社会時評エッセイ

核兵器の開発も保有も一切公表しない法律を作れ

藤 誠志

株価と為替に表れている安倍内閣への強い期待

  第一次安倍内閣が僅か一年と一日で終焉を迎えた二〇〇七年九月二十六日の日経平均株価は一万六、四三五円、外国為替相場は一ドル一一四円だった。その後の自民党福田首相は「あなたとは違うんです。どうもお世話になりました」とまた丁度一年で政権を投げ出し、世論に阿って左翼化した麻生自民党政権は正しい歴史認識を論文に書いた田母神航空幕僚長を解任して、総選挙で惨敗してこれまた一年も持たなかった。政権交代後、民主党の鳩山政権は九カ月足らずで、菅政権も一年三か月少しと、併せて二年で交代、そして野田政権も、財務省の画策で、消費税増税と引き換えに好まぬ選挙へと打って出て、惨敗した。これまた一年四か月足らずで再び政権交代となって安倍政権が誕生した。
 安倍氏が再び総理に返り咲くまでの五年三カ月の間に、日経平均株価は七千円近く下げて九、七三七円となり、為替レートは三十円も円高が進んで一ドルは八三円となった。リーマン・ショックがあったとはいえ、この数字がこの間の政治の混乱とそれによる経済の低迷を如実に物語っている。ここから脱したいという国民の思いが総選挙に表れ、自民党は大勝、連立与党は三分の二を越える議席を獲得することができた。この勝利から第二次安倍内閣の発足までの僅か十日間で、株価は一万二三〇円と五百円上昇、一ドルは八五円と二円も円安へと動いている。この原稿を執筆している二月八日には日経平均株価は一万一、一五三円、一ドル九三円とさらに株高、円安が進んでいる。このことからも、どれだけ安倍政権に期待がかかっているかがわかる。  
 自民党の左傾化した末期政権も酷かったが、民主党売国政権の三年半はまさに国を売り渡す日々だった。最初に首相となった鳩山氏はできもしない「二酸化炭素25%排出削減」を自ら提唱して、その対策として「原発依存度を50%に引き上げる」とか、「日本海は友愛の海だ」とか、「日米中は正三角形の関係」、「日本列島は日本人だけのものじゃない」とか、普天間基地移設問題については、「最低でも県外、できれば国外」と次々と売国でたらめ発言を繰り返し、内政も外交も日米関係をもガタガタにしてしまった。次の菅内閣が発足した後の二〇一〇年九月七日、尖閣諸島付近の日本領海内で違法操業をしていた中国の漁船が、退去を求める日本の海上保安庁の巡視船に体当たりをするという事件が起きた。海上保安庁は中国漁船の船長を公務執行妨害で逮捕したが、その処遇を巡って中国政府は激しい圧力を掛けてきた。その一つが中国に残された旧日本軍の毒ガス処理を行っていた何の非もないフジタの社員の逮捕拘束だ。そもそもこの毒ガスは終戦後にきちんと日本軍から中国(蒋介石)軍に引き渡されたものである。遺棄したのは中国側であり、日本にはなんら責任はない。民主党政権は中国に慮って、那覇地検の「独自の判断」という超法規的措置で中国人船長を処分保留として釈放し、さらに「事実を明らかにする衝突時の映像」を公開しなかったため、逆に中国のデモの激化を招いた。それに対して十一月四日、現職海上保安官だった一色正春氏がYouTube上に衝突時の映像を公開。これによって日本中に怒りが渦巻き、民主党政権の支持率がどんどん下がり、外国人から政治献金を受けていたとの疑惑で菅総理も政権を投げ出すかと思われていた時に起こった悲惨な大震災……3・11東日本大震災を政権浮上のチャンスにしようと小躍りして喜んだ菅総理は、専門家を差し置き自ら現地へヘリコプターで乗り込み、パフォーマンスを繰り返した。津波で福島原発の電源の全てが失われて、冷却ポンプにもベントにも必要な電気を供給できなくなっている大変な中、対策を遅らせ、高温となった原発の燃料被覆材のジルコニウムが還元してできた水素を爆発させてしまった責任は大きい。またその後の脱原発政策で日本の全ての原発を運転停止にして、年間三兆円もの代替燃料輸入費の増加で、貿易収支を赤字にしてしまった。

民主党政権の弱腰外交が中国を増長させた

 中国が尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは、海底に油田があることが明らかになった一九七〇年以降のことだ。当時の中国には海底油田を自ら掘る技術力も経済力もなかったため、結論を先送りするのが得策と、「棚上げ」に走った。しかし一九九二年に中国は尖閣諸島が自国の領土だとした領海法を施行し、自ら棚上げに終止符を打ったのである。海上保安庁の船にぶつけてきた船長を中国の圧力で釈放したことで、昨年(二〇一二年)の八月十六日には中国からの資金援助を受けた香港の活動家七人が尖閣諸島の魚釣島に上陸、逮捕されたが、これまた起訴もしないで全員送り返してしまった。こんな民主党政権の弱腰外交によって、日本は中国以外の国からも舐められることになったのだ。韓国の李明博大統領は、過去韓国大統領が一度も上陸しなかった竹島に乗り込み、さらに天皇陛下が望んでもおられない訪韓に関して、さも陛下が望んでおられるかのような言を述べた後、「日王は訪韓したがっているようだが、独立運動で亡くなった方々を訪ね、謝るなら来なさい」と朝鮮文化で罪人に科せられた「膝を縛る」姿勢を要求するなど、日本の天皇を貶める発言を行った。ロシアのメドベージェフ大統領も前例のない北方領土上陸に踏み切った。
 そしてその後の民主党政権は、石原慎太郎前東京都知事の、尖閣諸島を都で購入し船溜まりを造るとの主張は尖閣棚上げ論に反するのではと心配し、中国を慮って国費で購入することとした。しかし今度はそのことを口実に、中国は官製反日デモを繰り返させ、日本資本の工場や商店を襲撃させるなど反日暴動をエスカレートさせた。中国による領海侵犯は最初は漁船のみだったが、次第に国家海洋局の船舶のような公艦を繰り出し、常態化するようになった。また同じく国家海洋局の航空機による領空侵犯も行われた。これらの中国の行為が、尖閣諸島の実効支配を目指すものであることは間違いない。さらに今年(二〇一三年)の一月十九日に東シナ海で、海上自衛隊の護衛艦搭載のヘリコプターに対して、中国海軍のフリゲート艦が火器管制レーダーを照射、また一月三十日には同じく中国のフリゲート艦が海自の護衛艦「ゆうだち」に対して火器管制レーダーを照射したと二月五日に小野寺防衛大臣が発表した。二月八日、日本経済新聞には、「レーダー照射、官邸葛藤」という見出しで以下の記事が掲載されている。「中国海軍の艦船が海上自衛隊の護衛艦に射撃用の火器管制レーダーを照射した問題は、一月三〇日の発生から公表と中国への抗議まで六日間を要した。なぜ公表が遅れたのか。外務省が蚊帳の外に置かれる一方で、安倍晋三首相が中国との対話再開への機運と、毅然とした外交方針の間で葛藤した形跡が窺える」「発生当日に防衛省から一報を受けた首相官邸サイドは『中国に抗議して大丈夫か』と質した。護衛艦はレーダー解析装置を装備している。照射は数分間に亘っており、中国のフリゲート艦の照射であることはほぼ特定できていたが、完璧なデータを揃えて中国に反論の隙を与えない方針がとられた」という。一部新聞に「民主党政権時代にも尖閣諸島国有化後に中国艦船からレーダーを照射されたことがある」と報道された。
 それによれば、「当時の野田佳彦首相や岡田克也副総理らは『日中関係を悪化させたくないとの判断で公表を避けた』と関係者は語る。今回、安倍首相は五日に防衛省から最終報告を受けると、『国際社会に知らしめる必要がある。悪質な事案はすぐに公表してほしい』と指示した」「同時に『冷静に対応するように』とクギを刺した。対外発信を首相や官房長官でなく防衛相が担うことも決めた。レーダー照射が中国指導部の指示なのかが定かでないなかで『日中関係に配慮し、事態をエスカレートさせないためだった』(政府筋)」。
 小野寺防衛大臣の発表と同じ日に岸田外務大臣も中国に抗議を行った。中国外交部は当初事実を確認するとしていたが、その後火器管制レーダーを照射したという日本の主張は全くの捏造であり、使用したのは監視用レーダーだと言い出した。日本側は再度反論し、安倍首相は中国に謝罪を要求している。監視用レーダーと火器管制レーダーでは周波数が異なるなど、間違えるわけもなく、中国の主張は明らかな嘘だ。南京大虐殺などで嘘の主張を繰り返し、嘘も百回言えば本当になると信じている中国らしい行動だ。監視用レーダーは周囲の艦船や航空機の位置を確認するものだが、火器管制レーダーは俗にロックオンと呼ばれ、ミサイルや大砲が確実に目標物を捉える状態を作るために使用される。国際的には火器管制レーダーを使用すること自体が戦闘行為と看做される非常に危険な行為だ。尖閣諸島国有化後に発生した火器管制レーダーの照射を当時の野田政権が黙認したために中国は増長し、再度今回の行為に及んだと思われる。

自主憲法を制定し速やかに軍事バランスを取れ

 周囲の国の蛮行に対してきちんと抗議をせず、逆に村山談話や河野談話を発表し、周辺諸国からの非難にきちんと反論をしてこなかったため、日本は舐められてしまっている。その結果がこの事件だ。ロシアまでが北方領土の日である二月七日に、五年振りとなる領空侵犯を行った。ロシアのスホイ二七戦闘機が北海道・利尻島沖の日本領空を一分十一秒にわたって侵犯、これに対して空自のF2戦闘機が緊急発進した。ロシアも安倍政権誕生後、日本が有事にどのような対応を行うのかを探ってきているのだろう。隣国が気に入らないからと引っ越すことはできないので、日本もこれらに的確に対処しながら、力をつけていかなければならない。好まない隣国と協調していくためには、バランス・オブ・パワーを堅持することが重要だ。冷戦が終結したことで世界が平和になったと考えるのは間違いだ。日本はこの十年、軍事費を毎年減らしてきたのだが、中国は二十年余に亘って毎年二桁ずつ軍事費を増大させ、とうとう十八倍にまで伸ばした。今回安倍政権となって軍事費が僅かではあるが増強が図られたのは、非常に良いことだ。近隣諸国の挑発に乗るべきでないが、そもそも挑発されないような軍事力のバックグラウンドが必要なのだ。
 しかし平和憲法による制約は、日本が真っ当な国となることを阻んでいる。先の総選挙の結果、衆議院では与党が三分の二を占めることができた。夏の参議院選挙で改憲勢力が三分の二の議席を獲得できれば、すぐにでも真っ当な国に向けての改憲作業に着手すべきだ。安倍政権は今のところは一に経済、二に経済、三四がなくて五に外交といったスタンスで進めている。景気の「気」の部分が先行し、安倍政権発足から僅か一ヵ月半で株価は千五百円近く上がり、十円も円安になった。上手くいけば、このまま株価も為替レートも真っ当な価格にまで移行していくだろう。引き続き日本経済が力強く前進するためには、自民党が次の参院選に勝利して、憲法改正にしっかりとした道を開くことが重要だ。この夏の参院選では三分の二は無理にしても、過半数を確実に自民党が獲得できる。そしてその後三年間は選挙がない。この間に憲法改正を支持する政党と連立の組み替えを行い、不当に作られた現行憲法を廃棄して、真っ当な自主憲法を制定すべきだ。そして二〇一六年に自民党が衆参同時選挙に打って出れば、両院とも三分の二の議席を獲得できる可能性が高い。今の中国や韓国、ロシアなど周辺国の挑発行為を逆にうまく利用して国民の支持を獲得し、日本が真っ当な国に生まれ変わるチャンスとすべきだ。安倍首相もできるだけ長く、少なくとも五年間以上は政権を維持しなければならない。アメリカ大統領は二期八年はその職に就く。短いと言われている韓国の大統領の任期も五年だ。過去六年半に六人も首相が変わるという流れを日本は断ち切らなければならない。安倍政権が長期政権となり、憲法を改正して日本を真っ当な国とする。これができなければ、日本はこの先中国の日本自治区となるか、アメリカの五十一番目の州となってしまうだろう。

人種平等の世界を築いた日本の歴史に誇りを持て

 日本の周辺国は今や全てが核武装を行っていると言って過言ではない。これらの脅威から日本を守るためにも、集団的自衛権の行使と武器の輸出を可能とし、日米安保条約を対等に近づける。その上で非核三原則を廃止し、有事にはアメリカが日本に核兵器の発射権限を与えるニュークリア・シェアリングの導入を行うべきだろう。
 今でもアジア・アフリカの国々から、日本はいつでも核武装のできる潜在的核武装国であると思われている。北朝鮮がアメリカにまで到達する弾道ミサイルと核の小型化に成功した今、もしアメリカがニュークリア・シェアリングに難色を示すようであれば、日本の技術力を駆使して核兵器のパーツを造っておき、非常事態となればいつでも一週間程度でパーツを組み立て、核兵器を造れるような体制を取る。そして機密保護法を作るとともに、核開発も核保有についても今後は一切公表しないことを宣言して、イスラエルの様に核開発をしているかも知れないと思わせるぐらいが必要だ。周辺国の全てが核保有国となった今、これに対抗するためには、かつて世界で唯一核攻撃を受けた日本には核武装する権利があると主張する必要がある。核保有国から力で脅迫されれば、言われるがままになるしかないというのが国際政治の現実なのだ。  
 近隣諸国に毅然と対応するためにも、先の大戦後ずっと言われ続けてきた日本の過去に対する謂れなき非難を排除することも重要だ。かつての日本は誇れる国だった。先の大戦で多くの犠牲を払いながらも日本が成し遂げたことは大きい。それは世界から植民地支配をなくし、人種平等の世界を築き上げたことだ。日本が日露戦争に勝利し、先の大戦に立ち上がらなければ、アメリカにバラク・オバマのような黒人大統領が誕生することもなかったし、人種平等など全く実現していなかっただろう。民主党政権によって貶められた日本だが、日本人はまだまだ秘められた力がある。自国の歴史に誇りを持ち、日本を真っ当な国とする最後のチャンスがこの安倍政権だ。日本の再興の一助となるよう、私もしっかりこの政権を支えていくつもりだ。
2月12日(火)午前2時00分校了