BIGTALK

真正面からの突破で 憲法改正の実現を
Vol.329[2018年12月号]

参議院議員 参議院自由民主党議員会長 橋本聖子
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APAグループ代表 元谷外志雄

スピードスケートと自転車競技の二種目でオリンピックに七回出場、銅メダルを獲得し、スポーツ政策を手掛けるために就任した国会議員としても二十四年目を迎えている参議院議員の橋本聖子氏。日本オリンピック委員会の副会長も務める橋本氏に、オリンピック・パラリンピック東京大会の準備状況や開催成功への熱い想い、憲法改正に向けての自民党の動きなどをお聞きしました。

橋本 聖子氏

1964年北海道生まれ。1983年駒澤大学付属苫小牧高校卒業、富士急行株式会社入社。1984年冬季オリンピックサラエボ大会にスピードスケートで出場。これを含み4大会連続で、冬季オリンピックに出場。1992年のアルベールビル大会では日本人女子で初めて、1500メートルで銅メダルを獲得。オリンピックの夏季大会にも自転車競技で3回出場。冬季夏季合わせて7回のオリンピックに出場。1995年参議院議員に初当選、現在4期目。

科学的な指導によって
若い選手が力を付けている

元谷 本日はビッグトークへのご登場、ありがとうございます。橋本聖子さんと言えば、日本人で知らない人はいないと思います。スピードスケートで四回、自転車競技で三回オリンピックに出場、スピードスケートでは日本女子として初めて銅メダルを獲得しています。参議院議員になって何年でしょうか。

橋本 丸二十三年で、今二十四年目に入りました。

元谷 今、参議院自由民主党の議員会長なのですね。

橋本 はい。三年の任期の内、二年が過ぎました。

元谷 委員会はどこに所属しているのですか。

橋本 スポーツ行政・政策を手掛けたいと考えて国会議員になりましたので、それを所管している文教委員会に所属しています。

元谷 このApple Townで連載を書いている馳浩さんと同じですね。

橋本 そうです。私も馳さんも俗に言う文教族です。

元谷 日本スケート連盟の会長も務めていますね。

橋本 はい。あと日本自転車競技連盟の会長も務めています。その他に副会長をやっている競技団体がいくつかあります。

元谷 そのように政治と競技団体の両面から、スポーツをサポートしている橋本さんは、日本オリンピック委員会の副会長でもあります。東京オリンピックまで、いよいよ二年を切りました。

橋本 今から五年前に東京開催が決定したのですが、その時にはまだ七年あると思っていました。しかし瞬く間に残り二年になりましたね。

元谷 東京でのオリンピックの開催が決定してから若い選手が頑張っていて、様々な競技で日本選手が好成績を上げているように思えます。先日もバレーボールの世界選手権で、日本女子が前回のリオデジャネイロオリンピック銀メダルのセルビアを破りました。

橋本 選手にしても、自国開催のオリンピックに絶対に出場したい。そしてメダルを獲得したいという思いが強くなってきたことが背景にあるのでしょう。また十年前、東京都北区にナショナルトレーニングセンターが完成、その近くには国立スポーツ科学センターもあります。医学や情報学、そして用具の研究などを総合的に行い、その成果を選手のサポートに役立てる体制ができているのです。脳科学で疲労のメカニズムを解明するなど、様々な人間のメカニズムの研究も行われていますし、選手の精神面を支える心理的なトレーニング、例えばイメージトレーニングやマインドコントロールなども指導しています。

元谷 精神論ではなく、今は科学的な研究や指導が主流なのですね。その成果が出ているのではないでしょうか。先日もシカゴマラソンで、大迫傑選手が二時間五分台の日本新記録を出しました。世界新記録は二時間一分台なのですが、いずれ二時間を切る人が出てくるでしょう。昔、陸上短距離の百メートルでは十秒は切れないと言われていましたが、今では日本選手も十秒を切っています。

橋本 昨年、桐生祥秀選手が九秒台を出しましたが、日本でもあと二人は九秒台を出すでしょう。

元谷 昔では想像できない素晴らしい成果です。これも心身両面からの科学的なトレーニングや、食事管理などの成果なのでしょうか。

橋本 それらのどれ一つが欠けても、世界のトップと戦うことはできません。

元谷 用具も非常に重要だと思います。

橋本 その通りです。スピードスケートの場合、スケート靴の氷と接触する部分をエッジというのですが、ここをミリ単位で調整、一番力の発揮できる形を模索します。

元谷 一人ひとりセッティングが異なるということですね。

橋本 はい、その通りです。百分の一秒を争う競技ですから。実際には千分の一秒まで計測しています。百分の一秒のタイムが同じであれば写真での判定になりますが、数センチ差という勝負もあります。

元谷 スピードスケートの場合、どこがゴールラインを越えるとゴールしたことになるのですか。陸上競技の場合は胴体だと聞いているのですが。

橋本 エッジの一番先ですね。

元谷 なるほど。

オリンピックの成功とは
「舞台」をきちんと作ること
育てていくこと

元谷 私は四年に一度開催されるオリンピックは、多くの選手達にとっての目標となり、頑張りの原動力になっていると思っています。しかしオリンピックの開催に否定的な人やメディアもあり、様々な批判で水を差そうとしています。東京オリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場についても、建設費が高すぎるなどの理由で、一旦決まっていたザハ・ハディド氏の案が白紙撤回される騒動がありました。しかし東京オリンピックによる経済的な波及効果は何兆円にも及ぶもので、数千億円の投資価値は十分にあります。さらに天才と呼ばれたザハ・ハディド氏のデザインであれば、後世まで残るような先進的な競技場となったはずです。それを予算優先で、冷房もない競技場にするとは…。

橋本 残念な騒動でした。

元谷 今どんどん海外からの観光客が増えていますが、これが東京オリンピックが終わった後に激減するのではと不安を持つ人がいます。では過去のオリンピックではどうだったか。多くの場合、開催から一年は観光客が減るのですが、その後は増加に転じています。やはりオリンピック開催による知名度アップには、凄まじい威力があるのでしょう。ホテルも過剰になると言われていますが、それも一過性のことです。客観的に見ても、日本ほど素晴らしい国はありません。治安がよく、食べ物が美味しく、公共交通機関は時間どおりに運行されています。先日新聞でも報道されていましたが、アメリカの旅行雑誌「コンデナスト・トラベラー」が発表した「二〇一八年の魅力的な世界の大都市ランキング」では、東京が一位、京都が二位、大阪が十二位にランキングされています。この結果にも、東京オリンピック開催の影響があるのではないでしょうか。やはり安倍首相最大の功績は、東京オリンピック招致に成功したことでしょう。そして今、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長らが、一生懸命大会の成功を目指して活動されていると思います。森さんとは、以前、小松市でお互いの事務所が近かったこともあって、古くから親交があるのです。

橋本 組織委員会がまとまっているのは、森会長の存在感があってのことです。開催が近づいてきて、協賛企業からの応援派遣も進んできて、組織委員会は五千人規模の大所帯になってきました。これからボランティアが東京都心で八万人、地方で開催される予選などのために二万人、合計十万人動員される予定です。この勤務体制の管理だけでも、相当な作業になります。

元谷 それだけの人員を集めるだけで大変でしょう。日当はあるのでしょうか。

橋本 ボランティアなので無償で…という声もありますが、それでは集まりきらないでしょう。大会ボランティアには、交通費程度の日当を支給することになりました。また組織委員会と大学が連携して、学生のボランティアを次世代教育の一つと考え、単位を認定するなどの動きを行っています。

元谷 私は一九七六年のモントリオールオリンピックから、日本が出場しなかったモスクワ大会を除いて、すべての夏季大会の開会式か閉会式に行っています。開会式を観ると、オリンピックは単にスポーツの祭典というだけではなく、エンタテインメントや芸術などその国のあらゆる最高のものの集大成だと感じています。一九九八年の長野オリンピックでは開会式の総合演出を浅利慶太氏が行いました。今回は狂言師の野村萬斎氏が総合演出を行うことに決定しています。日本の力を世界に示す機会ですから、日本の伝統芸能に通じていて、海外の事情にも明るい野村氏の演出に期待したいですね。

橋本 代表の認識は極めて正しいです。私が七回オリンピックに出場して感じるのは、オリンピックやパラリンピックを世界最高峰のスポーツイベントと捉える人が一般的に多いのですが、これは誤解だということです。オリンピックは国家の威信を賭けた経済面と文化面での戦いだと認識するべきです。自国の選手が活躍してメダル数が多ければ大会が成功だと思いがちですが、そうではありません。世界中の選手達が活躍できる舞台をきちんと築けたかどうかが、大会の成否を決めるのです。

元谷 確かにメダルの数で決めるのはおかしいですね。

橋本 もっとこのように運営しなければならなかったという反省点を、選手の活躍による盛り上がりを利用して隠している開催地があるのです。日本は成熟した国家であり、中でも最も成熟した都市・東京で開催するオリンピックなのですから、運営面でも万全を期して、明確に次の時代に繋げていくオリンピックとして成功させたいと考えています。

元谷 東京オリンピックに関しては、新国立競技場の費用問題やエンブレムの盗作騒動、ボランティアについてなど、なにか問題があるとそれを大々的に糾弾する風潮がメディアにも世論にも形成されています。今橋本さんが指摘したような、もっと大きな視点でオリンピックの意義を捉えるべきでしょう。今後開催時の気温の問題、交通の問題、チケットの販売の問題など細かな課題がどんどん増えていくと思います。それらを技術と知恵で解消して、日本の総合力を見せつけるオリンピックになることを願っています。

橋本 その通りだと思います。私も頑張ります。

偏向するメディアには
何らかの規制が必要
育てていくこと

元谷 東京オリンピックは安倍政権の集大成だと、安倍首相自身も考えているでしょうし、周囲もそうなるべくサポートすべきです。私は二〇一二年のあの段階で安倍首相が登場しなかったら、日本はどうなっていたのだろうと思うことがあります。安倍政権のこの六年間には素晴らしい成果がありました。この後さらに三年続くわけですが、それで足りなければ四期やればいいと私は思っています。それぐらい、安倍首相に勝る政治家がいない。もちろん任期が終われば、ちゃんとふさわしい人が現れると信じていますが。

橋本 私も期待しています。

元谷 厳しさを増す東アジア情勢ですが、これもアメリカのトランプ大統領がいなければ、さらに悪い状態になっていたでしょう。今はもう米中新冷戦時代に入っています。お互いに関税の税率を上げ合う米中貿易戦争が始まっていますが、アメリカとしては中国によって知的財産権を侵害され、何十兆円もの損害が出ているのですから、やむを得ないことです。この原因となっているのが、オバマ大統領の八年間でしょう。核なき世界や世界の警察官ではないなど、言葉上は聞こえのいい事を言っていたのですが、その間に中国にどんどん有利な状況が築かれていったのです。もし引き続き民主党のヒラリー・クリントン氏が大統領になっていたらと思うと、ぞっとします。またアメリカの民主党政権は、日本の独立自衛に繋がる改憲には反対するでしょう。日本の改憲のためには、安倍首相とトランプ大統領の良好な関係が不可欠です。昨年の憲法記念日に具体的な憲法改正の道筋を示した安倍首相に対して、メディアは総力を挙げて反撃を開始、モリカケなど事件でもなんでもないことを大げさに報道することで、政権転覆を図ろうとしました。トランプ大統領も同じような目に遭っています。そんな逆風もありますが、戦後七十三年、今このチャンスに改憲を行って普通の国にならなければ。だから私もこのApple Townにエッセイを書いたり、勝兵塾や「真の近現代史観」懸賞論文、アパ日本再興大賞を主催し、憲法改正の気運を醸成しようとしているのです。

橋本 懸賞論文にはどれくらいの応募があるのでしょうか。

元谷 毎回三百本近い応募があります。応募者は九十歳から十代の人までと幅広い層です。懸賞論文は今年で丸十年開催してきたのですが、日本の保守化に大きく貢献したと自負しています。第一回で最優秀藤誠志賞を獲得した田母神俊雄氏の航空幕僚長からの更迭騒ぎがあったことが、逆に功を奏しました。田母神氏が日本をいい国だと言ったのは、国を守る自衛隊幹部としては当然でしょう。それを政府見解と違うという理由で更迭することは、政府が日本を悪い国だと言っていることに等しくなります。そこに多くの国民が矛盾を感じ、その結果、保守に覚醒したのです。トランプ大統領に対するメディアの批判も田母神氏や安倍首相に対するものと酷似していて、十一月六日の中間選挙を前に、不倫や脱税など根拠の薄い難癖を付けて、大統領を貶めようしています。怪しげな証拠で疑惑を誇張して報道する一方、上げた成果は「報道しない権利」を行使して報じない態度は、無責任過ぎます。アメリカでも日本でも、メディアが左側に偏向しているのです。これを矯正する法律が必要ではないでしょうか。

橋本 放送法改正の動きなどもありましたが、法律により規制すべきかどうかは議論があるかと思います。ただ、近年、報道に矜持が感じられないと思うことが多くなりました。

元谷 特に放送局ですが、限られた電波を与えられているのですから、報道は極力公平に行うべきでしょう。モリカケに関する国会の質疑でも、前愛媛県知事の加戸守行氏の発言がほとんど報道されませんでした。公平だと思われているNHKが、一番不公平な中国寄りの報道を行っています。また、人口約十四億人の中国からなんらかの恩恵を被っている日本企業が多いことから財界も中国寄り、その結果日本経済新聞も中国寄りになっています。そもそも日中記者交換協定があり、中国批判を行えば特派員の派遣を認められなくなりますから、メディアは中国を悪く言えず、提灯記事ばかりが並びました。それを信じた多くの事業家が中国に進出して、多額の損失を出しています。共産主義は金持ちを潰して、皆で分けると言いながら、幹部が全て奪うもの。それらのこともメディアは結託して報道しないのです。

橋本 そういうことなのですね。

中国の組織的な情報操作に
戦略的に対抗するべき
育てていくこと

元谷 憲法改正に話を戻しますが、改憲の大きな目的は、日本を独立自衛の国にすることです。日本国憲法第九条と日米安保条約はセットになっていて、アメリカが日本を守るが、日本はアメリカを守らなくていい。だから日本は「戦力」を持たなくていいが、日本国内に米軍基地は置かせて欲しいというものです。これでは一人前の独立国家ではありません。本来であれば、第九条第二項を削除して自衛隊を戦力とすることが必要ですが、最初にそれが無理と言うのであれば、まず安倍首相の主張する通り自衛隊明記という改憲を行った上で、二回目に第二項削除を行うべきでしょう。アメリカがトランプ大統領で、参議院でも改憲賛成議員が三分の二いる来年七月までが改憲発議のチャンスです。来年は新天皇が即位して元号が変わります。新しい元号に見合う、新しい日本になるべきなのです。

橋本 仰る通りで、なんとか発議を行い、国民投票を行うところまで持っていきたいのですが。

元谷 発議から半年以内に国民投票です。もし改憲派の旗色が悪ければ、衆議院を解散して国民投票とダブル投票にすることも考えられるでしょう。それもあってか、来年改選の参議院議員と小選挙区選出の衆議院議員が、自民党の議員でも改憲に非常に慎重になっています。小泉純一郎元首相が改憲には野党との協力が必要と、ほとんど意味もなく言っていますが、他にも世論調査で改憲賛成者が多くないと言ってみたり、いろいろな理由を付けて改憲の発議を先送りにしようとしている勢力がいますが、私からすればそれらの人々は「護憲派」です。発議をすれば世論は変わります。もちろん大々的な改憲運動も展開する必要があるでしょう。

橋本 私も代表と同じ意見で、今が最大のチャンスだと考えています。また議論も相当煮詰まってきています。第九条ばかりに目が向きますが、参議院の合区解消のための改正など、他にも改憲ポイントはいろいろとあるのです。

元谷 まず具体的な憲法改正案を早く提示すべきでしょう。改憲に関しては少しでも姑息さが見えては駄目です。真正面から突破を図らないと成功しません。自民党の国会議員の間に、安倍首相をサポートして何が何でも改憲を成功させるのだという雰囲気を作る必要があると思います。今このタイミングで改憲を行い真っ当な国に日本を変えていかないと、いずれは中国の日本自治区になってしまいます。今回の人事で、自民党の憲法改正推進本部長になった下村博文氏の手腕に大いに期待したいですね。最後にいつも「若い人に一言」をお聞きして、締めの言葉にしています。

橋本 代表も先程からメディアへの注文を仰っていましたが、私もメディアが日本をどこに導こうとしているのか、どこまでを日本の危機だと認識しているのか、理解できないことが多いですね。一方、情報社会の進展で、いろいろな情報を集めることが可能なツールを若い人は手元に持っています。こんな中、マスメディアの情報だけに流されない人間を作り上げる必要があります。AIだったりビッグデータだったり、数々のイノベーションが目覚ましく発展する中、情報の渦にうっかりすると巻き込まれていくような時代ですから、自らの力で何が真実で、何が正しい価値なのかを見極められるようになって欲しい。メディアやネットの情報に流されて後で間違いだったと気付いても、過去にはもう戻れないのです。

元谷 かつては米ソ冷戦でしたが今は米中新冷戦時代です。中国は戦略本部を作り、組織的かつ計画的に日本のメディアを上手く操っています。小泉氏の発言などを大きく取り上げるのは、このためです。この組織的な情報戦に、こちらがいかに戦略的に立ち向かうかが今問われています。なんとか対抗して憲法改正を。橋本さんの活躍にも期待しています。今日はありがとうございました。

橋本 頑張ります。今日はありがとうございました。

対談日 2018年10月11日