いよいよ通常国会がはじまった。
本会議場の議席配分も、右側(与党)と左側(野党)がそっくりそのまま交替。
ちょっと変化があるとすれば、野党の勢力が二分し、鼻先争いをしているということ。
民主党が56議席。(赤松副議長は除外)
維新の会は54議席。
「たった2議席しか違わないのだから、扱いはいっしょにしてくれ。民主党に野党方針をリードされるのはがまんできない!! 俺たちは政権に対しては是々非々で望むんだ!!」
と、予算委員会の理事会で宣言した、維新の会の山田ひろし代議士。
「そうは言っても、私だってからだはひとつ。民主党の長妻理事と山田さんと、二人も相手に交渉するのは、物理的にムリ。選挙は一票でも足りなきゃ落選。2議席も違うんだから、長妻さんが野党方針をまとめてよ!!」
と、丁々発止のやり取り。
民主党も、現時点ですら、世論調査の政党支持率では、維新の会の半分以下。
国会同意人事ルールでも、ねじれ国会を悪用?して、理不尽な西岡ルール(事前に人事案が報道されたら、受け付けすらしない)を盾にして、何でも反対野党に転向。
これでは、存在感を発揮するどころか、どんどん民意を失い、夏の参院選では消えてなくなってしまう惨敗をするのでは、と永田町雀は心配している。
そんな与野党のバランスを象徴したのが、補正予算のテレビ生中継。
自民党は小泉進次郎が切り込み隊長となり、野党ばりの厳しさで鋭く詰問。
「復興が遅れている理由をどう分析してる?」
と、根本復興担当大臣をはじめ、各大臣に答弁させる。
地方公務員の専門職の減少、土地建物など相続の権利関係、町づくりのための調整不足などなど。
ひと通り答弁させた後に、「じゃ、どうすれば克服できるんですか?! スピード感こそが仮設住宅に暮らす避難民に希望を与えます。」と、ケレン味なく今後の具体策を引き出した。
また、財政健全化の道のりに釘を刺すことも忘れなかった。
「法律では、70~74歳の医療費自己負担は2割です。でも特例で1割にすえ置いたままです。その分の負担は赤字国債ですから将来の子どもたちへのツケを回すだけです。速やかに2割負担にすべきではありませんか?!」
と正論を吐き、論客で有名な田村厚労大臣をタジタジとさせた。
出色の質問をした小泉進次郎と対比する形でニュースに取り上げられたのは、民主党の辻元清美さんではなく、維新の会の石原慎太郎代表。
このあたりのワイドショー的なマスコミの取り上げ方にも、最近の政党の消長が見て取れた。
方や飛ぶ鳥を落とす勢いの小泉進次郎。
対抗する野党は、惨敗した民主党の辻元さんではなく、国民保守層期待の昭和スター。
さすがに存在感では群を抜く石原さん。
今の自民党で石原さんを向こうに廻してもキラリと輝けるのは、3人しかいない。
安倍総理、麻生副総理、そして小泉進次郎。
あの石破さんですら、石原さんの明るさと比較されると……。
ましてや、石原伸晃環境相など、せっかくの親子対決のチャンスにもかかわらず、答弁者として呼んでもらえなかった。
親心があるならば、中国からのPM2・5飛来や、放射性廃棄物処理の問題で、政府の方針を答弁させてあげれば良かったのに。
その石原さんが投げかけた慎太郎節。
①憲法改正
②尖閣諸島実効支配
③米軍横田基地空域共同使用
④靖国神社参拝
⑤天皇象徴制
⑥国家会計を複式簿記で
以上の論点を、持ち時間フルに使い、1時間40分以上、しゃべりまくった。
圧倒する暴走老人?
圧倒される安倍総理をはじめ閣僚席。
固唾をのむ、予算委員会室。
テレビ座敷の国民も、石原さんのご高説に耳をかたむけていたのではないか。
さすがに慎重答弁に徹していた安倍総理と麻生財務相ではあったが、国家の羅針盤を語り合う内容に、すっかりと民主党の印象はセピア色になってしまった。
二大保守政党の時代。
そう感じさせた。
辻元さんも悪くはないのだが、小泉~安倍~石原の中に入ってしまうと、かつての社会党の色合いが出てしまい、形勢不利。
民主党も、野田佳彦元首相を温存せずに、全面的に野田カラーを出すべきではないか? 細野幹事長では、まだちょっと…。しばらくは、進次郎VS慎太郎の時代になるだろう。
(了)