業を展開するヒューマンコーディネーターの内田雅章氏、二名で営んでいた豆腐店をわずか十年で社員数二百五十人の豆腐メーカーへと成長させた株式会社染野屋代表取締役の小野篤人氏、社会で即戦力となる学生育成事業を手がける株式会社秀實社代表取締役社長の髙𣘺秀幸氏をお迎えし、歴史から事業まで幅広いテーマで語り合いました。
世の中保守化傾向が顕著になってきた。二〇〇八年、アパグループ主催の「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀賞を獲得した田母神俊雄氏が航空幕僚長から更迭された時には、その田母神論文の全文を広告として産経新聞に掲載した代表に対して、政府見解に反する論文の表彰式を取り止めろとかパーティーを中止しろと抗議の嵐が起こった。朝日新聞は一面トップに「アパ代表選考主導」「採点に参加・最高点」と批判記事を書いた。この八月、朝日新聞が従軍慰安婦問題に関する大誤報を認めたことに対し、代表が謝罪会見を開かなければ朝日新聞への広告掲載する予定がないと表明したという記事が夕刊フジに掲載された。これに対して今回は、「すっきりした!」と賞賛・激励の声ばかりが多数寄せられている。朝日新聞の対応の一番の問題は、謝罪が一切ないことだ。自民党の小池百合子議員も代表と全く同じ主張をしていて、党の広報本部長として、謝罪を行わない朝日新聞への出稿は検討したいとしている。ネットニュースやSNSなどで情報を得る人が多くなり、新聞を読む人が減ってきている。ただでさえ、購読者数の減少から新聞各社台所事情は苦しいはずだが、この誤報で大幅に購読者を減らした朝日新聞は、かなり経営状況が悪化しているだろう。政治家や通常の企業は、反撃が怖くて大メディアにはなかなか逆らえない。しかし一般消費者がお客様であるアパグループを率いる代表は、自由にモノを言うことができる。首都圏のアパホテルの稼働率は、どこも一〇〇%。保守層を中心にアパホテルファンは確実に増えている。六年前は余計なことを言うと商売に響くと警告されたが、今は真逆だ。田母神騒動で多くの人が目覚め、世の中が保守化したために、安倍首相が再登板することができた。代表の長年の主張がようやく認められてきたのだ。
トヨタのある愛知県は、自動車産業が県の経済を牽引している。しかしこれから伸びる余地が大きいのは、航空機産業だ。愛知県内には三菱重工の工場が五つ、川崎重工の工場が二つある。どちらもボーイング社の航空機の部品を作っている。川崎重工はボーイング七八七の胴体を担当。これには初めて炭素繊維が使用され、結露しない胴体が可能になった。結露しないため、機内の湿度を地上と同じまで上げることができ、空気の乾燥に苦しむことがなくなる。これは日本の技術で初めて可能になったことだ。飛行機の命である七八七の主翼は、三菱重工が作っている。ボーイング七八七はすでに九〇〇機の受注があるベストセラー機材だ。そのかなりの部分を日本のメーカーが製造しているのである。手を出せていないのはエンジン。ここはイギリスのロールスロイスや、アメリカのGEアビエーション、プラット アンド ホイットニーが強い。日本製の軽量エンジンが採用されるようになれば、八〇%を日本のメーカーが作ることになる。
先の大戦直後、アメリカは日本の航空機の開発・製造を禁止した。昨年映画「風立ちぬ」の主人公となった堀越二郎は東京帝国大学航空学科を卒業し、三菱重工に入って名古屋でゼロ戦を開発した。このように、戦前戦中は最高の技術者は航空機産業に入っていた。しかし開発が禁止された戦後は、多くの優秀な技術者が自動車産業へと流れていった。だから自動車産業が大きく勃興したのだ。しかし製造業の最高位は、やっぱり航空機産業だ。トヨタクラウン一台に必要な部品点数は約三万点だが、航空機一機に必要な部品点数は機体の大きさに拘らず約三百万点だ。この膨大な部品を、システマチックに作り、組み立てることが、製造業としての実力である。一九五六年に航空禁止令は全面解除され、一九六四年から十一年間、国産飛行機のYS‐一一が名古屋で百八十機製造されたが、結局大赤字で撤退した。赤字の原因は、世界の航空機マーケットではマーケティングとアフターメンテナンスで、ボーイングやダグラス、ロッキードなど世界の競合には全く歯が立たなかったからだ。
今愛知県の三菱重工で開発が進んでいるのが、MRJ(三菱リージョナルジェット)だ。五十年ぶりとなるこの国産旅客機の開発・販売には、YS‐一一の教訓も活かして、様々な工夫がされている。まずこのMRJは席数百以下の小型ジェット機だということ。これで百席を超える大型機を得意とするボーイングやエアバスとは棲み分けを行うことができる。この小型ジェット機で強いのは、カナダのボンバルディアとブラジルのエンブラエルという航空機メーカーだが、三菱重工はここに挑戦状を叩きつけることになる。マーケティングとアフターメンテナンスについては、長年の部品製造で信頼関係を深めてきたボーイングのネットワークを活用する。MRJの開発費は一千八百億円。内、国が五百億円、三菱重工が六百億円、残りを他の企業からの出資で賄おうという計画だ。トヨタ自動車も百億円出資している。デビューまで三回もの延期を重ねたMRJだが、ようやく機体が完成し、六月にはエンジンの搭載も完了した。秋には一号機のお披露目の初飛行が行われる予定だ。さらに年明けには、試作機が五機作られる。アメリカでも試験飛行が行われるという。
小型ジェット機とはいえ、MRJの全長は約三十六メートル、翼の幅は約二十九メートル、高さは十・四メートルの大きさだ。本格量産工場の用地は、県営名古屋空港の近くに確保されている。この工場は見学可能に。またMRJが飛ぶところも、見られるようにする計画だ。さらにまだ自衛隊機として現役のYS‐一一も、自衛隊の協力を得て県営名古屋空港に持ってきたり、航空博物館も作るなど、この工場を中心に様々な航空機産業体験ができるエリアとなる。その目玉にと、今ゼロ戦復活の構想が練られている。名古屋の工場で、海軍の戦闘機であるゼロ戦は五年間で一万機作られた。これは陸軍の隼の五千機の倍だ。三菱重工の小牧工場の資料室に一機、ヤップ島で見つかったものを修復したゼロ戦が展示されている。ここにはロケットエンジンの戦闘機である「秋水」もある。旧日本軍はロケット機やジェット機など、世界的にも画期的な兵器をいろいろと開発していたのだ。ゼロ戦の設計図は三菱重工に全て保管されている。だから一から製造しようと思えば、作れるはずだ。日本のものづくりの原点を知るためにも、ゼロ戦復活が期待される。
MRJは現在三百八十機が受注済。採算ラインの五百機まではもうすぐ。最終的には千五百機に達する見込みだ。世界的に航空機の需要は増えている。BRICSの台頭などで、多くの人々の所得水準が上昇していて、飛行機を利用する人が増えているからだ。ボーイング七四七のような四発エンジンの機体は効率が悪く、今の主流は二発だ。一発では故障すれば終わりだが、二発になると同時に故障する確率はかなり低いので、一発よりも格段に安全性が高まる。また航空機のエンジンは下半分の構造が弱く、万が一爆発した場合には、下に破壊力が向かうようになっている。これは主翼を傷つけないための工夫だ。
これから製造業で期待できるのは、航空機産業と電気自動車産業だ。また愛知県ではH‐Ⅱ、H‐ⅡAロケットの製造も行われていて、船で種子島まで運ばれている。日本の弾道技術は非常にハイレベルで、次のH‐Ⅲロケットの研究も既に始まっていて、二〇二〇年の初打ち上げを目指して、準備が進められている。
最近航空機の事故が続いたが、中でも三月に消息を絶ったきり、破片すら見つからないマレーシア航空三七〇便は、ミステリーだ。アメリカは何かを知っているかもしれないが、搭乗していた人物に絡んで、何らかの工作が行われたのかもしれない。一九六三年のアメリカのケネディ大統領暗殺は、産軍複合体がベトナム戦争を拡大するべく、傀儡のジョンソン副大統領を無選挙で大統領にするためにCIAを巻き込んで行った国家テロとの説もある。もう一つ、ケネディが暗殺された理由は、カトリックだった彼が、アメリカの伝統的な支配層であるWASP(ホワイト、アングロサクソン、プロテスタント)ではなかったからだという人もいる。歴代のアメリカ大統領の中でWASPではなかったのは、ケネディと現職のオバマ大統領だけだ。しかし今年七月、キニピアック大学の世論調査で「第二次大戦後最悪の大統領」に選ばれたオバマは、すでに死に体だ。今更暗殺しようという人は、いないだろう。シリア問題に際して「アメリカは世界の警察官ではない」と明言したオバマ大統領によって、どれだけ世界が混乱したか。中国が強引な海洋進出を続けているのも、アメリカがこれを厳しく責めず、黙認しているからだ。このように米国民主党は往々にして中国寄りのスタンスが露骨になる。安倍首相の靖国参拝に対する「失望した」発言もそうだし、四月の来日の後、韓国でオバマ大統領は慰安婦が人権問題だと、的外れな発言をしている。彼は自国の公文書館に、慰安婦は戦時売春婦にすぎないと結論づけている一九四四年のレポートがあることを知らないのだろう。明らかに勉強不足であり、日本もプロパガンダが弱すぎる。次の大統領にヒラリー・クリントンが当選し、再び民主党政権になることは日本にとって悪夢だ。親日的な共和党政権が誕生することを期待したい。