日本を語るワインの会180

ワイン180二〇一八年五月九日、代表邸で恒例の「日本を語るワインの会」が行われました。松下政経塾第一期生で衆議院議員の逢沢一郎氏、銀行マンとして十七年勤務した後に政界入りした衆議院議員の関芳弘氏、関西勝兵塾の事務局長も務める衆議院議員の長尾敬氏、浪人時代に培った人脈を活かしてさらにパワーアップした議員活動を行う衆議院議員の杉田水脈氏と、全員衆議院議員という初の顔合わせで政局や日本を取り巻く世界情勢について語り合いました。
キューバ危機を手本に
金正恩は米中と取引を狙う
 五月九日に行われた日中韓首脳会談は二年半ぶりであり、北朝鮮問題が大きな山場を迎えていることもあって、非常に重みのあるものとなった。中国から見れば朝鮮半島は民主主義国と社会主義国との間の重要な緩衝地帯だとか、韓国も、北朝鮮という経済破綻国家を一国で背負わされるのは真っ平だとか、各国の思惑が入り交じる中、なんとかぎりぎりのコンセンサスが得られた会談だった。北朝鮮問題について日本が蚊帳の外だったことはなく、日米同盟と国連の圧力とによって、北朝鮮が今初めて悲鳴を上げているのだ。このタイミングで安倍首相の辞任やキーマンである麻生太郎財務大臣の辞任を迫るなどという、野党各党の態度は、北朝鮮に塩を送る行為に等しい。
 金正恩は若いがしたたかで、鋭い政治的センスも持っている。彼は中国もロシアも全く信用せず、朝鮮半島の特殊性を十二分に理解して、それをフルに活用している。金正恩が参考にしているのは、一九六二年のキューバ危機ではないか。キューバはアメリカの首根っこに核を持つことで、米ソと取引を行うことができた。同じように北朝鮮も中国の首根っこに核を持って、米中と取引をしようとしている。だから実際には、北朝鮮が核兵器を廃棄する可能性は極めて低いのではないか。ならば焦点は、いかに核をコントロールするかに移る。そこで登場するのは、アメリカと対等の世界覇権を握ることを目指している中国だ。安定した米中関係のために、中国と北朝鮮が核兵器を共同管理する、中国版ニュークリア・シェアリングを提唱するのではないか。
 北朝鮮による日本人拉致の問題の解決はどのタイミングで行われるのか。先に日本と北朝鮮が国交正常化を行うという考えもある。相当な世論の反発が予想されるが、そうしないと本当のことがわからないかもしれない。一方、拉致問題の解決は、交渉でも国交正常化でも無理で、金正恩体制を崩壊させないと駄目ではないかという見方もある。日本がその道を選ぶのであれば、憲法を改正して北朝鮮に力を示せるような軍事力を持つ必要が出てくるだろう。今の北朝鮮情勢は様々な問題を解決するチャンスであり、安倍首相がその手腕を存分に発揮できる場でもある。しかし国内では昨年憲法改正に強く踏み込んだことで安倍首相はメディアと野党から総攻撃を受けている。これをどう乗り切るかが大切だ。

過度な労働時間削減は
日本の国際競争力を削ぐ
 どんな組織であっても、そこで働く人間が最も大切であることは変わらない。しかし働き方改革の名の下に、行き過ぎた労働時間の制限を行うことが本当に良いのか。日本的経営からの脱却も良く言われることだが、それで本当に良いのか。いずれにも良し悪しがある。新卒採用が中心で、終身雇用、転勤も多く、時間を掛けて一人前の社会人に育てていくという、家族的なメンバーシップ型の企業が日本の特徴だ。しかし「過度な労働時間制限」は労働者に擦り寄り過ぎており、日本の強みを奪うことになる。長い人生の中には徹夜を続けてでも、なんとかチームで成果を上げようとする時期もある。そういうことを乗り越えて、仕事の醍醐味や仲間と連携することの大切さを日本人は学んできたのだ。一概に百時間残業が悪いわけではないはずなのだが、それを公の場で口に出すと袋叩きにあう。結局経営者と労働者、双方の要望の妥協点を探ることになるのだが、若い時期に仕事に徹底的に没頭できるような環境は、決して無くすべきではない。また野党は非正規雇用を無くして、全員を正規雇用にせよとも主張するが、臨時職員なし、派遣なし、残業なしで、育児休暇をどうやって一年間、社員に与えることができるのか。何も考えていない。ゆとり教育が失敗したように、働き方改革で日本の企業力が低下、国際競争に敗れるようなことになってはいけない。
 黒い服を着て#MeTooのプラカードを持って行進するなど、野党のアクションは報道されるが、粛々と法案を審議している与党のことは報道されない。これだけを見ても、放送法第四条に定められている「政治的な公平」は守られていない。今廃止も言われている放送法第四条だが、高市早苗総務大臣がこの条文に対する、これまでと同じ政府の解釈を質問に対して回答しただけで、圧力を掛けられたと騒ぎ立てるメディアは異常だ。そんな話ではないことは、報道側はちゃんとわかっているし、最近は視聴者もわかってきている。

ヨメディアは嘘をつくと
いうことを学校で学ぶべきだ
 左翼が一枚上手なのは、国連を上手く活用することだ。国連特別報告者のデイヴィッド・ケイ氏にいろいろと吹き込むことで、日本の報道は乗っ取られていて、政権に都合の良いものしか流されておらず、日本の表現の自由が危ないと信じさせ、報告させている。そして何も知らない世界の人々は、この報告を信じてしまう。左翼には資金があるが、保守にはない。最も大きな財源は給料から天引きされる労働組合費だ。大きな反政権デモには、ここから参加者に日当が出ているとも言われている。この資金源を遮断する法律を作るべきだ。
 もう一つの左翼の資金源が、文科省から出る科研費(科学研究費助成事業)だ。デモに参加して安倍首相を「叩き斬ってやる」とまで言った政治学者の山口二郎氏が、二〇〇二〜二〇一七年に合計約六億円もの科研費を得ていることが明らかになった。人文科学系であるにも拘らず、実験装置などを必要とする自然科学の研究並かそれ以上の科研費を得ているのはどうみてもおかしい。科研費はもちろん税金から支出されるもの。今後この使い途について厳しく追求されるだろう。
 「ニュース女子」という番組で二〇一七年一月に放送した沖縄レポートが、BPO(放送倫理・番組向上機構)によって「重大な放送倫理違反があった」とされたが、番組で報じたことは事実だ。レポーターの井上和彦氏が現場に行かず伝聞で報じた部分が問題だというが、それを言えば多くの放送局のキャスターも現場には行っていないし、記者も伝聞で報じることがある。メディアがここまでの権力者となることは、かつては予想されていなかった。報道の在り方を見直して事実を流すことができるような手段を、なんとかして講じなければならない。それにはメディア教育、メディア・リテラシー向上が必要だ。ヨーロッパでもメディアは左翼だが、それを監視するためにメディア・リテラシーが発達した。デンマークのメディア・リテラシーの教科書には、一番冒頭に「メディアは嘘をつく」と書かれている。そんな教育を受けた人々は政治にも強い関心を持ち、実際に政治家の演説会に足を運ぶなど、一次情報を得ることで自らの態度を決めようとしている。しかし日本では、メディアに安易に頼ることで政治的にメディアに誘導されるがままになっている。ただ近年はテレビを観る人が減り、新聞の発行部数も減り、マスメディアの影響力は確実に低下してきている。

本人確認不要の民泊
今後法律を見直すことも
 既成概念を覆すような、これまで他のホテルがやってこなかった最先端の技術や仕組みの導入を行ってきたことが、アパホテルがホテルとして世界一の収益率を誇ることになった大きな理由だ。ルームキーをボックスに入れるだけのフリーチェックアウトも、アパホテルが最初。他のホテルは格好悪いという理由でどこも真似しなかった。しかし今では大手ホテルでも、フリーチェックアウトを導入するところが増えてきている。自動チェックイン機も一九八四年にアパがオムロンと共同で開発、金沢にオープンしたアパホテルの第一号店に導入したのが最初だ。今の旅館業法を前提にすると、自動チェックイン機三台に一人程度、スタッフがついている必要があるため、結局機械はフロントに設置。しかし当初は誰も使わなかった。当時はまだATMも普及しておらず、機械にお金を入れることに抵抗感のある人が多かったのかもしれない。自動チェックイン機にスタッフが必要なのは、旅館業法上、チェックインの基本は対面して本人確認を行い、宿帳の記載をしてもらうことが必要だからだ。しかし本人確認であれば、指紋などの生体認証でも可能だ。この六月に施行される改正旅館業法では、一定の条件を満たせばフロントを設置しなくても良いなど、かなりの規制緩和が行われる予定となっている。
 しかしこれまたこの六月に施行される民泊新法においても、民泊には本人確認は不要であり、旅館業法とは思想が一定になっていない。現状では違法な民泊営業が蔓延っているが、それは賃貸料を払っても、それを上回る収入を得ることができるからだ。しかしワンルームマンションの小さな部屋に何人も雑魚寝したり、夜中まで騒いだり、と民泊周辺の住民は困っている。民泊新法後も民泊を地方自治体が条例によって規制することは可能であるため、例えば神戸市は住宅専用地域などでの民泊は禁止する条例を作っている。またマンションでは管理規約に条項を付け足すことによって民泊を禁止することが可能だが、管理規約の改正には区分所有者の四分の三の賛成が必要、と非常にハードルが高い。今回の民泊新法は違法な民泊を取り締まることが主眼の法律だ。規制緩和はなんでも良いと思われがちだが、民泊に関しては状況を良く見て、日本にそぐわないとなれば再び法律を変えることも必要だろう。