日本を語るワインの会228

ワイン228恒例「日本を語るワインの会」が会長邸で行われました。アパ日本再興大賞と「真の近現代史観」懸賞論文の審査委員長を務める外交評論家の加瀬英明氏、昨年出版した『「アメリカ」の終わり』に続き、今年3月に出版した『アメリカの崩壊』がベストセラーになっているオフィス・ファウンテン代表の山中泉氏、父親がインド人、母親がパキスタン人でムガール帝国の末裔にあたる国際ジャーナリストのフマユン・ムガール氏、慶應義塾大学を卒業、繊維商社に勤務した後に陸上自衛隊に入隊した英霊の名誉を守り顕彰する会会長の佐藤和夫氏、二〇二〇年のアメリカ大統領選挙を現地で取材、YouTubeにアップし続けたジャーナリストの我那覇真子氏をお迎えし、真のアメリカの姿、今後の日米関係の展望等について、語り合いました。
アメリカ各州が
選挙不正に厳しくなる
 今年の四月二十八日で、サンフランシスコ講和条約によって日本が主権を回復してから七十周年となった。産経新聞がこの日の社説で「主権回復七〇年 占領の呪縛を解くときだ ウクライナの悲劇から学べ」と主張しているが、これだけ時間が経過しても呪縛が解けないのは、日本人がだらしないからに過ぎない。「真の近現代史観」懸賞論文にも、アメリカの占領による洗脳が悪かったという論調のものが多い。しかし、何故日本人自身が呪縛から自らを解き放たなかったかという研究がないのか。そろそろ、どうして日本人はこんなにだらしなかったのかを論じなければならない。人のせいにしていれば、自分が免罪されると考えていては駄目だ。
 今年はアメリカの中間選挙の年だ。テキサス州、オハイオ州、インディアナ州でこの選挙の共和党の予備選挙が行われたが、選ばれた候補のうち、五十五人がトランプ前大統領が公認した人だった。ウェストバージニア州は人口調査により下院議員の議席数が現在の三議席から二議席に減少、第二選挙区では現職の二議員が一つの椅子を巡って予備選挙を争ったが、トランプ前大統領が支持するアレックス・ムーニー氏が勝った。これほどまでにトランプ氏はその影響力を維持しているのだが、そのことをトランプ嫌いの日本のメディアは報じない。だから日本人はアメリカで本当は何が起こっているかがわからない。二〇二四年の大統領選挙でトランプ氏は復活を狙っている。ツイッターを買収したイーロン・マスク氏が、トランプ氏のアカウントを復活させようとしていることも、彼には追い風になるだろう。
 前回の大統領選挙でトランプ氏が主張した、アメリカでの選挙不正は裁判所では認められなかったが、実際は誰もが知る常識だ。住民登録制度が日本ほど整備されていないアメリカでは、投票用紙が何枚も届く人がいるのは事実だ。これを利用しないよう、フロリダ州では一人が複数の投票用紙を持っていると、日本円で約六百五十万円の罰金と五年以上の禁固刑が科されるようになった。州ごとの独立性が強く、選挙制度もバラバラなアメリカだが、このような厳しい選挙不正防止法が全米に広がろうとしている。
女性というだけではなく
政治には実力が求められる
 一九六〇年のアメリカ大統領選挙で勝利したジョン・F・ケネディは、マフィアと組んでいたとも言われる。彼の父親は禁酒法時代にアル・カポネと組んで、ぼろ儲けをした人だ。そこで、全米のマフィアが選挙不正を行ったという説がある。また当時のシカゴ市長はアイルランド系であり、初めてのアイルランド系の大統領を誕生させたいと強くケネディをプッシュした。アイルランド系の人々の結束力は強く、基本民主党支持。これらの力もあって、ケネディは大統領になった。
 アメリカのジョー・バイデン大統領はアイルランド系で、カトリックだ。アイルランド系のアメリカ人は警官や消防士、軍人が多いという。かつてはカトリックというだけで差別されていた。そこでケネディが、 WASPにしかなることができなかった大統領に、初めてアイルランド系として上り詰めたのだ。
 女性初の副大統領となったカマラ・ハリス氏だが、メディアでの失言が相次ぎ、すっかり存在感を失っている。セレモニーには出席しているが、喋るとボロが出るとされて、重要な役が回ってきていない。女性だからいいというものではないという、典型的な例だ。
 今アメリカでは、キャンディス・オーエンスという黒人女性の政治評論家が、保守系の論客として頭角を現している。彼女が執筆した『Blackout』という本は全米でベストセラーとなり、我那覇真子氏が翻訳をしてこの四月に日本でも『ブラックアウト アメリカ黒人による、“民主党の新たな奴隷農場”からの独立宣言』(方丈社)として上梓され、すぐに三刷重版となる好調な売れ行きを示している。
 シカゴには、ここを拠点としていた建築家、フランク・ロイド・ライトの建築物が多く残されているが、その一つであるオークパークにあるユニティ・テンプルは、ライトがユニテリアン主義者のために建てたもの。ユニテリアンとはイエス・キリストを宗教指導者とは認めるが、神とはしない考えのことだ。このテンプルでは、どんな宗教の信者でも結婚式を挙げることができる。
自衛官を優遇することで
応募者を増やすべき
 日本は今、実質的に戦争状態にある、ロシア・ウクライナ戦争で経済制裁を行っている日本をロシアは敵国とみなしており、この国と国境を接する北海道は緊張状態だ。ロシアが北海道に侵攻する時には、まず青森県の三沢基地を叩いて、航空優勢を獲得しようとするだろう。また情報戦も当然仕掛けてくる。さらに近年の共同演習でもわかる通り、極東では必ず中国とロシアは連動して軍事行動を起こすはずだ。日本はあらゆる角度で防衛力を強化する必要がある。中国に対抗して南西諸島での守りを固めてきた日本だが、その分北海道に手が回らなくなってきている。ドイツが国防費をGDP比二%に増額すると素早く決断したが、日本は五年を掛けて防衛費を二倍にするという。それでは呑気過ぎるだろう。
 西ドイツ時代のNATOの基地では、戦闘機は全て掩体の下にあった。その件を当時の空幕長に伝えると、彼は「航空自衛隊は民間航空会社の一種だ」と答えたという。今でも最新のF35戦闘機は、通常の格納庫に収められている。一刻も早く、虎の子の戦闘機は掩体壕の中に入れるべきだ。また兵器の準備だけではなく、命令系統等システムとしてもいつでも戦えるようにしておく必要がある。さらに軍事だけではなく、エネルギーと食料の確保も重要だ。ロシアとアメリカは、自国でエネルギーも食料も確保することができる。次に世界規模の大戦となる時には、全ての要素を含んだ総力戦となるだろう。陸上自衛隊は法律では十五万人いなければならないが、応募者の減少から実際には二万人足りない。平均年齢も上昇してきている。アメリカであれば軍人や退役軍人は社会から尊敬されている。日本も自衛官や元自衛官を優遇する社会にして、応募者を増やしていくべきだ。
 政府にお金がないというが、紙幣を印刷すればいい。国債であれば払い戻しや利払いの必要があるが、デフレの時は紙幣をいくら印刷してもいいのだ。しかし日銀と財務省はこれを行うことを嫌がる。日本で流通しているお金には二種類ある。紙幣は日銀が発行する日本銀行券だが、硬貨は政府が発行する政府通貨だ。政府通貨は硬貨に限らず、紙幣でも何でも閣議決定で発行可能だ。政府通貨の紙幣を発行し、それを日銀で日本銀行券に交換すればいいのではないだろうか。
 新型コロナ関連予算は、令和二年度だけで七十七兆円に及んでいる。しかし東日本大震災による被害からの復興のために使われた予算は、十年間で三十一兆円とコロナの半分以下だ。これはアンバランスではないか。この多額の出費については、ウイルスの発生源である中国に補償を求めるべきだろう。中国が開発していた生物兵器が外部に流出した可能性もある以上、この請求は当然のことだ。
日本の核保有議論を
海外は評価している
 韓国では三月十日にユン・ソンニョル大統領の就任式が行われた。日本にも中継されていたが、聞いていると使われている言葉の半分ぐらいが、日本語を韓国語読みしたものだった。大統領、国会、民主主義、外交など、枚挙に暇がない。韓国語は日本語がないと成り立たないのだ。表意文字である漢字に加え、表音文字のひらがなやカタカナを駆使する日本語は、表音文字であるアルファベット二十六文字の言語よりも高度な表現力を持つ。古事記では日本は秋津島と呼ばれているが、秋津とはトンボのことだ。
 ジャーナリストの筑紫哲也は、欧米に比べて日本は、批判的にメディアを検証できる人を育成する「メディアリテラシー」教育が不十分だと言っていた。そんな環境の中でメディアは肥大化し、権力を保持。そのメディア全体の論調を、朝日新聞が規定していた。しかし今、読売新聞をはじめとした新聞各社の新聞事業は全て赤字であり、どこの社も不動産事業で糊口をしのいでいる。その不動産は、元々は国から払い下げられたものだ。にもかかわらず、どこの国の新聞だかわからないくらい、日本の悪口を書き続ける。安倍元首相によるニュークリア・シェアリング発言も、日本のメディアは批判的にしか報じないが、アメリカでは多くのメディアが肯定的に報じていた。こんなことも日本のメディアしか見ない日本人は知らない。
 百聞は一見にしかず。実際に行ってみることで得られる情報量は、ネットや書籍からの比ではない。例えば中東独特の空気感は、実際に訪れてみないとわからない。アカバ湾からはヨルダン、イスラエル、エジプトと三カ国が一望できることも、実際に訪れてみないとなかなかわからないことだ。
 来年春からのNHKの朝ドラ「らんまん」のヒロインに決定している女優の浜辺美波は、石川県の出身だ。石川県出身の人気女優は田中美里以来ではないだろうか。
 奄美大島、石垣島、八重山諸島の人は、沖縄本島の人を恐れていることがある。それぐらい、琉球時代に本当に虐められたというのだ。沖縄本島も、実は仲の悪い二つの勢力に分かれている。これらは全て、琉球王朝に起因するとも言われている。沖縄返還の時に日米で密約が結ばれ、緊急の場合は日米が協議をして日本に核兵器を持ち込むことができることは、国会も認めている。非核三原則はそのような柔軟な運用が行われてきたのだ。