日本を語るワインの会151

ワイン151二〇一五年十二月二日、恒例「日本を語るワインの会」が代表自邸にて開催されました。松下政経塾出身で初めて国会議員になった衆議院議員の逢沢一郎氏、映画で知られた街・カサブランカを有するモロッコ王国大使館次席のアブデルカデル・ジャムーシ氏と令夫人、「マッサン」で注目を浴びた北海道・余市町出身の衆議院議員・中村裕之氏をお招きし、多彩な話題に華が咲きました。
日本人観光客の人気上昇中都市巡りが楽しいモロッコ

 北アフリカのモロッコ王国は、国土の面積は日本の約一・二倍、人口は約三千三百万人の国だ。首都はラバト。アラブ人が六五%、ベルベル人が三〇%を占め、アラビア語とベルベル語の両方が公用語になっている。国教となっているイスラム教のスンニ派を信じる人が大半だ。中世に舞い戻ったような街々の様子に、日本からの観光客も増えてきている。一番人気はモロッコ中央部の都市、マラケシュだ。世界無形文化遺産に登録されているジャマ・エル・フナ広場の屋台や大道芸がエキサイティング。ハンフリー・ボガートの映画によって日本で圧倒的な知名度を持つ街・カサブランカでは、モロッコ最大の美しいモスク・ハッサン二世モスクが必見だ。三年前に作られてから千二百周年を迎えたモロッコ最古の都市・フェズは、道が迷路のようになっていて、世界一複雑と言われている街だ。歴史があるために考古学的な研究対象にもなっていて、オックスフォード大学の調査団が八千年前のネックレスを発見している。また翼竜の化石も見つかっている。今はサハラ砂漠となっている土地も、かつては肥沃な土地だったことも判明している。この十年でモロッコの様子も急激に変化してきた。代表は海外に行くと、レンタカーでその国を巡る。国のリアルな姿を知るにはそれが一番だ。また地域によってはバスでの移動は旅行者だと看做されて襲われることがある。その点車だと、現地の人と思われて、難を逃れる可能性が高い。「止まれ」の道路標識は日本では逆三角形だが、海外では八角形である場合が多い。欧米では逆三角形で赤い標識は、「YIELD(イールド)」という交差する優先道路を確認して車が来なければ、徐行して進んでいいという標識だ。紛らわしいために、欧米と同じにしては…という議論が出てきている。

今年の最優秀藤誠志賞はケント・ギルバート氏に
 バブルが公式に終了した一九九二年の時の首相は、宮澤喜一氏だった。その翌年、長年の自民党政権が終わりを告げ、細川護熙氏が首相になったが、その期間は一年も続かなかった。わずか六十四日の羽田政権の後は、ウルトラCとも言える自民・社会・さきがけ連立政権によって、村山富市氏が一年半首相になる。続く橋本・小渕政権は二年から二年半持ち、小泉政権は五年以上の長きに亘ったが、その後はどれも一年程度しか持たない政権が続いた。そこで満を持しての安倍首相の再登板だ。安倍氏はいろいろとディベートをして様々な意見を聞いた上で、こうあるべしと決断をする人だ。安倍政権が誕生して三年が経過したが、できるだけ長く続けて欲しいと願っている人も多いだろう。
 二〇〇八年にスタートした「真の近現代史観」懸賞論文の最優秀藤誠志賞の受賞者は、第一回は元航空幕僚長の田母神俊雄氏、第二回は今や作家として大活躍の竹田恒泰氏、第三回は戦後問題ジャーナリストの佐波優子氏、第四回は札幌医科大学教授の高田純氏、第五回はsengoku38と名乗って中国漁船衝突の映像を流出させた一色正春氏、第六回は民主党政権で大臣を務めた松原仁氏、第七回は初めて国会でプレスコードについて質問をした杉田水脈氏と、錚々たる顔ぶれだ。今年の第八回の受賞者は、テレビ番組「世界まるごとHOWマッチ」でお茶の間の人気ものになったカリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏だ。二〇一五年十一月十日に美しい日本の憲法をつくる国民の会主催で行われた「今こそ憲法改正を! 武道館一万人大会」でも堂々たるスピーチを行っていた。ギルバート氏は、十二月八日に明治記念館で行われる授賞式後のパーティーでも講演を行う予定だ。

アパホテルが初の海外進出〈ウッドブリッジ〉オープン

 アパグループは創業時は信金開発という社名だったが、大蔵省から「信用金庫の関連会社だと思われるので変えろ」と命じられ、「信開産業」に変えた。代表はこの社名変更には納得しておらず、いつかきちんとした社名を付け直すことを考えていた。そこで日本航空やコカ・コーラのCIも手掛けた世界一のCI会社であるアメリカのランドー・アソシエイツ社に依頼して、一九九七年に社名とロゴを一新、APA(アパ)とした。これが大成功。日本語にせよ英語にせよ、とにかく覚えやすい。ネットで検索する場合も、短い入力でOKだ。アパ社長ブランドのオリジナルグッズはどれも好評。累計百四十万食も売れている大ヒット商品が「アパ社長カレー」だ。しっかり煮こまれた洋食店風のカレーは、某経済誌でもホテルの中で一番美味しいと絶賛された。アパホテル公式ミネラルウォーター「富士川源流 天然水」も累計七百万本の販売を達成。最近人気が出てきているのは、甘い香りとすっきりとした味わいでノンカフェインのとうもろこし茶だ。アパホテルでの宴会を予約した団体などにプレゼントしていたのが、アパホテルオジリナル「うまい棒」だ。同じくプレゼントとしては、石川県産のコシヒカリなどをパックしたアパ社長米もある。
 日本への外国人観光客が大幅に増加している。都心のアパホテルでは、お客様の約三割が外国人になっている。当然スタッフの英語力の強化も必要になっている。一説には十四パターンの英会話ができれば、ホテルのフロント業務の八〇%はこなせると言われているが、そんなホテル英語だけで良いわけではない。日本語を生きた英語に変えて伝えるのは難しい。「松島や ああ松島や 松島や」という俳句を英語に直訳しても、意味を成さない。日本語の意図や雰囲気を英語にして伝える必要がある。
 二〇一五年十一月十三日に海外初のアパホテルであるアパホテル〈ウッドブリッジ〉が、ニューヨークの隣であるニュージャージー州にオープンした。ニューアーク・リバティー空港まで車で二十分と近く、マンハッタンまでも鉄道で二駅、三十分で到着する。マンハッタンのホテルの宿泊料金は一泊約四〜五万円と非常に高く、ビジネスマンはニュージャージー州など周辺にあって、宿泊料金が一泊二〜三万円と半額のホテルに宿泊することが多い。〈ウッドブリッジ〉はアパホテルのフランチャイズホテルだ。オーナーはアメリカに渡って不動産ビジネスで成功を収めた台湾人の大富豪の次男で、まだ四十代の若さだ。彼は、今後もアメリカでアパホテルを展開したいと要望している。こうした出会いから、予定よりも二年前倒しでアパホテルの海外進出を代表は決断した。他にもアパホテル進出の引き合いは、世界各国から来ている。

世界中のホテルが「新都市型ホテル」に収斂
 アパホテル〈ウッドブリッジ〉オープンに際して代表はニューヨークで記者会見を開き、この街で一番有名な日本人である元ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜氏の隣町に生まれたという話から始まるスピーチを行った。この中で、代表は世界のホテルはいずれアパホテルが標榜する「新都市型ホテル」に収斂されると宣言した。部屋の広さは歩き回らずに全ての用が足せるスペースだけを確保をして、効率的なレイアウトに拘った。部屋で行うことは風呂に入り、テレビを観ることと眠ることだから、このポイントに力を入れた。独自に寝心地を追求した「Cloud fit(クラウドフィット)」というオリジナルベッドと安眠枕「Air Relax(エアーリラックス)」を導入している。ベッドはシングルルームでも幅千四百ミリメートルのワイド仕様だ。テレビは、最新のホテルでは五十型の最新大型テレビを導入している。お風呂は、一定以上の部屋数のあるホテルには人工温泉大浴場を完備している。この大浴場は、宿泊客同士の交流の場にもなっている。また客室の浴槽を卵型にすることで、たっぷり感を維持しながらも、浸かるのに必要な湯量を二〇%削減している。環境面については、浴槽の他にも遮熱カーテンや全館LED電球を使用するなど徹底した結果、アパホテルの炭酸ガス排出量は通常の都市ホテルの三分の一となっている。これらの「高機能」「高品質」「環境対応型」が、代表の提唱する「新都市型ホテル」なのだ。
 もう一つ、アパホテルの重要な理念は、ゲスト(お客様)とスタッフが対等だということだ。インドのホテルのレジデンシャルスイートには、部屋付きの召使がいる。そこまでいかなくても、通常の都市ホテルであれば、チェックイン後にベルが荷物を運び、部屋のスイッチについて説明してくれる。また宿泊客が不在でも、ベッドのターンダウンを行ったり、クリーニングした衣服をクローゼットに掛けたりとスタッフが部屋に入って作業を行うことがある。他人に部屋に勝手に入られても気にならないのは、これらのサービスの基本的な考え方が、欧米型のご主人様と召使の関係だからだ。会田雄次が「アーロン収容所」に描いた、日本人捕虜に裸を見せてもなんとも思わない欧米人の女性将校の話にも通じるものがある。アパホテルのサービスは、このような「奉仕」とは全く異なり、誇りを持って宿泊していただけるお客様を、スタッフが誇りを持っておもてなしをするというスタイルだ。スタッフとお客様との関係は対等であり、過度なサービスは廃して、求めている人には必要なサービスを…という考えだ。だからチェックイン済の客室はお客様のプライベートな空間と考え、ここに勝手にスタッフが入ることはない。アパホテルのおもてなしのイメージはお城の石垣の「崩れ積み」だ。画一化されたマニュアルはなく、スタッフそれぞれが自分の長所を活かした心からのおもてなしをすることが、ホテル全体として柔軟性があり永続的なおもてなしに繋がるという考え方を貫いている。これがお客様の感動を呼び、リピーターを増やし、ホテルの稼働率を向上させているのだ。