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特別対談1| 観光客の増加を見据え リーズナブルなホテルのニーズが増加

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アパルトヘイト撤廃後、アフリカ経済の牽引車として急速に発展している南アフリカは、観光誘致にも力を入れている。
観光大臣のマルティネス・ファン・ スカウクフェイク氏に南アフリカのホテル事情をお聞きした。

リーマンショック以降でも 経済成長を続ける南アフリカ

元谷 今日は特別対談にご登場いただきまして、ありがとうございます。

スカウクフェイク ようこそ南アフリカへ!歓迎いたします。

元谷 私は三十年前に一度南アフリカに来たことがあります。街並を少し見ただけでもその当時からの素晴らしい発展ぶりが明らかで、非常に驚きました。

スカウクフェイク そうですか。実は私は日本が大好きで、もう何十回も訪れています。東京はもちろん、京都も北海道も大好きです。どの滞在もいつも楽しくて、満足できるのが日本の大きな魅力ですね。

元谷 ありがとうございます。ホテル単体の建物として日本一の高さを誇るアパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉をはじめ、アパホテルは日本全国に建築・設計中を含める直営ホテルとパートナーホテルを合わせて約二万六千室の展開を行なっています。パートナーホテルのシステムは今年から導入したのですが、すでに三十ホテル、四千室と提携することになりました。また現在東京都心で二十八のプロジェクトを同時進行していまして、内十七案件がホテルの建設です。二〇一四年までに四万室というのが目標です。

スカウクフェイク それはすごいですね。

元谷 今世界経済ではBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の急速な発展が注目されていますが、南アフリカはそれらの中で他の国に劣らないほどの経済成長をしています。私はアパホテルをいずれは海外に展開したいと考えていますが、南アフリカはその際の候補の国となっています。何かアドバイスでもいただければ、非常にうれしいです。

スカウクフェイク アパルトヘイトが撤廃されて、マンデラ政権が誕生した一九九四年から急激な経済成長が始まりました。近年でもリーマンショックなどで世界的に経済は停滞気味ですが、南アフリカではさほど落ち込みはありませんでした。ここ数カ月の経済成長率は七・五%にも及んでいます。

元谷 非常に好調な経済状況ですね。

スカウクフェイク はい。観光でこの国を訪れる方は伝統的にはヨーロッパ、アメリカからが多いのですが、最近は中国、インドからの観光客が増加しています。またアフリカの他のエリアからのお客様も多くなってきましたね。

様々な優遇措置で 海外からの投資をサポート

元谷 それだけアフリカ全体の経済水準も向上してきたのでしょう。ホテルの状況はいかがでしょうか?

スカウクフェイク そうですね、今南アフリカでは五つ星の高級ホテルが少々供給過剰の傾向があります。

元谷 私は世界七十三カ国を巡ってきましたが、貧しい国から豊かな国まで、どこの国にも五つ星のホテルは必ずあります。しかし私たちが展開しているような価格がリーズナブルにもかかわらず設備が充実していて清潔、そして誰もが宿泊できるというホテルチェーンはありません。またアパホテルには日本国内だけで約三百九十万人の会員がいます。彼らが海外に行く時に、その目的地にアパホテルがあれば、かなりの確率で利用するはずです。まずパートナーホテルという形で提携できるホテルを今、求めています。

スカウクフェイク 三百九十万人というのは素晴らしいですね。インド資本のタージホテルというホテルチェーンがあり、ケープタウンにもホテルを建てているのですが、世界中で二百万人の会員がいるそうです。それより多いのですね。

元谷 はい。また利用客のメインはビジネスマンなのですが、シティホテルやリゾート、高級温泉旅館にゴルフ場と総合ホテル産業としてさまざまな施設を運営していて、幅広いノウハウも蓄積しています。できれば南アフリカで一番の規模を持つホテルチェーンと提携できればと考えているのですが。

スカウクフェイク それであれば、例えばサザンサンが挙げられます。南アフリカ国内に六十三、国外にも九つのホテルを持っているホテルチェーンです。

元谷 それは大規模なホテルですね。一度きちんとお話してみなければならないでしょう。

スカウクフェイク ぜひ話してみてください。南アフリカには海外からの円滑な投資を受け入れるための税法上の優遇措置など、サポートの枠組みがたくさんあります。そういったものもしっかり活用できるよう、アドバイスやサポートをさせていただきます。

元谷 進出のステップとしては、最初はパートナーホテルとしての「提携」からスタート、次にフランチャイズという形でアパブランドのホテルを進出させ、最後に直接投資による自社保有のホテルを出すという流れにしたいと考えています。