社会時評エッセイ

憲法改正実現への道
Vol.318[2019年3月号]

藤 誠志

米国経済の好況ぶりを
ラスベガスで見る

 今年も、恒例となったラスベガス・ベラージオでの「2019 NEW YEAR CEREBRATION」(ニューイヤーパーティー)に招待され出席してきた。今年のテーマは「GOLD」とあり、これまで六年くらい連続で出席した、ベラージオでのニューイヤーパーティーの中でも一番盛り上がっていて素晴らしく、また、ラスベガスの街の賑わいも凄く、アメリカの景気の良さを感じた。
 ラスベガスではこの他に、MGMグランドでKA by Cirque du Soleilのショーを、シーザースパレスで三度目となる、以前よりもバージョンアップしたCELINE DIONのショーを、そしてベラージオでもこれまた三度目となる、以前よりも進化したオーのショーをワイン付きのVIPルームで鑑賞し、その足で少し遅れてNEW YEAR CELEBRATIONの会場へと急いだ。そこでベトナム戦争で撃墜された経験もある、八十七歳の熱烈なエッセイファンで、毎年同じテーブルで会う、退役アメリカ空軍将軍と再会した。
 今回は出発前に、この将軍から、アップルタウン十二月号(No・340)を二冊是非持ってきてほしいとメールが来ていたので持参すると、その号の私のペンネーム藤誠志エッセイ英訳版のコピーを持ってきていて、「これこれ」と私が持っていったアップルタウンを指差して、そこに「トランプ大統領へ」と書き込み、これをトランプ氏に渡し、「素晴らしいエッセイなので政策の参考にしてください。」と伝えたいという事であった。

アメリカは
経済的に豊かになれば中国は
いずれ民主化するだろうと
考えていた

 私が十二月号に書いたエッセイのタイトルは「中国バブル崩壊に日本も備えるべき」で、その最初の中タイトルを、「米中貿易戦争で危機を迎える中国経済」として、以下のように記載した。日本経済新聞朝刊に、「中国、株急落警戒で先手」「預金準備率下げ 人民元には下落圧力」という見出しで、「中国が二〇一八年に入って三回目の金融緩和に動いた。習近平指導部が米国との貿易戦争による打撃で景気の先行きに危機感を抱いていることを裏付けた。」という、中国に優しい日経らしい記事が出ていたが、実態はもっと過酷だ。雑誌『選択』の十月号の「『バブルと崩壊』日本の二の舞いに」「中国経済は『失われた二十年』へ」という記事には、「日本がたどった『失われた二十年』とよく似た苦境に見舞われることは確かだ」としている。そんな中、発生した十月十日の米国発の株価暴落は、米国と中国とのいがみ合いが貿易問題を超えてお互いの体制にまで及んできたことと、ここのところの米国の長期金利の上昇に因るものであり、株価暴落は日本にも、アジアにも世界にも広がり、その後も株価は乱高下を繰り返しながら下落しているが、基本的には中国株価の下落と日米の株価の下落は違っていて、日米の株価は近いうちに安定して再び上昇に転ずるであろう。
 次のタイトルは「今回の米中の貿易摩擦の争点は米国労働者の賃金抑制と失業率上昇の阻止である」となっている。翻ってみると、中国経済がここまで急激に発展してきたのは、冷戦真っ只中で中ソ対立も厳しかった一九七一年、アメリカがベトナム戦争からの名誉ある撤退のために中国に急接近し、米中共同声明などで事実上の国交回復を行ったことにある。そして一九七九年、正式に米中は国交正常化を行った。アメリカは、経済的に豊かになれば中国はいずれ民主化するだろうと考えていた。「革命を輸出しない」「台湾を侵略しない」「侵略戦争をしない」という三条件を飲ませることで、アメリカは中国を自由貿易の相手国として認め、この流れは他の西側諸国にも広がった。その結果、中国の低賃金の労働者が作る低価格の商品は瞬く間に世界中に広がり、中国は世界の工場となった。特に消費大国・アメリカは中国にとって一番のマーケットになった。
 グローバル経済は、資本を持つ企業経営者にとっては富を増やす千載一遇のチャンスだが、労働者にとっては賃金を抑制し、失業を生み出すものに他ならない。アメリカの対中貿易赤字が拡大するに伴って、アメリカの労働者の失業率も上昇した。

米中冷戦によって
中国経済のバブルが崩壊する

 二〇一六年のアメリカ大統領選挙でトランプ氏が自国第一主義と貿易赤字の解消を主張したのは、この失業に晒された人々の支持を得るためだ。そして大統領となったトランプ氏は公約を実行して貿易赤字を減少させるために、中国がアメリカで開発された技術やノウハウを盗んだり、勝手に使ったりしていると糾弾し、その制裁として、中国からの輸入品に高額の関税を掛けることを実行に移したのだ。これまでの貿易摩擦は扱われる輸出入品の金額や量が問題となっていたが、今回の米中貿易戦争のテーマはそれらとは異なり、もっと根本的なものだ。
 アメリカが中国に厳しく当たっている、こんな絶好のチャンスに日本はのこのこと中国に出掛けて行くのではなく、日本の固有の領土である尖閣諸島にちょっかいを出すのはやめろと主張すべきである。
 次のタイトルでは、「債務超過に怯えて中国から離反するアジア」とした。中国は建国から百年となる二〇四九年までに、あらゆる面でアメリカを超える超大国となり、世界覇権を握ることを目指す「百年マラソン」戦略を行っていることを指摘した。二〇一三年に国家主席に就任した習近平はこの方針を強化、そのために中国は国家主席の任期を撤廃、習近平独裁・共産党一党独裁体制を強め、一帯一路政策で中国を中心としたネットワークの構築を図っている。その一環として、中国は製造業による過剰な生産財の輸出で集めた資金を、アジア各国の鉄道などインフラ整備に巨額融資を提供してきた。しかし中国の融資に頼り切るインフラ投資で、債務超過になることへの恐れが、急速にアジア各国に広まっている。この流れの中で、パキスタンやマレーシアがインフラプロジェクトの縮小や中止を決定。九月に行われたモルディブの選挙では、親中の現大統領が中国の脅威を恐れる国民により落選させられ、新政権は中国が関わる全てのプロジェクトを見直すとしている。また中国が主導して二〇一六年に発足した、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への資金も、中国銀行の信用力不足から十分には集まっていない。

中国がアメリカの
知的財産権を侵害している

 そんな状況の下、トランプ大統領は、中国がアメリカの知的財産権を侵害しているという理由で、追加関税措置を発動して、七月、八月に約千百品目、五百億ドルの中国からの輸入品に二五%の関税を掛ける措置を行っている。アメリカは今年から本腰を入れて中国を潰そうとしている。米中間の争いは貿易戦争ではなく、新米中冷戦となってきたと言えるだろう。
 次のタイトル「北朝鮮を潜在核保有国とするな」の中で、この米中貿易戦争、米中冷戦によって中国経済のバブルが崩壊すると書いている。この影響は中国のみならず、日本をはじめとした東アジア諸国全域に広がるだろう。また今後、北朝鮮は潜在核保有国として韓国を併合して、核を保有した朝鮮連邦が誕生する可能性がある。この経済的危機やバランス・オブ・パワーの崩壊による危機をいかに乗り切るか、日本も今から様々な対策を行う必要がある。まず考えるべきは防衛力強化のための憲法改正だ。

「台湾同胞に告ぐ書」
四十周年記念

 遠藤誉東京福祉大学国際交流センター長は、ネットで以下のように書いている。「一月二日、習近平は『台湾同胞に告ぐ書』発表四十周年記念で講話し、二〇二〇年の台湾総統選に向けて『一国二制度』による平和統一を選択しない限り、武力統一もあり得ると脅した。一九七九年一月一日、トウ小平は『台湾同胞に告ぐ書』を発表した。その日は米中国交正常化が正式に成立した日でもあり、また前年には日中平和友好条約が締結されてもいる。だから中華人民共和国(大陸側)は、それまで『中国』を代表していた中華民国(台湾)は国連において存在しないとして、『台湾同胞』に呼びかける絶対的に有利な立場に立つに至ったのである。
 そのことを可能にしたのは大統領再選を狙った当時のニクソン大統領であり、その先兵を務めたキッシンジャー元国務長官である。一九七一年に忍者外交によって訪中してお膳立てをした。アメリカが、そしてキッシンジャーが音頭を取って『台湾を見捨て、中華人民共和国を国連に加盟させ、結果的に中華民国を国連から追い出し』、新たな国際情勢を創り出したのである。その情勢に乗って発表したのが『台湾同胞に告ぐ書』である。」と指摘した。

米中デジタル冷戦

 遠ビジネスインサイダージャパンによる「日本は米国忖度だけでいいのか――ファーウェイ排除の根拠は?」では、「『日本政府が来年(二〇一九年)三月、華為(ファーウェイ)を本当に5Gから排除するかどうか見守っています。実際に排除しそれに中国が報復したら大変なことになる』ファーウェイCFOがカナダで逮捕(保釈中)された直後、旧知の中国外交消息筋はこう言った。穏やかな口調とは逆に、『報復』に妙なリアリティを感じた。」「『米中貿易戦』は、トランプ政権がファーウェイなど中国製品排除を同盟国に求めたことで、『デジタル冷戦』の新次元に足を踏み入れた。まるで米ソ冷戦時代の『対共産圏輸出統制委員会(ココム)』の再来を思わせる。ココムで西側は共産主義陣営への軍事技術や戦略物資を禁輸し、世界経済を東西に二分した。冷戦が終わり経済面で『地球は一つ』になったはずだが、逆行するのだろうか。デジタル技術・製品を軸に世界が米中二ブロックに分かれて争う時代、日本は将来をかけた岐路で選択を迫られる。」「日本政府は、第五世代(5G)移動通信システムの周波数割り当て審査基準に、『情報漏えい』など安全保障上のリスクを盛り込み、ファーウェイと中興通訊(ZTE)の中国大手二社を事実上排除する方針だ。ソフトバンクなど携帯各社もこれをすんなり受け入れ、二社の製品を採用しない方針を決めたと伝えられる。」と指摘している。

このままでは
憲法改正は絶望的だ

 憲法改正について、メディアが挙って無視戦略をとり話題としない現下の情勢の下、四月に統一地方選挙があり、知事選挙・道府県議会議員選挙・政令指定都市の市長と議員の選挙が四月七日、それ以外の市区町村の首長と議員の選挙は四月二十一日に行われることとなっており、その後参議院議員選挙が恐らく七月二十一日に行われると思うが、地方選挙の後のこのタイミングでの選挙は、与党にとっては非常に厳しいと予想され、参議院議員選挙において憲法改正支持議員で三分の二を確保することは難しくなり、憲法改正は絶望的になると思われる。唯一憲法改正を実現する方法は、衆議院を解散し、衆参ダブル選挙に持ち込むことで、六月二十一~二十六日の間で解散するべきである。
 この解散で衆参ダブル選挙となることを最も嫌うのは野党議員であり、公明党議員である。自ら主張してきた、加憲による憲法改正(案)、自衛隊を憲法に明記することについてでさえも、その公明党や一部自民党議員と共に憲法調査会等で色々と難癖を付けて引き延ばし、改憲の発議ができないようにしている。そこで衆議院を解散して、衆参ダブル選挙を実施し、自民党議員には憲法改正発議に賛成か反対かを問い、賛成しない人は公認しないし、刺客を立てるといった小泉郵政改革選挙の時のように臨み、公明党には衆参共に結束して憲法改正の発議に賛成するのであれば衆議院解散は取りやめにすると言えば良い。
 そして、衆参共に憲法改正の発議の支持議員を三分の二確保した後、憲法改正の発議を国会で議決して、今度はこの七月二十一日の参議院選挙に合わせて、憲法改正の国民投票と参議院のダブル選挙に打って出る。そうすればたとえ参議院選挙において三分の二の改憲議員が確保されなくても、国民投票で過半数を得られれば第一回目の憲法改正が実現できる。
 しかしこの国民投票で改憲支持票を過半数維持するのは大変難しい。憲法改正を支持する国会議員のみならず、都道府県知事、市区町村長、市区町村議会議員など、日本が「中国日本自治区」になることを阻止したい、多くの保守の人たちと共に一大国民運動を起こし、国民投票で過半数を取れるように頑張らなければならない。これが実現できなければ安倍総理は即退陣、日本は近い将来、中国日本自治区になり下がるであろう。

2019年1月10日(木) 18時00分校了