社会時評エッセイ

改憲で戦後レジーム
からの脱却を
Vol.321[2019年6月号]

藤 誠志

参議院選挙の前に
改憲の発議を行うべき

 安倍首相の第一次内閣、第二次内閣の通算での在職日数は、今年の八月二十四日で二、七九九日となり、大叔父である佐藤栄作の二、七九八日を抜いて歴代で二位となる。このままでいけば、十一月二十日には桂太郎の二、八八六日を抜き、歴代第一位となる。自民党の総裁任期の三期九年をフルに全うするとなれば、理屈の上では三、二八五日の在任となる。
 今、世界のリーダーは長期政権が多い。中国の習近平主席はこれまでの慣例である、二期十年の主席の任期を撤廃、「習近平帝国化」が進んできている。ロシアのプーチン大統領は二〇〇〇年に大統領となり、二期八年を務めた後、一期のみ腹心の部下であるメドベージェフに大統領を譲って自らは首相となった。二〇一二年に、任期が六年に伸びた大統領選に再び当選、二〇一八年の選挙にも勝ち、二〇二四年まで大統領を続ける予定であり、その在任期間は実質二十四年になる。
 アメリカのトランプ大統領も二〇二〇年の選挙で再選を勝ち取れば、二〇二四年までの任期となる。先月私が対談したアメリカ大統領首席戦略官兼上級顧問だったスティーブ・バノン氏は、今の厳しい状況を乗り切れば、再選は間違いないと言っていた。その後、三月二十四日に明らかにされた、ロシア介入疑惑を捜査したモラー特別検察官の報告では、ロシアとの共謀も司法妨害も明確に認めることができず、これを受けてトランプ大統領は「私は潔白だ」と勝利宣言を出した。私は必ずトランプ大統領は再選を果たし、二〇二四年まで今の座を保持すると考えている。
 安倍首相が自民党党則通りの三期九年の任期を務めるとなると、残りは二年数カ月となる。その期間で何を行うかが非常に重要だ。安倍首相は第一次政権時から憲法改正を掲げ、二〇一七年五月三日には、憲法第九条に自衛隊を明記する改憲案を提案した。一時は盛り上がった改憲議論だが、マスメディアの無視戦略によりその後尻すぼみとなり、最近ではマスメディアが憲法改正を報じることもなくなった。自民党の中からも時期尚早と言い出す議員が現れ、安倍首相も改憲議論を封印しているように見える。しかし、今が正に改憲のラストチャンスだ。今年の参議院選挙は七月二十一日の投開票が有力だと言われているが、私は早急に自民党改憲案をまとめ、この参議院選挙を衆参同日選挙とすべきだと考えている。
 まず、六月二十六日に会期末を迎える通常国会を、改選期の参議院議員の任期ぎりぎりである七月二十八日まで大幅に延長する。そうすれば、八月二十五日まで参議院選挙を先送りすることができる。そして衆参ともに改憲勢力が三分の二を占める今の国会で、改憲の発議を行う。その上で七月下旬に衆議院を解散して八月十三日に公示すれば、八月二十五日に衆参同日選挙を行うことができる。
 この選挙で、自民党は公認選びに際して小泉政権の郵政民営化選挙と同様、各議員に自民党改憲案を支持するかしないかを問い、支持しない議員は、その他の点では公認とすべき候補であっても公認とはせず、刺客を立てるというスタンスで臨むべきだ。そうして改憲発議の後、万が一選挙の結果、自民党改憲案を支持する議員が三分の二を割ったとしても、その前に行った発議は有効である。同日選挙の後、十月に予定している消費税の増税を延期すべきとの意見もあるが、三度の延期では安倍政権の信頼が揺らぐ。消費税対策補助金を惜しみなく使ってでも、景気の落ち込みを抑えて、断行しなければならない。
 七月下旬の発議から半年以内の、一月下旬に行われるであろう憲法改正の国民投票に向けて一大国民運動を起こし、過半数以上の支持を得て、改憲を実現させなければならない。このタイミングで改憲を行わないと、この後には改憲のチャンスは二度とない。
 これは日本が「中国日本自治区となるか? それとも真の独立国家となるか?」の大きな岐路である。

史上最悪レベルの日韓関係
韓国は正気を取り戻せ

 韓国の反日姿勢が近年顕著だ。一九六五年の日韓請求権協定で解決済みの、徴用工への賠償を命じる判決が韓国大法院で出され、二〇一五年に「最終的かつ不可逆的」として、日韓で合意した慰安婦問題に関しても、韓国政府はちゃぶ台返しのような主張を続けている。また昨年十二月二十日には韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊の哨戒機に対して、火器管制レーダーを照射するという事件も起きた。韓国の文喜相国会議長は、慰安婦問題に触れ「一言でいい。首相もしくは近く退位する天皇が、元慰安婦のおばあさんの手を握り謝罪の言葉を伝えれば(問題は)すっきり解決する」とか、「天皇陛下は、戦争犯罪の主犯の息子ではないか」といった暴言を繰り返している。
 米朝首脳会談の仲介役だった韓国だが、二月の会談が不調に終わったことと、北朝鮮重視の姿勢がアメリカの不評を買っていることで、存在感が低下している。こんな中、四月十〜十一日に韓国の文在寅大統領はアメリカを訪問し、トランプ大統領と会談を行ったが、北への制裁解除の熱望も「成果ゼロ」の冷淡な扱いで、会談時間もわずか二分と、通訳の時間を入れればゼロに近かった。
 文大統領はアメリカからはもちろん、北朝鮮や中国からも信頼を急速に失っている。四月五日に韓国ギャラップが発表した文大統領の支持率は四一%と過去最低を記録、韓国国内からも見放されつつある。韓国の大統領の任期は一期五年だ。過去のほとんどの大統領は、暗殺されたり、任期終了後に投獄されたり自殺したりと、まともな晩年を送っていない。文大統領も任期終了後に逮捕という憂き目に遭うであろう。
 国会議長の不遜な発言の背景には、韓国の間違った教育がある。彼らは「植民地」と主張するが、併合は韓国の内閣の承認の下、李完用首相と日本側が合意してなされたものだ。併合後、日本が朝鮮半島に多大なインフラ投資を行い、道路や鉄道、ダムを建設。教育にも力を入れ、小学校は併合直前の百校程度がその三十年後には四千校超まで増加した。しかし韓国は併合時代のことは全て否定して、日本批判を繰り返す。
 また戦後の一九五二年、韓国初代大統領の李承晩は、サンフランシスコ平和条約が発効されることを見越して李承晩ラインを勝手に設定、アメリカが韓国政府に対して「李承晩ラインを認めることはできない」と通告したが、これを無視して日本固有の領土である竹島を同ライン内に取り込んで、武力で不法占拠を開始した。日韓漁業対策運動史によると、李承晩ラインを侵犯したと日本漁船三二八隻を拿捕し、船員三、九二九人を抑留、そのうち四十四人が死傷させられ、今日に至っている。四月五日付の夕刊フジに「『竹島は日本の領土』決定的証拠! 領土議連が韓国議員に突き付ける」という見出しの記事が出ている。
「超党派の『日本の領土を守るため行動する議員連盟』(領土議連)は近く、昨年、島根県・竹島に不法上陸した韓国の国会議員計二一人に対し、竹島が日本領であることを示す文書や資料を送付する。国際社会も認める決定的証拠を突き付け、隣国の不法占拠を明らかにする」「彼らは一体どういう根拠を持って、日本固有の領土である竹島を占拠し、上陸するのか。歴史事実と国際法に照らし、彼らの主張が妥当でないことを示す資料を送付する」領土議連の新藤義孝会長(元総務相、自民党)は、「日韓関係は、韓国国会議長が『天皇陛下の謝罪要求』を突き付けたり、韓国駆逐艦が海上自衛隊機に火器管制用レーダーを照射するなど、常軌を逸した対応が続き、『史上最悪レベル』に落ち込んでいる」「こうしたなか、領土議連は『韓国側の竹島に関する主張』を想定して、歴史的事実や国際法に則した『日本側の主張と証拠』を、昨年上陸した韓国国会議員二一人に送付する。」「『反日』的な言動で知られる徐敬徳誠信女子大教授にも、同じ資料を送るという。新藤氏は『韓国は、領土問題を歴史問題にすり替えようとしている。それに惑わされる韓国国民は不幸だ。そもそも、国家間の約束を根底から覆し、情緒を押し通す国は国家としての体をなしていない。韓国は一刻も早く正気を取り戻すべきだ』と語っている」という。
 これまでも私は、世界のどこであろうとも、日本に関して間違った報道や言動があれば、二十四時間以内に英語とその国の言語で反論するべきだと主張してきた。そのために三千人の職員を擁する、予算三千億円規模の情報省を外務省とは別に設置し、世界中の報道や言動をウォッチする。肝心なのは即座に反論することだ。放置する状態が続くと、世界中の人が嘘を本当だと信じ込んでしまう。そういう意味で、今回の領土議連の行動は高く評価できると思う。

アパホテルの協力で
改憲シンポジウムを開催に

 同じく四月五日付の夕刊フジには、三月二十日に開催された「日本国憲法のあり方を考えるシンポジウム二」の詳報が一面全面に掲載されている。このシンポジウムは夕刊フジが企画、アパホテルの協力によって行われたものだ。まず第一部の基調講演では、ジャーナリストの櫻井よしこ氏が以下のような主張を行った。「世界は今地殻変動のような変化を見せている。火種はアメリカであり、トランプ大統領もその前のオバマ大統領も、アメリカの軍事力は自国の国益のためにあって、他国は自力で自国を守って欲しいと考えている。しかし日本は憲法第九条第二項で、世界で唯一交戦権を否定していて、国家は国民のために戦わないと定めている国だ。しかし中国は国土の六割をチベットやウイグルなどから奪っていて、土地以外にも知的財産、技術など何もかも奪おうとする。そして日本が一番狙われやすい。自力で国を守るために、一日も早く憲法を改正して自衛隊を国軍にするべき。また立派な日本人になろうという教育も求められている」という内容であった。
 第二部では、さらに米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏とジャーナリストの有本香氏が加わり、白熱した議論が展開された。ギルバート氏は、「アメリカが日本を守ってくれるとしたら、それは彼らの国益になるから。日本の存続を他国の国益次第ということで本当にいいのか」と疑問を呈した。また有本氏は「北朝鮮の拉致問題、竹島の不法占拠などがあり、戦後日本が平和であったというのは全くの嘘。『刀伊の入寇』(寛仁三年(一〇一九年)に、女真族(満洲民族)の一派とみられる集団を主体にした海賊が壱岐・対馬を襲い、更に筑前に侵攻し、千数百人を拉致し、四百数十人を殺した事件)から千年、先人と同じ轍を踏まないために頑張らなければならない」と主張した。安倍首相もこのシンポジウムにビデオメッセージを寄せ、「憲法にしっかり『自衛隊』と明記し、違憲論争に終止符を打つ」「国の未来像について、真正面から議論を行うべきときに来ている」「国民の代表である私たち国会議員が活発な議論を行い、この国のあるべき姿を提示していく責任がある」と語った。

独立自衛のためには
二回の改憲が必要

 シンポジウムの最後には、「アジアの平和と安全を守るには日米同盟だけでは不十分だ。日本は憲法を改正し、『自分の国は自分で守る』態勢を整えるべきだ」という私のメッセージが紹介された。私はトランプ大統領と安倍首相が、共に在任している間に改憲するべきだと考えているが、今、安倍首相が提案している自衛隊の存在を憲法に明記したり、非常事態対処に関する事を加憲するなどでは、独立自衛の国となるためには不十分だと思う。やはり第九条第二項の削除は絶対に必要であり、改憲は二回行わなければならない。先に私が提示したスケジュールで自衛隊を明記するという改憲が実現できたとしても、それはこれまでの政府解釈の明文化に過ぎない。しかし二回目の改憲で第九条第二項を削除するなど、真の独立国家にふさわしい憲法とする改憲案に対する国民投票で過半数の支持を得るには、少なくとも今後三、四年は掛かるだろう。現在の安倍首相の二〇二一年までの任期ではとても足りない。再び自民党党則を改正し総裁任期を四期までとし、安倍首相に二〇二四年までの任期を与えるべきではないだろうか。それでも在任期間はたかだか十二年だ。昨年大統領に再選されたロシアのプーチン氏は二〇二四年までの在任期間となる予定だし、民主的な政権としては、二〇〇五年に就任、二〇二一年まで続けるとしているドイツのメルケル首相の十六年と比べても、まだまだ短い。安倍首相以前の、毎年首相が変わるという年替わりの事態は、世界の標準から見ると異常だったのだ。安倍首相は二〇二四年までを戦後レジームからの脱却の仕上げと、占領下に作られた日本国憲法を独立自衛の国家に相応しいものとする時間に充てるべきだろう。
 このままではいずれは膨張する中国に飲み込まれ、「中国日本自治区」となってしまう。「闘う男」安倍首相は強い気持ちを持って奮起し、改憲に向かっていって欲しい。そのためには自民党内に反改憲議員をいなくすることだ。衆参同時選挙をちらつかせ、公認の権限をフルに活用して党内を一つにまとめ、まずは一回目の改憲の発議を何としても実現する。そして多くの国民に憲法の真実を知ってもらう情報パンフレットを数千万部配布するとともに、都道府県市町村の首長や議員を総動員して一大国民運動を起こして、国民投票で過半数の改憲支持を勝ち取らねばならない。
 今が日本存続のための、正に未来への分岐点なのだ。

2019年4月19日(金) 18時00分校了