社会時評エッセイ

世界で最も反日的な国家は「日本」である

藤 誠志

新聞各社の思いが第一面の見出しからわかる

 野田首相が「近いうちに…」と約束してから百日余り後の十一月十六日、首相は衆議院を解散した。
 翌十七日の新聞各紙朝刊の一面には、それぞれの新聞の「思い」を反映した見出しが並んでいる。朝日新聞では、「政権交代 総括へ」という大見出しの下に「首相『第一党を目指す』」という小見出しが入っている。三年四カ月前の前回の総選挙では、朝日新聞を中心とした多くのマスメディアがバックアップすることによって民主党が総選挙で大勝、政権交代が実現した。
 この「首相『第一党を目指す』」という文言から、朝日新聞が民主党への期待をまだ捨て切っていないことが伺える。日本経済新聞は、「民自激突、第三極カギ」という見出し。その本音は「民主激減、第三極躍進」というところではないか。各メディアが公表している政党支持率を見ても、自民党が民主党を遥かに凌駕しており、「民自激突」になるとはとても思えない。日経も民主党に少々同情的だ。
 読売新聞は、「民主政権の三年 問う」と掲げている。政治部長の永原伸氏の署名記事にはこう書かれている。「日本列島が熱狂に包まれた『政権交代』選挙から三年四カ月ぶりの総選挙だ。野田首相と民主党にまず求められるのは、鳩山、菅両内閣を含めた民主党政権三年余の総括である。税金の無駄遣いをやめれば十六兆円超の財源を簡単に捻出できると謳った現実無視のマニフェスト。行政の混乱を招いた『脱官僚』や、防災対策など必要な公共事業まで萎縮させた『コンクリートから人へ』といったポピュリズム(大衆迎合主義)のキャッチフレーズ。米軍基地の『県外・国外』移転や『原発のない社会』のように、実現への道筋を描かずに思いつきで政策変更を口にした両元首相……。首相が、自民党政権も成し遂げられなかった社会保障・税一体改革のレールを敷いたのは確かだ。しかしそれは、鳩山、菅時代を含めた『負の遺産』と正面から向き合うことを避けてよい理由にはならない」という主張は、私には極めて真っ当に思える。産経新聞では、「『国難』日本再生の出発点」という見出しの後に以下のような記事が続く。「日本列島全体に閉塞感が漂う中、約三年四カ月ぶりに衆院が解散された。景気停滞、東京電力福島第一原発事故を受けたエネルギー政策の転換、脅かされる領土…。『国難』ともいえる現状を政治が打破できるのか。今回の衆院選はラストチャンスになるかもしれない。『前に進むか、後ろに戻るか。それを決める選挙だ』解散直後に国会内で開かれた民主党の両院議員総会で、野田佳彦首相はこう強調した。確かに、この日の衆院解散を機に、過去三年余りの『決められなかった政治』を前に進め、日本再生への出発点とすべきだ」。この国難の責任は、「一度やらせてみたら」という安易な思いで民主党を大勝させてしまった国民にある。その結果、政治も経済も外交も大混乱の三年四カ月を日本は過ごすことになってしまったのだ。そんな中でも、先の自民党総裁選で安倍晋三氏が勝利したことが唯一の救いだった。この総選挙では自民党は単独過半数を獲得し、再び政権を担当することは間違いない。この機会に、六年前の第一次安倍政権時に掲げた「戦後レジームからの脱却」を是非実現して欲しいと願っている。

メディアを敵に回しても今なら国民の支持は集まる

 安倍総裁は、今は集団的自衛権を認めるべきということを表に出しているが、もっと多くを主張すべきである。前回の安倍政権が一年しか持たなかったのは、参院選で負けたことが原因だ。あの時躊躇せずに衆議院を解散して衆参同時選挙に持ち込んでいれば、小泉郵政選挙の時よりも衆議院の議員数は減らすにせよ、参議院の過半数は維持できたのではないだろうか。慎重さが裏目に出たのである。
 自民党は一旦下野してしまったのだから、もう慎重になってはいけない。「捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」である。以前の与党であった頃の自民党政権のことは、下野したことで一度リセットして、新生自民党としての考えを前面に出すべきなのだ。まず明らかに事実と異なる『南京大虐殺』や『従軍慰安婦』を明確に否定する。これに関連する『河野談話』や『村山談話』を踏襲しないことをきっぱりと宣言する。この二つの談話を踏襲するかしないかを、反日を社是とするマスメディアは自民党政権時代、首相が替わる度に質問してきたのだが、こんな事実に基づかないことは引き継がないと言い放つのだ。さらには近隣諸国条項(教科書検定基準に近隣アジア諸国との間の近現代の歴史的(真実)事象の扱いを排除すること)を撤廃し、靖国神社は必ず参拝すると明言する。このように、これまで個別に主張すれば批難が必至だったことを、全て同時に言い出せば、マスメディアも争点が分散されて、一つのことで批判の集中砲火を浴びせることができなくなるはずだ。
 またネットの登場によって、従来のメディアの在り方、国民への影響力も変わってきている。むしろマスメディアを敵に回すことで、国民を味方にできることもある。
 四年前アパグループが主催する「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀賞を獲得した田母神俊雄氏の論文に対して、全てのメディアが揃って批判を行ったにもかかわらず、インターネット上での意見では、田母神氏を支持する声が圧倒的に多く、既存メディアとネット世論の違いが鮮明だった。それから四年経った今、ネットの影響力は既存メディアを凌駕するようになってきている。新聞を読む人も近年少なくなり、公称の発行部数と実売部数との乖離は段々ひどくなってきている。しかし折込チラシを打つ時は、必ず公称の部数を基に料金を請求される。全ての新聞社がやっているからと言って詐欺的行為を正当化してはいけない。きちんと調べて改めていかなければならない。安倍総裁が数多くの論点を、真実に基づき改めて主張すれば、メディアから総攻撃を受ける一方、逆に世論が沸騰して大きな国民の支持を獲得、自民党圧勝ということも十分にあり得ると考えている。
 民主党政権を生み出したのはマスメディアである。その結果、何の実現性もないバラマキマニフェストに期待した多くの国民が振り回され、混乱だけが生み出され、「国難」状態に陥ってしまった。
 世界で最も反日的な国家を作ったのもマスメディアである。今回の選挙は産経新聞にも書かれていた通り、日本再生の出発点だ。非常に重要な選挙になるだろう。

日本維新の会も所詮「選挙当選互助会」だ

 大阪市の橋下徹市長が国政参加を目指して立ち上げた日本維新の会は既存の大きな勢力と対決することで国民の支持を広げてきたが、石原慎太郎氏の太陽の党と合流することになった。代表を石原氏にすることで脱原発や参院を廃止するなどの政策を見直すなど、政策に実現性を帯びてきた。民主党は選挙当選互助会と言っても良いぐらい、バラバラな考えを持つ政治家の集団だったが、日本維新の会もこれから公認候補を正しく選択しないと、これと同じことになってしまう。正に今、民主党の泥船から逃れるが如くに離党者が相次いでいるのも、選挙当選互助会としての当然の末路だ。政党とは政策を同じくする政治家同士が集まって作るものであり、その同志が多数派となった場合に政権を担当するというのが本来の形だ。人気取りの目的で維新の会は政策の異なる太陽の党の取り込みを行ったのだろうが、結果的に期待されるほど多くの票は獲得できないと思われる。また維新の会が一定数の議員を獲得した場合には、民主党から国民の生活が第一が分離したように、必ず分裂騒ぎが起こってくるだろう。
 日本は選挙後に「揺り戻してバランスを取ろうとする」現象があり、大勝した次の選挙では負けるということが繰り返されている。
 この総選挙で勝ちすぎると来年七月の参議院議員選挙で自民党がまた敗北し、衆参のねじれが継続することになるかもしれない。衆参ともに過半数を確保して安定政権を築くのが日本にとって最良のことだが、それが無理なら連立してでも衆議院で三分の二以上の議席を獲得し、参議院で否決されても衆議院で再可決が可能な情勢を作るべきだろう。しかし、現実としては、次の総選挙でたとえ自民党が単独過半数を得ても、参院では少数政党に過ぎず、当面連立政権とならざるを得ない。自民党が圧倒的な支持を得るには、これまで抑圧されてきた日本の真実を、白日の下に晒すことだ。捏造された『南京大虐殺』や『従軍慰安婦問題』で、真実と異なることで謝罪を繰り返し続けているにも拘わらず、アメリカ議会で慰安婦への謝罪要求を決議されたり、韓国の日本大使館前に変な像を作られたり……。事実であればまだしも、このような嘘の史実について責められるというのは、日本がこれまでこれらの問題に穏便に対処してきた結果だ。世界で最も反日的な国は日本自身である。私は世界七十七カ国を巡って、多くの指導者と対談を繰り返してきたが、全ての人々が日本は素晴らしい国だという。かつては私も日本の多くの人々と同様に教科書やマスメディアの報道をいくらか信じていた時もあった。しかし海外の要人と語れば語るほど、日本で正しいと思われている歴史の不条理に目覚めていった。

争点を一気に出せば自民党は必ず圧勝できる

 日本の歴史が歪められた原因は「人道に対する罪」に相当する無警告の原爆投下を行ったアメリカにある。先の大戦末期、ソ連はベルリンを陥落させた勢いで、ヨーロッパ中を赤化しようとしていた。
 アジアでも朝鮮半島のみならず、中国、東南アジア、インドまで、そしてアフリカ諸国も赤化の脅威に晒されていた。第二次世界大戦がそのまま世界赤化の為の第三次世界大戦となることを力で阻止するために、アメリカは日本に原爆を投下し、核の威嚇によってソ連の動きを封じ込めたのだ。その上、非道な大量殺戮兵器である原爆を無警告で無防備な市民の上に投下しても、戦後原爆投下を責められないように、東京大空襲では通常爆弾の焼夷弾でも多くの人々を殺害できることを証明するために、計画的に周囲から焼夷弾を投下して炎上させ退路を断ち、真ん中を絨毯爆撃をし、十万人もの人々を殺戮した。更に、戦略的に考えた場合、上陸して占拠する必要性の薄い硫黄島に上陸して、地下に立て篭もって死守する日本軍と激戦をして日本軍よりも多くの死傷者を出すことで、日本本土決戦となった時には百万人の米将兵が死傷する、という予測の根拠としたのだ。こうした謀略の成果か、今でもアメリカ人で、多くの米国軍兵士の命を救うために原爆の投下は必要だったのだと信じている人は多い。しかしそれは誤りだ。無警告で原爆を日本に投下した背景には人種差別的な考えがあったのも、確かなことだろう。そしてアメリカは東京裁判で日本人自身が自国を悪い国だと信じるように誘導し、原爆を投下した罪を覆い隠そうとした。だから、日本に関わる過去の歴史を全て再検証する必要があるのだ。
 先の大戦は日本が無謀な侵略戦争を仕掛けたものではない。アメリカは太平洋全域を我ものにする野心を持っており、日露戦争での日本勝利の直後からその野望の邪魔になる日本に対する戦略である『オレンジ・プラン』を策定していた。日米決戦は避けられないものだったのだ。アメリカの野心を食い止めるために日本が戦ったという、大局から俯瞰した歴史を、日本人は再認識すべきだろう。そもそも日本周辺の領土問題は全てアメリカが作り出したものだ。先の大戦でも、アメリカが核で脅せば、ソ連はすぐに停戦に応じて北方領土に侵攻することもなかっただろうし、アメリカの傀儡だった韓国大統領・李承晩は、アメリカに言われれば竹島を取り込む『李承晩ライン』を引くこともなかっただろう。尖閣は日米安保の対象となるエリアと言いつつも、アメリカは領土問題には立ち入らないと中立を保っている。
 日本が領土問題に直面し、日米安保などのサポートを必要とすることが、アメリカにとっては都合がいいのだ。日米安保があるからアメリカが日本を守ってくれるというのは間違いだ。そもそも日米安保による在日米軍は、日本が再軍備で軍事的な強国とならないための「瓶の蓋」だという説もある。日米安保に自動参戦条項もないので、日本が他国から攻められ攻撃されたとしても、アメリカは自国の利益・不利益を見極めてからしか友軍として共に戦ってはくれないだろう。集団的自衛権の行使を認めるようになれば、この状況も少しは変化するかもしれない。
 米中国交回復を協議していたアメリカのキッシンジャー補佐官と周恩来首相も、「日本が再び軍備を強化して軍事大国化するのであれば、伝統的な米中関係がそれを許さないであろう」と語っている。バランス・オブ・パワーによって動いている世界の現実を知れば、日本国憲法の前文にある「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」という言葉がいかに絵空事かがわかるだろう。いかなる独立国家も自分の国の憲法を自分で作る権利があるのに、未だに日本は改正不能条項と言っても良い条項を盛り込まれた現行憲法を押し付けられ改正できないでいる。今度の総選挙をきっかけに、日本は非常時に占領下で作られた憲法を衆参両院の過半数で無効とする決議を下し、時代に合った自主憲法を制定し、自主独立の国として防衛力の保持を明確にし、長く控えてきた国防費の予算を増強して、肥大化する中国の軍事力とバランスをとっていくべきである。これは軍事大国を目指すのではなく、隣国との軍事バランスを維持することが東アジアの安定に繋がるからだ。
 次の総選挙は私の予想では、日銀法を改正してでも景気対策に力を入れる必要性を主張する安倍自民党が大勝、公明党も共産党も現状程度、民主党も生活が第一も惨敗、日本維新の会はキャスティングボートを握るほどには議席を獲得できない。多くの争点を一気に出して自民党単独政権が成立すれば、真の近現代史観を持って、日本を誇りを持てる国に向かわせることができるようになる。そうなることを大いに期待し、安倍総裁が思い切った選挙戦略に出ることを切望している。

11月26日午前11時48分校了