二〇一九年六月十二日、代表邸で恒例「日本を語るワインの会」が行われました。Apple Townの英語版社会時評エッセイの愛読者であるレバノン大使館特命全権大使のニダル・ヤヒヤー氏、衆議院原子力問題調査特別委員長として原発再稼働に取り組む衆議院議員の髙木毅氏、この三月に無所属から自由民主党に入党した衆議院議員の鷲尾英一郎氏、十五年で五回の候補者公募に応募して国会議員の夢を叶えた衆議院議員の小田原潔氏、第一回アパ日本再興大賞特別賞を受賞した文芸評論家の小川榮太郎氏をお迎えし、近年の政治情勢について、激論を交わしました。
参院選とその後の交渉で
改憲勢力三分の二を維持
改憲勢力三分の二を維持
北新幹線の開通による「終着駅効果」による金沢の賑わいも、頭打ちの状況になった。二〇二三年に北陸新幹線の金沢〜敦賀が開業すると、金沢の終着駅効果も失われるだろう。敦賀の先は小浜、京都、新大阪に繋がる予定だが、敦賀〜新大阪延伸の予算、二兆一千億円の目処がまだ立っていないため、二〇二三年からさらに十五年は掛かるという見込みだ。しかし一党独裁国家の中国なら、このぐらいの延伸は一年半ぐらいで完成させるだろう。金利が安い今、長期の国債を発行して建設費を賄えばいいのではないか。
リニア中央新幹線は今静岡工区で県とJR東海とが大井川の水量の減少に関して折り合いがつかず、工事に着工ができないままだ。首都圏や近畿圏、名古屋圏は「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」の対象地域になっているので、新幹線などの工事の場合、地下四〇メートル以下であれば土地所有者に対する補償を行うことなく利用することができる。しかしこの大深度地下の工事は難易度が高くなる。また土地を掘った際に発生する残土をどこに持っていくのか、その処理の問題が発生する。さらに土壌から自然由来のヒ素が検出される等、残土が汚染されている場合は処理場に持っていく必要があり、莫大な費用が掛かる。ビル等を解体した場合は、鉄筋など金属は換金することが可能だし、コンクリートは細かく砕いて再利用することができる。
衆参同時選挙の目はすっかりなくなり、次の衆議院選挙は東京オリンピックの後になる見込みだ。本来であれば、両院とも改憲賛成議員が三分の二を占める今の内に憲法改正の発議を行い、その上の衆参同時選挙で改憲に対する民意を問うべきだった。しかし発議を行わず、衆参同時選挙も行わない判断をしたということは、自民党は日本維新の会以外の野党にも改憲賛成の流れがあると踏んでいるのかもしれない。こうなった以上、自民党は参院選で大敗しないよう頑張るしかない。そして野党から何名か引き抜いて、改憲賛成議員の三分の二は維持できるようにするべきだ。この選挙は安倍首相の正念場となる。三分の二をキープできなければ、安倍首相の任期は三期で二〇二一年に終わるだろう。しかし憲法を真っ当なものにするためには、一回目は自衛隊を憲法に書き込むだけだとしても、二回目に自衛隊をちゃんと軍隊とする改正を行わなければならない。この二回の改憲のためには自民党規約を再度改め、総裁の四選を可能にして、安倍さんに二〇二四年まで首相を務めてもらう必要がある。
リニア中央新幹線は今静岡工区で県とJR東海とが大井川の水量の減少に関して折り合いがつかず、工事に着工ができないままだ。首都圏や近畿圏、名古屋圏は「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」の対象地域になっているので、新幹線などの工事の場合、地下四〇メートル以下であれば土地所有者に対する補償を行うことなく利用することができる。しかしこの大深度地下の工事は難易度が高くなる。また土地を掘った際に発生する残土をどこに持っていくのか、その処理の問題が発生する。さらに土壌から自然由来のヒ素が検出される等、残土が汚染されている場合は処理場に持っていく必要があり、莫大な費用が掛かる。ビル等を解体した場合は、鉄筋など金属は換金することが可能だし、コンクリートは細かく砕いて再利用することができる。
衆参同時選挙の目はすっかりなくなり、次の衆議院選挙は東京オリンピックの後になる見込みだ。本来であれば、両院とも改憲賛成議員が三分の二を占める今の内に憲法改正の発議を行い、その上の衆参同時選挙で改憲に対する民意を問うべきだった。しかし発議を行わず、衆参同時選挙も行わない判断をしたということは、自民党は日本維新の会以外の野党にも改憲賛成の流れがあると踏んでいるのかもしれない。こうなった以上、自民党は参院選で大敗しないよう頑張るしかない。そして野党から何名か引き抜いて、改憲賛成議員の三分の二は維持できるようにするべきだ。この選挙は安倍首相の正念場となる。三分の二をキープできなければ、安倍首相の任期は三期で二〇二一年に終わるだろう。しかし憲法を真っ当なものにするためには、一回目は自衛隊を憲法に書き込むだけだとしても、二回目に自衛隊をちゃんと軍隊とする改正を行わなければならない。この二回の改憲のためには自民党規約を再度改め、総裁の四選を可能にして、安倍さんに二〇二四年まで首相を務めてもらう必要がある。
年金報告書の内容は真っ当
野党の批判は頓珍漢だ
野党の批判は頓珍漢だ
金融庁の金融審議会の報告書に関する二千万円の問題だが、なぜあれをメディアや野党が問題にしているのか、理由が全くわからない。金融庁は年金制度の担当官庁ではなく、この報告書は統計上年金だけでは生活費が不足する世帯が出る可能性があるので、国民一人ひとりが資産形成に取り組む必要があり、そのために金融機関などが対応した金融商品やサービスを提供するべきだと提言しているもので、内容は極めて真っ当だ。政権に批判的なメディアや野党は政府を攻撃するポイントが見つからなかったから、二千万円不足の部分だけを切り取って、「年金が一〇〇年安心なのは嘘だったのか」と頓珍漢な切り口で、ここぞとばかりに政府を責め立てている。二〇〇七年の「消えた年金」問題で自民党は参院選に惨敗、そして第一次安倍政権の退陣となった流れを再現しようとしているのだろう。しかし今回の報告書の話は、消えた年金とは全く異なる。
もちろん年金制度自体に問題はある。今の制度ができたのは一九六一年だが、その時の日本人の平均寿命は男性が約六五歳、女性が七〇歳だった。それが今は男性が約八一歳、女性が約八七歳と大幅に伸びている。一九六一年と今とでは全く状況が異なり受給期間が大幅に増えているのだから、公的な年金だけで老後の生活が賄えるわけがない。国民年金と厚生年金の予算の合計は約五十兆円であり、この金額はオーストラリアやスペインなどの国家予算を既に超えている膨大な金額だ。今後四十年間で日本の人口は四千万人減少する。年金も税収も壊滅的な状態になるのは確実だ。第二次安倍政権の政策は、二期六年で政権が終わるのであれば完璧な内容だった。しかし七年目に入った今、人口減少とそれに伴う影響についても安倍首相は責任ある対策を行わなければならない。まず国民に人口問題に関するメッセージを出すべきではないか。
社会の意識を大きく変えて
大家族制度を当たり前に
大家族制度を当たり前に
日本の少子化の原因はGHQが家父長制を廃止して、家族分断の核家族化を進めたことだ。大家族制度を復活して、子供三人を安心して生み育てられる環境を整備すべき。例えば大きな家で三世代同居であれば固定資産税を減税する等、税制による誘導で大家族を増やすべき。現在でも二世帯住宅に対する相続税や固定資産税等の軽減はあるが、これを拡充するべきだろう。野党はこの施策に対しても、豪邸優遇と的外れな批判を行っていた。さらに必要なのはイデオロギー戦だ。衆議院議員の櫻田義孝氏は、子供や孫に三人産むようお願いして欲しいと言っただけでメディアから一般人まで、激しいバッシングに遭った。逆に三世帯同居など必要ないと主張する人がバッシングされるような社会に変換していかなければならない。小手先の政策だけではなく、社会の考え方自体を大幅に変えていく必要がある。核家族から個家族が増えている要因の一つは、高い偏差値の大学を求めて東京に学生が集中することだ。多くがそのまま東京で就職している。東京大学を地方に移転するのも一手だが、地方大学をもっと特色のあるものにして、学生が地元に進学する率を高める必要もあるだろう。
原発の再稼働を急がなければならないが、障害も多い。テロ対策施設の整備が設置期限に間に合わず、再稼働している九州電力の川内原発が来年三月に停止する予定だ。玄海原発はなんとか期限までに施設を完成させるとしている。人口が減少し社会保障の財源も十分ではない中、日本は持てる資産を総動員して富を生み出していく必要がある。安く安定した電力を生み出すために、できる限り原発を活用するべきだ。再生可能エネルギーの普及も当然進めるが、いかんせん不安定さは付いて回る。火力偏重で多額の燃料費が失われている。原発の再稼働だけではなく、新規建設も検討すべきだろう。現実的な若い世代は原発に賛成の人が多い。
原発の再稼働を急がなければならないが、障害も多い。テロ対策施設の整備が設置期限に間に合わず、再稼働している九州電力の川内原発が来年三月に停止する予定だ。玄海原発はなんとか期限までに施設を完成させるとしている。人口が減少し社会保障の財源も十分ではない中、日本は持てる資産を総動員して富を生み出していく必要がある。安く安定した電力を生み出すために、できる限り原発を活用するべきだ。再生可能エネルギーの普及も当然進めるが、いかんせん不安定さは付いて回る。火力偏重で多額の燃料費が失われている。原発の再稼働だけではなく、新規建設も検討すべきだろう。現実的な若い世代は原発に賛成の人が多い。
自ら負けていった平成時代
勝ち方を知る人を先導役に
勝ち方を知る人を先導役に
小川榮太郎氏はこの五月に平成史を綴った「平成記」(青林堂)を上梓した。日本にとって平成という時代は、アカデミズムや官僚、政治家が、あらゆる分野において考えられないぐらい自ら負けへの道に突進していった時代だった。バブル景気を自ら潰したのは、財務省と日銀だった。このバブル崩壊の四年前に、アメリカはブラックマンデーからの立ち直りのため公的資金を投入したのに、日本では逆のことを行ったのだ。二〇〇〇年代、小泉首相と竹中大臣が掲げた構造改革は霞が関の権限を弱くして民間を強くするのが目的だったが、民間は強くならなかった。小沢一郎氏の政治改革も失敗した。全てゴールのない改革ばかりだ。平成の三十年は男が戦わない時代だった。この時代に日本をリードした年代は、生まれた時からカレーライスには肉が入っていて、ほっておいても豊かになっていった高度経済成長の中育った人々だ。その前の戦争を生き延びた層とは全く異なった。令和年間で日本人はどうやって勝つのか。皆が勝つことを忘れてしまった今、勝つ発想を強烈に持った人が先導していく必要がある。平成の論壇で地に足の着いた戦い方を展開してきた代表に、令和も益々期待が集まる。
レバノン人は海外で活躍している人が多い。バブル期の一九八八年には日本の長者番付で一位になったレバノン人がいた。戦前に神戸にやってきたレバノン人で、渋谷に持っていた土地を約四百三十億で売却、所得税約六十八億円を支払ったという。当時の日本の地価は世界一の高さだったのではないだろうか。
アパホテルは絶好調で、五十五棟を建設する三千五百億〜四千億円のプロジェクトが、今一斉に進行している。事業で成功するためには、ちょっと先を考えることが重要だ。的確な未来予測ができれば金持ちになれる。過去を知り、それを分析することで初めて未来が見えてくる。代表は小学校の頃から新聞を読み、さらに現代用語の基礎知識を読破することで過去と現在を知り、未来を予測する術を身に付けた。だから創業以来一度の赤字もなく、リストラもない。最新の決算の経常利益は三百六十二億円だが、今進行しているプロジェクトが全部完成すれば、五百億円を超えるだろう。一九九四年にホテル社長が就任した時には、アパホテルはまだ四棟しかなく、売上も二十七億円程度だった。九年前でも東京のアパホテルは六棟だったが、今は建設設計中を入れて七十二棟にまで増加。新潟には千室のホテルとマンションの複合プロジェクトが進行中、福岡では直営六棟、フランチャイズ二棟の計八棟の新築ホテルが同時進行中だ。今振り返ると二〇〇七年の耐震強度不足報道で金融機関が一斉に融資の返済を要求してきたため、これからホテルを建築する予定だった用地を高値で売却して返済した。しかしこのタイミングがファンドバブルの頂点で、翌二〇〇八年のリーマンショックで地価は一気に暴落。アパグループは融資を返済してもなお余った手元資金で安くなった土地を数多く仕込み、今の首都圏での大躍進の礎にしたのだ。
レバノン人は海外で活躍している人が多い。バブル期の一九八八年には日本の長者番付で一位になったレバノン人がいた。戦前に神戸にやってきたレバノン人で、渋谷に持っていた土地を約四百三十億で売却、所得税約六十八億円を支払ったという。当時の日本の地価は世界一の高さだったのではないだろうか。
アパホテルは絶好調で、五十五棟を建設する三千五百億〜四千億円のプロジェクトが、今一斉に進行している。事業で成功するためには、ちょっと先を考えることが重要だ。的確な未来予測ができれば金持ちになれる。過去を知り、それを分析することで初めて未来が見えてくる。代表は小学校の頃から新聞を読み、さらに現代用語の基礎知識を読破することで過去と現在を知り、未来を予測する術を身に付けた。だから創業以来一度の赤字もなく、リストラもない。最新の決算の経常利益は三百六十二億円だが、今進行しているプロジェクトが全部完成すれば、五百億円を超えるだろう。一九九四年にホテル社長が就任した時には、アパホテルはまだ四棟しかなく、売上も二十七億円程度だった。九年前でも東京のアパホテルは六棟だったが、今は建設設計中を入れて七十二棟にまで増加。新潟には千室のホテルとマンションの複合プロジェクトが進行中、福岡では直営六棟、フランチャイズ二棟の計八棟の新築ホテルが同時進行中だ。今振り返ると二〇〇七年の耐震強度不足報道で金融機関が一斉に融資の返済を要求してきたため、これからホテルを建築する予定だった用地を高値で売却して返済した。しかしこのタイミングがファンドバブルの頂点で、翌二〇〇八年のリーマンショックで地価は一気に暴落。アパグループは融資を返済してもなお余った手元資金で安くなった土地を数多く仕込み、今の首都圏での大躍進の礎にしたのだ。