BIGTALK

平和は念じるのではなく、
力で勝ち取るものだ
Vol.333[2019年4月号]

文明工学研究家 草間洋一
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APAグループ代表 元谷外志雄

第十一回「真の近現代史観」懸賞論文で見事、最優秀藤誠志賞を受賞した文明工学研究家の草間洋一氏。長年出版の仕事に携わる傍ら、「文明工学」の研究を行ってきた氏に、日本にはびこる誤った歴史観や平和観、日本を取り巻く危機的な状況や憲法改正への熱い思いなどをお聞きしました。

草間 洋一氏

1938年新潟県生まれ。早稲田大学第一文学部哲学科卒。出版プランナー、ライター&エディター等を生業とする傍ら、学際的な総合科学としての「文明工学」の構築に取り組む。現代文明の危機的状況は、
“唯一神”の「旗」と「カネ」による世界支配への飽くなき野望によってもたらされたもので、神道的な汎神的世界観こそが地球と人類を救うとの確信に至る。著書に独詩集『廓然無聖の朝がきた』(開山堂出版)など。

日本の歴史を再評価して
最優秀藤誠志賞を受賞

元谷 今日はビッグトークへの登場、ありがとうございます。昨年発表された第十一回「真の近現代史観」懸賞論文にて、草間さんの論文「近世日本のダイナミズム–日本文明を再考する–」が審査員全員一致で最優秀藤誠志賞を獲得しました。改めて、おめでとうございます。

草間 大変光栄です。ありがとうございました。

元谷 賞のレベルは、審査委員のレベルで決まると考えています。「真の近現代史観」懸賞論文とアパ日本再興大賞の審査委員は、委員長の加瀬英明さんをはじめ、東京大学名誉教授の小堀桂一郎さん、伊藤隆さん、環境大臣の原田義昭さん、報知新聞社前会長の小松崎和夫さんと、錚々たるメンバーです。私は主催者として、審査委員会でもあまり意見は言わず、いつも審査委員の話を聞いています。草間さんは過去にも何度か、「真の近現代史観」懸賞論文に応募されていますね。

草間 はい。第七回と第十回で佳作をいただきました。今回は最高の賞をいただきこんなに嬉しいことはありません。

元谷 日本には真実を主張するメディアがほとんどありません。どのメディアもおかしく、それが普通になっています。だから逆に、真実を語ることがタブーになってしまっている。これでは日本が駄目になります。そのため私は、十年前に「真の近現代史観」懸賞論文を創設して、誇れる祖国・日本の再興を目指したのです。

草間 代表が始められたこの運動は素晴らしいものです。今の日本の報道と教育は、未だにGHQの方針に従っている反日左翼に完全に乗っ取られています。学校では日本の封建制度は諸悪の根源だと教えるのですが、私の今回受賞した論文は、封建軍事体制下であったからこそ日本は元寇に勝った、徳川幕藩体制には問題もあったが、基本的には日本を大国として維持することに成功したから欧米の植民地にはならなかったと主張しました。こうした歴史的事実を隠蔽し自虐史観を押し付ける戦後の歴史教育は、早く終わらせねばなりません。

元谷 GHQが日本洗脳に乗り出したのは、先の大戦で日本軍が強すぎ、そのトラウマがあったからでしょう。もし日本が精神的にも軍事的にも復活したならば、必ずや広島と長崎での原爆投下という人道を踏み外した行為をしたことの復讐をされると、アメリカは恐れたのです。しかし原爆投下には、アメリカなりの論理がありました。議会機密費で開発した原爆を使わずに終戦するわけにはいかないことと、軍事的なモンスターと化したソ連が世界赤化を行う脅威が顕著になったことです。そのままだと米ソ対立の激化で起こり得た第三次世界大戦という「熱戦」を、原爆投下によってアメリカは「冷戦」に変えた。もしソ連に本物の恐怖心を与えることができる原爆投下がなかったら、その後の大戦で一千万人を超える人々が犠牲になったはずです。

草間 広島・長崎に原爆が投下されなければ、本土決戦となりました。日本は壊滅的な打撃を受けたでしょうが、アメリカの犠牲も相当なものになったでしょう。

元谷 ベトナム戦争で北ベトナムのゲリラ戦にアメリカが負けたように、本土決戦でも一億玉砕を旗印にアメリカ軍が耐えられないところまでゲリラ戦を展開できれば、有利に和睦できたのでは…という可能性は確かに否定できません。

草間 今でも本土決戦をやれば良かったと言う識者もいます。

元谷 もちろん、それには私は賛成できません。

草間 もし本土決戦が決行されれば、それこそ想像を絶する悲劇が日本列島中で繰り広げられたはずで、私も代表と同意見です。

ま一向に進まない憲法改正
現憲法無効の決議も視野に

元谷 ベトナム戦争では、アメリカは小国であるベトナムに手こずり、中国に擦り寄ってなんとか名誉ある撤退を維持することができました。独裁国家と民主主義国家が戦争した場合、独裁国家の方が有利です。人のコストが独裁国家の方が安いですから。またゲリラ戦という非対称の戦いも、アメリカ軍には不利に働きました。もう一つ大きな敗因だったのは、アメリカの国内世論が反戦機運に沸き返ったことでしょう。

草間 その点では、アメリカも国内向けの情報戦略に失敗したと言えるのではないでしょうか。情報戦が非常に重要なのに、日本はそれをずっと軽視してきました。代表が提唱されている三千億円の予算で三千人の要員を擁する情報省を新設するべきだという考えには、私も大賛成です。

元谷 情報戦には機密保護や防諜はもちろん、情報収集に加え情報謀略戦も含まれます。今はさらにサイバー戦を戦うことも必要です。むしろ今後、主な戦いは従来通りの武力衝突ではなく、サイバー空間で行われることになるでしょう。情報謀略戦は人類が始まってから延々続いています。日本も日清日露の両戦争の頃までは頑張っていました。

草間 当時の日本の情報謀略戦レベルは、世界最高水準だったでしょう。

元谷 その後油断したのでしょうね。そして今の日本の空気としては、日本国憲法と日米安保があったから日本は平和なのだと言う人が多い。これまではそういう一面もありましたが、これからは違います。日米安保もアメリカの国益に沿ったものであり、彼らの利益なしに日本を守ってくれることはないでしょう。自衛隊が戦って有利な状況にまで持っていけばまた違うのでしょうが、基本アメリカが負け戦に加担するはずがありません。アメリカもどの国も、自国第一主義なのですから、日本も自国第一主義になればいいのです。にも拘わらず、平和憲法を守ればかりを繰り返していれば、日本は早晩中国の一自治区に成り下がるでしょう。

草間 仰る通りです。そして今の日本はアメリカと中国の両方に翻弄されています。

元谷 中国の人口の多さ故の市場としての魅力は、日米共に強く感じています。そしてかつては「中国は豊かになれば民主化する」という幻想を皆が抱いていました。ところが経済成長しても一部の富裕層が贅沢三昧をしているだけで、九億数千万人の農村戸籍の人々や、都市戸籍の半数以上の人々は豊かとは言えません。

草間 農村戸籍の人々は、事実上の国内奴隷です。

元谷 アメリカは黒人奴隷を輸入、ヨーロッパは植民地を増やし、ロシアは農奴を酷使しました。中国の農村戸籍の人々はこれらと同様で、多くの人々の労働の犠牲の上に、僅かな人々が贅沢な暮らしを満喫しているのです。

草間 そう考えると、今の中国は社会主義国とはとても言えない状況ですね。

元谷 そうです。そしてそのような国に日本は今脅かされています。だから歴史を振り返り、誇れる祖国・日本を再興することが何よりも大事だと考え、「真の近現代史観」懸賞論文を創設し、勝兵塾を立ち上げ、アパ日本再興財団を公益財団法人にし、昨年アパ日本再興大賞を新設したのです。

草間 代表が行っておられることは、今の日本に必要不可欠なことだと思います。

元谷 正しい歴史の見方が広がれば、日本はもっと素晴らしい国になります。ネックはGHQが作った日教組が牛耳る教育現場であり、教科書の採択です。歴史について間違ったことを記述している教科書を、九九%の学校が採択しているのです。

草間 各地の教育委員会が教科書の選定を行うのですが、その過程には不明朗な部分もあると言われています。

元谷 真実を書いた教科書が選ばれないのは大きな問題でしょう。

草間 さらに、憲法改正の行方に暗雲が垂れこめています。改憲を党是としてきた自民党は何をやっているのか。果たして自民党に任せておいていいのでしょうか。

元谷 一足飛びに現憲法が無効であるという国会決議を行い、日本国憲法を廃止せよという人もいますが、安倍首相は、それはクーデターだという見解です。まずは憲法が定める改正の手続きに従って、粛々と進めていく。やるだけのことをやって、どうしても進まなくなったら、無効を主張する道もあるのかもしれません。ただ世論の醸成が不可欠になるでしょうね。

草間 国家存亡の危機に陥った場合には、クーデターと呼ばれようが、現憲法無効の国会決議を行うこともあるでしょう。このカードは残しておくべきです。占領国が主権なき占領下の国の憲法に触ることは国際法上許されていませんから、筋は通るはずです。

元谷 形の上では明治憲法の改正という手続きを踏んで、日本はアメリカ製の憲法を押し付けられました。短期間で作成した憲法ですから、九条以外にも多くの不備があります。これらを徐々に正していく意味でも、改憲の発議を改憲勢力がまだ三分の二を維持している今年の参院選の前に行うべきです。そして小泉元首相が郵政民営化の時に行ったと同様に、党所属議員に改憲賛成か反対かを迫り、反対の議員は公認せずに刺客を送るのです。または参院選と同時に衆議院を解散してダブル選挙に、ただし皆が改憲に賛成するのであれば解散はしないと表明する手もあります。首相最大の力は解散権なのですから、これを最大限に活用すべきなのですが、問題はそこまで安倍首相の腹が決まっているかどうかでしょう。

草間 私も同感です。

国史と世界史に分けず
一体として歴史を学ぶべき

元谷 発議が行えたとして、もう一つの関門は国民投票です。現憲法発布時には何千何百万冊もの小冊子が作られ、啓蒙が行われたと聞いています。発議が行われるのであれば、再び大量の小冊子を作るのはもちろん、政府・自民党を挙げて国民の説得にあたらなければいけないでしょう。発議には衆参両院で三分の二という間接民主主義制度での最大の賛意が必要なのですから、そもそも国民投票と差が出る方がおかしいのです。十分に運動を展開できれば、過半数以上を獲得できる可能性は大です。国民投票が十八歳から可能というのも、有利に働くかもしれません。今の若い人には保守的な考えを持つ人が多いですから。

草間 私も若い人たちには期待しています。彼らは新聞やテレビをあまり見ないので偏った考えに毒されず、素直にモノを考えることができるのです。また国民運動は私も非常に重要だと考えます。改憲勢力が結集して、企業から学校までありとあらゆる組織で小冊子を配布して、今日本が置かれている危機的状況と、現行憲法のままだと日本が滅んでしまうことを伝えるのです。

元谷 公明党と組んで選挙でおんぶにだっこ、そのことで自民党は国民運動を起こす力を失っています。やはり独立独歩の党となるべき。議院内閣制の場合、一党で議会議員の過半数が獲得できない時に、政策協定を結んで他の党と組むのが本来の連立です。選挙の前から組んで票を分け合うのは、本来の連立の姿ではないのです。

草間 全く同感で、自民党の堕落だと思います。田母神俊雄さんも仰っていましたが、自民党の右側に旗を立て、本当の意味での保守を結集させるべきなのです。

元谷 自民党は右から左まで思想の幅が広すぎます。そして選挙で当選することが目的化していて、日本をどう導いていくかについて、理念や方針が欠けています。

草間 情けない話です。

元谷 多くの人に、保守の思想を広めるために始めた勝兵塾ですが、すでに延べ一万八千人の方々が参加しています。毎回、五〜六人が一〇分ずつ話をするのです。こういう活動の成果もあって、十年前の第一回「真の近現代史観」懸賞論文を巡って「田母神騒動」が沸き起こった時に比べれば、日本の保守化が進んでおります。しかし、憲法改正にはまだ足りない。依然として日本人の多くが、念じれば平和になると考えているのです。しかし実際には、平和はバランス・オブ・パワーの産物であって、力を背景にして勝ち取るものです。江戸時代の日本は軍事力によって統一国家を維持しており、この力があったから欧米列強の植民地にならずに済んだのです。

草間 念じれば平和になるというのは、奴隷の発想です。ノーベル文学賞作家の大江健三郎や反日左翼の政党は、憲法を改正すれば日本が戦争のできる国になるから改憲反対だと言います。しかし自衛の場合でも戦争ができないと言うのなら、それは奴隷になれということです。こういう思考停止の平和ボケが日本を滅ぼすのです。

元谷 私は世界八十二カ国を訪問して、各国の要人とディベートを繰り返してきました。その会話から感じたことと、日本に帰ってきてメディアで見聞きすることに大きなギャップを覚えたことが、私が歴史を見直す活動を始めたきっかけです。日本人は日本のみで通じる議論をしていては駄目で、国際的に通用する世界観を持たなければなりません。これを妨害しているのが、歴史を日本史と世界史に分けていることでしょう。日本史は本来国史と呼ぶべきですが、同時代に他の国ではどうだったかという視点を学ぶために、世界史と並行して学んでいくべきなのです。その点、今回の草間さんの論文は、日本の状況とその時の世界の状況がわかりやすく書かれていました。歴史教科書もそのように編纂されるべきなのです。

草間 ありがとうございます。私は新しい歴史教科書をつくる会の活動は評価しています。

元谷 私もそうです。ただ、彼らが作った自由社の教科書はなかなか普及しないのです。

縄文文明が花開いた日本列島は
人類文明発祥の地

草間 代表は「二兎を追う者は二兎を得る」と事業と言論活動の両方をダイナミックに展開されています。これは凡人の出来ることではありません。

元谷 言論活動だけではどんなに良いことを言っても、人は耳を傾けてくれません。事業だけではこれだけ多くの人々の支援を得ることは叶わなかったでしょう。事業で成功した私の言葉だから、皆聞いてくれるのです。

草間 素晴らしいことです。私は代表がApple Townに連載されている「アパ的座右の銘」から、いつも学ばせていただいています。私もいつの間にか齢を重ねて、もう八十歳になりました。今回の受賞を機に執筆活動にさらに拍車を掛けようと思っています。今の日本の危機的状況を、もっと多くの人々に伝えることが私の使命だと任じています。

元谷 ぜひよろしくお願いします。書いた本で、次はぜひアパ日本再興大賞を狙ってもらえれば。

草間 第一回のアパ日本再興大賞を受賞された江崎道朗さんの著作活動は、第二次世界大戦・大東亜戦争がコミンテルンの謀略によって引き起こされたものであることを実証的に暴いてくれました。これにようやく気づいた良心的なアメリカの歴史家たちとの共同作業による正しい近現代史の再構築は、日本再生のためにも急がねばなりません。

元谷 アメリカ国内にも「強い日本」を求める人々と、反対に「弱い日本」を求める人々がいるという話ですね。前者は共和党、後者は民主党と重なります。だからアメリカが民主党政権の時に日米戦が行われるなど、日本に不利な日米関係となります。逆に共和党政権の時の日米関係は良好です。ブッシュ大統領は小泉首相に靖国参拝を申し出たぐらいですから。しかしこれを日本側は断った。本当に馬鹿げた判断でした。

草間 小泉首相といえば、アメリカを実質的に支配しているウォール街の国際金融資本のエージェントの役割を果たしていました。実は郵政民営化の“改革要求”は十年も前のクリントン時代から執拗に繰り返されてきたものでした。ところで、私は人類文明についていろいろ研究してきました。西欧型の文明観では、文明はまず農業革命から始まります。これによって食料に余剰が生まれ、都市が形成されて、直接農作業に従事しない職人、戦士、僧侶などが誕生し権力のヒエラルキーが作られ、さらに鉄器・文字が発明される。これが文明だというのです。しかし日本は元々食料が豊かだったので、農業革命の必要性がなかった。石器時代の遊動生活から脱して、まず定住革命が起こり、人々が集落を構えたのです。そして一万六千年前に人類最初の土器が作られます。鉄器や文字やヒエラルキー社会は存在しませんでしたが、これは文明です。日本における環境考古学の創始者・安田喜憲氏が従来の文明観に異議を唱え、はっきりと縄文文化は縄文文明だと提唱しました。そして、自然を収奪し環境破壊をもたらす西欧型の文明観では、いろいろな意味で人類は追い詰められて滅んでしまう。今こそ日本の縄文文明の再評価が必要だと主張しました。新たな文明概念の創出で、私も大賛成です。大事なことは、縄文時代から続く神道的な汎神的世界観の日本では、生死を超えた究極の利他行為で人は神になります。祖国日本の弥栄を祈って散華していった数千の特攻隊員たちは皆、神になりました。この崇高な精神は、アンドレ・マルローやベルナール・ミローなど西洋の最高の知性は理解し尊崇しています。ユダヤ・キリスト教の一神教文明、そこから生まれたマルキシズムやグローバリズムは、人類を破滅に導くものです。これからは日本文明こそが世界をリードしなければならないのですが、その日本自体が滅んでしまう可能性があるのです。

元谷 そろそろ日本は真っ当な国になるべきです。世界の国の力の源泉はやはり核兵器であり、周辺国が全て核保有国となった今、日本も核バランスをどう確保すべきかを真剣に討議しなければなりません。私はアメリカから核をレンタルするニュークリア・シェアリングしか道はないと思います。そのために非核三原則を撤廃し、さらに憲法改正、日米安保改定を行って、自立自衛の国になるのです。その前提として、自分の国は自分で守るという気概を国民が持つ必要があるでしょう。

草間 その通りだと思います。もし、ニュークリア・シェアリングを断られたら、「では自主開発するしかない」とはっきりとアメリカに告げることです。

元谷 最後にいつも「若い人に一言」をお聞きして、結びとしています。

草間 まず、祖国日本の再生復活を阻もうとする反日左翼の“反戦平和”“平和憲法”などの浅薄なプロパガンダに騙されるな、と言いたいです。大東亜戦争でなぜ軍民合わせて三百十万人もの同胞が死ななければならなかったのか。次代を担う若い人たちは真実の歴史を学び、日本人であることの意味を真剣に考えて欲しい、と思います。

元谷 日本の今の危機を、共に伝えていきましょう。本日はありがとうございました。

対談日 2019年2月1日