社会時評エッセイ

先端科学技術兵器の開発力が日本を守る

藤 誠志

兵器の効率の優劣が歴史を左右してきた

  二〇一六年一月六日に北朝鮮は三年ぶり四回目の核実験を行った。彼らの発表によれば、今回のものは水爆だと言う。一月八日の金正恩の誕生日に向けての国内向けの祝砲のつもりだったのだろうか。一月九日付けのAFP通信のニュースによると、北朝鮮はイラクのサダム・フセインとリビアのカダフィ大佐が無残な死を遂げたことを指摘して、「核兵器に対する野望を捨てた国に何が起こるかを示している」と核実験を正当化した。金正恩がひたすら核兵器に拘るのは、自らの体制維持のためだ。
 一九九四年六月、アメリカのクリントン大統領の特使としてカーター元大統領が北朝鮮に派遣され、金日成主席と会談を行い、核兵器開発の凍結で合意に至った。しかし息子の金正日は、核開発を放棄すれば金王朝は持たないと考え、父親を「排除」して、中国の再三の圧力を跳ね除けながらこの合意を踏み躙り核開発を続けた。
 国家主席は退いたものの、鄧小平のように軍事委主席の座を維持したい江沢民は、北に核開発を断念させ親中傀儡政権を樹立する功績を上げることで、自らの権力を維持しようと画策し、金正日の排除を計画したものと思われる。竜泉駅の爆発は一列車全てを吹き飛ばす規模で、TNT(軍事用高性能爆薬)八百トンにも及ぶ小型原爆並みの大量の爆発物を龍泉駅の本線に沿っている支線の下に地下トンネルのための土嚢と見せかけて仕掛け、爆発させたと考えられる。これだけ大規模な工作は、おそらく北朝鮮の一部が中国軍諜報部の指示と協力とによって行ったものであろう。
 私がこのように推測する根拠のひとつは、爆破口の形だ。北朝鮮の公式発表では、燃料と農薬(硝酸アンモニウム)を積んだ貨車が衝突脱線し、電柱が倒れ電線がショートして引火、大爆発になったという。もしそれが正しければ爆発は地上で起こったことになり、爆発跡はU字型となるはずだ。しかし、事件直後にネットで公開されていた大規模爆発跡はV字型。これは爆発が地中で起きたことを示しており、公式発表が嘘であることは明らかだ。しかも事件の直後にはネット上で見ることができた爆発跡の写真は、その後次々と消されていて見ることができなくなった。アメリカやロシア・韓国・日本・中国などの周辺国は、爆発による地震波や微気圧振動監視と爆発浮遊塵などの分析で、どこの国の爆発物でどの程度の規模なのかを正確に把握していたはずである。にもかかわらず、北朝鮮の公式発表に異議を唱えないのは、金正日政権は不都合な政権ではあるが、緩衝エリアとしての北朝鮮の地政学的重要性を各国がよく認識しており、事を荒立てない方が良いと判断していたからである。また、吹き飛ばされた列車になぜ金正日が乗っていなかったのか。おそらく絶えず全ての通信の暗号を解読し、監視しているアメリカか、若しくは中国軍部に諜報員を潜ませているロシアか、親中傀儡政権が北に誕生することを喜ばない、いずれかの国が爆殺テロの情報を掴んで金正日に伝えたからであろう。この中国の手による、歓迎のために集まった数千人もの民衆を巻き込んでの爆殺テロに驚愕した金正日は、唯一の生存策として核開発を急ぎ、不十分ながらも二年後の二〇〇六年、核実験の実施に漕ぎ着けたのだ。
 北朝鮮の核兵器は中国に対する防衛のためのものであり、次にアメリカと対等であることをアピールし、この国を交渉の場に引きずり出すための手段だ。北朝鮮が水爆と称する今回の実験だが、爆発の規模は小さく、核融合を起こすための起爆としての原爆の爆発だけに留まってしまった可能性が高い。しかしなぜ敢えて敢行したのか。今の最高指導者である金正恩は、爆殺されそうになった父の金正日から中国の脅威はさんざん聞かされていたはずだ。体制維持の唯一の手段が核兵器だということも、強く認識しているだろう。通常の核兵器よりも一〇〇倍以上も威力が大きい水爆であれば、さらに強力な防御となる。水爆実験を北朝鮮は中国に通知、実験への強烈な反対を説得するためにモランボン楽団を中国へ派遣したが、どうしても同意を得られなかったので急遽帰国させ、すぐに実験実施の指示書にサインをしたというのが真相だろう。

質は量では補えない

 歴史を振り返ってみても、戦いでは兵器の数よりも質によって勝者が決まっている。先の大戦時に登場した核兵器は、戦後のアメリカ覇権の力の源だった。もしアメリカに核兵器がなかったら、ソ連が世界中を赤化してしまっていたはずだ。逆にアメリカだけが核を保有していたならば、どこかで広島・長崎に続く三発目の核兵器が使用されていたかもしれない。アメリカの核科学者達はそう考え、核開発の情報をソ連にリークした。その結果、僅か四年でソ連は核開発に成功、核は使われることのない兵器となり、現在に至っている。
 兵器の優劣が勝者を決めた例は、歴史に枚挙の暇がない。十六世紀にインカ帝国を滅ぼしたスペインのピサロは、わずかに百六十八名の兵士と一門の大砲、数十丁の鉄砲と二十七頭の馬とでこれを行った。当時南北アメリカ大陸には馬はおらず、完全武装のスペインの騎兵は強力な戦力だった。一方のインカには鉄の武器もなく、銅製の斧や弓矢などで戦った。結果、ピサロは八万人ものインカ軍を相手に七千人を殺戮し、皇帝アタワルパを捕らえ、インカ帝国を滅ぼした。武器効率の差が、スペインに勝利をもたらしたのだ。この後、南米はカトリックであるスペインの勢力によって支配されることになる。
 一方ヨーロッパでは、宗教改革運動が進み、四十年近く八回に渡って戦われたユグノー戦争など、カトリックとプロテスタントとの戦いが激しくなってきていた。十七世紀になると、ヨーロッパで迫害されたプロテスタントが新大陸へと渡り、北米に拠点を築くようになっていく。そして鉄砲によって、弓矢しか持たないインディアンを虐殺しながら、支配領域を広げていった。これもまた、武器効率の差による征服だった。

日本はキリスト教化されず宗派間戦争による内戦にはならなかった

 日本にも例がある。一六一四年十月から、徳川勢と豊臣勢の間で戦われた大阪冬の陣だ。豊臣勢はカトリックの宣教師と共に大阪城に立て籠もった。難攻不落と思われた大阪城を攻略するために、家康はイギリスやオランダなどプロテスタントの国から大砲を購入した。特に効果的だったのがイギリスから購入したカルバリン砲だ。特徴はその射程距離の長さで、豊臣勢が使用していた仏郎機(フランキ)砲の有効射程距離三三〇〜四四〇メートルに対して、カルバリン砲の有効射程距離は一、八〇〇メートル、最大射程距離は六、三〇〇メートルと圧倒的に優秀だった。また日本の鉄砲鍛冶の技術は高く、家康は堺の鉄砲鍛冶・芝辻理右衛門に芝辻砲を造らせていたが、これも有効射程距離約一、〇〇〇メートルという性能の良いものだった。当時の大砲の砲弾には炸薬は入っていなかった。鉛弾か鉄球で、弾が炸裂するわけではないので、野戦では破壊力を得られなかったが、建物に立て篭もる敵には、当たって破壊される建物の破片で敵兵を死傷させるもので、城を攻める側には有効な兵器であったのだ。豊臣勢は淀君が篭もる天守閣に砲弾を打ち込まれ、一気にパニック状態に陥り、休戦を余儀なくされた。このカルバリン砲の威力は一五八八年、イギリス艦隊とスペインの無敵艦隊が英仏海峡で戦ったアルマダの海戦でも発揮された。この砲を搭載したイギリス艦隊は、スペイン艦隊の砲弾が届かない所から長い射程距離でスペイン艦隊に砲弾を打ち込み、この海戦に勝利した。これも武器効率の差が歴史を決定付けた例だろう。
 大阪冬の陣がプロテスタント国イギリスの支援を受ける徳川方とカトリックが支援する豊臣方との戦いだったのと同様に、明治維新もフランスなどカトリック勢力が支援する幕府軍とイギリスなどプロテスタント勢力が加勢した薩長官軍との戦いでもあった。古くはヨーロッパにおけるカトリックとプロテスタントの宗派争いによる宗教戦争、そして近代はイスラム教スンニ派のサウジアラビアとシーア派イランとの抗争と、昔も今も一神教の中での宗派対立で、悲惨な戦いを繰り広げてきている。キリスト教に限ってみると、アルマダの戦い(イギリスとスペイン艦隊の海戦)のように、近代は旧勢力カトリックに新勢力であるプロテスタントが勝利するという歴史が続く。ペリーが黒船で浦賀にやってきたのも、日本をキリスト教プロテスタントの国にして植民地にしようとする目的があってのものだったが、日本には教養のある戦士・武士道を貴ぶ武士階級が存在し、古代から神道を司祭する天皇制が面々と続いてきていてキリスト教は普及せず、大きな宗派間戦争による内戦にはならなかった。先の大戦の降伏調印式が行われた戦艦ミズーリ号の甲板に、ペリーが、旗艦サスケハナ号に掲げていた星条旗が掲げられていたのは、先の大戦も日本をプロテスタント教国とするための戦争だったことを窺わせる。

日本の技術が支えるアメリカの軍事戦略

 アメリカは二〇一四年十一月中旬に「防衛革新イニシアチブ(DII)」を公表した。ウェブメディアJBpressには、二〇一五年一月六日付けで福田潤一氏による「米国で『第三の相殺戦略』が始まる」という記事が掲載されている。相殺(オフセット)戦略とは、敵対勢力の戦略に技術力など全てを駆使して対抗して、相手側の優位性を相殺(オフセット)することだ。冷戦初期のソ連の通常戦力を相殺する核戦力、一九七〇年代の「AWCS」や「JSTARS」(監視および目標攻撃レーダーシステム搭載対地版早期警戒管制機)、B52爆撃機などの戦闘管理と戦術偵察システムにGPSを使った精密誘導兵器とF117ナイトホークに代表されるステルス技術に次ぐ今回の第三回のオフセット戦略は、対艦弾道ミサイルや潜水艦、ステルス機、衛星攻撃能力など中国やロシアが得意とする非対称戦術をアメリカも採用し、従来にはない新兵器を登場させ、中国とロシアの優位を相殺するというものだ。
 具体的なアメリカのオフセット戦略の例の一つとして、「ズムウォルト」が挙げられる。雑誌THEMISの二〇一六年一月号では、「米国‐『新型駆逐艦』で中国軍事都市殲滅へ」というタイトルで、以下のような記事が掲載されている。「『ズムウォルト一隻で、中国沿海部の軍事都市は一瞬に破壊できる』」「ズムウォルトとは、未来型戦争に備え米国が総力を結集したハイテクステルス駆逐艦で、レールガン(電磁投射砲)やレーザー砲などの新型兵器搭載が最大の特徴。レーザー砲は、中国軍が誇るミサイル飽和攻撃をレーザーで一瞬で破壊、ミサイル以上の射程距離を持つレールガンで、海上から軍事施設を波状攻撃できる」という。ここに出てくる飽和攻撃とは、相手の時間当たりの防御能力を超えた攻撃を行うことだ。例えば同時に五発のミサイルを防御側が迎撃できる場合、同時に六発のミサイルで攻撃することを指す。それを狙ってきた中国軍のミサイルを、ズムウォルトは葬り去ることができるというのだ。
 しかしここにきてズムウォルトへのレールガンの搭載に問題が生じている。耐久性と持続性の確保の問題だ。「実は、このレールガン技術が世界で最も進んでいるのは日本だ」と記事は続く。「防衛省は、九○年初期からレールガン研究開発の予算を計上し、三菱重工業、住友電気工業、富士電機など七社に研究開発を発注。また、文部科学省の旧宇宙科学研究所でも開発が進行。特にリニアの研究では、電磁波の衝撃に耐えられる製鋼技術を日本製鋼所が獲得しており、米国もかねて注目していた」という。そこで「米海軍側は日本に、次世代艦ズムウォルトの太平洋配備と協力を求め、安倍首相は全面的な支援を約束したといわれる。つまりレールガン耐用性強化のために、日本側が特殊合金の提供に踏み切る密約が交わされた可能性が高い」のだ。日本の技術力の高さはアメリカの戦闘機のステルス化にも貢献している。アメリカ最強のステルス戦闘機F22が日本に頻繁に飛来するのは、「日本の優れた特殊塗料技術で補修を受けなければステルス性機能が低下するから」だという。つまりオバマ大統領が決断したアメリカの相殺戦略を、日本の技術が支えているということになる。

国内分断の韓国を他山の石に日本国民は一致団結を目指せ

 オバマ大統領がシェールガスの産出で中東(サウジアラビア)の石油の必要性が無くなり内に籠りはじめ「世界の警察官」の放棄を宣言したことで、ロシアのウクライナ侵攻、ISの跋扈など、世界が混乱してきた。中国の尖閣諸島への干渉や南シナ海への進出なども、このオバマ大統領の態度を窺ってのことだ。しかし「次の大統領が共和党や民主党かを問わず、対中宥和戦略が転換期を迎えると見られ、米中間の摩擦が増す可能性は高い。米国防総省は新大統領の期待に応えるべく、対中戦争の準備を始めているが、それを支えるのが日本の技術力」だというのだ。中国はこの日本の技術を奪うべく、大量のサイバー部隊による工作を展開、日本側の秘密保持が重要なポイントになるというのがTHEMISの記事の結びだ。
 先端兵器に数多く使われてきた日本の技術だが、これまではこれを安売りする一方で、この先端科学技術を組み込んで開発された兵器をアメリカから高値で買わされるという悪循環が続いてきた。しかし、今は米軍の最先端兵器の技術の一部を日本の技術が握っており、この一方的な悪循環を断ち切るチャンスだ。また、アメリカ製の武器に頼る現状は、安全保障上も危険だ。ソフトウェアなど根幹部分がブラックボックス化されたアメリカ製の武器は、アメリカによるメンテナンスを失った途端に無力化される。これはイランがパーレビ国王時代に揃えた最新鋭戦闘機が、イラン革命後にどうなったかを見れば明らかだ。やはり日本も独自の防衛システム(敵味方識別装置・コンピューターシステム・暗号・GPS・最先端兵器)の開発が必要だ。安倍政権は武器輸出の条件を緩和、オーストラリアに潜水艦技術の提供を申し出るなど、海外のマーケットも見据えることで、開発費負担の軽減、量産によるコストダウンを狙っている。これらによって、いざという時に力を発揮する自前の武器を持つと同時に、これまでとは逆に、輸出した武器をコントロールすることもできるようになる。
 最強の防御兵器は核兵器だが、唯一の被爆国であることから、二十世紀の技術である核兵器を日本は持たない決断をした。それに代わるものは、日本の最先端技術を活用した二十一世紀型兵器だ。それは、例えば五分で一千キロメートルも飛来し小型核兵器にも匹敵する破壊力を持つといわれるレールガンだろう。すでに日本では重さ百グラムの弾丸を秒速四・五キロメートルの超高速で発射することに成功している。日本が今後目指すことは、レールガンやレーザー砲などを開発することで、万全の防御態勢をとり、戦争抑止力を強化することだ。さらに技術力を盗まれないように、サイバー空間のセキュリティを可能な限り高める。そして安全保障の力を確保するために、憲法を改正し、日米安保も双務的なものに変え、武器輸出のもう一段の緩和を行うことだろう。
 今年七月の参院選には、安倍首相は歴史上初めて憲法改正を真正面に掲げて挑む。私は公明党が反対する衆参同時選挙ではなく、衆参「同時期」選挙になるのでは、と予想している。参院選一カ月前後に衆院選を行い、両院で大勝し、改憲勢力の議席を三分の二以上獲得したいとの思いが安倍首相の胸中にあるはずだ。ここまで持ってこれたとしても、最大の難関は国民投票であり、現状では改憲賛成が過半数を上回ることは、非常に難しい。国民投票は選挙同様、投票権は十八歳以上に与えられる。若い彼らにも強烈にアピールするような、強力な世論対策が必要になるだろう。これからの半年が、今後の日本の命運を決する。安倍首相にはここが正念場と、踏ん張って欲しい。
 膨張策をとる中国を反面教師に台湾では民進党が選挙で圧勝した。日本は真の歴史に学び、日本人が結束して臨めば、北が核武装しようが、中国が様々な形で牽制してきても問題はない。避けるべくは、日本人同士の対立だ。昨年末に電撃的に行われた慰安婦問題に関する「日韓合意」だが、韓国国内では挺対協や元慰安婦が騒いで反古にしようとしている。韓国との慰安婦問題はもう終わりで、慰安婦像の撤去を条件とした十億円の支払いは、朴槿恵大統領の拳の下ろしどころを与える大義名分である。慰安婦問題の本当の敵は彼らの背後にいる北朝鮮だ。韓国政権内部にも深く入り込んでいる北の勢力は、慰安婦問題の金銭による解決を拒否して長引かせ、国民の政府批判を煽り、最終的には北による韓国の併合を行い、その強力な経済力を手に入れようとしている。今回の水爆実験も成功の可能性が低いにも拘らず強行したのは、核融合(水爆)の起爆源となる原爆の小型化実験にもなるからであろう。これは中国牽制に加えて、韓国併合のためのステップと見るのが正しい見立てだろう。日本はこれを他山の石として、日本人の敵は日本人という状況を打破すべく、真実の歴史教育と正しいメディアの報道で誇れる祖国「日本」の再興を図ろう。

2016年1月22日(金)23時00分校了