BIGTALK

ビッグトーク242(BIG TALK) 震災をきっかけとして 日本人の価値が大きく変わる

アメリカ留学時に世界の姿を目の当たりして政治への強い関心と愛国心を胸に帰国、葛飾区議会議員として約十年間活躍、三年前の総選挙で国政への進出を果たした早川久美子氏。民主党と自民党の中堅新人議員が立ち上げた「国難対処のために行動する『民主・自民』中堅若手議員連合」にも参加する早川氏に震災からの復興策などをお聞きしました。

避難すべきかどうかをもう一度検討し直すべきだ

元谷  今日は代議士の中で一番美しいと評判の早川さんのビッグトークへのご登場ということで、楽しみにしていました。よろしくお願いします。
早川 こちらこそ、よろしくお願いいたします。

元谷  早川さんは二期目の葛飾区議会議員選挙でトップ当選。これは一期目の評価が高かったからで、容姿端麗なだけではなく、実力もあるということでしょう。その実績を買われて民主党から立候補、見事衆議院議員に当選して、国政でも大活躍中です。今一番何に注力していますか?
早川 葛飾区議会議員を十年近くやらせていただき、その後で国政に入ったためになおさら強く感じるのですが、国会議員の仕事は外交と防衛、そして経済の三本が中心となるべきです。福祉や子育ては各地域によってニーズが違うのが当然ですので、各地方自治体に権限を移譲し任せればいい。私は外務委員会に所属していますが、今一番の課題となっているのが、東日本大震災の海外での風評被害をどうするかです。

元谷  そもそも外交とは国を守ることが目的です。今回の震災では多くの国から支援をいただいていますが、それと国防とは一線を画するべき。中国軍のヘリコプターが海上自衛隊の護衛艦に異常接近したり、ロシアの戦闘機が頻繁に日本の防空識別圏に入ったりと、近隣諸国が日本を試すような行動をとっています。これらに対しても、民主党の一部にあるような「支援を受けているから厳しいことは言えない」などという態度では駄目で、日本の国益を考えたしっかりした対応が必要です。
早川 その通りです。国益を損なうことがないように、言うべきことはきちんと言うべきです。

元谷  今回はいろいろな国から支援をしていただいたのですが、国の大きさから考えると、台湾からの一六〇億円という義援金は、やはり突出しています。
早川 しかも全て民間からですからね。

元谷  中国からよりも遥かに大きな金額なのに、日本のメディアはほとんどこれを報道していません。スタンスに偏りを感じます。メディアのバランス感覚が悪いのは、福島の原発事故の報道も同じです。あたかもチェルノブイリでの原発事故と同じように報じられていますが、出てきた放射能の量も福島はチェルノブイリの十分の一と、全く異なります。しかし原子力安全・保安院はこの事故を最悪のレベル七と評価し、それを菅首相も認めてしまったのです。これがどれだけ国益を損なったか。メディアと政府が国民の不安をあおっているのです。
早川 私も同感です。

元谷  科学的根拠に基づかない避難指示も問題です。風向きを考えずに同心円で避難地域を決めるのは非科学的です。不必要な避難によって、老人や病人など命を失う人も出てきています。避難指示はそうすることでメリットがあると判断されて出されるものですが、避難によって他により大きなデメリットが生じるのであれば、残った方が良いこともあり得ます。一律に避難という考え方がおかしいのです。年をとった方の中には、ガンになってもいいから住み続けたいという人がいてもおかしくはないし、その権利は尊重すべきだと思います。この辺を考慮し、さらに本当に危険な放射線量なのかをよく検討した上で避難計画を立てて欲しいですね。
早川 私の地元である葛飾区でも被災者の方々を受け入れているのですが、強制ではない地域から避難してきている若い人が、ある日突然いなくなるのです。聞くと両親が留まっているので、放っておけなくて地元に戻ったと。心が痛みました。

元谷  今避難の基準となっている「年間の被曝量」という考え自体がおかしいのです。放射線は一度にどれだけ浴びるかが問題なのであって、年間積算量はあまり意味がありません。一度に三トンの力が肩にかかれば圧死してしまいますが、一〇〇グラムの力を何日もかかって累計で三万回繰り返しても、肩たたきになって気持ちがいいだけです。放射線もこれと同じで、低い放射線量にやられても、体は修復していくのです。今回計画的避難区域の基準となっている年間二〇ミリシーベルトですが、CTスキャンを三回受けるだけでこの量に達してしまいます。これでどれだけの健康被害が起きるというのでしょうか。例えばISS(国際宇宙ステーション)に滞在する宇宙飛行士は、一日で一ミリシーベルトの放射線を受けます。そんな場所に数カ月の滞在をする宇宙飛行士が、放射線で健康被害を受けたという報告もないのです。それなのに、あの一時帰宅の物々しさはどうでしょう。
早川 あの防護服の姿が報道されることで、観光や留学に大きな影響が出ています。

元谷  そうです。当然日本への観光客が激減しました。

真昼のピーク時は節電夜間は積極的に電気を使用

早川 前原前外相の時は、世界に日本の商品を売り込む「経済外交」でしたが、今の松本外相は「復興外交」です。中でも観光の復活に尽力すべきだと、大臣は常々おっしゃっています。

元谷  地震や津波による直接被害よりも間接的な被害や風評被害の方が、金額的には多いのではないでしょうか。アパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉には、通常は毎日約二千人の宿泊客があります。しかし震災後は幕張メッセのイベント自粛、TDRの閉園、インバウンド客の激減とメインの三つの宿泊目的を失い、お客様が九割ダウンになりました。このような話は日本中にあるでしょう。特に自粛によって経済が萎縮するのはよくありません。
早川 本当にそうですね。

元谷  今回の地震による建物の倒壊や津波の被害は天災ですが、原子力発電所が冷却機能を失ってメルトダウンを起こしたことは人災です。さらに菅首相が法的な根拠が全くないのに、反原発派に媚を売ることで自身の政権を延命しようと、浜岡原発の停止を要請したのは「菅災」です。地震が発生し、さらに今回と同程度の津波が浜岡原発を襲う可能性は天文学的に低いにも拘わらず、問答無用の停止要請。結果、この夏日本中が電力危機にさらされるようになったのです。震災と電力不足で苦しんでいる産業界を、さらに奈落に落とすような決断でした。国民はもっとしっかりとしたリーダーを熱望しています。
早川 言葉は悪いですが、まさに思い付きとしか思えない要請でした。止めるのなら、その後の電力供給はどうするのか、働いている従業員の今後はどうするのかなどを、まずしっかりと提示する必要があったと思います。原発事故に関しては人災の部分もあり、民主党の責任は重大です。またこれまで原発推進の旗を振ってきた自民党にも責任がある。お互いの責任を認めた上でどう復興に向かっていくか。政局ではなく、もっと大きな国益という観点から、共に知恵を働かせていきたいという思いを持っています。

元谷  どんな技術にもリスクはあるのです。交通手段としての自動車は非常に便利なものですが、反面多くの人の命を奪ってきました。でも人々は自動車のメリットとリスクを比べて、使い続けることを選択してきたのです。原発も同様に、低コストで大量の電力供給が可能というメリットと、事故となった時のリスクがあります。今回の事故を教訓に、このリスクをどれだけ抑えこんでいけるかが大切なのです。
早川 おっしゃる通りです。

元谷  もうひとつ気になっているのは、節電に関するミスリードです。使用のピーク時に電力が足りなくなって大停電となるのは、節電によってなんとしても阻止しなければならないですが、夜間の電力が余っている時の節電にどれだけ必要性があるのか。「ネオンを消せ」など、ピーク時に関係なく二十四時間節電をしていないと「非国民」のレッテルを貼る空気が、メディアなどによって醸成されています。これは明らかに間違い。むしろ余裕がある夜間の電力を積極的に使って東京電力に電気料金を支払うことが、賠償金のための税金の投入を減らすことになります。「午後は節電、夜間は電気を積極的に使え!」という理屈に合ったメリハリのあるキャンペーンを、民主党政権は行うべきではないでしょうか。
早川 その通りです。私の地元では毎年盆踊り大会が百以上開催されているのですが、今年は「節電のために中止」が増えています。盆踊りですから、電気を使うのは夜がメインですし、しかも企業が電気を使用しない土日にやりますから、どんどん開催すべきだと私は言っているのですが。

元谷  私は石原慎太郎都知事を支持していますが、彼が主張している自動販売機とパチンコを止めろというのは、ちょっと違うと思っています。日本にしか自動販売機がないのは、それだけこの国の治安が良いという証であって、誇るべきことでしょう。しかも今の自販機はピーク時には電力をカットする機能が付いているのです。娯楽の中でパチンコだけを槍玉に挙げるのも、バランスを欠くでしょう。
早川 お神輿の中止も相次いでいます。電気は使わないと思うのですが…(笑)。

元谷  大災害の後ですから、逆に楽しく明
るく国民が振舞うことも大切でしょう。余程の理由がない限り、イベントは実施するべきだと思います。

ピンチをチャンスに震災被害を経済復興の糧に

早川 イメージダウンを恐れて、必要性のない節電を行なっている企業もあるようです。

元谷  アパホテルでは深夜二十二時までは節電、それ以降は看板に電気を付けることにしています。街が暗いことは、治安の面でも問題がありますから。
早川 暗いと、歩いていても怖いです。

元谷  この昼と夜の電力使用のメリハリを、国民的な運動にしていきましょう。また、震災によって壮大な破壊が起きてしまいました。半年ほどは厳しいでしょうが、それ以降は復興需要が出てきて、日本経済は必ず盛り返してくるはずです。この二十年間日本はデフレに苦しみ、GDPも下がる一方でとうとう世界第二位の座を中国に明け渡しました。しかし復興が日本復活のチャンスとなるはずです。
早川 ピンチをチャンスに…ですね。私も同意見です。例えば東北を何らかの特区に指定するなど、様々な策が考えられるはずです。

元谷  先日仙台市の若林区に行ってきたのですが、高台がまったくないところで、建物も何も残っていませんでした。ここに鉄筋コンクリート造りの防災マンションが点在していれば、多くの人が逃げて助かったのではと思わずにはいられませんでした。今回の震災では津波で亡くなった人が多く、今後の対策としてより高い防潮堤を作るという動きがあります。ではどれだけの高さのものを作れば安全かといえば、この震災の経験から「自然のこと故にわからない」としかいいようがありません。
早川 これ以上の高さの津波は来ないという予測を遥かに上回ったのですから…。

元谷  しかし多くの犠牲者が出てしまったのは、すぐに逃げることができる高台がなかったからです。私は特別区画整理法を作って一旦国が区画整理を行い、鉄筋六階建以上の防災マンションを二〇〇メートル間隔で建設してはどうかと考えています。防災マンションのメリットは大きく二つあります。一つは地震の時、津波を目視してから走って建物に逃げ込めば、助かることができるということ。もう一つは点在する仮設住宅に地域の人々が別れて暮らすということなしに、コミュニティを維持したまま復興を行えるということです。六階建のマンションであれば十カ月あればできますから、仮設住宅よりも少し長く我慢すれば、長く住める家が手に入るのです。
早川 代表がアップルタウンにお書きになっていたその提言を私も読ませていただきました。東京の都民住宅に住んでいる被災者の方ともお話しましたが、皆さんできれば近所の人々と一緒に住みたいとおっしゃっていますね。

元谷  しかし結局そういう方向にはならず、防潮堤建設や地域住民が分散しての高台への移住に議論が終始しています。まさにこういうことこそ、政治主導で行うべきでしょう。超党派で野党にも呼びかければ、非常時だからやろうと多くの賛同者が集まるのではないでしょうか。
早川 なんとか代表のご期待に沿いたいと、私たち政治家も頑張っています。今の菅政権の震災対応には到底ついてはいけないと、民主党の当選五回以下の中堅・若手議員と自民党の一部の議員がタッグを組んで立ち上がり、「国難対処のために行動する『民主・自民』中堅若手議員連合」を立ち上げました。民主党からは樽床伸二さん、自民党からは菅義偉さん、河野太郎さんらを中心に、初会合には民主党からは八十七名、自民党からは二十二名と合計百九人もの国会議員が集まりました。今ほど決断力と覚悟を持ったリーダーが求められている時はありません。しかし今の日本のリーダーは、いつもぶれていて責任を取らない。リーダーとしての資質がないというのが、集まった皆の共通の思いだと感じます。

海外滞在によって愛国者となる日本人は多い

元谷  五月十日でアパグループは創業から四十周年を迎えます。早川さんも同い年だとか。
早川 その通りで、私も今年で四十歳です。何かのご縁を感じます。

元谷  そうですね。生まれも育ちも葛飾区と聞いていますが、どんなお子さんだったのですか?
早川 下町の中小企業の娘なのですが、ワルガキで(笑)。公立の小学校、中学校、そして高校も葛飾区の学校と、地元べったりの毎日を過ごしていました。高校生の時はバブル全盛期で、私もすごく遊んでいましたね。

元谷  ジュリアナ世代ですか?
早川 いいえ、もう少し前のマハラジャ世代です(笑)。でも高校卒業と同時に遊びも卒業かなと思ったのです。当時山口美江さんなど「バイリンガル」がもて囃されているのを見て、英語がかっこ良く思えたのでしょうね。そこでアメリカのカリフォルニア州立大学のサクラメント校に留学することに決めました。

元谷  アメリカでの学生生活はどうでしたか?
早川 在学中の一九八九年に中国で天安門事件があり、国を追われてアメリカに留学してきた中国人学生と知り合いました。あとベトナムからボートビープルとして逃げてきた学生もいました。彼らを見ていると、私の価値観が大きく変わりましたね。私には帰る国があり、勉強できる環境も当たり前のようにある。でも同じ世代なのに他の国の人々が、日本では想像もつかないような目にあっているのです。これをきっかけに、世界や政治のことを考えるようになりました。また日本の良さもわかって、愛国心が芽生えました。

元谷  海外に行くことで愛国者になる日本人は多いですね。中にいては見えないことが、外からだと見えてくるからでしょう。私も世界七十三カ国を訪問して各国の要人とディベートを行い、日本で教えられたり、報じられていることが世界基準には合わないということに気づきました。本当の日本は世界に冠たる誇れる国なのに、教育も報道も日本人の自信を失わせることばかりを行ってきました。これを変えるべく、「真の近現代史観」懸賞論文を二〇〇八年にスタート、また今年から勝兵塾という私塾を始めることにしました。過去三回の「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀藤誠志賞を獲得した田母神俊雄氏、竹田恒泰氏、佐波優子氏の三氏がこの塾の顧問です。早川さんにも早々にお申込をいただきましたが、一般の方からも塾生を募集しているところです。
早川 私は一期生ですよね。開塾を楽しみにしています。

海外からの観光客獲得に大キャラバン隊を結成せよ

元谷  早川さんは人生をエンジョイしながらも、しっかりと議員としての活動をしているという印象があります。早急に考えなければならないのは、震災からの復興策です。
早川 具体的には何をやればいいと思われますか?

元谷  観光立国を目指す日本が今真っ先にやるべき事は、これまで多くの人が観光で来日していた国々を、災害支援のお礼も兼ねて巡る大キャラバン隊を結成することではないでしょうか。太鼓や踊りなど郷土芸能を披露して日本の魅力をアピールする一方、放射能の値が問題がないことを示す資料で日本の旅行には何の不安もないことを説明するのです。こういったキャラバン隊は必ず現地のメディアに取り上げられ話題となり、「なら行ってみようか」と
いう人も出てくるはずです。ぜひ語学が堪能な早川さんには、その先頭に立って欲しいですね。
早川 わかりました。とてもいいアイデアだと思います。外国の方に来てもらって、お金を使っていただかないと、日本は今後国力が低下する一方ですから。

元谷  経済というのはお金が回るかどうかです。早急な経済復興のためには、特別国債を発行してそれを財源として建築業者などに資金を豊富に供給し、復興作業を加速化するのです。このお金が回って景気が回復すれば、税収が伸びていくはず。
早川  その通りでまず景気回復が先。増税などはもってのほかでしょう。

元谷  そうです。日本は局所的には被害を受けましたが、全体としてはまだまだ健全です。ここが堪えどころ、頑張りどころでしょう。
早川  はい、ピンチをチャンスに、です!

元谷  最後にいつも「若い人に一言」をお聞きしているのですが。
早川 東日本大震災で起こった悲惨な現実を多くの人に知って欲しいと思っている被災者の方々が、たくさんいらっしゃいました。教育の一環として、高校生を被災地のボランティアに派遣すれば…と思っています。私が留学でそうなったように、今高校生が被災地に行けば、間違いなく価値観が変わる思うのです。当時、私が他国からの留学生と出会って感じたように、同じ日本人である同世代の被災者に会えば、いかに自分が恵まれた環境にいるかがストレートにわかります。自分が今この時代にどんな使命を果たすために生を受けたのか、再確認できる良い機会になるはず。ひいては、これが日本が立ち上がるための原動力になるのです。

元谷 確かに頭が柔軟な若い人に、しっかりとこの震災からいろいろな吸収してもらい、将来の日本のために生かしていくのは大切ですね。
早川 日本人の価値観が大きく変わる時です。

元谷 今日は本当にありがとうございました。

早川久美子氏
1971(昭和46年)東京都葛飾区生まれ。共栄学園高等学校を卒業後、アメリカ・カルフォルニア州立大学サクラメント校経済学部に進学。卒業後もアメリカの通信会社に勤務し後に帰国。営業職として数社に勤務した後、2001年の葛飾区議会議員選挙にて初当選、2005年の同選挙ではトップで2期目の当選を果たす。さらに国政を目指し、2009年の衆議院議員選挙に出馬、見事初当選を果たした。

対談日:2011年5月15日