社会時評エッセイ

藤誠志 社会時評エッセイ230:国際政治の本質は富と資源の分捕り合戦

藤 誠志

民主党政権が続ける
国防・外交での失態

  九月十日の産経新聞朝刊の一面に、『宗谷海峡に露艦隊二〇隻連日の挑発行為』という記事が出ている。『防衛省は九日夜、ロシアの海軍艦艇四隻が北海道の北にある宗谷海峡を通過したと発表した。他に約二〇隻が宗谷海峡に向かい、一〇日未明までに一部が通過した。四隻がまとまって通過するのは異例であり、二〇隻以上の艦艇が宗谷海峡を通過すれば過去最大規模となる。八日に空軍の長距離爆撃機TU九五が日本を一周したのに続き、海軍も露骨な挑発行為に出たことは、ロシアが野田佳彦内閣の主権意識や外交姿勢を瀬踏みしている公算が大きい』という。ここに書かれている爆撃機の日本一周とは九日の産経新聞のネットニュースによると以下のようなものだ。『ロシア空軍の二機の長距離爆撃機TU九五は八日午前六時ごろ、対馬(長崎県)の東側から日本領空に接近してきた。九州西方、沖縄本島の南を経由し、太平洋に入り北上した。国後島付近で二機の空中給油機IL七八と合流、北海道北東部の訓練空域に入った。空中給油をした後、宗谷海峡を抜け、対馬東方まで南下し反転。再び国後島付近まで飛行後、午後八時ごろ帰投した』『ロシア国防省は八日、戦略爆撃機が警戒飛行を行い自衛隊と韓国空軍の戦闘機計一〇機の追尾を受けたと認めた。一方、プーチン首相は同日、南クリール諸島(北方領土)の開発促進のために年内に追加資金を拠出する方針を示し、北方領土の実効支配を進める意志を明確にした。安全保障と領土問題の両面から、発足間もない野田政権に揺さぶりをかける狙いがうかがえる』。
民主党政権が誕生して二年だが、最初に首相となった鳩山由紀夫氏は、「日本列島は日本人だけのものではない」、「日本海は友愛の海」、「日米中は正三角形の関係」などと言い、さらに沖縄の普天間基地の移設については「最低でも県外、できれば国外」という無責任な発言で大きな混乱を招いた。民主党政権の国防・外交に関する姿勢は、危惧していた通り、不安だらけのものでしかなかった。政権二人目の首相となった菅直人氏も昨年の九月、尖閣諸島において巡視船が中国漁船に衝突された事件で、中国人船長を逮捕・勾留したまでは良かったが、勾留延長によって中国の態度が急速に硬化してからの対応が無茶苦茶だった。中国は激しい抗議に加え、遺棄したと言われている旧日本軍の毒ガス兵器の処理事業のために中国を訪れていた株式会社フジタの四人の社員の身柄を、あらぬ疑いで拘束したのだ。そもそも旧日本軍の毒ガス兵器も、武装解除の一環として中国軍に引き渡されたもので、それが遺棄されているのは中国側の責任だ。本来であれば、莫大な費用を掛けて日本が処理をする筋合いはない。強硬姿勢を貫く中国は、他にもレアメタルの輸出を停止するなど、あらゆる手段を使って日本に揺さぶりをかけてきた。慌てた民主党政権はこれに屈し、日中関係云々などを述べる立場にない那覇地検に「わが国国民への影響や、今後の日中関係を考慮して…」という声明を出させるという姑息な手段で、結局処分保留という形で中国人船長を釈放。日本外交の弱腰ぶりが世界に向けて露呈した。その直後の昨年十一月にはロシアのメドベージェフ大統領が北方領土を大統領として初めて訪問し、日本固有の領土である北方領土を返還する意志が全くないことを内外に明らかにした。

 

周辺国はあの手この手で日本の対応力を測っている

 今年の三月十一日に発生したマグニチュード九という千年に一回の規模の東日本大震災に対して、二十三万人の自衛隊員のうちの十万人が即時に派遣され救援活動を行った。その最中の三月二十六日、東シナ海で、中国国旗と「中国海監」という文字が書かれたヘリコプターが海上自衛隊の護衛艦「いそゆき」に異常接近。最も近づいた時には、距離が約九十メートル、高度は約六十メートルしか離れていなかったいう。こんなことはこれまで一度も起こっていなかった。震災の対応に追われる緊急時の自衛隊の対処能力を調べるために行ったことだろう。
八月に自民党の「領土に関する特命委員会」メンバーの新藤義孝、稲田朋美の両衆議院議員と佐藤正久参議院議員が竹島に近く、竹島関連の資料が展示されている「独島博物館」がある鬱陵島(ウルルンド)を訪問する計画を立て、ソウルの金浦空港に降り立ったが、韓国側から入国拒否をされた。八月四日付の夕刊フジのニュースサイトzakzakの記事では『一日午前の空港到着後、韓国側に連れて行かれたのは、通常の通関ではなく、ドアが二重になっている別室。身辺警護のため、トイレにも日本大使館の職員が同行するなど、ピリピリした緊張感が漂っていた』『そして、同日午後四時、韓国側は看守が監視する窓のない部屋への移送を通告してきた。日本の留置場のような部屋で、韓国側は日本の国会議員を犯罪者扱いしようとしたのだ』『それ以前に移送は計画されていたようで、稲田氏は「日本大使館員が気を利かせて、午後一時半ごろ『昼食は何にしますか?』と聞いてくれた。私は冷麺を頼んだが、食事が届いたのは二時間以上たってから。韓国側は(留置場のような)別の部屋に食事を運んでいたらしい」と明かす』と報じられている。そもそも竹島は、李承晩大統領が一方的に設定した李承晩ラインを根拠に韓国が自国の領土だと主張し始めた島だ。主張直後に実効支配をスタートし、さらに近年島の施設を拡大させている。九月一日発行の一水会の月刊レコンキスタによると、『すでに建設済みのヘリポートや防波堤に加え、三月以降新たに完成した韓国警察庁の建物や、約四十人が宿泊できる島民宿舎、観光客向けの遊歩道、さらに四月には「独島総合海洋科学基地」なる施設の建設プロジェクトを発表。そしてついには八月、韓国の与党ハンナラ党の議員が、竹島への海兵隊駐留を要求するまでに至っている』『最近はさすがに日本のテレビでも報じられるようになったが(それでも極めて少ないが)、鬱陵島にある「独島博物館」(日本統治からの解放五十年を記念し平成七年、サムスン文化財団が建設)の敷地内には、竹島だけではなく、何と「対馬は元わが国の地」という碑文まであるという』。このように日本人を拉致した北朝鮮はもとより、中国もロシアも韓国も、民主党政権になってから日本の国境で様々な問題を起こし、日本の対応を窺っている。このような状況の中での野田新首相の誕生だったのだが、いささか心許ない。九月三日付けのMSN産経ニュースでは『石破氏「一川防衛相任命、首相は自衛官の息子らしくない」』というタイトルで以下のように報じている。『自民党の石破茂政調会長は三日午前、読売テレビ番組で、一川保夫防衛相が二日の大臣就任前に「安全保障は素人だが、これが本当のシビリアンコントロール(文民統制)だ」と発言したことについて「明らかに間違いだ。国民から選ばれた、国民に対して責任が持てる政治家が、実力組織を統制するのがシビリアンコントロールだ」と述べて重ねて批判した』『石破氏は「何も知らない人に組織を統制されたら、いったい何がどうなるんだ。本質中の本質だ。それを間違えて言うような方を、今の安全保障環境が大変なときに、防衛相に起用したというのは、自衛官の息子である首相らしくない」と述べた』。まさに石破氏が言うのが正論だ。財務大臣や金融大臣には経済に明るい人材をと誰もが願うのに、防衛大臣は素人でもいいという言葉がまかり通るのは、日本の劣化を顕著に表していることではないだろうか。

偏向するメディアはまさに「日本人の敵」だ

 今の日本は国内の考えが一枚岩ではなく、日本人の敵は日本人と言ってもよい状況だ。中でもメディアの偏向は非常に大きな問題だ。二〇〇九年にNHKが放送したNHKスペシャル・シリーズ「JAPANデビュー」の第一回「アジアの″一等国〟」において、内容があまりにも事実と食い違っており、出演している台湾人の証言もかなりねじ曲げて編集しているとして、一次提訴、二次提訴を合わせて約一万人の人々がNHKを訴える集団訴訟になっている。今年大きな問題となったのは、フジテレビの韓国への偏向だろう。「頑張れ日本!全国行動委員会」の会長である田母神俊雄氏のブログを引用してみる。『私は、頑張れ日本!全国行動委員会の会長をしている。平成二三年八月二一日、頑張れ日本全国行動委員会は、最近のフジテレビの放送が韓国寄りになり過ぎていることについて、フジテレビに対し抗議行動を行った。台場のフジテレビ周辺を日の丸を持ってデモ行進し、最後に抗議文をフジテレビに手渡しする予定であった。デモ、集会には約四〇〇〇人もの人たちが参加してくれた。また、ネットの中継では全国一三万人のユーザーがこれを見ていた。多くの日本国民が、フジテレビの韓国寄りの放送に危機感を抱いているのが分かる』『国際政治の本質は富と資源の分捕り合戦であると思う。第二次大戦までの世界では軍事力を直接使って富や資源の分捕りに行った。しかし、いまは軍事力が直接使われることはほとんど無くなった。その代わりに、ウソ、デマ、捏造の情報を流して、富や資源を合法的に分捕ろうとする動きが日常的に行われている。現代は情報戦争の時代なのである。マスコミは情報戦争の時代にあって大きな役割を担っており、その社会的責任を果たしてもらわなくては困る。そういった中でフジテレビの韓国寄り放送は、韓国の情報戦略に協力し、日本を不利な立場に追い込むものである。公共の電波を使って国民を裏切るような放送を行うことは我が国の国益を害するものである。そういう思いで我々は集会、デモを実施したが、これほど多くの人たちが集まってくれるとは思っていなかった』。田母神氏の言うように、情報謀略戦は世界中で日常茶飯事に行われている。にもかかわらず、昔も今も日本では国益に沿わないことが平気でまかり通っている。教育は間違ったことを教え、メディアも間違った報道を行い、それを真に受けた国民が日本をこんな体たらくな国にしてしまったのだ。

侵略国家だったのは日本ではなくアメリカだ

 どの国も自国の国益に沿って行動するのは当然のことだ。自国の領土を主張するためには大統領が訪問するし、自国に都合の良いことだけを展示した博物館も作るだろう。自国の領海での操業を邪魔されたと船を巡視船にぶつけてくる国もあるだろう。それらのことに対して、本来国益に沿ってしっかりと自らの主張を行い、毅然とした対応をとることが求められている日本政府が弱腰であり、政府をサポートするべきメディアがどこの国のメディアだかわからないくらい偏向しているのが今の日本なのである。
日本の混乱の原因は、「悪い国日本に原爆を落として、いい国にした」と日本人に教え込んだ戦後のアメリカの統治政策だ。これに洗脳され、多くの日本人が日本は侵略国家だったと信じ込まされている。しかしこのような政策を行ったアメリカこそが侵略国家なのだ。この七月に清水馨八郎先生の「大東亜戦争の正体 それはアメリカの侵略戦争だった」が祥伝社黄金文庫から発刊された。これを読めば、真実は今多くの人々が信じていることとはまったく正反対であることに気がつくだろう。民主党政権は発足から二年でここまで国益を失った。さらに二年続くかと思うと、暗澹たる思いにならざるを得ない。一日でも早く真正保守の考えを持った政党が政権を獲得し、日本の再興を実現するために、私はこの六月から勝兵塾という私塾を始めた。駐日の外国大使五名、国会議員十一名をはじめ、弁護士から大学教授まで多くの人々が、講師・特待生または一般塾生として入塾している。五年以内にこの塾から首相を輩出することを目標に、月例会を毎月第三木曜日の十九時からアパホテル〈東京潮見駅前〉で行い、研鑽を積んでいる。今本当の歴史を知り、国内外で行われている事態に対応していかないと、子や孫の時代には日本は中華勢力圏に組み込まれてしまうだろう。
この先、世界経済の危機が叫ばれている今、このままでは年々衰退する米国、軍事力の増強を続ける中国、再び大統領となり軍事大国化を目指すプーチン帝国ロシア、核戦力を保有した北朝鮮と、核保有国に囲まれた日本の現状を深く分析し、本来の誇れる国、日本の再興を目指して、国民が一致協力していかなければいけない。
10月1日 午前3時30分校了