BIGTALK

強くなることで、日本は中国と仲良くなれる

参議院議員として一期目でありながら、国会での切れ味鋭い質問で、同僚議員だけではなくメディアからの評価も高い西田昌司氏。税理士として生計を立てようとしていたにもかかわらず、運命のめぐり合わせで京都府議会議員となり、五期連続でトップ当選を果たした後に参議院議員に転じた氏に、憲法改正の必要性などこの夏の選挙の焦点をお聞きした。

占領下で作られた今の憲法は日本人が掲げるべきものではない
金正恩のおかげで日本は正しい方向に

元谷 今日はビッグトークにご登場いただき、ありがとうございます。

西田 よろしくお願いします。

元谷 西田さんのお考えは私にも近く、昨年十一月には勝兵塾にて素晴らしいご講演をしていただきました。また二月の国会の参議院予算委員会でのJAL再生に関する質問も見たのですが、あそこまで鋭く突っ込んでものを言える人はなかなかいません。真っ当なことを言える真っ当な政治家を増やすのが勝兵塾の目的です。誰もが反論できないくらいに調査や準備もしっかりされて、意に沿わない人からの反論も多い中、議員としての真っ当な主張を貫かれている西田さんは素晴らしいと思います。

西田 過分な評価だと思いますが、ありがとうございます。しかしあのJALの再生はとんでもない行為ですよ。

元谷 公的整理を行って借金を棒引きにした上で競争すれば、どんな企業だって勝つことができます。極めて不公平です。またそのような企業に投資すれば、ボロ儲けは間違いありません。JALの再建を請け負った稲盛会長が創業した京セラが上場前のJAL株を引き受けて、上場後に大儲けしているというのは…。

西田 これは第二のリクルート事件です。普通はそこまで無茶苦茶なことはできません。稲盛和夫さんという神格化された経営者に、騙されてしまっているのではないでしょうか。

元谷 三年三カ月に及ぶ民主党政権下では、このJAL再生の件をはじめとして、西田さんも国会で追求した「東京都の尖閣諸島の購入は日中関係に危機をもたらす」と発言した丹羽宇一郎氏の中国大使への任命など、とんでもないことが枚挙の暇もないほど行われました。ただそれがあったために今反動として世論が保守化、憲法改正を認める人が国民の六五%にも上るようになってきました。

西田 今の憲法はアメリカの占領下に作られたものですから、私としては一切認められないと考えています。

元谷 私も同感です。この夏自民党は、憲法改正をテーマに掲げて、衆参同時選挙に打って出るべきだと考えています。西田さんは今参議院議員として何期目でしょうか。

西田 まだ一期目です。この夏の選挙で二期目に挑戦することになります。

元谷 きっと圧倒的な勝利を得ることができると思いますよ。

西田 頑張ります。

元谷 そのためにも、私は衆参同時選挙に持ち込むべきだと。三月から四月にかけて北朝鮮が挑発的な言動を繰り返しましたが、この瀬戸際政策は金正恩による軍部の粛清が目的でした。軍人というものは、基本的に戦争をしたくないのです。金正恩はぎりぎりまでの挑発を行い、これに抵抗する軍幹部を「弱虫」と決めつけて更迭しているのではないでしょうか。実際、金正日の棺を担いだ軍幹部が全員、権力中枢から姿を消しています。

西田 本当ですか?

元谷 はい、ニューズウィークでも報道されています。そもそも二〇〇四年、金正日は中国の江沢民に唆された一部の北朝鮮軍の軍人によって龍川駅の支線に八百トンものTNT火薬を仕掛けられ、暗殺されそうになりました。アメリカかロシアの情報機関、またはイスラエルのモサドからの情報によって、金正日は難を逃れたのだと思います。彼が核兵器を手放さないことが、その暗殺の理由です。一方金正日としては、中国から自立を確保するには核兵器は不可欠でした。金正日はこの事件の後、中国の怖さを金正恩に切々と伝えたのではないでしょうか。金正恩に権力が移行した時に当然中国は核を廃棄することを迫ったはずですが、廃棄すれば北朝鮮は中国の傀儡国家となってしまうと彼はそれを拒否しました。そうなると父親同様、中国の意を受けた北朝鮮軍部のクーデターにより暗殺される危機が迫ってきます。一連の瀬戸際政策は金正恩が自分の命を守るため行った軍幹部の更迭・粛清の一環であり、一部で言われているように彼が馬鹿だからというのは間違いです。しかしこの北朝鮮の挑発的な動きと尖閣問題が日本を保守化させ、安倍さんの首相再登板へと繋がり、憲法改正への可能性を高めています。こんなことを言うのは私だけでしょうが、金正恩さんには頑張って欲しいと思っていますよ(笑)。

西田 確かに他にはいらっしゃらないですね(笑)。

日本国憲法には日本人の常識が未反映

元谷 安倍政権は、連立を解消して衆参同時選挙に打って出るべきです。そうすれば、野党は選挙の準備もできず自民党は衆議院で一気に三分の二の議席が確保できるでしょう。参議院は半数の改選ですから、自民党だけで三分の二の確保は非常に難しい。しかし世の中の流れが憲法改正に流れれば、非改選の議員からも賛成する人が多数出てくるのではないでしょうか。小泉郵政選挙に倣って、憲法改正是か非かで公認するかどうかを決め、改正反対の人には刺客を送るぐらいの対応が必要となるでしょう。

西田 そういう考え方もあるとは思います。いや、代表は事業以外にも、本当にいろいろとお考えになっていますね。

元谷 自分で設立した会社をここまでの規模に成長させてきましたし、これからも成長させていくつもりですが、商売だけではなく日本に誇りを取り戻す活動の方にも力が入っているのです。ところで西田さんはもともと税理士事務所を経営されていたと聞いているのですが。

西田 はい、その通りで、今でも税理士の資格を持っています。私の家は代々養鶏場を営んでいまして、父で三代目です。ただ父は祖父の遅い子供で、祖父が老人性結核になる中、父は高校を中退して経営にあたったりするなど、大変苦労をしたようです。その父の親友が京都府の府会議員をやっていて、その推薦で父も議員となり、最終的には参議院議員も務めました。私は父から自立するために税理士の資格を取って、その仕事をしていたのですが、父が参議院に転じた時に決まっていた府議の後継者が家庭の事情で出馬できなくなり、急遽私が出ることになったのです。

元谷 図らずも政治の世界に入ることになったのですね。

西田 はい。府議を五期やったところで父がガンで亡くなり、その後継として参議院議員選挙に立候補して、当選することができました。六年前のことです。府議をやっていた時におかしいと思ったことがありました。京都府議会は共産党が強く、議論することが多いのですが、彼らは福祉をもっと充実させろというのです。共産党の言うことにも一理あるのですが、自分の家族は自分で守るというモラルもあるはずで、まずは自助努力が大切では? と反論したところ、「西田くんは日本国憲法を読んだことがあるのか?」と言われたのです。確かに憲法第二十五条に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と書いてある。これを保証するのが国の仕事だというのです。議論をきっかけに改めて憲法を全て読み返してみると、我々日本人が常識として受け継いできた考え方が全然反映されていません。それはこの憲法が、占領下で作られたものだからでしょう。

元谷 その通りだと思います。さらにGHQは日本が自虐史観を持つように、占領政策を行いました。それは航空母艦を建造し、アメリカと互角に戦うまでの力を持っていた日本が、一度敗れても再び力を付けてくることを恐れたのです。先の大戦末期、世界赤化の戦いを進めてくるソ連を威嚇するために、核兵器を完成させ、日本に投下した。終戦直後のニューヨーク・タイムズの社説には、倒れた巨大な怪獣の牙を抜く兵士の挿絵が書かれていました。日本は倒れてもまだ危険で、徹底的に牙や骨を抜き去らないと安心できないというのです。それほど日本はアメリカにとっての恐怖の対象でした。

西田 日本国憲法は、日本の牙を未来永劫抜いておくために作られたものです。私達は小学生の時から、この憲法のおかげで戦後平和を維持することができたと教えられてきました。おかしなことだと思っても、それを口にすることはタブーであり、教師であれば首を切られかねないことだったのです。

元谷
 自民党も、結党時には党是として憲法改正を掲げていたのですが、時代と共に次第に左傾化していきました。そして二〇〇八年にアパグループが募集した「真の近現代史観」懸賞論文にて最優秀賞を獲得した現役の航空幕僚長である田母神俊雄氏を更迭するという、馬鹿げた行為を行う政党になってしまったのです。

核の抑止力を持たない国は原子力発電所を持っていてはいけない
太平洋の今後を巡って米中で密談が行われている

西田 当時私もその論文を読み、自民党の会合で「内容には全く問題がない。これで更迭するなら、自衛隊の士気にかかわる」と発言しました。そんなことを言ったのは私だけでしたよ。一年生議員の怖いもの知らずかもしれませんが(笑)。あの対応はやはり異常でした。必要以上にメディアや世間を慮る形で、田母神さんの首を切ってしまったのです。

元谷 田母神さんの国会での参考人喚問当日の産経新聞朝刊に、全面広告で彼の論文全文を掲載したのですが、すぐにファックスや電話の嵐でした。そのほとんど全てが田母神さんを支持するもの。国会に向かう途中の田母神さんに電話してその旨を伝え、参考人喚問を頑張ってくださいと激励しました。

西田 あの時は自民党政権でも田母神さんが正しいとは言えなかった。その前の第一次安倍政権の時でも、憲法改正に積極的な安倍さんに、世論はついてきていませんでした。改正容認の声が大きくなってきたのは、ここ数年のことでしょう。

元谷 私は田母神事件が契機となって、世の中の空気が変化したと感じています。事件の後、全国を巡って思いの丈をぶちまける講演を続けた田母神さんの功績もあるでしょう。あと韓国の李明博大統領が竹島に上陸したり、ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土を訪問したり、中国が尖閣諸島を巡って大騒ぎをし、北朝鮮が傍若無人の行動に出るなど、日本の周辺国の状況も、日本の世論に大きな影響を与えてきています。

西田 北朝鮮の瀬戸際政策は、先ほど代表がおっしゃったように金正恩の立場から考えれば、理解できなくはありません。むしろ問題なのは、日本側に自分の国を自分で守るという体制が整っていないことでしょう。例えば日本は原子力発電所を五十基以上保有しながら、原子力爆弾は一切保有していません。これはおかしい。通常兵器で原発を攻撃すれば、原爆を投下したのと同様の被害を起こすことができるのです。核兵器を保有することで得られる核の抑止力を持っていない国は、原発を作ってはいけないのではないでしょうか。

元谷 私は世界七十七カ国を訪問して政府要人と対話をし、四十人以上の駐日大使とも議論をしてきましたが、他国から見ると原発を持ち技術力も高い日本は、すでに潜在的な核保有国なのです。であればもっとリアルに核武装の準備をするべきでは…というのが私の意見です。いざという時に一カ月もあれば組み立てられるよう原爆の部品を準備し、法律を定めて対外的には原爆を開発しているとも、開発していないとも明言しないようにする。イスラエルも核保有について肯定も否定もしていませんが、世界では核保有国として扱われていて、その結果抑止力が発生しています。

西田 核兵器の効果としては、抑止力が最も重要です。先制攻撃はしないけれども、もしもの時にはただでは済まないぞという背景がないと、外交交渉も国防もできません。しかし日本にはアメリカの核の傘しかない。

元谷 北朝鮮が核兵器を搭載できる大陸間弾道ミサイルを完成させつつある今、核の傘は幻想となりました。アメリカが、自分の国を核攻撃の危険に晒してまで、日本を守ることはあり得ません。

西田 おっしゃる通りで、核の傘などそもそも偽善的な話なのです。

元谷 アメリカは日本が自立せず、いつまでもアメリカ頼みになるように、周辺国との火種をわざと残しました。終戦直後に唯一の核保有国だったアメリカが強く言えば、ソ連は北方領土を占領しなかったでしょうし、アメリカの傀儡だった韓国の李承晩大統領も竹島を日本領として外し、李承晩ラインを引いたでしょう。

西田
 しかしそろそろアメリカは、日本の「アメリカに守ってもらっている」という感覚に迷惑をしてきているのではないでしょうか。とにかく今の日米間の焦点はTPPです。TPPはアメリカとアジア・太平洋地域の貿易ルールを作って中国に対抗するものだと言われていますが、私は違うと思います。アメリカと中国の間では、既に縄張りの話がついているのではないでしょうか。

元谷
 私も同感です。一九七一年のアメリカのキッシンジャー大統領補佐官と中国の周恩来首相との極秘会談では、日本が再軍備を行うことがあれば、伝統的な米中関係が発動するという会話がなされています。米中が潜在的な同盟国であることは間違いなく、それに従って日米安保条約によって日本の軍備強化を抑えているという考え方も成り立つのです。とはいえ、日本はTPPに加盟してアメリカの味方だと表明しなくてはなりません。鳩山さんが言っていたような「日米中が正三角形の関係」などあり得ないのです。

西田
 確かに日本が独自の防衛力を持たない以上、正三角形などあり得ません。

元谷
 その通りです。だから憲法改正を行わなければ。まず九十六条を改正して、発議に必要な国会議員数を各院三分の二から二分の一にし、その他の条文の改正に現実味をもたせることが重要なのです。

違憲・無効の謗りを受けないためにも
衆参同時選挙に踏み切るべきだ
違憲を解消した衆議院で憲法改正の発議を

西田
 先日安倍首相にお話したのですが、九十六条の改正後、いきなり九条の改正の議論は今の状況ではまだハードルが高いでしょう。であれば、自民党も民主党も認めている集団的自衛権の行使を解釈によって認めることが先決ではないでしょうか。そして集団的自衛権の行使を前提とした法律を作って、自衛隊を確実に運用できるようにしていくのです。

元谷
 なるほど。それだけでも自衛隊の自由度は上がりますね。ただそれをステップとして、最終的にはやはり九条を改正して自衛隊を軍隊とする必要があるでしょう。

西田
 それは私も同意見です。また憲法と同様に変えなければならないのは皇室典範です。これも占領下で作られた法律なのですから。

元谷
 巧妙なやり口で、天皇家の滅亡を狙った法律ですよ。このままではいずれご皇位を継承する方がいらっしゃらなくなります。

西田
そうです。

元谷
 「真の近現代史観」懸賞論文の審査委員長である渡部昇一氏は「歴史の二面性」と言うのですが、歴史にはいろいろな側面があります。アメリカにも、ピューリタンが作った自由と民主主義の国という顔とヨーロッパで食い詰めた人が作り、原住民を虐殺しアフリカから調達した奴隷を酷使して得た富で繁栄を手に入れた国という顔があるのです。西部開拓の延長で進出した太平洋でも、一八九八年にフィリピンを植民地とし、ハワイ王朝を消滅させました。一八五三年にペリーの黒船が日本にやってきたのですが、一九四五年九月二日、東京湾の戦艦ミズーリ号で先の大戦の降伏文書の調印式が行われた時に、会場にペリーが掲げていた星条旗が飾られていました。九十年がかりでアメリカは日本占領に成功したわけです。

西田
 そういう歴史をきちんと理解しておくべきですね。いつまでもアメリカに頼っていてはいけない。

元谷
 その通りです。そして中国と揉めるのは、日本が弱いからなのです。台頭する中国は太平洋への進出を狙っています。しかしそれを邪魔するのが日本列島であり、尖閣諸島なのです。だから中国は尖閣諸島を我が物にして日本を弱体化させるために、あれこれと画策しているのです。日本の自衛隊は非常に精強です。攻撃用武器こそ保有していませんが、装備といい練度といい世界でも有数の軍隊でしょう。さらに憲法を改正することで、やられたらやり返すことができる攻撃力を抑止力として独自に持てるようになれば、中国はすぐに日本への態度を改めることになるでしょう。強くなれば、日本は中国と仲良くできるのです。

西田
 私も代表のおっしゃる通りだと思いますし、日本が自前の軍事力を高めることは、アメリカの利益にもなる。武器をアメリカから大量に購入することになり、軍需産業が潤います。一方在日米軍を大幅に減らすことができれば、日米共にメリットがあるでしょう。このことは、安倍首相も同意してくれているのですが、オバマ大統領に話しても、やはりアメリカは日本が自立するというシナリオが一番嫌なようです。

元谷
 やはり当面はアメリカとの関係を維持しつつ、軍事力強化への道を着実に進んでいくべきでしょう。二〇〇七年の参院選の時に、私は安倍首相に衆参同時選挙を進言したのですが、「生首は切れない」と拒否されました。この夏は衆参同時選挙を行うべきなのです。違憲判決が続出している選挙によって選ばれた衆議院では、改憲の発議を行っても誰かが訴訟を起こしてまた泥仕合となってしまうでしょう。合憲な区割りの下、改めて選挙を行い、正々堂々と憲法改正へと進んでいくべきではないでしょうか。ぜひ安倍首相は前回の私の進言を思い出して、決断を下して欲しいと願っています。

西田
 安倍首相はそんなことはおくびにも出していませんが、十分あり得ると思います。

元谷
 西田さんも頑張ってください。最後にいつも「若い人に一言」をお聞きしているのですが。

西田
 自分の家族を守るというのが人としての基本であり、その延長線上に国があります。つまり国の自立のために何ができるかを考えるべきであり、それが最終的には家族を守ることになるのです。この考えを基にして、実業家になったり公務員になったり、または自衛隊員になったりと、いろいろな道に進んでいって欲しいですね。

元谷
 全く同感です。今日は本当に貴重なお話をありがとうございました。

西田 昌司氏
1958年京都市生まれ。1981年滋賀大学経済学部卒業、1987年西田昌司税理士事務所を開設。1990年京都府議会議員にトップで初当選、以後5期に亘ってトップ当選を続ける。2007年参議院議員に初当選。

対談日:2013年4月24日