社会時評エッセイ

安倍首相は憲法改正をテーマに衆参同時選挙に打って出よ

藤 誠志

北朝鮮の戦争瀬戸際政策は中国の指導による軍のクーデターを未然に防ぐことが目的

 一に経済、二に経済、三・四が無くて五に外交という姿勢で、四カ月前にスタートした第二次安倍内閣だが、アベノミクスを前面に打ち出すことにより、株価や為替相場に大きなインパクトを与えている。あまりにもひどい民主党政権によって昨年十二月の総選挙時には九、七三七円だった日経平均株価が、四月十二日には一万三、四八五円にまで上昇したり、同じく八二円台だったドル/円相場が、四月十二日には九八円台になったりと、その回復ぶりは著しい。それでも第一次安倍内閣が終焉を迎えた二〇〇七年八月二十七日の日経平均株価の一万六、四三五円やドル/円相場一一四円から考えると、まだ半分しか戻っていない状況であり、まだまだ好転が期待される。
 経済政策に自信を深めつつある安倍内閣だが、「外交」面において、最近目に余るのは、北朝鮮の戦争をちらつかせた脅迫行為だ。過去三回の核実験によって核兵器の小型化に成功した北朝鮮だが、ここにきて移動可能な中距離弾道ミサイル「ムスダン」を日本海側沿岸に移動させ、発射準備を行なっている。また韓国滞在の多くの国々の観光客に対してソウルからの退去を勧告したり、平壌駐在の外国大使館に退去勧告を行なったり、アメリカ本土攻撃計画を発動させたと発表したりと、挑発的な言動を繰り返している。
 北朝鮮は一方的に韓国との休戦協定を破棄、南北融和の象徴だった開城工業団地からも労働者を撤収することで韓国との緊張も高まり、戦争前夜ともとれる様相だ。
 何処の国でも最も戦争を避けたいのは軍部であって、ましてや戦えば必ず負けるとわかっている北朝鮮の軍幹部は戦争に反対である。
 金正恩が第一書記となり、北朝鮮の最高権力者となってまだ一年だが、最近の戦争瀬戸際外交は、この若い指導者が自らの身の保全を図り、軍部を掌握する為に軍幹部に戦争開始寸前まで迫る強硬策をとらせて、難色を示す軍幹部を弱虫呼ばわりして排除することにあり、今や金正日の葬儀の霊柩車に付き添った軍幹部の殆ど全てを解任・粛清した。金正恩の瀬戸際政策は、まず金正日が握っていた情報機関を手懐けたうえで、勢力をつけ台頭してきた軍部を党に従わせ、自らの体勢の確立を図り、核に拘る金正恩を見限り、親中派政権の擁立を図ろうとする中国からの指導による軍のクーデターを未然に防ぐのが目的と思われる。

南北連邦朝鮮が出来ることは日本にとって悪夢である

 米韓合同軍事演習は例年同様、三月からスタートした演習の全てが終了するのは、四月三十日の予定だ。この軍事演習に対抗することを口実として軍部を恐怖で統括するため、戦争一歩手前の瀬戸際政策を行なってきた金正恩だが、四月に演習が終了した時には、「自分が米韓の侵略を阻止した」と勝利宣言を行い、振り上げた拳を下ろすだろう。これによって金正恩は、自分の政権の永続化を図ろうとしているのだ。
 一般に言われているように金正恩は優しくも冷酷でもなく、かなり理性的だ。父、金正日が、中国軍事委主席江沢民によるとみられる、北朝鮮の軍部を指導して高性能爆薬八〇〇トンも使った龍川駅列車爆破テロで爆殺されそうになった事を忘れず、北朝鮮が核武装で自信をつけた今、中国からの自立を図ろうとしているのである。不条理な政権ではあるが、中国にとっても緩衝エリアとして絶対必要な北朝鮮を中国は手放さないことを見越して、中国が大反対する核実験や弾道ミサイルの発射実験を繰り返しているのである。日本の立場としては、これまで以上の中国傀儡国家の北朝鮮でも困るし、増してや韓国と核を持つ北朝鮮が連邦国家となることは悪夢である。南北連邦朝鮮が出来る事を阻止するためにも金正恩には頑張ってほしい。
 中国との関係では、二〇一二年九月、民主党政権下で行われた尖閣諸島の国有化を口実に、中国は日本叩きを強化し、尖閣諸島周辺の領海・領空侵犯を繰り返し、今年の一月には、中国海軍のフリゲート艦が海上自衛隊の護衛艦に火器管制レーダーを照射するという戦闘寸前の行為も行われた。中国軍は自衛隊や海上保安庁からの反撃の恐れがないことを知って、一方的に威嚇をエスカレートさせてきたが、安倍政権になってから、火器管制レーダーの照射をいち早く公表したことなど、断固とした姿勢を示したことで終息してきた。この尖閣を巡る日本いじめとも言える行動の背景にあるのは、江沢民や現在の最高指導者である習近平が属する太子党と、胡錦濤国家主席の出身母体である共青団の派閥争いだ。これは太子党勝利の内に収束しようとしている。日本はむしろ、この中国と北朝鮮の恫喝と威嚇の危機を最大限に活かし、憲法を改正して真っ当な国家とする好機とすべきである。

区割り法案反対の真意は憲法改正の阻止だ

 北朝鮮と中国、この二つの国からの威嚇が日本を覚醒させ、保守化傾向がどんどん強まって来ている。この気運を一気に憲法改正に繋げるべきだろう。まずは憲法の改正方法を定めた九十六条の改正、すなわち、発議に必要な国会議員の賛成を三分の二ではなく、過半数に変えることが急務だ。今の国会は、一票の格差に関して、相次いだ高裁違憲判決に強い影響を受け、一票の格差是正のための区割り法案を通すことが一番の目的となっている。参議院で議決されない場合、衆議院で再可決するには六十日の経過が必要なことを考えると、七月の参議院議員選挙までに区割り法案を成立させるために、四月二十六日までに衆議院を通過させる必要がある。この法案を通せば、この秋に出るとされる最高裁における最終判断で「違憲・無効」と言われない可能性が高まる。しかし、自民党が提出した○増五減に基づく区割り法案に、野党はこぞって反対している。これは敢えて違憲状態を作り続けることで解散を封じ、自民党が進めようとしている憲法改正を阻止しようという狙いだろう。
 七月の参院選の焦点は、当然憲法改正だ。衆議院で三分の二の議席を持つ与党が、参議院でも三分の二を押さえれば、改憲への道を拓く事になる。ネックとなるのは与党に改憲反対の公明党がいることだ。現状では公明党と合わせて自民党は三分の二の議席を確保しているが、憲法改正に関しては公明党が反対に回る可能性があり、そうなれば三分の二を維持できなくなる。自民党は憲法改正に賛成している日本維新の会やみんなの党、そして民主党の一部の人々を取り込んで、連立の組み替えを模索しなければならない。半数のみが改選される今回の参議院議員選挙によって、改憲勢力が参議院全体の三分の二の議席を確保できる可能性は低い。
 公明党に離反されたとしても、影響なく確実に憲法改正を進めていくためには、公明党との連立を解消して、真っ向勝負で七月の参議院議員選挙を衆参同時選挙に持っていくべきだろう。連立の組み替えが現実のものとなれば、公明党は社民党や共産党のような何の影響力も持たない政党に成り下がってしまう可能性が高い。それがわかっているから、連立組み替えをちらつかせれば、公明党は自民党に抱きついてくる。そうすれば維新やみんな、民主党の一部などの改憲賛成勢力に公明党が加わることになり、衆参同時選挙後には衆参ともに三分の二の賛成を確保できる可能性は高い。

衆参同時選挙をチャンスに公明党との連立を解消

 私は第一次安倍政権下で行われた二〇〇七年の参議院議員選挙の前に、このまま選挙になれば、自民党が過半数を獲得するのは難しいので、衆参同時選挙に打って出るべきでは? と安倍首相(当時)に直接進言したことがある。同時選挙となれば、小泉郵政選挙で大勝して確保した衆議院の議席は減らすかもしれないが、参議院での過半数割れは免れ、衆参ともに過半数を確保して安定政権を維持できると考えたからだ。しかし安倍首相は、まだ任期の半分も経っていないのに大勝利した自民党の衆議院議員の生首は切れないということで同時選挙を見送った。その結果、参議院選で惨敗を喫して、一年そこそこで政権を追われることになった。
 最高権力者は国益のためなら時には非情とも言える事もしなければならない。解散すれば、十二月に当選した議員は七カ月ほどしか在任しないことになるのだが、○増五減を満たした区割りの下、違憲ではない形で正々堂々と国民に審判を仰げば良い。今の安倍人気を考えれば、衆参同時選挙を断行すれば、自民党が圧倒的な勝利を収めることは確実だろう。単独で三分の二の議席を獲得することも夢ではなく、改憲勢力を加えれば、発議に必要な議席数が確実に確保できる。改選されなかった参議院議員にも影響を与え、多くの議員が九十六条の改正に賛成するのではないだろうか。また、これまで自民党の政策を腰砕けにしてきた公明党を連立から切り離す良いチャンスにもなる。
 施行から七十年近く経過して、ようやく自民党の結党からの悲願である憲法改正が実現しようとしている。日本人の特性として、三つや四つの選択肢からどれかを選ぶのは不得手だ。論点を一つにして賛成か反対かどちらかを選択するという方が向いている。
 この衆参同時選挙に反対する最大の難敵は自民党内の護憲勢力だ。小泉郵政選挙に倣って、「憲法改正『賛成』か『反対』か」と迫って国賊とも言える親中派や護憲派をあぶり出し、憲法改正に反対する者を公認しないで刺客を送るという姿勢で臨めば、衆参ともに自民党の圧勝となるだろう。このチャンスを逃せば、憲法改正のチャンスは二度と訪れないと思う。まずは九十六条から。そのために安倍首相には、決死の覚悟で衆参同時選挙を選択すべきである。
 衆参同時選挙は奇襲作戦だ。自公連立を解消して他の党が準備が整わない内に一気に選挙戦に巻き込めば、自民党の圧勝で単独政権の樹立となる。そして日本維新の会とみんなの党、公明党に民主党の一部も協力する安定した政権運営が可能になる。そしてまず憲法九十六条の改正を行い、その後に九条などその他の条文について検討を行なっていけば良い。

強い日本は中国と仲良くなれる

 議員の過半数で発議ができるようにして、何度でも改正を行い、常に時代に即応した憲法に変えていくべきなのだ。憲法改正によって日本はますます力をつけ、謂れなき事実に沿わないことや内政干渉を跳ね返し、再び経済大国を目指すことができる。株価や為替相場は、先に述べたように、前回の安倍政権から見るとまだ「半返し」なので、まだまだ伸び代を持っている。日本は先端科学立国を目指すと共に観光立国を目指せば経済状態が益々良くなり、東京オリンピックの開催も決定すれば、中国が日本との関係改善のために歩み寄ってきて、日本への観光客が大幅に増加する。
 そして景気対策として、かねてより私が主張している住まい面積倍増計画と低金利の住宅ローンを借りやすくする事が有効だ。過去にクレジットカードの事故があった人はもちろんのこと、年収や勤続年数不足など、いろいろな細かい条件に引っかかってローンが受けられないケースも多いが、最も大きな問題は、物件価格の満額のローンを受けられないことによる頭金不足だ。十分な収入があっても、貯金が足りないために、高額の家賃を支払って借家暮らしをしている人も多い。アメリカで盛んだったサブプライムローンは、通常であればローンを受けられないような収入の人々向けの住宅ローンだった。最初の数年間抑えられている金利負担がその後一気に上昇するサブプライムローンは、購入した住宅の価格が上昇、資産価値が増えた分を担保として通常のプライムローンへの借り換えを行うというシナリオを前提に申込むものだった。不動産価格の上昇が続く間は上手く回っていたが、上昇がストップし下降に転ずると、プライムローンへの借り換えができず、高金利に耐えかねて返済不能となる人が続出した。この結果、インチキ格付け会社の高い格付けで多数出回っていたサブプライムローンの債権を組み込んだ金融商品の価値が急落、金融機関の信用危機が発生し、リーマンショックへと繋がっていったのだ。真っ当な格付けをしていれば高い格付けが得られず、ローン原資の調達に歯止めがかかって、大きな金融不安を引き起こすこともなかった。

安倍政権が長期化すれば黄金時代が日本に再来する

 この二十年間デフレを続けてきた日本は、東京都心の物件を中心にまだまだ価格が上昇する可能性が高いと言える。
 一気に景気を浮揚させるには、この先、資産価値の上昇が期待できるエリアにおいては規制緩和を行い、三年間程度に限定してサブプライムローンを出すぐらいのことが必要である。融資の条件も緩くすることで活性化を図っていけば、裾野が広い住宅業界故に、波及効果でどんどん他の業界も潤っていき、デフレからの脱却への道を拓くことができるだろう。これからの三年間は少々の貸し倒れを恐れずに、貸し付け条件を緩和して徹底的に住宅ローンの貸付残高を増やすことで景気回復を図るべきだ。その後は政策を微調整して、税による優遇などで住宅建設が活発になるように刺激を与え続ける。三世代が同時に暮らせる大規模住宅を造る場合の税負担を軽くし、大家族制度の復活を図っていく。住宅など人が幸せになっていく分野をローンによってサポートすることで、景気の回復を行うのだ。衆参同時選挙から次の衆参同時選挙までの三年間は、「黄金の三年間」となるはずだ。「サミット五」と呼んでいるアパグループの五カ年計画のラスト二年も、この期間に含まれる。「サミット五」の前半だけでも東京都心に四十八物件を取得するという成果を上げた。それらの物件の中で、現在の価格が取得価格の三割増しや倍になっている物件もある。これからの後半戦で土地を取得する際には、通常の投資基準の金額に、前半戦の土地の取得からの上昇分を加えていわゆる逆ナンピン買いをしていきたいと考えている。アベノミクスによってこれから景気が回復し、史上最大の好景気も期待でき、GDP世界第二位の座を中国から取り戻すことも可能となる。日本から技術を掠めとることで発展してきた中国や韓国は今後没落あるのみだ。特に中国は、この先、格差拡大による不満の爆発で、分裂の危機に曝されることになるだろう。安倍政権が長期政権となるにしたがって、日本の黄金時代が再来することは間違いない。そのためにも、今度こそ安倍首相は意を決して衆参同時選挙を断行すべきである。
4月16日(火)午後8時00分校了