朝日新聞デジタルで「百田尚樹氏の都知事選演説に米国務省『不合理な示唆』だと反論」という記事が出ている。「作家でNHK経営委員の百田尚樹氏が三日の東京都知事選の田母神俊雄候補の応援演説で、米軍による原爆投下や東京大空襲を批判し『東京裁判は大虐殺をごまかすための裁判だった』などと述べたことについて、米国務省の報道官は七日、『不合理な示唆だ。日本の責任ある立場の人々は地域の緊張を高めるようなコメントを避けることを望む』と反論した」という。東京裁判についての百田氏の指摘は、近年明らかになってきている「真実」であることに間違いはない。
小泉純一郎氏の退陣後、六年間で安倍・福田・麻生・鳩山・菅・野田と一年前後で六人の首相が替わる時代が続いたが、再登板の安倍首相は瞬く間に株価を倍増させ、二十年間続いたデフレ脱却への道筋をつけ、東京オリンピックの招致にも成功、多くの人々に希望と元気を与え、「年替わり」に終止符を打った。またアメリカに対しては第一次安倍政権時の反省から迂回戦略をとり、経済政策を重視し、これまで話題とならなかった所から保守化戦略をとり、日本版NSC、特定秘密保護法、仲井真沖縄県知事に辺野古埋め立てを承認させるなど、日米連携の強化を着実に進めてきた。自信を深めた安倍首相が、昨年八月六日の広島の平和記念式典において、駐日アメリカ大使の前で、歴代首相として初めて原爆投下を「非道」と言い切ったのは見事だ。そして十二月二十六日には、第一次安倍政権時に実現できなかったことを「痛恨の極み」と語っていた、念願の靖国神社への参拝も果たした。
一方、これに対して駐日アメリカ大使館は「非道」のお返しとも言える「失望した」という声明を発表、本国の国務省も同様の声明を出し、副報道官の会見でも同じ主張を繰り返した。アメリカは、民主党政権となり、力をつけてきた中国に配慮してここ数年で大きく変節したと言える。一説によると、小泉政権下の二〇〇二年に訪日した共和党ブッシュ大統領は、靖国神社への参拝を打診したのに、例によって中韓の反応を必要以上に慮った日本の外務省が反対したために、結局参拝は行われなかった。このブッシュ靖国参拝が実現していれば、現在の中韓の状況は変わっていただろう。南京大虐殺で三十万人が犠牲になったと中国が言い続け、従軍慰安婦として朝鮮人二十万人が日本軍によって強制連行されたと韓国が言い続けるのは、アメリカの後ろ盾があるからだ。ケリー国務長官とヘーゲル国防長官が千鳥ヶ淵の戦没者墓苑を訪問することなどで「行くな」と牽制したにも拘わらず、安倍首相は靖国神社参拝を行った。だから敢えてアメリカはこれまでの慣習を破って、「失望した」というコメントを出したのだ。
百田尚樹氏の「永遠の0」は、累計部数が四百五十万部を越える大ベストセラーとなっている。終戦間際に特攻で散華した祖父・宮部久蔵の生き様を、孫達が探っていくというストーリーは、若者達が日本の本当の歴史を振り返ることに繋がる。宮部は「日本を、愛する人を守りたい」という一心で戦い、最後は特攻隊に志願した。この戦いに敗れても、日本はいつか蘇る。そのためにも子や孫が奴隷のように扱われないよう、宮部久蔵のような英霊の方々は、負けるとわかっていても最後まで命を賭して戦ってくれたのだ。これが多くの人々の心を打ち、ここまでの人気となったのだろう。
多くの国民が真っ当な感覚を取り戻しつつある一方、百田尚樹氏の田母神氏への応援演説を批判するなど、一部の反日メディアは相変わらずだ。NHKの新会長となった籾井勝人氏の就任会見で、会長就任とは関係のない慰安婦についての記者からの質問に対して、「会長職はさておき」と個人的見解として述べたことに対しても、反日メディアは批判し、「NHK経営委員側から失望の声がもれた」と報じた。それに対して百田氏は即座に「少なくとも私は何も言っていないぞ。誰が失望したんや! 名前書けや」とツイッターで発言している。
そもそも慰安婦問題は、朝日新聞によって「問題化」されたものだ。韓国が主張するような二十万人の強制連行の証拠もない。『慰安婦と戦場の性』(新潮選書)などの著書で知られる現代史家の秦郁彦氏は、陸軍省の資料を研究した結果、慰安婦の総数は一万数千人でその四割が日本人、半島出身者は二割だったとしている。また慰安婦がおかれた環境が「性奴隷」など呼ばれるものではないことは、「ニューヨーク・タイムズ」の東京支局長をしていたストークス氏の「英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄」(祥伝社新書)にも明確に書かれている。
また「テキサス親父」ことアメリカ人のトニー・マラーノ氏も、ワシントンの国立公文書館に問い合わせて、先の大戦中にアメリカ軍が捕虜となった朝鮮人慰安婦に対して行った尋問の調書を入手し発表した。
「アメリカ戦時情報局心理作戦班アメリカ陸軍インド・ビルマ戦域軍所属APO689」という報告者から始まるこの調書は、レド捕虜収容所で一九四四年八月から九月にかけて、朝鮮人慰安婦二十名に対して行われた尋問の報告だ。彼女らの証言によると、「慰安婦達は高額の給料を貰い、街に出かけて化粧品や洋服などの買い物もし、兵士達とスポーツやピクニック、宴会をして楽しんでいたという。さらに借金の返済が終われば国に帰ることもでき、中には日本兵と結婚する慰安婦もいた」とある。これでも韓国は慰安婦を性奴隷と言うのか。
慰安婦像に続いて米バージニア州議会では、日本海と韓国が主張する「東海」を併記する法案が可決した。フランスでは勝兵塾にも出席してくれた「論破プロジェクト」実行委員長の藤井実彦氏が、アングレーム国際漫画祭に韓国側が嘘で固めた慰安婦漫画五十本を出展すると聞き、放置できないと真実の慰安婦漫画百本を用意して漫画祭に乗り込んだのだが、主催者から「政治的だ」と強制排除されてしまった。「慰安婦=性奴隷」との偽りのイメージは、韓国人によって世界中に浸透しつつある。日本政府も、アメリカの国立公文書館にある尋問調書のコピーを、全ての駐日大使や世界の外務省に向けて発信するなど、対抗策を打つべきだ。
なぜこんな虚構が蔓延るのか。ひとつは、百田尚樹氏が指摘した通り、東京大空襲や広島・長崎への原爆投下を正当化するために行われた東京裁判が原因だ。先の大戦末期、戦後の世界赤化との戦いを予見していたアメリカは、第三次世界大戦の勃発を避けるためにもソ連を牽制する必要を感じ、どうしても戦争中の日本に議会機密費で造った原爆を投下して、その威力を誇示したかった。そこで、日本の終戦工作を知りながら、原爆の完成まで天皇制の存続を曖昧にすることで、終戦を遅らせ時間を稼ぎ、原爆実験の成功後、即座に広島・長崎に原爆投下を実行したのだ。この「非道な残虐行為」を正当化してアメリカが正義の国であり続けるためには、日本をそれ以上の悪の国に仕立て上げる必要があった。だから東京裁判では、南京三十万人虐殺説を取り上げ、その後に、朝鮮半島から二十万人を強制連行したという慰安婦問題も、アメリカが「日本は悪い国」というストーリーに従って韓国の主張を否定しない。
このストーリーに沿って、原爆投下によって日本は真っ当な民主主義国家になったという意識を日本人に植え付けるために、日本を占領したアメリカ軍は大規模な思想改造で、それまでの日本的な考えを排除するために、日教組を創り、アメリカの都合の良い教科書を作らせ、不都合な大量の書籍の「焚書」を行ったのだ。
その後、GHQは戦争を遂行したと要職に就く日本人二十万人を公職から追放した。また占領直後の九月十八日には、朝日新聞が「原爆は国際法違反の戦争犯罪である」と言った鳩山一郎談話を掲載したことで、二日間の発行停止処分をし、翌九月十九日に「プレスコード(新聞編集綱領)」を発令し、日本の歴史上類を見ない言論弾圧を行い始めた。そのプレスコードを列記する。
① SCAP(連合国軍最高司令官もしくは総司令部)に対する批判
② 極東国際軍事裁判批判
③ GHQが日本国憲法を起草したことに対する批判
④ 検閲制度への言及
⑤ アメリカ合衆国への批判
⑥ ソ連への批判
⑦ 英国への批判
⑧ 朝鮮人への批判
⑨ 中国への批判
⑩ その他の連合国への批判
⑪ 連合国一般への批判(国を特定しなくとも)
⑫ 満州における日本人取り扱いについての批判
⑬ 連合国の戦前の政策に対する批判
⑭ 第三次世界大戦への言及
⑮ 冷戦に関する言及
⑯ 戦争擁護の宣伝
⑰ 神国日本の宣伝
⑱ 軍国主義の宣伝
⑲ ナショナリズムの宣伝
⑳ 大東亜共栄圏の宣伝
㉑ その他の宣伝
㉒ 戦争犯罪人の正当化および擁護
㉓ 占領軍兵士と日本女性との交渉
㉔ 闇市の状況
㉕ 占領軍軍隊に対する批判
㉖ 飢餓の誇張
㉗ 暴力と不穏の行動の煽動
㉘ 虚偽の報道
㉙ GHQまたは地方軍政部に対する不適切な言及
㉚ 解禁されていない報道の公表
この禁止項目の中でまず目を引のは、「③GHQが日本国憲法を起草したことに対する批判」という項目だ。これで、今の日本国憲法は、発布前にGHQが起草して押し付けたことを自白していると言える。
「⑧ 朝鮮人への批判」は、当時は、一緒の大日本帝国の国民であった朝鮮人と日本人が、アメリカのディバイド・アンド・コンカー(支配者と被支配者に分割して統治を容易にする手法)によって分断され統治されたことが今日の険悪な日韓関係に繋がっている。
「⑨ 中国への批判」の禁止が、捏造された南京大虐殺の反論も出来なかったことの所以である。
「⑥ ソ連への批判」「⑫ 満州における日本人取り扱いについての批判」により、日ソ不可侵条約を終戦直前に一方的に破って満州に武力侵攻し、その後終戦で武装解除した日本人兵士・六十五万人も捕虜として連れ去ったことも、ポツダム宣言受諾二日後に、ソ連軍が攻めてきた千島列島の占守島攻防戦も、その後の北方領土への侵攻についても批判できなかったのだ。
「㉓ 占領軍兵士と日本女性との交渉」についての報道も禁止された。
森元首相が「日本は神の国」と言って激しく批判され、首相辞任に追い込まれた時に、多くの日本人はどうして「神の国」と言って批判されたか分からなかった。が、これも、「⑰ 神国日本の宣伝」であると批判されたのだ。
このプレスコードに沿って、日本の税金を使って雇われた五~六千人もの日本人検閲官と三百数十人ものGHQの検閲スタッフによって、全ての出版物や放送の事前検閲や影響力のある人の私信を九百万通も開封し、電話盗聴等まで行われた。日本人の考えはどんどん偏ったものになっていった。また検閲官は占領統治終了後、官界や法曹界、メディア界へと流れ、偏差値(記憶力重視)教育による日本のトップエリート、東大法学部卒業者を中心に引き継がれていき、彼らはアメリカ留学などの恩恵を得、戦後敗戦利得者として、アメリカに阿吽の呼吸で連携し、互いに優遇し合う日本の支配層(ステルス複合体)として君臨し続け、今もプレスコードによる言論統制の流れは、日本社会の中に脈々と受け継がれている。
しかし六年前に田母神俊雄氏が「日本は侵略国家であったのか」という論文でアパグループ主催の「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀賞を獲得してから、日本に真実に目覚めた人がどんどん増えてきた。冷戦終結までは、親米保守がほとんどで、日本の政治家はこれまで、アメリカ派か中国派だったが、田母神氏は「日本派」を名乗り、真正保守の旗手として東京都知事選挙を戦った。当初は泡沫候補と思われていた田母神氏に対し、メディアは無視戦略をとっていた。しかしインターネットでの世論調査では非常に高い支持を受け、支持率を上げていき、舛添要一氏に敗れたとはいえ、六十一万票以上の票を得て、特に二十代では、自公が支持する舛添氏と並ぶ票を得た。今後ますますネット社会が広がるとともにGHQの呪縛が解けてきて、二年半後の国政選挙や四年後の知事選には勝利する可能性が見えてきた。
かつて日本維新の会に私が期待していたのは、自民党の先を行く先触れの政党としての存在だった。その路線での国民の支持率も高かった。しかしこのままでは衆参同時選挙で自民、維新が勝利して三分の二以上の議席を獲得し、憲法改正によって日本が真っ当な独立国家になってしまうと危惧したアメリカやステルス複合体は維新の橋下共同代表の慰安婦発言を反日メディアを使って徹底的に批判させることで、維新つぶしを行ったのだ。結果、同時選挙もできなくなり、参院選で維新は失速し、憲法改正は遠のいた。しかし今回の都知事選での田母神氏の躍進で、新たな希望が生まれたと言えるだろう。
占領当初から続くプレスコードによる呪縛が、今、解けようとしている。それを止めるために「失望した」と言うなどアメリカも必死だ。また戦後敗戦利得者である反日メディアも、台頭する真正保守勢力を攻撃することで、懸命に既得権益を守ろうとしている。しかし大きな流れを変えることはできない。今後この都知事選での成果を基に、田母神氏が真正保守の核となり、自民党の先を行く政党の結成へと繋げていければ、日本が真の独立国家となる道筋をつけることができる。今後の田母神氏の活躍に大いに期待し、私も全面的にサポートするつもりだ。
2月26日(水)午後0時00分校了