社会時評エッセイ

藤誠志 社会時評エッセイ240:原爆投下の真相から近現代史を読み解く

藤 誠志

間違った非難には断固抗議し、撤回させなければいけない

 私はこれまでに世界七十五カ国を訪問して、各国の指導者と忌憚のないディベートを繰り返してきた。そもそも私は左翼でも右翼でもない。ただあるのは真実を探求したいという思いだけであり、その延長線上に「真の近現代史観」懸賞論文制度の創設があったり、『報道されない近現代史』『誰も言えない国家論』『誇れる祖国「日本」』の執筆がある。歴史を学ぶには、日本史のみでも世界史のみでも駄目で、その時世界では何が起こっていたのかという視点を持つことが重要だ。
 『誇れる祖国「日本」』では数々の歴史上の事件の「点」を、時代背景を考察して「線」として結び、さらに分析を行って「面」として読者に提示している。
 日本は、南京三十万人大虐殺など有りもしない歴史を歪めた間違った非難には断固抗議し、撤回させなければいけない。強く出てきた相手に対して妥協や容認してはいけないのだ。にも拘わらず、これまで日本は史実に反する村山談話(一九九五年八月十五日の戦後五十周年記念式典に際して、第八十一代内閣総理大臣の村山富市が、日本の「植民地支配と侵略」によって諸国民に多大の損害と苦痛を与えたことを認め、謝罪を表明した談話)や事実に反する河野談話(慰安婦関係調査結果発表に関する河野洋平内閣官房長官談話。慰安婦の募集については、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、さらに、官憲等が直接これに加担したこともあったとした談話)を発表することで、妥協を繰り返してきた。国内でも憲法改正を党是とする、本来保守の信念を持っていたはずの自民党が、左翼政党への妥協を繰り返すうちに左傾化、挙句の果てにはこの村山・河野談話に基づく政府見解に反する論文を発表したとして田母神俊雄氏を航空幕僚長から更迭してしまうという党に成り下がった。その結果が野党への転落だ。

日本がアジアで行ったのは「侵略」ではなく「解放」だ

 歴史の真実を見定めるためには、「世界では常に情報謀略戦が行われ、資源と領土の分捕り合戦だ」との認識をしていなければならない。
 アメリカには西部開拓史と称して、ネイティブアメリカンをインディアンと呼んで人間扱いをせず、居住区を作って閉じ込め、権利を主張する部族はバッファロー同様に追い込んで虐殺したという歴史がある。しかし多数制作された西部劇映画は、インディアンに襲われている白人の乗る幌馬車を騎兵隊が救うパターンであり、世界中にインディアン=悪、騎兵隊=正義の味方という認識を刷り込んでいった。事実よりも自分達の正当性を訴えるプロパガンダが世間に広まったのだ。これも情報謀略戦の「成功例」と言っていいだろう。
 西へ西へと拡大し、さらに太平洋を手中に納めようと画策して一八九八年にハワイ王国を潰し、グアムを乗っ取り、一九〇二年にはスペインの植民地フィリピンを自国の植民地としたアメリカは、日露戦争で日露を疲弊させ、その漁夫の利を得ることをイギリス共々狙っていた。しかし、結果は日本が予想外の善戦で勝利して、この勢いで日本が太平洋に進出してくることを恐れたアメリカはすぐさま日本を仮想敵国とする『オレンジ計画』を策定し、それから四十年かけて日本を占領し、太平洋の覇権を確立、その後、それまでに周到に計画してきた占領政策を行った。それが今日に至っても日本に大きな影響を及ぼしている。
 日露戦争の時には、日本も情報謀略戦の重要性を認識していて、明石大佐がロシアの革命勢力を支援して、帝政ロシアの屋台骨を揺さぶり、後のロシア革命に繋がったことは良く知られている。またこの戦いで日本が勝利したことには大きな歴史的意義があった。有色人種の国の軍隊が、世界最強と思われていたロシア陸軍を破ったのである。これは戦う前から、敵うわけがないと諦めていた多くの有色人種国の人々やアメリカの黒人奴隷を奮い立たせ、植民地解放と人種平等への原動力となったのだ。歴史に「もし」は禁物だが、もし日本が日露戦争で負けていたら、今でも世界中で白人の植民地支配と人種差別が続いていたかもしれない。先の大戦で、米軍の他日本軍が東南アジアで戦った主な相手は、西欧列強の植民地軍であり、日本はそれらの国々を「侵略」したわけではなく、そこに元から住んでいる人々を「解放」し、独立国家への道を拓いたのである。

国益のためならば国家は自国民でも殺すし、嘘もつく

 ソ連崩壊によって、多くの機密文書にアクセスができるようになり、そこで明らかになってきたのが、かつては日本軍の犯行とされてきた一九二八年の張作霖の爆殺事件の真相だ。ソ連の崩壊による機密情報の流出により、今やこの爆殺事件はソ連の特務機関の犯行というのが常識となっている。その他の根拠としては、当時のイギリス陸軍諜報部の極東課がこの爆殺はソ連の犯行だという電報を本国に送っていたことだ。イギリス本国は日本の関東軍が犯行を認めているので再調査を指示、その後爆薬の分析の結果、それはソ連製で、やはりソ連の仕業だという再報告が行われている。この報告書は二〇〇七年に一般に公開されたものだ。このような諜報活動の記録をいつ公表するかどうかは、その国の方針による。
 イギリスがこのタイミングでなぜ公表したのか、中国国家主席江沢民の反日政策によって追い詰められていた日本が、このままでは中国に屈服することになるのでは、とイギリスが日本への支援として真実の情報を漏らしたというのが、私の見方だ。
 イランの核科学者が相次いで暗殺されており、これはイスラエルの特務機関・モサドの仕業だと言われている。一九八一年、イスラエルはイラクのフランス製原子炉を爆撃して破壊、また二〇〇七年にはシリアで北朝鮮の関与する原子炉も空爆して破壊した。しかし、イランの原子力関連施設は地下深くに造られていて、空爆での破壊は非常に難しい。だからイスラエルは、核科学者一人ひとりを暗殺していくことにしたのだろう。国家は国益のためには人殺しも厭わない。しかも他国が行ったように偽装するのが常套だ。最近の研究によると、張作霖爆殺事件の真犯人は息子の張学良だという説が有力だ。爆破された車両の写真などから、爆弾は車内に仕込まれて爆発したもので、車内に仕込むことが可能だったのは、張学良しかいないと思われる。ここで思い浮かぶのは、金王朝を維持するには核の保有が必要と、核開発を断念しようとした金日成を排除した金正日のことだ。張学良は事件前からコミンテルンに唆されていた隠れ共産主義者だったというのが最新の分析結果だ。

バーンズ国務長官は世界覇権を得る為無警告原爆投下をした

 原爆投下の背景もしっかりと掴んでおく必要があるだろう。先の世界大戦で一千四百五十万人と最も多くの戦死者を出したのは、ソ連だった。ナチス・ドイツにモスクワ近郊まで迫られていたソ連にとって、一番の関心事は日本軍がシベリアに侵攻してくるかどうかだった。スパイ「ゾルゲ」からの情報などで日本に対ソ参戦の意志がないと判断したソ連は、冬装備のシベリア部隊をドイツ戦線に投入し、兵力を集中、辛くも勝利を拾ったのだ。もし日本がシベリア侵攻を行う素振りでも見せていたら、モスクワはドイツに占領されていただろう。「敵の敵は味方」と、アメリカから膨大な軍事援助もあって窮地を脱したソ連は、ハンガリーやルーマニアに進軍し、ベルリンを占領し、ドイツは敗戦。この勢いであればアメリカが日本を打ち負かしてもその後ソ連は世界赤化の戦い(第三次世界大戦)を挑んできて、アジアも日本もいずれヨーロッパも赤化され数千万人の死傷者が出るのでは…という恐怖をアメリカは感じていたに違いない。
 一九四三年夏頃にルーズベルトから原爆開発を知らされ(本人の著書による)、原爆の威力を示せばソ連を扱いやすいものにできると考えた、南部出身の人種差別主義者でトルーマンよりも政治経験の豊富な国務長官ジェームズ・F・バーンズは、無警告の原爆投下に反対する陸軍長官スティムソン、海軍長官ジェームズ・フォレスタルら全ての最高幹部の反対を押し切り、大統領権限の移譲を受けるまで原爆開発を知らなかったトルーマンに、この世界赤化を押し留めるのは原爆投下しかないと強く働きかけ、実行した。戦争が終わってしまっては、原爆を投下することはできない。日本を降伏させないように、ポツダム宣言の条項に盛り込まれていた天皇容認事項を削除し、(天皇処刑の恐れから受諾できない)無条件降伏を突き付けて戦争を長引かせ、原爆投下の条件を作ったのだ。このバーンズの冷徹な決断は、原爆の被害者には申し訳ないが、第三次世界大戦を冷戦に変えた。
 核実験に合わせて遅らせて開いたポツダム会談中に核実験成功の報告を受けたトルーマンはスターリンにそのニュースを囁いたのだが、スターリンは聞こえなかった振りをしたという説もある。しかしスターリンにとって、これは世界赤化戦略が潰えた瞬間であり、相当なショックだったはずだ。
 実験も兼ね、アメリカはウラニウム型とプルトニウム型の二発の原爆を無警告で非武装の市民の上に投下した。一方、諦めきれないソ連は日ソ中立条約を一方的に破って満州を侵略し始め、瞬く間に席巻、樺太・北方領土を奪って占領した。もし原爆が投下されていなければ、ソ連軍はさらに北海道や本州に侵入、日本は朝鮮やドイツのような分断国家になっていたに違いない。
 一方、一九四三年五月時点で、開発に成功すればドイツではなく日本に使用すると決めていた原爆を予定通り日本に投下したアメリカも、戦後世界から非難されることを恐れて、懸命に投下の正当性を作り上げてきた。その一つが原爆だけが非道な兵器なのではないと、これまでの空襲では多くても一日に数千人程度の死者しか出していないのに、陸軍記念日の三月十日東京大空襲では焼夷弾で想定される原爆程度の被害を出すべく作戦を立て、一晩に十万人もの死者を出させた。また、全島地下要塞化して玉砕を覚悟して死守している硫黄島を敢えて占領する必要性は薄いのに上陸戦を敢行して、日本軍を上回る二万八千六百八十六人もの戦死傷者を出したのも、日本本土での決戦となれば百万人のアメリカ軍将兵が死傷するであろうという主張に根拠をつくるためだったと思われる。そして、百万人のアメリカ人兵士を守るために原爆が必要であったというのがアメリカの投下の根拠だ。アメリカはこのように、大きな国益のためには自国の将兵の犠牲をも払う国である。

検閲を禁止する憲法の下でも秘密裏に検閲、書き改めさせた

 真珠湾攻撃における二千三百三十八人の戦死者の半分を超える千百七十七人と最大の死者を出した戦艦アリゾナの撃沈は、空爆が弾薬庫にダメージを与えて大爆発したというが、堅牢に保護されている弾薬庫がそんな簡単に誘爆するとは考えられない。日本軍の攻撃に合わせて被害を拡大させ、復讐心を煽るために自ら爆発させたのではないだろうかと、私はアメリカが自ら爆発させてスペインの仕業と大騒ぎし、「リメンバー、メイン号」を合言葉にスペインと戦争を始める口実を作った戦艦メイン号事件の例が頭をよぎった。
 ロバート・スティネットの著作『真珠湾の真実―ルーズベルト欺瞞の日々』にも書かれている通り、アメリカは日本海軍の外交暗号を全て解読していて、真珠湾攻撃のことも宣戦布告文書のことも事前に知っていた。ヨーロッパの戦争には参戦しないという選挙公約で三選を果たしたルーズベルト大統領だったが、イギリスからの度々の救援要請に、参戦の機会を窺っていた。日本を暴発させれば、三国同盟によって自動的にドイツとの戦いにも参戦できると考えたのだ。しかもわざと日本軍の攻撃を真珠湾のハズバンド・エドワード・キンメル太平洋艦隊司令長官に知らせずに本国からの指示で空母だけを離脱させ、日本に先制攻撃を行わせ、「リメンバー、パールハーバー」のキャッチフレーズで国民の意志を報復戦争へと統一することにも成功した。
 非道な原爆を無警告投下しながらも、アメリカが良い国であり続けるために、アメリカは米軍占領の全期間を通じて、原爆投下の資料回収・調査・原爆災害研究・記録映画・報道などの禁止・没収・発行停止の指示を出したり、WGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)で先の大戦後に連合国軍最高司令官総司令部による日本占領管理政策として行われたという政治宣伝で、戦争についての罪悪感を日本人の心に植え付けるため、戦争を計画、推進したこれまでの日本の有力者十万人を公職から追放、占領政策に不都合な全ての書籍を没収、全ての新聞・ラジオ等を秘密裏に検閲し書き改めさせた、日教組を作りこれまでの日本の強みを奪う教育を実施、農地解放・財閥解体などで日本の国柄を変え、東京裁判開始一周年記念日に合わせて急拵えの憲法を公布した。言論の自由を謳い、検閲を禁止する条項を設けた憲法の下でも秘密裏に検閲は続いた。このようにして日本に贖罪意識を植え付けた。日本はアメリカの情報謀略戦によって真実を知らされず、中国や韓国からも事実でないことで責められ続けているが、これらの国々は真実よりも自国の国益を追求しているだけであり、世界の常識から見れば弱味をつくという当然の行為だ。しかし問題なのは、中国や韓国の国益のための主張に迎合して日本を悪く言う反日日本人が出てきていることだ。この分断工作の成功で、今の政治では真っ当な政策が実行できていない。このままではゆでがえるのように弱体化し、日本は中国の一自治区になってしまう。必要なのは戦略的に大きな視点から日本の将来を考えることができる政治家の登場だ。今の多くの政治家は当選することだけを考えていて、当選して何をするのかということがない。次の政権は、民主党単独は当然あり得ないが、自民党単独の可能性も薄い。連立政権になる確率が高い。その際は真正保守の考えを持つ政治家が中心となるべきであると思う。こういう政治家(優れたリーダー)を輩出すべく、昨年六月から勝兵塾の活動を始めたのだ。来年はおそらく衆参同時選挙となるだろう。これが日本にとって真っ当な国となる絶好のチャンスだ。
 メディアが統計学的確率計算と科学的根拠に基づき、ありうることか、ありえないことかを検証して報道しないと、今日のような体たらくな国家となってしまう。

7月26日午後9時46分校了