
一度行けば良さがわかる
大阪・関西万博
大阪・関西万博
四月十三日に開幕した大阪・関西万博は、まさにパスポートのいらない世界旅行だ。特に資金が潤沢な産油国のパビリオンが楽しい。ヨルダンパビリオンには、映画「スターウォーズ」のロケ地として知られる砂漠の砂を敷き詰めたエリアや、死海の泥と塩を使ったスパがある。サウジアラビアパビリオンでは、現在構想されているスマートシティプロジェクト「NEOM」のプレゼンテーションが圧巻だ。台湾のパビリオンも凄い。ライフ(生命)、ネイチャー(自然)、フューチャー(未来)の三つのセクションに分かれていて、入場時に付けたリストバンドを最後にチェックすると、どのセクションで一番感動したかがわかる仕組みになっている。日本ガス協会のパビリオン「おばけワンダーランド」はXR(エクステンデッド・リアリティ)ゴーグルを付けて、おばけと一緒にワクワク体験を行うもので、子供から大人まで楽しめる。メディアを中心にネガティブキャンペーンが激しかった大阪・関西万博だが、行けば非常に楽しい。一度行った人はもう一回行きたくなり、そこで通期パスを購入している人も多い。木造の大屋根リングも散々批判されていたが、実際に見れば誰もが感動する。工区によってゼネコンが異なるためか、構造が違っているのを検証するのも面白い。大屋根リングは万博開催後も一部を残す提案がされているが、全部をあのまま残して、どの構造が一番長持ちするかという実証実験を行うのが良いのではないか。
万博もそうだが、世の中ではDX(デジタルトランスフォーメーション)がどんどん進んでいる。CEOが先日訪れた瀬戸内国際芸術祭もパスポート等がすべて紙ではなく、スマホ対応だった。西村康稔氏は最近カンボジアを訪れたが、現金を全く使用しなかった。おんぼろのトゥクトゥク(三輪タクシー)に乗る時も、全部スマホ決済。使用した現金は枕銭ぐらいだったという。
万博もそうだが、世の中ではDX(デジタルトランスフォーメーション)がどんどん進んでいる。CEOが先日訪れた瀬戸内国際芸術祭もパスポート等がすべて紙ではなく、スマホ対応だった。西村康稔氏は最近カンボジアを訪れたが、現金を全く使用しなかった。おんぼろのトゥクトゥク(三輪タクシー)に乗る時も、全部スマホ決済。使用した現金は枕銭ぐらいだったという。
期待が高まる
日英伊の次期戦闘機開発
日英伊の次期戦闘機開発
前川宗氏は二十年間航空自衛隊に勤務し、その中で十五年間F15のパイロットだった。アメリカで毎年行われる実戦に近い形での演習「レッド・フラッグ・アラスカ」は、アメリカや日本、韓国、イタリア、中国、ロシア等によるものだが、前川氏はこれに何度も参加してきた。二十年程前の日本のF15は非常に強かったが、時代を経て今は同じF15でも日本とアメリカのものではファミコンとプレイステーション程スペックが異なり、日本は弱くなった。F35もアメリカがAレベルとすれば、日本はCレベルの能力しかない。それでも一対一で戦えば日本は強さを発揮するが、百対百の集団戦になればアメリカに主導権を握られて負ける。しかし問題は一対一で日本が勝ったとしても、その技術をアメリカがすぐに模倣してくることだ。その吸収力は凄まじい。
現在最新鋭戦闘機の開発が、日本とイギリス、そしてイタリアの三カ国共同で行われている。日本はアメリカに配慮して、アメリカが開発に参加することも打診したのだが、乗ってこなかった。共同開発にイタリアが入っていることに日本では疑問を持つ人が多いが、この国は観光やファッションばかりではなく、工作機械や繊維関連の機械に関して高い技術を持っている。現在フランスで国際熱核融合実験炉「ITER(イーター)」が建設されているが、この部品をイタリアが製造していたりする。この日英伊が開発する戦闘機は日本ではF2の、ヨーロッパではユーロファイターの後継機という位置付けだが、今後サウジアラビアが参加する可能性もあり、ワールドワイドなプロジェクトになりつつある。
現在最新鋭戦闘機の開発が、日本とイギリス、そしてイタリアの三カ国共同で行われている。日本はアメリカに配慮して、アメリカが開発に参加することも打診したのだが、乗ってこなかった。共同開発にイタリアが入っていることに日本では疑問を持つ人が多いが、この国は観光やファッションばかりではなく、工作機械や繊維関連の機械に関して高い技術を持っている。現在フランスで国際熱核融合実験炉「ITER(イーター)」が建設されているが、この部品をイタリアが製造していたりする。この日英伊が開発する戦闘機は日本ではF2の、ヨーロッパではユーロファイターの後継機という位置付けだが、今後サウジアラビアが参加する可能性もあり、ワールドワイドなプロジェクトになりつつある。
自民党の人気復活は
トランプ政権への対応次第
トランプ政権への対応次第
アメリカの相互関税に関する交渉に、日本からは赤澤亮正経済再生担当大臣があたっているが、アメリカからはベッセント財務長官、グリアアメリカ通商代表部代表、ラトニック商務長官の三人が出てきている。一対三では日本が不利だと言われるが、アメリカには三人でないと駄目な理由がある。最終の決着点をトランプ大統領にプレゼンする際に、三人掛かりで説得しないといけないからだ。その点日本は、赤澤氏の報告を石破茂首相は真摯に受け止めるだろう。トランプ大統領は元々のディベロッパー気質が抜けず、ガザの今後についてでも示したように、リゾート開発に話を持っていく傾向がある。第一期政権では北朝鮮にもそのような提案をしたという話もある。
発足から矢継ぎ早に過激な政策を打ち出しているトランプ政権だが、その対応はかなり柔軟だ。相互関税の発表によって株価が落ちて、国債が売られて金利が上昇傾向になったところで、相互関税発動の九十日延長を発表する等、マーケットを気にしていることもわかってきた。プーチン大統領の周囲には「オリガルヒ」と呼ばれる新興財閥がいるが、トランプ大統領にもイーロン・マスクのような富豪の取り巻きがいる。この取り巻きらの資産に影響するために、マーケットの動向を意識せざるを得ない。トランプ大統領の行動原理は、まずバイデン、オバマ時代の政策を全部否定することと、次に自分がレガシーになること、そしてマーケットを意識することの三つではないか。
世界的な潮流ではフランスやイギリスが顕著だが、このところ与党が負け続けていた。インドは負けなかったが、議席を減らした。しかしトランプ政権が誕生してからは、カナダやオーストラリア、シンガポールで与党が勝って、かなり雰囲気が変わってきた。日本においては自民党もここが踏ん張りどころで、トランプ政権への石破首相の対応次第では、人気復活のチャンスは十分にあるだろう。
第一次政権のトランプ大統領と安倍晋三首相の間には信頼関係があった。ゴルフをしながらでも、二人はずっと北朝鮮と中国の話をしていた。自動車に関税を掛けないことも、この二人で決めた話だ。もちろん農産物等で日本も様々な譲歩を行う前提だが、もし安倍氏が生きていて「あの時約束したよね」と言えば、トランプ氏は方針を変更するかもしれなかった。石破首相も電話等、もっとトランプ大統領と強い信頼関係を築く方策を進めるべきだ。しかし強運なのかトランプ大統領は間一髪の差で耳を掠めただけで銃弾から逃れ、安倍氏は素人の手製拳銃で撃たれて亡くなった。元首相に対する警備が貧弱すぎることが、大きな要因だったのは確かだ。このこともあり最近議員会館の入館チェックは厳しくなったが、自民党本部のチェックはまだ甘く、心配は尽きない。
相互関税のためにアメリカへの輸出が阻害されると、中国が全部それを購入すると宣言して、世界の関心が中国に向く可能性がある。アメリカがアフリカやアジア等への援助を減らしているが、その間隙に中国が入り込むことも増えるだろう。尖閣諸島周辺でも、中国はどんどん自らの管理区域を広げてくる。どこかの段階でNOと言わないと、ずるずると中国の権益を認めることになるだろう。
発足から矢継ぎ早に過激な政策を打ち出しているトランプ政権だが、その対応はかなり柔軟だ。相互関税の発表によって株価が落ちて、国債が売られて金利が上昇傾向になったところで、相互関税発動の九十日延長を発表する等、マーケットを気にしていることもわかってきた。プーチン大統領の周囲には「オリガルヒ」と呼ばれる新興財閥がいるが、トランプ大統領にもイーロン・マスクのような富豪の取り巻きがいる。この取り巻きらの資産に影響するために、マーケットの動向を意識せざるを得ない。トランプ大統領の行動原理は、まずバイデン、オバマ時代の政策を全部否定することと、次に自分がレガシーになること、そしてマーケットを意識することの三つではないか。
世界的な潮流ではフランスやイギリスが顕著だが、このところ与党が負け続けていた。インドは負けなかったが、議席を減らした。しかしトランプ政権が誕生してからは、カナダやオーストラリア、シンガポールで与党が勝って、かなり雰囲気が変わってきた。日本においては自民党もここが踏ん張りどころで、トランプ政権への石破首相の対応次第では、人気復活のチャンスは十分にあるだろう。
第一次政権のトランプ大統領と安倍晋三首相の間には信頼関係があった。ゴルフをしながらでも、二人はずっと北朝鮮と中国の話をしていた。自動車に関税を掛けないことも、この二人で決めた話だ。もちろん農産物等で日本も様々な譲歩を行う前提だが、もし安倍氏が生きていて「あの時約束したよね」と言えば、トランプ氏は方針を変更するかもしれなかった。石破首相も電話等、もっとトランプ大統領と強い信頼関係を築く方策を進めるべきだ。しかし強運なのかトランプ大統領は間一髪の差で耳を掠めただけで銃弾から逃れ、安倍氏は素人の手製拳銃で撃たれて亡くなった。元首相に対する警備が貧弱すぎることが、大きな要因だったのは確かだ。このこともあり最近議員会館の入館チェックは厳しくなったが、自民党本部のチェックはまだ甘く、心配は尽きない。
相互関税のためにアメリカへの輸出が阻害されると、中国が全部それを購入すると宣言して、世界の関心が中国に向く可能性がある。アメリカがアフリカやアジア等への援助を減らしているが、その間隙に中国が入り込むことも増えるだろう。尖閣諸島周辺でも、中国はどんどん自らの管理区域を広げてくる。どこかの段階でNOと言わないと、ずるずると中国の権益を認めることになるだろう。
成功して儲かることが
称賛される社会を目指す
称賛される社会を目指す
どんな組織でも良いリーダーをいただくことが大事だ。日本では優秀な人の足を引っ張る風習がある。優秀な人をしっかりと探し出し、持ち上げてあげる必要がある。また優秀であるだけではなく、強いこともリーダーに求められる資質だ。「俺について来い」というリーダーシップが組織を強くするのであり、平等を重視して弱い人がリーダーになると、周囲がやりにくくなる。
「働き方改革」として労働時間の規制が厳しくなっているが、もっと柔軟性のある運用でも良いのではないか。体調や健康管理も大事だが、自分はもっと働いて、先輩の技能を学んで自らの能力をアップしたいという人も絶対にいる。そんな人まで十把一絡げに時間になったら仕事を止めろというのは、合理的ではない。一九九〇年代後半の橋本龍太郎内閣がプライマリー・バランス重視を言い出してから、日本はおかしくなった。プライマリー・バランスばかりを気にしていると、経済が拡大しない。
儲かるホテルが良いホテルであり、儲かる企業が良い企業だ。主張だけ立派でも、儲かっていなければ、その言葉は響かない。儲からない企業には存在意義がなく、それは単なるゾンビ企業だ。日本では事業で成功した人をやっかむ雰囲気があり、成功しても儲かっていないふりをする人もいる。儲かることが「善」であり、成功者が称賛されることが常識の社会にならなければならない。
円安の影響もあり、日本と海外との貨幣価値の差が激しい。アメリカではタコスと水で十五ドル(約二千二百円)になる。日本の飲食店では水もお茶も無料だが、海外の飲食店では全てが有料だ。日本でももっと様々なものを有料にしてもいいのではないか。また外国人向けには別料金で高い金額を請求しても良い。オリンピック期間のホテル料金は、オーストラリアや中国、ギリシャでは開会式の前日には通常の十〜十三倍になっている。しかし日本ではバランスを考慮してか、三〜四倍程度までしか上昇しない。国際的なイベントに際しては、もっと金額を上げてもいいだろう。
日本では「愛国心」という言葉に良いイメージがなく、「天皇陛下万歳」といった先の大戦前の感覚がまず思い浮かぶ。「愛」も「国」も「心」も一つずつは良い文字なのに、まとまるとおかしくなる。海外のオリンピックに行って、会場で日の丸を振って応援することは平気なのに、日本国内では日の丸に抵抗感が出る。アメリカでは愛国心をストレートに表現することが当たり前であり、トランプ大統領のアメリカ・ファーストもそれに基づいている。日本も変わるべきだろう。
「働き方改革」として労働時間の規制が厳しくなっているが、もっと柔軟性のある運用でも良いのではないか。体調や健康管理も大事だが、自分はもっと働いて、先輩の技能を学んで自らの能力をアップしたいという人も絶対にいる。そんな人まで十把一絡げに時間になったら仕事を止めろというのは、合理的ではない。一九九〇年代後半の橋本龍太郎内閣がプライマリー・バランス重視を言い出してから、日本はおかしくなった。プライマリー・バランスばかりを気にしていると、経済が拡大しない。
儲かるホテルが良いホテルであり、儲かる企業が良い企業だ。主張だけ立派でも、儲かっていなければ、その言葉は響かない。儲からない企業には存在意義がなく、それは単なるゾンビ企業だ。日本では事業で成功した人をやっかむ雰囲気があり、成功しても儲かっていないふりをする人もいる。儲かることが「善」であり、成功者が称賛されることが常識の社会にならなければならない。
円安の影響もあり、日本と海外との貨幣価値の差が激しい。アメリカではタコスと水で十五ドル(約二千二百円)になる。日本の飲食店では水もお茶も無料だが、海外の飲食店では全てが有料だ。日本でももっと様々なものを有料にしてもいいのではないか。また外国人向けには別料金で高い金額を請求しても良い。オリンピック期間のホテル料金は、オーストラリアや中国、ギリシャでは開会式の前日には通常の十〜十三倍になっている。しかし日本ではバランスを考慮してか、三〜四倍程度までしか上昇しない。国際的なイベントに際しては、もっと金額を上げてもいいだろう。
日本では「愛国心」という言葉に良いイメージがなく、「天皇陛下万歳」といった先の大戦前の感覚がまず思い浮かぶ。「愛」も「国」も「心」も一つずつは良い文字なのに、まとまるとおかしくなる。海外のオリンピックに行って、会場で日の丸を振って応援することは平気なのに、日本国内では日の丸に抵抗感が出る。アメリカでは愛国心をストレートに表現することが当たり前であり、トランプ大統領のアメリカ・ファーストもそれに基づいている。日本も変わるべきだろう。