二〇一三年十月三日、恒例「日本を語るワインの会」が代表自邸にて開催されました。二〇〇八年に独立したばかりの新しい国・コソボ共和国の特命全権大使であるアフメット・シャラ氏と令夫人のハチイゼ・シャラ氏、経済産業省のエリート官僚から政界に転じた衆議院議員の上野宏史氏、日本のウェディングスタイルを変革し続けてきたファッションデザイナーの桂由美氏、日本の飲食関連のロッテグループ事業を全て取り仕切る株式会社ロッテリア統括本部長の長元恒氏、三階級制覇を目指す若きチャンピオン・WBA世界ライトフライ級王者の井岡一翔氏、井岡氏のマネジメントを行う株式会社エーケーグローバル・エージェント取締役の二宮雄介氏をお迎えし、スポーツから歴史、国際情勢まで、幅広い話題に花が咲きました。
二〇一一年に独立した南スーダン共和国に次いで世界で二番目に新しい国なのが、二〇〇八年独立のコソボ共和国だ。ユーゴスラビア紛争からコソボ紛争を経てようやく独立したコソボを、日本はすぐに国家として承認した。そのこともあって、コソボの人々は日本に対して非常に親近感を持っている。
アルバニア人はアルバニアに約三百万人、マケドニアに二百万人、コソボに百五十万人、その他モンテネグロやセルビア、ギリシャにも住んでいる。コソボの民族構成はセルビア人が五%に対してアルバニア人が九十%以上。それもあって、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国時代には、セルビア共和国の一部でありながら、コソボ自治州としてかなり広範囲に亘る自治権を持っていた。六つの共和国と二つの自治州からなるユーゴスラビアを、そのカリスマ性で巧みに統一していたチトー大統領が一九八〇年に亡くなると、各共和国間の不協和音が激しくなり、セルビア共和国のコソボ自治州に対する圧力も厳しくなった。一九九〇年にコソボ自治州のアルバニア系住民がコソボ共和国の樹立とセルビアからの独立を宣言するが、逆にセルビアは自治権を廃して直接統治を開始。一九九一年のソ連崩壊時には、セルビアのミロシェビッチ大統領はコソボのアルバニア人を公職から追放、コソボの企業の半数以上を閉鎖した。
現在のハシム・サチ首相はまだ四十五歳。十九歳の時からアルバニア人学生のリーダーとして活躍、一九九三年、二十五歳の時に移住先のスイスでコソボ人民運動(LPK)の創設に関わった。その後コソボに戻り、コソボ解放軍(KLA)の創設に参加した。山の中に隠れるなどのゲリラ戦も行い、セルビア政府からはテロ行為の罪で欠席裁判にかけられ、逮捕状まで出されながらも活動を続けた。一九九九年にはコソボのアルバニア人代表として、ランブイエで行われた和平会議に出席。またコソボ民主党(PDK)を発足して、党首に就任した。その後コソボ議会でPDKは第一党となり、二〇〇八年に首相に就任、今に至っている。
アフメット・シャラ大使は駐日大使になる直前まで経済・財務大臣を務めていた。大臣となる前は、長い間大学で教鞭を取っていた人物だ。その後コソボ紛争が激化した時は、妻と四人の子供と共に戦火を避けて逃げていたという。シャラ氏が大使となった後、すぐに経済担当と財務担当の役所が分かれ、大臣も二名になった。それくらい国家建設真っ最中ということなのだろう。
コソボの課題として、産業がまだ育っていないことが挙げられる。国を立て直す一つの方策が、観光客を増やすことだ。例えば人口三万六千人のサンマリノ共和国には、その百倍の年間三百六十万人の観光客が訪れる。コソボにもそれだけの観光客が来るようになれば、経済的にも自立できるはずだ。標高二六五六メートルのディエラヴィツァ山など美しい自然が豊富で、先日BBCでも特集が組まれていた。また旧ユーゴスラビア諸国も近い。アルバニア共和国の首都ティラナまでは車で二時間、マケドニアまでは一時間、三時間あれば、モンテネグロまで行ける。コソボを含む旧ユーゴスラビアでは、ボクシングが盛んだ。例えば井岡一翔氏がコソボで試合を行うなど、ビッグネームのマッチメークが可能になれば、観光客増加への起爆剤となるだろう。今年旧ユーゴスラビアの中では初めてクロアチアがEUに加盟した。コソボを含む他の旧ユーゴスラビアの国々もEU加盟に向かって準備をしていて、その条件として各国間の融和が進みつつある。
上野宏史氏が所属する日本維新の会は、石原共同代表の強い思いもあって、党の綱領で憲法改正を明確に謳っている。安倍首相とも連携して、今年の夏の参議院選挙を乗り切って一気に憲法改正へ…と代表のヨミ通りに進んで行きたかったが、橋下共同代表の従軍慰安婦発言問題などがあり、参院選では十分な議席を獲得できなかった。今は景気の回復が焦点となっていて、憲法が争点となりにくい状況だ。しかし日本維新の会としては、景気回復に向けた安倍首相の取り組みを全力で支えつつ、九十六条をはじめとした憲法改正の議論を続けていくつもりだ。
日本維新の会はいわば砕氷船だ。先に氷を砕いてくれた後を、自民党丸が進んでいくのである。その構造をアメリカに見抜かれて、従軍慰安婦発言で狙い撃ちされたのだ。当時は日本維新の会には支持率が約一四%もあり、アメリカの目にも維新の会と安倍人気の自民党との勢いがあれば、すぐに憲法改正が進んでいくように思えたのだろう。それを阻止するために、橋下発言を利用したのだ。日本維新の会の中山成彬氏は、最近津波対策として防災マンションの建設を提唱しているが、これは元々震災直後から代表が提案していたものだ。巨大堤防の建設に莫大な費用を使うぐらいであれば、中層程度の防災マンションを二百メートル間隔に建設する方が遥かに安上がりで効果がある。漁師も高台ではなく、海のそばで暮らすことができる。日本維新の会には今後も、与党・自民党の先をゆく提言を行って欲しいものだ。
日本はもっと女性が活躍できる国になるべきだ。自民党総裁の任期は三年だから、二年後にまた総裁選が行われ、安倍首相が再選されるだろう。さらに三年後の衆参同時選挙に勝てば、さらに三年政権を担当する可能性が高くなる。であれば、自らのスピーチで誘致に成功した七年後の東京オリンピックを花道に、首相を引退するのが良いのではないか。そしてその後継者は女性だ。高市早苗氏や稲田朋美氏など候補者は多い。この二人は勝兵塾の講師特待生であり、実現すれば創塾時からの悲願である塾から首相を出すという目標が達成されることになる。
二〇二〇年に東京オリンピックが開催されれば、世界中から多くの人が日本を訪れ、この国の良さを知ることになる。韓国や中国において反日で騒いでいる人は日本に来たことがない。日本に来る人が増えれば日本に対する理解が広がり、反日ばかりを主張してきた中国や韓国は衰退していくだろう。すでに中国も韓国も経済状態はガタガタだ。韓国の朴槿恵大統領の父親は元大統領の朴正煕だが、日本陸軍士官学校を卒業した日本軍のエリートだった。このこともあって、朴槿恵大統領は親日と言われないために、敢えて極端な反日姿勢を打ち出しているように思える。韓国の大統領は任期満了後に逮捕されたり自殺したりと、晩節を汚すことが多い。李明博前大統領は兄が起訴されたことを受け、自身の逮捕を逃れるために反日に転じ、竹島に上陸したり、天皇陛下を侮辱するような発言を行ったりした。結果、逮捕は免れている。これを見た朴槿恵大統領は、李明博に倣って反日をやっているのだろう。しかし経済が崩壊寸前の今、化けの皮が剥がれた彼女の支持率は低下する一方だ。
一方中国の習近平主席はまだ軍と共青団を掌握しきれておらず、政府の中で明確なリーダーシップを発揮できていない。そこで決して反撃してくることのない日本に攻撃の矛先を向けてきた。弱腰の民主党はすぐに「ごめんなさい」をしていたが、安倍首相は違う。中国は振り上げた拳の落とし所に困り、反日カードが使えなくなってきた。尖閣問題で揉めるのも、中国側から棚上げ論が出てくるようではそろそろ終わりだ。中国進出した直後は大人気だった桂由美氏のウェディングドレスも、尖閣問題以降ぱったり売れなくなった。しかし最近上海で行われた桂由美氏のファッションショーには、多くの地元の若い女性が詰めかけた。中国人も本当は良い商品が欲しい。また今の経済の減速ぶりを見て、経済成長には日本との良好な関係が重要と気づいたはずだ。日中関係は次第に元の鞘に戻っていくだろう。
国際社会で生き抜くには、やられたらやり返すという言論戦の覚悟が必要だ。そのためにも日本でも情報省を創設し、世界中の報道をチェックし、日本の国益に沿わないものには二十四時間以内に反論を行うべきだ。韓国がアメリカで激しくロビー活動を行って、従軍慰安婦を既成事実化しているように、世界のどの国も自国の国益に沿った主張を通すために金を使っている。真実であればいずれわかってくれるなどという悠長な考えでは、食うか食われるかの国際社会では、搾取されるがままになってしまうだろう。そろそろ日本も覚醒して憲法改正を行い、東アジアのバランス・オブ・パワーの維持に全力を投入しなければ、力の空白域の発生によって戦争に巻き込まれることになる。
中国や韓国が尖閣諸島や従軍慰安婦問題で日本を批判する声が高まったのは、日本の経済力の弱体化が原因だ。一方ロシアは自国の経済力の衰退のため日本を頼りにして、北方領土返還交渉を推進しようとしている。ここでも日本の切り札は経済力だ。やはり経済力の強化が日本の急務だろう。
井岡一翔氏は世界王座二階級制覇を果たした井岡弘樹氏のおい。叔父を目標にボクシングを十三歳で始め、WBA・WBC世界ミニマム級統一チャンピオンとなり、さらにライトフライ級に転向してWBA世界ライトフライ級チャンピオンとなった。次の目標は叔父も達成できなかった三階級制覇だ。勝つ秘訣はぶれずに勝利を追い求める勇気。これは事業でも同じだ。また世の中で通用するのは結果のみ。赤字を出している企業のトップの発言など、誰も聞こうとはしないだろう。代表が言いたいことが言えるのは、事業でしっかりと結果を出しているからなのだ。