日本を語るワインの会265

ワイン265恒例「日本を語るワインの会」が会長邸で行われました。昨年の第十七回「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀藤誠志賞を受賞した一般社団法人皇統を守る会監事の中村敏幸氏、三人の息子に十二人の孫がいる米国カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏、著書の『世界「民族」全史』が昨年の第七回アパ日本再興大賞の最終選考にまで残った著作家の宇川卓栄氏、名前の由来が「アスリート」の株式会社秘蜜開発代表取締役の釜谷あすり氏をお迎えし、激動の中東情勢等について、じっくりと語り合いました。
個人の人格や能力と
皇統は別に考えるべきだ
 城奈海会長をはじめとした中村敏幸氏等一般社団法人皇統を守る会のメンバー八名が、昨年十月にスイスのジュネーブへ行き、国連女子差別撤廃委員会に参加した。国連女子差別撤廃委員会は、皇位を男系男子のみに限る日本の皇室典範について、女性差別撤廃条約と相容れないとして改正の勧告を行った。これに先立ち葛城会長がNGOとしてスピーチを行い、「世界にはさまざまな民族や信仰があり、それぞれ尊重されるべきだ。内政干渉すべきではない」と主張した。皇族の数を確保すべく衆参両院の正副議長の下、各党協議が行われてきたが、今国会での取りまとめはできなかった。自民党は戦後皇籍を離脱した十一宮家から男系男子の子孫を養子に迎える案を推していたが、これについて合意は得られず、また女性皇族が婚姻後も身分を保持する案では、その女性皇族の配偶者と子に皇族の身分を与えるかどうかで意見が割れた。立憲民主党の野田代表は「養子案」には消極的である一方、女性皇族の配偶者と子を皇族とすることには賛成だという。民間になった旧宮家の皇籍復帰が国民の理解が得られないというならば、女性皇族の民間出身の配偶者に皇族の身分を与えることも、同じく理解されないだろう。野田氏らの主張が矛盾しているのが、合意を得られない大きな要因だ。また最近継承に関する様々な議論が持ち出されているが、個人の能力や人格と皇統は別問題と考えるべき。皇統をきちんと繋げていかないと、日本人は日本人である理由を喪失する。
 ケント・ギルバート氏はパンデミック時にアメリカに帰国、日本に戻ってくると宿泊施設での十四日の待機を余儀なくされた。大変だったのが食事で、電子レンジのない部屋で三食冷めた弁当を食べていた。そのために今でもコンビニに並ぶ弁当が、美味しそうに見えないという。
 宇山卓栄氏は二十年間予備校の講師として、高校生と浪人生に歴史を教え、十年前に政治家を志望して、大阪府議会議員選挙に自民党の公募に応じて出馬した。大阪維新の会が提唱する大阪都構想によって大阪市が消滅することが、どうしても許せなかったからだ。選挙結果には涙を飲んだが、その後は著作家として活躍、特に日本の皇室がいかに特殊で尊いものかということを執筆し、中村敏幸氏と共に一般社団法人皇統を守る会の活動も行っている。
孤立するイランは
核開発を手放せない
 谷あすり氏は小学生から中学生にかけて父親の仕事の関係で、ドバイで暮らした。現地のアラビア語の学校で学んだり、王様が飼っている駱駝のミルクで作ったチョコレートを日本に卸す父親の仕事を手伝ったり。この時デーツ(ナツメヤシ)に出会いすっかり虜になり、今は日本デーツビューティー協会の会長も務めている。経営する株式会社秘蜜開発では自社ブランド「秘蜜な焼き芋」他、様々なプロデュース事業を展開。コンセプトは古き良きものを進化させて、繋いでいくこと。商品の一つ「秘蜜な干し芋」は、全国のドン・キホーテでも販売されている。また代官山に「東京秘蜜喫茶」というお店も持ち、様々な焼き芋スイーツの提供も行っている。釜谷氏の父親は国力を上げるためにはまず家庭からと、『お金 時間 幸せ 人生を自由に操る最強パパの教え』(PHP研究所)という本を出版。今は太陽光発電の会社を経営する一方、太陽光パネルの下で榊を栽培し、靖国神社に納めたりしている。
 宇山氏は昨年ライシ大統領が亡くなったタイミングでイランを訪問、六カ月間滞在して取材を行った。経済制裁でイラン経済はボロボロになっていて、だからこそ経済制裁を解くためにアメリカと核協議を行っているのだが、ここで核開発を放棄したら政治的に政権が持たなくなる。支援していたレバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派をイスラエルやアメリカに攻撃されて、今やイランは孤立状態だからだ。だからこそ、このタイミングでのイランの核施設を狙ったイスラエルの攻撃となった。しかし、イランの核施設は地下百メートルの場所にあり、アメリカのバンカーバスター(地中貫通爆弾)でも届かない。イスラエルは攻撃でイランの科学者や軍の高官を殺しているが、核施設を破壊することはできないはずだ。

イスラエルとアメリカは
深いところで繋がっている
 サウジアラビアの首都リアドには、凄まじく近代化したビルが並んでいる。アメリカのトランプ大統領は五月にサウジアラビアやUAE、カタールと中東を訪問したが、イスラエルには立ち寄らなかった。ガザでの虐殺を止めないイスラエルに対して、トランプ大統領は距離を置こうとしているのではないか。サウジアラビアでシリアのシャラア大統領と会談をしたトランプ大統領は、シリアに対する経済制裁の解除を表明したが、イスラエルには事前にこのことを伝えなかった。これにイスラエルのネタニヤフ首相は激怒、今回のイラン攻撃はアメリカの承認を得ずに始めたという説もある。しかし、イスラエルとアメリカは深いところで必ず繋がっているし、トランプ大統領は最終的には必ずイスラエルの肩を持つはずだ。
 実際のところ、イランは凝縮度六〇%のウランを四〇〇kg超保有し、ここから核兵器を製造するのは時間の問題という段階まで来ている。アメリカのウィトコフ中東担当特使は、再三にわたってイランのウラン凝縮の停止を求めてきたが、交渉は妥結していない。もしイランが核兵器を保有すれば、必ずサウジアラビアも核保有を行う。そうなれば、トルコもUAEもと、中東に一気に核が拡散する極めて危険な状態になる。だからイスラエルが攻撃をしたのだ。公式には決して表明しないだろうが、イスラエルが「暴走」してイランを攻撃することは、アメリカの希望通りなのかもしれない。トランプ大統領は、だらだらとイランと交渉を続け、イスラエルの堪忍袋の緒が切れるのを待っていたのではないか。とにかくイランの核武装を絶対に許さないというのは、イスラエルとアメリカの強い意思であって、これは決して変わることがない。
 ネタニヤフ政権には、ベン=グヴィル国家安全保障相とスモトリッチ財務相といったシオニスト過激派の閣僚がおり、彼らがいる限りイスラエルの軍事行動は止まらない。最初の攻撃で軍高官や科学者を殺害できたということは、イラン国内に数多くのイスラエルの工作員がいて情報を収集していたということだろう。ここまで大人の対応をしてきたイランだったが、今回とそれに続く攻撃にはさすがに耐えかねて、大規模な反撃に転じている。このエスカレーションが進むとアメリカも巻き込まれる可能性があり、そうなるとさらに事態は悪い方へと転がっていくことになる。正直なところアメリカは中国対応に専念したいのだが、ネタニヤフ首相がそうはさせないように画策しているのだろう。
 関税について、アメリカと中国は五月十二日に共同声明を発表、それぞれ課すと主張していた関税を一一五%引き下げ、基本双方とも一〇%のベースライン関税を適用するというものだ。トランプ関税の最終的な目標は中国のインチキを正すという、中国潰しだろう。
保守は常識であり
真実を知れば皆保守になる
 月十三日にエア・インディアのボーイング七八七型機が墜落、乗客に加え地上の医科大学寮への被害で二百七十人以上の人が亡くなった。交通機関で一番死亡率が高いのはオートバイ、次が自動車で、飛行機はかなり安全性が高く、今のところ死亡事故が全くないのは新幹線だ。ギルバート氏が所属する教会の宣教師は、昔はヘルメットをせずに自転車に乗っていたが、十数年前に佐世保で死亡事故があったことをきっかけにギルバート氏の提案で、全世界の宣教師が自転車乗車時にヘルメットを着用することになった。今、日本の法律ではヘルメット着用は努力義務だが、この教会では義務だ。数年前にギルバート氏の宣教師になった息子が新潟県長岡市で、自転車で布教活動中に、コウモリに気を取られて縁石に衝突して転倒、頭を強打して十五分気を失った。ヘルメットが割れて守ってくれたおかげで九死に一生を得たが、なかったら間違いなく死んでいただろう。ギルバート氏は間接的にだが、息子の命を救ったのだ。
 会長が事業を行いながら言論活動も行うようになった理由は、バランスのためだった。世の中のメディアはリベラルに偏っている場合が多く、保守の論客が少ないと感じたからだ。会長がこの月刊Apple Townで主張していることは、真正保守の考え方。これらを読んで連帯感を感じる方が、「真の近現代史観」懸賞論文に応募してくれたり、勝兵塾に集まったりしてくれている。最近参議院議員の片山さつき氏が『「常識保守」のすすめ』という本を出したが、保守は常識である。そして本当のことがわかれば、皆保守になる。しかし経営者は真正保守が珍しく、逆にリベラルが多い。これは経団連が中国寄りだからではないか。昭和までの経営者は国益意識を持っていたが、平成以降の経営者はこの意識が薄く、自分が経営する企業の利益ばかりを考えてきた。
 ホテルでは、飲み過ぎ食べ過ぎ、働き過ぎ、睡眠不足で状態の悪いお客様が宿泊されることも多く、そんな方がサウナや大浴場を利用することでヒートショックの症状を引き起こすこともある。安全、安心、安眠をモットーとするアパホテルでは、救急隊員が来るまでの十分間が命を救うために重要だとして、全スタッフが業務時間内に普通救命講習や上級救命講習を受講、実際にお客様の救命に役立ったケースも出てきている。ホテル業界にこの講習を受ける流れを生み出すべく、啓蒙を続けている。