
トランプは元々大金持ちの息子だ。アトランティックシティのカジノの破綻など、事業において、何度も失敗を経験している。しかしアメリカは敗者復活戦を許す世界だ。トランプは自分の企業を上場させているし、有名なニューヨークのトランプタワーも上層階は分譲マンションとなっていて、彼の持ち物ではない。メディア的には大金持ちとされているトランプだが、アメリカには彼以上の金持ちもたくさんいる。昔から自分の名前の宣伝は巧みで、例えばリムジンの後ろにトランプマークをつけて、ニューヨーク中を走り回っていたこともある。自分のビジネスの成功談を書いた本も出版している。
トランプが大統領になった場合、激しく対立する相手は中国になり、その際に日本を重要なパートナーと位置づけるだろう。現在の日米安保は日本を真っ当な国にすることを阻止している。トランプは不公平だと言うが、では誰がそれを決めたのか。アメリカではないか。そこまで言うならトランプが変えるべきだ。日米安保を相互的なものに変えたいと安倍首相が提言すれば、トランプはOKを出すのではないか。そうなれば日本はアメリカとの植民地と宗主国のような関係を脱却して、対等な独立国家になることができる。内向きなオバマ大統領の「世界の警察官」放棄発言で、ロシアにクリミア半島を占拠され、ウクライナで内戦が起き、シリアやイラクでISが台頭するなど世界は大きく混乱した。トランプが大統領選に勝てば、世界のルールがまた変わるだろう。
原油安の進行が止まらない。かつては供給量の調整で価格の高止まりを演出していたOPEC(石油輸出国機構)は、価格調整力を失っている。そうなった理由は、アメリカのシェールオイルやロシアからなど石油の供給源が増えてきたからだ。OPECを牛耳るサウジアラビアは石油シェアを失いたくないという理由で減産を行わない。もう一つの大国であるイランも、経済制裁が解けたばかりで、石油生産を拡大することにだけ関心がある。サウジアラビアの石油採掘コストは低く、一バレルあたり四~五ドルだ。シェールオイルの場合、これが五十~六十ドルになる。石油を減産しないという「チキンレース」はサウジアラビアの方が有利だ。このチキンレースで被害を被っているのはアメリカだけではなく、最もダメージを受けているのはロシアだ。そこでロシアはシリアでの停戦を主導、アラブにおける影響力を増やしてサウジアラビアに対抗しようとしている。
アパホテルは今絶好調だ。利益率三〇%以上と非常に高い水準を維持している。ライバルの某ホテルチェーンの四%、日本を代表する某シティホテルの五%と比べると、その凄さがわかるだろう。インバウンドの増加も、この好業績に貢献している。二〇一六年もインバウンドは引き続き増え、訪日外国人旅行者数は年間二千五百万人に達するのではないだろうか。アパホテルのもう一つの強さの源泉は、カード会員が約一千五十万人にも達していることだ。会員は五万円アパホテルを利用すると、五千円のキャッシュバックを受けることができる。会社が払った宿泊費用がたまれば社員に現金が入るのだ。この一〇%の現金還元が人気の秘密だ。早くからネット予約に注力してきたのも功を奏し、営業せずともネットから予約が入る流れができている。アゴダやエクスペディアBooking.comのような海外のホテル予約サイトでも、日本ではアパホテルが人気ナンバーワンだ。先日、首相官邸の前にあり、竹下登や小渕恵三らが事務所を構えていた永田町TBRビルの跡地をアパグループで購入、ここに十七階で五百室規模のアパホテルを建設する予定だ。アパのフラッグシップとして、ランドマーク的なホテルになるだろう。
最近アパホテルの宿泊料金が話題になるが、支配人に決定権がある。上限は社内ルールで決められているが、下限はない。これは航空機の搭乗券の販売などで使われてきた、状況に応じて供給量と価格をコントロールする「イールドマネジメント」という手法をアパホテルが導入しているからだ。自動的に宿泊料金の目安を出してくれるソフトウェアも導入している。これら最先端のマネジメント手法を駆使しているため、例えばアパホテル〈新宿御苑前〉のように、オープンしてから二年近く、稼働率一〇〇%を維持しているホテルもある。日本全体の年間宿泊数は約五億泊だが、アパホテルが提供しているのは一千数百万泊でまだシェアは二%程度だ。まだまだ伸びしろがあると言えるだろう。今後は日本最大となる二千四百室を擁するアパホテル&リゾート〈横浜ベイタワー〉など大型ホテルのオープンが目白押しだ。アパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉も今年イーストウイングが誕生し、二〇〇一室に増室になる。
代表は事業に関して、売上利益の最大化を求めていない。顧客の利便性を追求していった結果として、ホテル業界としては他に類を見ない利益と利益率を実現しているだけだ。さらに大切なことは、このように事業を成功させている事業家が、日本を真っ当な国にするための言論活動を行っているということだ。これに意義がある。日本の上場企業は約三千六百社あり、連結経常利益規模で比較すると、非上場のアパグループは上場企業の三百番目ぐらいに位置する。しかし上場企業には株主が多数存在するが、アパグループは代表一族が全株オーナーだ。かつて資産はアパグループの年間利益の二〇倍といっていたが、最近は二五倍になっている。四十四年間一度の赤字も出していないことで、豊富な資産がある。日本で一番ホテルを所有しているのはアパホテルだと思う。