日本を語るワインの会157

ワイン167二〇一七年六月一日、恒例「日本を語るワインの会」が代表自邸にて開催されました。この三月にひと目シリーズ最新刊『ひと目でわかる「戦前の昭和天皇と皇室」の真実』を上梓した近現代史研究家・ジャーナリストの水間政憲氏、主張を貫くため民主党から自民党に鞍替えした衆議院議員の長尾敬氏、金融業界から自民党の公募に応じて国会議員になった衆議院議員の山田賢司氏、元ジャニーズでBMWのトップセールスマンにもなったことがあるエックスコーポレーション株式会社代表取締役の新田毅氏をお迎えし、日本の政治のあるべき姿について激論を交わしました。
国有地の格安払い下げで
どの新聞社も恩恵を享受
 安倍首相が示した憲法九条の一項、二項はそのままで、自衛隊を認める三項を加えるという直球の改憲案は凄い。国民の大多数が自衛隊の存在を認めている現状を追認することになるし、さらに公明党を意識した加憲にもなっている。国会での発議の後、国民投票を衆院選と同時に行えばいいのではないか。結果論だが、安倍首相が何か事を起こす時にそれをバックアップしているのは金正恩だ。選挙の前も、必ずミサイルを発射してくれる。北朝鮮は金日成時代に、日本の敗戦理由を徹底的に研究している。一九二二年のワシントン海軍軍縮条約の結果主力艦に関して、日本はアメリカ、イギリスの六割のトン数しか保有できないことになった。日本はこの条約を大東亜戦争開戦まで厳格に遵守していたのだが、条約を無視して軍備を拡大させていれば、アメリカからハル・ノートのような挑発を受けることもなかった。だから今、北朝鮮は核兵器を持てばアメリカから攻撃を受けないと考えて、それに沿った行動を行っているのだ。一方日本は先の大戦の総括をしていないばかりか、その前の日清戦争、日露戦争の勝因の分析も行っていない。日本とソ連が戦った一九三九年のノモンハン事件も、直後から日本軍の惨敗だと言われていたが、ソ連崩壊後にソ連の損害の方が多かったことがわかった。メディアがほとんど報じないため、この事実を理解している日本人は少ない。
 森友学園と加計学園問題でメディアは忖度が悪いもののように報道し続けているが、日本人から忖度を取ることは難しい。何よりもまず忖度の恩恵を受けたのは、国有地を安く払い下げてもらった新聞各社だ。これの元は田中角栄で、彼は新聞を抑えれば系列のテレビも抑えられると、格安の払い下げを断行した。例えば朝日新聞の築地の本社は、海軍省の跡地に立っている。各社の地方支局も払い下げの土地だ。どの新聞社も新聞離れで低下する購読による売上を、不動産の運用でカバーしている状態だ。そんな忖度を受けているのに、自分達のことは一切書かずに他人のことばかり批判しているのはフェアではない。

政策顧問からの退任は
橋下徹入閣への布石か
 村上春樹がノーベル賞を獲得できないのは、二〇〇九年エルサレム文学賞を受賞した際に行った「壁と卵」というスピーチで、イスラエルを批判したからだ。最新刊の『騎士団長殺し』では登場人物に南京大虐殺の犠牲者が四十万人という中国の主張以上の数字を語らせているが、これはノーベル賞のために中国に媚を売ったのではないか。それもあってか、二巻で百三十万部も印刷されたというこの本の売れ行きは芳しくないという。二〇〇八年に第一回「真の近現代史観」懸賞論文で現役航空幕僚長の田母神俊雄氏が最優秀賞を獲得、更迭騒ぎとなったことで歴史の真相に注目が集まり世間が保守化、それが第二次安倍政権へと繋がった。この九年間で南京大虐殺がなかったという「真実」も、かなり浸透してきている。村上春樹はこの流れがわかっていなかったのだろう。
 国会でいじめのような過去の発言に関する質問攻めに遭っていた稲田朋美防衛大臣だが、最近落ち着いてきて自信も伺えるようになってきた。自民党総裁の任期が三期九年になったために、安倍首相の後継者選びにも時間の余裕ができたが、安倍氏の後は誰がなっても比較されてしまう。であれば思い切って女性の稲田氏が首相になるという手が良いのではないか。もう一つの候補は橋下徹氏だ。五月に橋下氏は日本維新の会の政策顧問を退任し、法律顧問だけになった。これは現政権に入閣して大臣になる布石では…という憶測が流れている。
 政治家の中には、橋本龍太郎氏や中川昭一氏のようによくわからない病気で亡くなる人がいる。中川氏の場合は死の数カ月前、財務大臣を辞める原因となったローマでの酩酊会見も謎だ。確かに直前のランチで飲酒をしているが、六人で赤ワイン一本と量は少ない。この記者会見の前のランチに同席していた読売新聞の女性記者が、「会見、面白いことになるからカメラを持って見に来た方がいい」と海外メディアの記者に伝えていたという。中川氏は歯に衣着せぬ人物で、日本の核武装にも言及、そのためにアメリカのライス国務長官が急遽来日したこともある。不可思議な記者会見や死も、この辺りに関係しているかもしれない。他にも第一次政権時、安倍首相が核保有に触れたとたんに辞職に追いやられたとか、小泉元首相が郵政民営化に向けて強く圧力を掛けられたなど、政治には様々な裏話がある。

旧宮家の皇族復帰の実現は
皇室の継承の安泰に繋がる

 天皇陛下の退位特例法が今国会を通過する予定だが、これで終わりではなく、皇室の永続的な継承を真剣に考えなければならない。メディアは一切報じないが、皇太子殿下より天皇の血が濃い男子が三名いる。昭和天皇第一皇女成子内親王(照宮様)は東久邇盛厚殿下と結婚、三名の男の子「信彦、秀彦(壬生基博)、眞彦」が誕生していて、三人とも健在だ。両親とも天皇の血を受け継いているので、民間から嫁いだ美智子皇后を母に持つ皇太子殿下より血が濃いと言える。旧宮家が皇族に復帰すれば、これらの方々に皇位継承権が生まれ、皇室の継承が安泰になるはずだ。
 サントリーホールディングス社長の新浪剛史氏の弟の新浪博士氏は凄腕の心臓外科医であり、共に優秀な兄弟だ。臨床では整形外科医だった山中伸弥氏は手先が器用な方ではなく、向いてないと感じて研究の道へと転じた。山中氏が素晴らしいのは自分の能力の向き不向きを早い段階で見切り、転身したことだろう。男性の仕事にまつわる嫉妬はもの凄い。三十六歳で京都大学教授になり、早くからノーベル賞候補だと言われていた笹井芳樹氏は、ノーベル賞で山中氏に先を越されて、嫉妬と焦りが凄かったのではないか。それが結局不確かな研究に繋がり、自死という不幸な結末に至ってしまった。運も実力の内。肝心なのは、幸運の女神をタイミングよく捕まえられるかどうかだ。
 シリアに関する情報は欧米系のメディアを通じたものしか目にする機会がないので、多くの日本人が真実を知らない。本当のことを知らせるために、シリアの駐日臨時代理大使のワリフ・ハラビ氏が英語と日本語でシリアの実態を伝える本を出す予定だ。シリア議連も休眠状態となっており、再起動を促さなければならない。

アパの旗艦ホテルとなる
アパホテル〈国会議事堂前駅前〉
 日本では「円」という通貨が安定して使えるものだと考えられているが、海外ではそうではない。インフレが深刻化していたアフリカのある国では、造幣局長が勝手にお札を印刷して、闇市でドルに替えて使っていたという。海外旅行に行くと街で両替屋に声を掛けられるが、大抵の場合は非常に悪いレートで両替させられるか、もっと悪い場合には旧紙幣や偽札を掴まされる。昨年十一月、インドでは突然千ルピーと五百ルピーの高額紙幣の使用を禁止して、新紙幣を導入。目的は税金を逃れているアンダーグラウンドな金のあぶり出しだった。海外ではこういうリスクもあるのだ。
 マイナス金利の今、収益構造が崩れた金融機関は貸し倒れリスクが取れず、日銀の金融緩和の意図とは反対に金融引締めになってしまっている。信用がある企業は必要がなくても融資させて欲しいという金融機関が群がるが、本当に資金を必要としていても信用が少しでも低ければ、金を貸してくれない。金融機関は「晴れには傘を貸し、雨が降ったら傘を取り上げる」と言われるが、少し例えが違う。金融機関からすれば、彼らはガソリンスタンド。車がきちんと走れるようにガソリンを提供する。しかしタンクに穴が空いている車には、ガソリンは入れられないということだ。アパグループの場合は利益率が三○%を超えていて、キャッシュも潤沢だ。これを貯金してもほとんど利子は付かないが、ホテル建設に投資すれば三〇%の利回りで運用できることになる。大型案件は借り入れをするが、それ以外は全て自己資本で回しているのが現状だ。
 アパホテルは戦略的に、ブランド構築のためのホテルと稼ぐためのホテルを分けて考えている。日本最高層や日本最大級のホテルなどはブランド構築のため、海外のアパホテルもブランドのためだ。このブランド構築の観点からアパの旗艦ホテルとなるのが、二〇一九年二月中旬にオープンする予定のアパホテル〈国会議事堂前駅前〉だ。場所は首相官邸の斜め前で、隣がザ・キャピトルホテル東急、裏が日枝神社になる。ここは竹下登元首相ら大物政治家が事務所を構えた永田町TBRビルがあったところだ。この歴史ある土地にアパホテルが誕生する意義は大きい。
 三月にオープンしたアパホテル〈福島駅前〉は、開業以来稼働率一〇〇%を続けていて、非常に好調だ。原発事故以降、福島県を訪れる人が減少する中、アパグループができる貢献はホテル建設だという代表の想いから作られたホテルだ。テレビは五〇インチと大きく、ベッド幅は一四〇〇ミリと広く快適なアパホテルに一度宿泊すると、他には泊まれなくなる。また優秀なビジネスマンほど時間を大切にする。アパホテルは駅に近く、アプリを使えばチェックインもすぐ。チェックアウトはキーをボックスに投げ込むだけと時間を無駄にしない。
 本誌Apple Townは一カ月で約百万人の人が目にしている。日本の世論が変わるポイントは、百万人が支持するかどうかだ。書籍問題で中国から受けた批判に毅然と応えたことで、アパホテルの支援者が増えただけではなく、宿泊時にApple Townを読む人が増えてきた。いずれはApple Townによって大きく世論が動くことになるかもしれない。