日本を語るワインの会207

ワイン207二〇二○年八月十二日、代表邸で恒例「日本を語るワインの会」が行われました。二〇〇二年に独立した新しい国・東ティモール民主共和国の特命全権大使、イリディオ・シメネス・ダ・コスタ氏、清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀のいとこの曾孫にあたる三好医院副院長の青川昊太郎氏と院長の青川順子氏のご夫妻をお迎えし、緊迫感の高まる米中関係等、アジアの情勢について語り合いました。
拡張主義やコロナから
緊張高まる米中関係
 中国は間違いなく台湾占領を目指して軍事行動に出る。その中台の軍事力の差は比較にならないが、その時アメリカと日本がどう出るかだ。日本は日本国憲法で縛られているから、直接台湾を守る行動を取ることはできないだろう。さらに現状ではアメリカの助けがなければ、自らの国を守ることもできない。これでは独立国家とは言えない。憲法を改正して独立自衛の国となり、日米安保を日英同盟のような平等・対等・互恵の関係を築くものに変えるべきだ。今後の米中関係はより緊迫感を増す。ある日本の財界人の見立てでは、次期大統領がトランプ氏になろうがなるまいが、つまりは共和党政権であろうが民主党政権であろうが、アメリカは国として中国と一戦交えることを決定しているという。今であればまだアメリカは中国の倍の軍事力を保有しているが、今後五年程度でこれが逆転する可能性があるからだ。まずは大義名分が立ちやすい、中国が南シナ海の公海上の環礁を埋め立てて作った基地への攻撃だろう。トランプ大統領が再選戦略として、選挙直前にこれを実行する可能性もある。米中が衝突する時に日本はどのようなスタンスを取るのか。国民と政治の意志が試される時は近い。
 新型コロナウイルスの影響は、世界大戦並だ。十七万人が亡くなったアメリカのトランプ大統領は、中国への憤りを隠さない。世界各国からも中国への損害賠償請求の訴訟が起こされているが、日本では誰もまだ訴えてはいない。武漢から始まったこのウイルスの感染拡大だが、ここにあるウイルス研究所で研究していた生物兵器が外部に漏れて広まったという説もある。ヨーロッパやアメリカと東アジアでは人口百万人当たりの死者数が百倍異なり、白人の方が重篤化しやすいのは明らかだ。これは人種間のDNAの違いで致死率が異なるように、このウイルスが兵器として「設計」されているからではないだろうか。
 中国では二〇一五年に一人っ子政策が終了、今では無条件で二人の子供を持つことができるが、経済的理由で一人しか子供を持たない夫婦が多い。中国でも少子高齢化が急速に進行しているのだ。しかしインドではまだ多産の流れが変わらない。早晩インドが中国を抜いて、人口で世界第一位の国になるだろう。日本に帰化した人を含む在日中国人は約百万人と言われている。中国の大学で医学を学んだ青川夫妻は二十年前に日本に帰化、三年前から大久保駅前のクリニックを引き継いでいる。百万人の在日中国人の内約五十万人が関東に居住しているが、中には日本語が上手ではなく、病気になっても病院で症状をうまく説明できない人がいる。またそんな人は医師の説明も理解できない。青川夫妻のクリニック・三好医院は、日本語はもちろん、中国語、英語にも対応する。小規模なクリニックでは一日平均三十名の外来患者が来るが、三好医院では最大で一日百二十五人の患者が訪れたことがある。
日本の援助が支える
東ティモールのインフラ
 東ティモールは十六世紀にポルトガルの植民地となり、先の大戦時に一時期日本軍に占領されたが、戦後は再びポルトガルの領有下となった。一九七六年にインドネシアの侵攻を受け併合されるが、国連安保理の介入を経て、二〇〇二年に独立を果たした国だ。ティモール島の東半分とアタウロ島、ジャコ島、飛地オエクシで構成された国土の広さは、東京、千葉、埼玉、神奈川を合わせたのと同じぐらい。人口は約百二十六万人で首都はディリ。民族はメラネシア系が中心で公用語はテトゥン語、ポルトガル語だが、インドネシア語や英語も頻繁に使われる。国民の多くがカトリックを信仰するキリスト教国だ。コーヒーの栽培に力を入れていて、アメリカやカナダを中心に、世界各国に輸出している。漁場としても豊富に海産物がとれることがわかっていて、今後の活用が期待されている。また近年特に力を入れているのは、石油や天然ガスの資源開発だ。海底油田と海底ガス田が見つかっていて、オーストラリアやアメリカ、日本と技術提携を行って、開発を進めている。陸上からは石油と天然ガスはまだ見つかっていない。資源があるのは確かなのだが、ネックとなっているのは開発を行う人材と資本の不足だ。日本の場合は、尖閣諸島近くの海底に石油があるという調査結果が出た途端、中国が領有権を主張してきた。東ティモールもオーストラリアとの間に国境紛争があったが、既に解決している。
 東ティモールは手つかずの珊瑚礁等観光資源にも恵まれているが、ホテル等観光のインフラ整備はこれからだ。マレーシアやポルトガルの資本がホテル開発を行おうとしている。日本人も少数ながら観光に訪れており、スキューバダイビングに絶好なポイントを日本でもアピールしようとしている。問題は日本から東ティモールへの直行便がないことだ。インフラ面では日本が一番東ティモールを援助していて、今も日本が無償資金協力の事業として、四千五百万ドルを投じる東ティモールのプレジデンテ・ニコラウ・ロバト国際空港改善計画を進めている。これが完成した暁には是非日本との直行便を…というのが、東ティモールの悲願だ。日本からの投資と観光誘致というのが、在日東ティモール大使館の重要なミッションになっている。中国から多くのビジネスマンが訪れる国だが、現在東ティモールには新型コロナウイルスの感染者は発生していない。一方、東で接するオーストラリアと西で接するインドネシアでは感染者が増加している。
約千人もの旧日本兵が
インドネシア独立戦争に
 東ティモールにカトリック教徒が多いのは、ポルトガルの植民地だったからだ。隣のインドネシアはオランダの植民地だった。先の大戦時には、「空の神兵」と呼ばれた陸軍空挺部隊がパレンバンの油田を押さえる等、インドネシアやティモール島を占領した。オランダはこのことで日本を恨んでいる。日本はオランダとは異なり、インドネシアでインフラ構築を行い、人々に教育も行った。また終戦後も千人近くの旧日本兵がインドネシアに残り、スカルノらと共に、再植民地化を狙った旧宗主国のオランダとの独立戦争を戦った。南ジャカルタにあるカリバタ英雄墓地には、この戦いで戦死した二十七名の旧日本兵が葬られている。一九四一年十二月十七日にオランダ軍とオーストラリア軍は当時の宗主国のポルトガルの意向を無視して、保護の目的でティモール島を占領。しかし日本軍はティモール占領の基地となっていたオーストラリア本土のダーウィンを一九四二年二月十九日に空襲、翌二月二十日には日本軍がティモール全土を占領した。しかし東ティモールは韓国等とは違い、日本に対して戦後賠償を求めていない。日本はまず日露戦争に勝ったことで、多くの植民地に自信を与えた。そして先の大戦では敗れたが、そこで戦ったお陰で多くの植民地が独立国家となり、人種差別も撤廃された。
 医療業界では、新型コロナウイルス感染症対策に全国各地のホテルの一棟貸しを行ったアパホテルの評価が非常に高まっている。政府から要請を受けたホテルの中でも、後々の風評被害を考えて断ったところもあったという。そんな中、アパホテルは即決で一棟貸しを決めた。これには一億円以上の広告効果があるだろう。
都心の一等地には
借金をしてでも投資すべき
 近年東京のお客様が新潟や金沢のアパグループのマンションを買うケースが増えている。銀行に現金を預けても利子がつかないため、東京ほど高くない地方のマンションを購入して賃貸物件として店子を取ることで、利回りを稼ごうとしている。来年の東京オリンピックが実現するかどうかは、不動産、特にマンションの価格には大きな影響があるだろう。ここ数年は東京オリンピックに向けての建設ラッシュで建築資材も人も足りなくなり、マンションは高くなった。しかし今はそのラッシュも終わり、資材もあるし、人件費も少し安くなった。今後マンションも少しは安くなっていくはずだ。東京オリンピックで使用される選手村は、大会後はマンションとして売却される。高い家賃でも借りる人があれば購入を検討する人が増えるのだが、懸念はマンション価格の下落だ。しかし選手村が建設される中央区晴海は都心に近く非常に需要の高いエリアなので、今後も良い価格で取引されるはずだ。金利の非常に低い今、できる限りの借金をして都心の一等地に投資をするべきである。日本は交通機関も発達していて、四季がはっきりあり、人はホスピタリティに溢れていて、嘘を言わず、約束を守る。海産物も畜産物も野菜も果物も新鮮で美味しく、料理の技術も世界屈指であり、特に日本料理はその見た目の美しさだけではなく、ヘルシーさも高い評価を受けている。こんな国の不動産に投資が集まるのは当然だ。買わない宝くじは当たらない。多少のリスクは覚悟して、投資を行うチャンスだ。
 三年前の、アパホテルの客室に置かれた代表の著作「本当の日本の歴史 理論近現代史学」等において、南京大虐殺を否定したことを中国政府が批判した「書籍問題」から、中国政府や大使館はアパグループ代表の訪中を求めている。しかし応じるつもりはない。習近平主席は二期十年の任期を撤廃して「皇帝化」を目指したが、今人気を失っている。その要因は南シナ海の環礁の埋め立て、基地化等の露骨な拡張主義だ。ここをアメリカのトランプ大統領は激しく攻め立てている。ヒラリー・クリントン氏が大統領になっていれば、中国に対してこのような姿勢は取れなかっただろう。今年の大統領選挙もトランプ再選が世界にとっても日本にとってもベターだ。