社会時評エッセイ

民主党の混迷をチャンスに真正保守の政党を作れ

藤 誠志

政治資金規正法は国民に対する情報公開の義務を果たすことである

 民主党の小沢一郎幹事長の政治資金をめぐる疑惑が、いよいよ深まってきている。1月15日には小沢氏の元秘書で衆議院議員の石川知裕氏が、政治資金規正法違反容疑で逮捕された。翌16日の朝刊各紙は、当然一面トップでこの逮捕を伝えた。例えば朝日新聞では以下のように報じている。『小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」が2004年に取得した土地の購入原資四億円が政治資金収支報告書に記載されていない事件で、東京地検特捜部は15日夜、いずれも小沢氏の元秘書で同会の事務担当者だった、衆院議員の石川知裕容疑者(36)=同党、北海道11区=と池田光智容疑者(32)を、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕した』『会計責任者だった公設第一秘書・大久保隆規被告(48)についても同容疑で逮捕状を取っており、16日以降に逮捕する方針』『特捜部は、石川議員に自殺の恐れが生じたことや、説明に虚偽が多く証拠隠滅の可能性があることを考慮。任意捜査の方針から一転して逮捕に踏み切った』という。産経新聞では『閣僚の一人も「ええ!?国会議員を(政治資金収支報告書への)不記載くらいで逮捕できるのか?」と絶句した。執行部の一人は「えらいことになったなあ。検察はやり過ぎだ」と天を仰いだ』と政界への衝撃の凄まじさを伝え、朝日新聞はこの逮捕に関する岩井奉信・日本大学教授(政治学)のコメントを掲載している。『政治資金規正法の虚偽記載容疑で現職国会議員の身柄まで取るのは、捜査手法としてちょっと強引だと思う。ただ、小沢氏には職務権限はないため、贈収賄には問えない。となると、特捜部の狙いがどこにあるのか。小沢氏を規正法違反容疑の共犯として問うことが狙いなのだろうか。「小沢氏が任意の聴取に応じないから」というのでは、「子どものけんか」にも見える。小沢氏も特捜部も、もっと国民に説明する責任があるのではないか』というのだが、私はこの大学教授の神経を疑いたい。
 政治資金収支報告書の不記載ぐらいとか、虚偽記載容疑で身柄まで取るのかと述べているが、政治資金規正法は国民に対する情報公開の義務を果たすことであり、違反の最高刑は禁固5年と大変重大な犯罪である。
岩手県の胆沢ダムの建設受注に関して、鹿島建設の下請けである水谷建設から5000万円が2回、合計1億円が小沢氏のもとに渡ったという証言もある。これは鹿島建設が入札によって受注できたことに対する謝礼であり、それを下請けへの発注額に上乗せして、水谷建設から小沢氏へと流れるようにしたのだろう。1月13日に鹿島建設や陸山会事務所などを特捜部が家宅捜索したのは、この金の受け渡しの裏付けをとるためだ。岩井教授は職務権限がないから贈収賄罪には問えないという。しかし、このような謝礼が支払われたことでわかるように、東北エリアでの大規模公共事業の受注決定に、小沢事務所が俗にいう「天の声」にあたる歴然たる力を持っていて、これに逆らえば今後東北エリアでは仕事ができなくなる恐怖から支払うわけで、これは恐喝罪(10年以下の懲役)や威力業務妨害罪(3年以下の懲役)に問える案件ではないのだろうか。岩井教授の『特捜部の狙いがどこにあるのか』という問いは、まったく的はずれに思える。

どうして国税庁は小沢幹事長や鳩山首相の査察に入れないのか?

 小沢氏には別の疑惑もある。党首や代表幹事を務めていた自由党や新生党の解散時に、残っていたはずの政党助成金などの金を自身の政治団体に移していたというのだ。その金額は、新生党の解散時には9億2000万で、この内約五億円は国から党に支給された「立法事務費」で、自由党解散時は政党助成金として支給された公金分だけで3億8500万円から5億6000万円含まれ、その他の資金と併せて13億6000万円にも及ぶという。1月に財務大臣を辞任した藤井裕久氏は、自由党の幹事長を務めており、この金の流れに関与していたといわれている。年末に藤井氏が検査入院したというのも、実はこの金の流れについて検察から事情聴取されていたのではという噂もあるぐらいだ。藤井氏が財務大臣を辞めたのは、小沢幹事長がいずれ逮捕されると感じたためではないだろうか。私の見るところ、小沢幹事長の逮捕は早晩必至だ。ひょっとしたら小沢氏は先手を打って、幹事長を辞職して逮捕逃れをし、しばらく表舞台から身を引いて、闇将軍として君臨する道を選ぼうとするかもしれない。
 小沢氏はこれまでに12件、10億6000万円もの不動産を買った、政治献金で不動産投資をする政治家など前代未聞である。検察は今の時代、民主党政権は指揮権の発動も逮捕許諾決議の否決もできないと判断していて、議会に許諾請求を行って逮捕するだろう。
 民主党に対するメディアの報道は、相変わらず甘い。政治資金規正法違反だけで国会議員の逮捕は強引だという主張もまだ散見される。しかしこれが自民党の政治家なら、そんな同情的な記事など一切でなかっただろう。2002年からこれまでに12億6000万円もの「子ども手当」を受け取っていた鳩山首相に対する報道も甘い。相続税対策なのか、生前贈与として架空名義の政治献金に見せかけた金が分散されて偽装献金され鳩山氏に渡っていたにもかかわらず、国会で母親からの資金提供について「私の知る範囲でそんなものはないと信じている」と説明したのに、その後に氏が非を認めて5億7500万円の贈与税を納付した。しかし延滞税や重加算税の支払はどうしたのか?この贈与されたお金が政治活動に使われたのであれば個人からの政治献金の上限、年百50万円をはるかに越えている。単に贈与された金額の贈与税を払っただけで、それ以上の罪は不問になってしまっている。これも政治資金規正法違反であり、脱税である。脱税と指摘されても、知らなかったと主張して後から税金を納めれば罪に問われないのであれば、脱税罪などそもそも存在しない。いったいどうしてこの事態となっても、国税庁が査察に入れないのか…?メディアの報道スタンスがそのまま捜査当局・税務当局の甘さに繋がっていると言える。メディアも検察も国税も若い人が頑張っているのに、上層部は全共闘世代が作った民主党政権の崩壊を恐れてこれを阻んでいる。これは1年ほど前、こぞって田母神前航空幕僚長を批判した日本を覆う社会構造と言える。

インド洋での給油活動の中止はシーレーンを中国海軍の影響下に置くことである

 発足から5ヶ月を経過しようとしている鳩山政権だが、綻びがかなり目立つようになってきた。ばらまきのマニフェストによって予算は膨れ上がり、党と内閣との二重構造で、鳩山首相は小沢幹事長の顔色を窺って右往左往するばかり。非常に情けない限りだ。外交にも大きな問題がある。かねてから民主党が主張していた方針に沿って、1月16日の午前0時をもって、海上自衛隊によるインド洋での給油活動は終了した。しかし1月16日付けの読売新聞の政治面には『中国給油引き継ぎ検討』という記事が出ている。『日本の海上自衛隊が撤収するインド洋での給油活動を、中国海軍が引き継ぐ方向で検討していることが15日、わかった』『実現すれば、中東から原油を運ぶ日本にとって重要な海上交通路で中国が影響力を強めることになり、撤収を決めた鳩山政権に批判が集まりそうだ』『中国は、ソマリア沖の海賊対策に艦船を派遣するなど、中東近海で軍事活動を積極的に展開している。インド洋で給油活動を行うことで、さらに中東への影響力を強めたい思惑があるようだ。中東産原油の調達ルートを安定させるというエネルギー安全保障上の狙いもあるとみられる』『日本政府内にも「中国が後を狙っているから、給油活動を打ち切るべきではない」という意見があったが、鳩山政権は「給油活動の実績が減ってきた」として給油活動を打ち切った。「中国にむざむざ国益を引き渡すことになる」と懸念する声も出ている』という。インド洋での給油活動は、人的な犠牲を出すリスクも低く、コストもあまりかからない、日本にとって理想的な国際貢献だった。これを放棄して中国に譲ることは、国際社会での存在感を中国に渡し、さらには中東からのタンカー航路であるシーレーンまでを中国の影響にさらすという安全保障上の問題までを引き起こすことになる。また、給油の代替貢献として、アフガニスタンへの莫大な経済援助を迫られている。一体鳩山政権は何を考えているのか。普天間基地問題を始め、外交政策が思いつきのでたらめばかりである。
 日本時間の1月13日の朝に発生した中央アメリカの島国・ハイチの大地震では、非常に大きな被害が出た。ハイチは中南米の中でも、正式に国交を結ぶなど、台湾の影響力が強い国だ。中国は素早く現地に国際救援隊50人を派遣し存在感を発揮、親台湾のハイチを中国勢力下に取り込もうとしている。地震国日本には経験豊富な救助チームがあるのだから、第一報とともに「国際救助隊を組織して、支援物資とともにハイチに派遣する」と鳩山総理は声明を発表し、即座に対応していれば、鳩山政権への評価も変わっただろう。しかしそんな対応も現実とはならず、鳩山首相は政治資金疑惑で足をすくわれて、指導力を発揮できていない。せっかく昨年の衆院選で政権交代を果たし、長年続いた自民党政権よりもクリーンな政治を国民は期待したにもかかわらず、金に関わる問題が自民党より酷いとは、どういうことなのだ。私の予想通りに小沢氏逮捕という事態になった場合、民主党はどうなるのか。もともと政策が一致していないにもかかわらず、選挙に当選するために集まった「選挙当選互助会」が今の民主党だ。求心力である小沢氏がいなくなったとたんに、分裂して政界再編となるのではないか。私の希望としては、中国・韓国に慮って本当の歴史も主張できないばら撒きで左翼的となってきた自民党と、同盟国アメリカと共産党独裁国家の中国と等距離で付き合う「正三角形」外交政策を展開し、そのためのアメリカと中国との橋渡し役をするといった、出来もしない馬鹿げた政策を主張し、国際的にも笑い話にもならないことを真面目に語る鳩山民主党とでは、票を入れる政党がない、この際受け皿となるような小さな政府を目指す真正保守の党を作り、政権を担当させ、税の誘導(資産や設備・研究開発費の加速度償却と個人の住宅にも償却を認める)により景気回復を図るとともに、民族の歴史に誇りを持てる独立自衛の国家を志向し、誇れる国日本の再興を目指すべきだ。

壊し屋と呼ばれる小沢氏の大連立の真の狙いは民主党資金の奪取にあったのでは

 多くの政治家は、自分が考える政策を実行するために、その道を志したはずだ。しかし一旦当選すると、優先的に行うことは政策立案ではなく、次の選挙に当選するための活動になってしまう。そしてしだいに、理念・政策ではなく、どこに属すれば選挙に勝てるかで所属を決めるようになる。選挙に勝つために、どれだけ金を集めることができるかばかりを考えるようになる。小沢氏はその象徴ともいうべき政治家であり、これまではその臑の傷を巧みに隠してきたのだ。思えば2007年11月の自民党との大連立構想が持ち上がった背景には、新生党・自由党の解散による旨みを三たび民主党の解散で手にしようとしての小沢氏の資金奪取戦略があったと類推されても仕方ない。これは当時の自民党福田首相と会談して取り決めた大連立を、民主党内の反対にあって断念、代表辞任を表明したが、慰留されてすぐに撤回したという一件だ。昨年明らかになった西松建設の件や今回問題となっている胆沢ダムの件など、一連の金の不明瞭な流れについて、検察からの追求を受ける危険を感じていたからこそ、小沢氏は大連立による民主党解散で莫大な民主党資金を奪取するとともに、早急な政権入りで検察の手を逃れようと連立話を進めたのであろう。結局は自民党のあまりの左傾化と体たらくに民意が離れ、民主党政権が誕生、小沢氏はその政権交代の最大の功労者として祭り上げられた。政権与党の幹事長となり、「これで検察も手を伸ばしてこないだろう」と考えた小沢氏はすっかり慢心し、昨年12月には143人もの民主党国会議員を含む640人もの人を引き連れて中国を訪問、胡錦濤主席との2ショットにはしゃぎ、帰国後は天皇陛下と中国の習近平副主席との会見を「1ヶ月ルール」を破って設定。天皇の政治利用だという批判に対する記者会見で宮内庁長官を「辞表を出してから発言しろ」と罵倒するとともに、「キミは憲法を知らないのか」から始まり、「天皇陛下にお伺いすれば、喜んでやってくださる」「健康問題があるなら、他の行事を止めればいい」などと、天皇陛下のお心の中まで忖度した暴言を吐いたのだ。
 あまり誰も指摘しないが、習近平副主席を重んじることにも問題がある。中国では、前国家主席の江沢民氏が依然として権力を維持しており、人民日報の写真の扱いを見ても、現国家主席の胡錦濤氏と同等の扱いとなっている。そして次期主席候補として、江沢民氏が推しているのが習近平副主席であり、胡錦濤が支持しているのが、李克強副首相なのだ。このような情勢の中、江沢民派の習近平副主席に特例会見を許すということは、江沢民派の肩を持ったことになる。しかしその江沢民氏は、反日記念館を中国全土に建設し、ありもしない南京虐殺を言い立てるなど、反日を武器に国家主席の権力を維持してきた人物だ。その子分である習近平が次期主席になることは、日本にとってはありがたくないことだ。これに小沢氏が協力したというのは、日本の国益に反する行為なのだ。
 検察の手ももう及ばないだろうと思い、天皇陛下に不遜な態度をとった小沢氏に、さすがの民主党支持者も熱が冷めた。この傲慢ぶりを、検察も看過できないと考え、年末から石川議員の事情聴取を開始、結局元秘書ら3人の逮捕へと繋がった。すべては小沢氏の慢心が招いたことだ。彼を田中角栄のような闇将軍としないためにも、職務権限がないと罪に問えない贈収賄ではなく政治資金規正法に問う事は当然としても、恐喝罪や威力業務妨害罪などで逮捕して、しっかりと罪を償わせるべきである。それをきっかけに政界再編を行い、真正保守を掲げる政権を誕生させ、独立自衛の国となるべきなのだ。私は今、このことを強く期待している。