BIGTALK

今年を新しい
改憲議論の元年にする
Vol.324[2018年7月号]

衆議院議員 鬼木誠
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APAグループ代表 元谷外志雄

銀行員から県議会議員を経て国政入り。自民党の若きホープとして、今国会の目玉法案である働き方改革関連法案を練り上げた、自民党厚生労働部会の部会長代理を務める鬼木誠氏。改憲にも意欲的な鬼木氏に、今後の憲法改正の課題や情報謀略戦対策などをお聞きしました。

鬼木 誠氏

1972年福岡市生まれ。1995年九州大学法学部法律学科を卒業、西日本銀行(現:西日本シティ銀行)入社。2002年西日本銀行を退職、2003年福岡県議会議員選挙に初当選。以降県議会議員を3期10年務める。2012年衆議院議員選挙に初当選。現在3期目。

日本を守るために
自衛隊を軍と認めよ

元谷 ビッグトークへの登場、ありがとうございます。鬼木さんは勝兵塾にも何度も出席、またワインの会に来てもらったこともありました。私と同じ保守の考えをお持ちだということで、今回はビッグトークのお声掛けをしました。

鬼木 今日はよろしくお願いします。私は今、厚生労働部会の部会長代理をさせていただいています。午前中の厚生労働部会で働き方改革関連法案が了承され、自民党内での調整が終了しました。

元谷 ようやくという印象です。世界情勢を見れば、金正恩が突然中国を訪問して習近平に後ろ盾を依頼するなど、世界情勢が緊迫感を増しています。そんな中、日本の国会の動きは情けないと思うことが多い。鬼木さんはどう思いますか。

鬼木 仰る通り一日開催すれば三億円、四億円と経費の掛かる国会で、長きに亘って森友問題ばかりをやっています。他にやることがあるだろうというお叱りを受けるのは、もっともです。

元谷 安倍首相が憲法改正に本腰を入れようとしている今、どんなことでも安倍叩きに利用して改憲を阻止しようという、左派やメディアの動きが露骨です。確かに現状では衆参共に改憲勢力が三分の二を占めていますが、目指す改憲項目がバラバラです。安倍首相にしても本心は、二〇一二年に出した自民党の日本国憲法改正草案に沿って意見集約をしたいのでしょうが、まず公明党が同意しないのは明らかです。以前から「加憲」しか認めないと言う公明党に配慮して、第九条一項、二項はそのまま残し、新たに第九条の二を設ける方向で、自民党は憲法改正推進本部長の細田博之氏に対応を一任しました。私が思うに、これは二段階の改正になります。まず九条の二の新設で、不可能と思えた改憲が可能であることを示す。そしてさらに日本を真っ当な独立国家にすべきだという機運が高まったところで、もう一度改憲を行うのです。憲法改正の真のハードルは国会での発議ではなく、国民投票で過半数以上の賛意を得ること。この辺りを十分に理解した上で、本意は取り敢えず置いておき、今回の結論になったのではないかと考えています。

鬼木 仰る通りです。正論を言うならば、現行の第九条二項は削除して自衛権を明記し、さらに「軍」も明記して、その立場を明確にしなければならないのです。戦闘行為で他人を殺傷した場合の兵士の法的立場や捕虜になった時の身柄の保証、軍人の国際的な名誉のためにも、ここが非常に重要な点です。

元谷 その通り。「軍」として自衛のためには世界の他の国と同じ行動をとれるようにするべきなのです。今の自衛隊の武器使用基準は警察官と同じです。この基準では、基本的には正当防衛の場合しか武器は使えません。つまり先制攻撃ができないということです。例えば戦闘機同士の戦闘の場合、相手の攻撃を待っていれば、ほとんどの場合撃墜されてしまうでしょう。「撃たれたら撃ち返す」では戦争にならない。もし今日本が自衛戦争をすることになったら、自衛隊が普通の軍隊並に動けるよう、首相が超法規的措置を認めることになるでしょう。この措置は、間違いなく海外からは理解し難いものに映るはずです。

鬼木 また現行憲法は軍法会議を整えていないので、例えば戦闘中に人を殺傷した自衛隊員は、刑法にのっとって通常の裁判所で裁かれることになります。軍事もわからない裁判官の裁きを受けることが予想されれば、極限状態の中、自衛隊は国民を守れません。今の憲法で日本を本当に守ることができるのか。真剣な議論が必要です。そして最後は国民の多くが納得する改憲であるべきです。

対中強硬路線に転換した
トランプ大統領

元谷 北朝鮮危機はチャンスでしょう。このようなタイミングじゃないと改憲議論は盛り上がりません。実際、東アジアは今、戦争の危険性が世界一高い。日本の周辺国は中国、ロシア、北朝鮮、そして強いて言えばアメリカまで核保有国で、日本がその中でどのように立ち回れば平和と安全を維持していけるのか。考えれば考えるほど、非常に不安になります。この状態を逆に利用して、NATO四カ国がアメリカと結んでいるニュークリア・シェアリング協定を日本もアメリカと結び、日米共同でアメリカの核兵器を管理することで日本も核抑止力を持つようにするべきなのです。そのためにも憲法上の縛りではない非核三原則を廃止する国会決議を行う必要があります。憲法に自衛隊を明記するだけでは終わりません。戦後七十年間を掛けて安全保障のために日本が積み上げてきたことを、全てゼロベースで考え直す。そんな幅広い議論が必要とされているのです。

鬼木 全く同感です。

元谷 アメリカが今、共和党のトランプ政権だというのも、天の配剤で日本に好都合です。歴史的に見てアメリカの民主党政権は反日的ですから。またトランプ大統領は、当初外交上のアドバイスをヘンリー・キッシンジャー氏から受けていたのですが、最近方針変換しました。キッシンジャー氏は、一九七一年の中国の周恩来首相との会談で「日本の再軍備は伝統的米中関係が許さない」と発言したことでもわかる通り、反日親中です。今でも中国からコンサルタント料をもらっているといいます。トランプ大統領は今年に入って対中強硬派のランディ・シュライバー氏を国防省アジア担当に任命するなど、中国への姿勢を変えつつあります。アメリカが三月に打ち出した鉄鋼とアルミニウム製品の輸入制限は、中国を狙い撃ちしたものであるのは明らかです。しかし日本をこの措置の除外対象にしなかったのは、私は非常に不満です。トランプ大統領は安倍首相とも密接にコミュニケーションをとり、日米の連携は過去ないほどに緊密になったと見えていただけに、このアメリカの判断は期待外れですね。

鬼木 確かに。しかしまだ今後の交渉で変わると考えています。

元谷 鬼木さんは自民党厚生労働部会の部会長代理の他に、今どのような役職をしているのでしょうか。

鬼木 衆議院では国土交通委員会の理事を務めています。

元谷 海上保安庁も国交省の管轄です。法律の縛りもあると思いますが、尖閣諸島で海上保安庁の巡視船がもう少し中国への対処を厳しくしていれば、漁船に衝突されることもなかった。巡視船も最近新造船が増えてきて、古いものは東南アジア諸国に供与して、海上での中国包囲網の強化に役立てています。もちろん尖閣諸島の防衛には海上保安庁だけではなく、自衛隊の役割も重要です。陸上自衛隊にはアメリカの海兵隊にあたる水陸機動団が編成され、万が一島々が占領された場合に取り返す体制を整えています。本来仲が悪いはずの中国と北朝鮮なのに、金正恩と習近平の会談が日本の知らないうちに行われています。日本はさらに警戒を強めないと。

鬼木 仰る通りです。国境離島をいかにして守るかというのは海洋国日本にとって大変重要な課題です。私は衆議院法務委員会において「外国人の土地所有問題」について質問しました。海外では外国人による土地の所有や利用に必ず制限があるのに、日本では何の制限もありません。なぜそのような状況が続いているのかについて追及しました。離島の経済振興も含め、国境離島を守る努力が必要です。

既存のマスメディアを
「信じない人」が増加

鬼木 一つ報告があります。アメリカのテキサス州にある国立太平洋戦争博物館の岸田芳郎氏を以前元谷代表にご紹介したのですが、引き続き頑張って活動されています。博物館内の日本庭園のリニューアルを行い、その完成式典が四月三十日に行われるのですが、衆議院外務委員長の中山泰秀氏、参議院議員の青山繁晴氏、衆議院議員の原田義昭氏が出席する予定になっています。

元谷 太平洋戦争博物館の展示に「日本が中国から沖縄を奪った」という誤った解説があったのを、青山繁晴氏が直接館長に沖縄の歴史を語って、「中国から」という表記を削除することになったと聞きました。私もハワイの真珠湾にある太平洋航空博物館に、日本を初めて空襲し中国に逃れたアメリカのドゥーリットル隊の兵士を匿ったとして、日本軍が中国人二十五万人を殺したという虚構の歴史の解説文を見つけ、衆議院議員の秋葉賢也氏を通じて外務省に連絡、領事館から抗議をしたところ、表記が変わることになりました。日本語はちゃんと直してくれたのですが、英語の表現では二十五万のところが“countless”となっているのです。これでは日本軍が数えきれない中国人を殺したという意味になってしまい、また史実と異なります。これを領事館が認めると、日本国政府が認めたことになってしまうので、再度抗議をするように要請しました。日本からの抗議に日本語では修正するが、英語ではまた違う表現にする。ハワイですから訪問する人はほとんどアメリカ人で、英語の表記を見るのです。なぜこんな汚いやり方をするのか。それは中国から博物館に寄附金が入っているからです。中国は時間もお金も掛けて情報戦を行っていて、日本がかつて悪いことをしたと流布しています。日本も対抗するために、外務省とは別に情報省を作り、三千億円の予算と三千人の職員を擁するべきなのです。そして世界各国の報道をウォッチして、間違ったものがあればその国の言語で二十四時間以内に反論するのです。これを五、六年前から言っているのですが、全く実現しません。

鬼木 私も同じ考えなのですが、具体的にはなかなか難しいですね。

元谷 今はこういった監視体制がないために、三十万人が殺された南京大虐殺とか、二十万人が強制連行で性奴隷にされた従軍慰安婦などという話が史実のように流れているのです。南京大虐殺はなかったと書いた私の著書が発端となった昨年一月のアパホテルの書籍問題の時には、本に間違いがあれば是非指摘して欲しいという私の呼びかけに対して、中国政府は何も言いませんでした。これでもう、中国は南京大虐殺カードを公には使えなくなりました。次に中国が持ち出すのはドゥーリットル隊に絡む中国人二十五万人虐殺かもしれず、その芽を摘むべく今回は抗議をしたのです。現代の戦争は戦火を交えるのではなく、サイバー戦や情報謀略戦が主体になっています。国際世論を自国に有利に誘導するのも、その一環です。日本もこの戦いに備えていかないと。昨年韓国では映画「軍艦島」が公開されましたが、このように慰安婦強制連行の次には徴用工強制連行が虚構の歴史として持ち出されてくるでしょう。日本が映画に抗議すると、これは映画であって事実ではないと逃げるのですが、悪質な印象操作です。

鬼木 こういったことは次々と出てきますね。

元谷 これまで日本も油断をしていて、いちいち抗議をしなかったのです。また日本では教育が間違いを教え、マスメディアがまた間違いを報じるので、人々が間違ったことを正しいと思い込む時代が続いてきました。しかしこの「報道は正しい」という意識は、ツイッターによって既存のマスメディアをフェイクニュースと断じるトランプ大統領と、インターネットの登場で、かなり変わってきたのではないでしょうか。素直にテレビや新聞の報道を信じない人々が、日本でも増えてきているように感じます。

鬼木 私も同感です。若い世代を中心に、国民の情報リテラシーは向上していると思います。

元谷 こんな状況の下、国会議員の仕事は世界からの貶めようとする動きから日本を守ることです。例えば国連に対して日本は多くの分担金を支払っていますが、日本人の国連職員は少ない。だから日本に不都合なことばかり決められてしまうのです。

鬼木 はい、そうですね…。

元谷 さらに戦後日本では東大法学部卒業者からなる「ステルス複合体」と呼ばれる人々が、官界、政界、財界のみならず、法曹界やメディアまでも牛耳ってきたのです。この大元は、終戦直後にアメリカ占領軍の手先として検閲官をしていた人々です。戦前戦中の黒塗りの対応とは異なり、GHQは検閲の証拠を残さないために書き直しを求めました。また戦前戦中の不都合な出版物を没収する焚書を行ったり、郵便物の私信までも開封してチェックしたりしたことが明らかになっています。これらを占領軍の片棒を担いで行った検閲官達は、サンフランシスコ講和条約後も売国奴として批判されないように戦後敗戦利得者となり、東大法学部を中心とする偏差値エリート層を使ってアメリカの意に沿った日本の間接統治を行ってきたのです。GHQが定めた新聞編集綱領であるプレスコードが今でも自主規制として守られているのは、その一つの例でしょう。日本はこの状況から早く脱しなければならない。そのために私は公益財団法人アパ日本再興財団を作り、「真の近現代史観」懸賞論文や勝兵塾、そして新設した「アパ日本再興大賞」といった活動によって、真の歴史観を日本に定着させようとしているのです。

鬼木 私もその活動に全面的に賛同しています。

交通事故の本当の原因は
道路の設計にある

元谷 またこの動きが成果を上げるためにも、安倍首相はこの秋の総裁選で三選を果たし、三期九年の任期をしっかり務めて欲しい。十年前に「真の近現代史観」懸賞論文を始めた時には、自民党も左がかっていました。ですから「日本はいい国」だという論文で最優秀藤誠志賞を獲得した、現役の航空幕僚長だった田母神俊雄氏を政府は、日本は中国大陸などに侵略した悪い国家だったと言うのが公式見解でありそれに反するという理由で更迭しました。軍のトップが日本は悪い国だが、それを守るために命を賭けろと部下に言えるわけがないでしょう。この時が自民党が一番左だった時で、だから二〇〇九年の総選挙で自民党は敗れて下野したのです。その後三年三ヵ月の間の民主党政権による混乱を経て安倍政権が誕生したのですが、あのタイミングで政権交代が起こっていなければ、日本はどこまで落ちていたか想像ができません。まず株価や失業率などが著しく改善してきていて、日本は今好景気です。なのにメディアがそのように報じないので、誤解している国民が多いのではないでしょうか。

鬼木 その好景気の一翼を担っているのは、躍進が続くアパグループでしょう。

元谷 日本は観光大国化しようとしています。二十年前には四百万人ほどだった訪日外国人旅行者が、二〇一七年には二千八百六十九万人となっています。政府の目標は二〇二〇年には四千万人、二〇三〇年には六千万人ですから、観光事業はまだまだ伸びるでしょう。

鬼木 観光庁も国交省の管轄ですから、私もこの動向には注目しています。

元谷 国交省も訪日外国人旅行者向けの標識などへのインフラ投資をもっと増やすべき。また信号も、あと何秒で変わるという具体的時間を入れた方がいいでしょう。また車用の信号の位置が高すぎて、歩行者と同時に認識することができず危険です。ヨーロッパでは、車用の信号は縦型でもっと低い位置にあり、私は車が好きで、世界中いろいろな国で実際に運転しているからわかるのです。

鬼木 なるほど。

元谷 日本の道路には他にも不満があります。特に問題があるのはガードレールです。日本のカードレールは車から周囲の建物を守る機能はありますが、肝心の車に乗っている人を守る設計にはなっていません。乗車している人にとって最も安全でしかも安価なのは、コンクリートブロックを道路沿いに並べることです。これであれば、四五度以下の角度で衝突した場合は、ブロック沿いに車が滑ることで衝撃を吸収するので、搭乗者へのダメージがかなり抑えられるのです。ところが日本のガードレールはほとんど支柱とワイヤーか、支柱と鉄板で作られていて、途切れている場合もあります。二〇一二年には関越自動車道で、居眠り運転のバスがガードレールが途切れているところから防音壁に突き刺さり、七名が亡くなるという事故も起きています。また二〇〇六年に福岡海の中道大橋で飲酒運転の車に追突された車が海に落下、三人の子供が溺死した事故ですが、これは道路の左右でガードレールの強度が異なったことが原因です。車道側のガードレールは車を止めるほど高い強度で作られていたのですが、歩道側のガードレールは人がぶつかっても落下しないための強度でした。だから歩道を乗り越えて歩道側のガードレールに衝突した車が、海に落ちてしまったのです。同様の事故はアパグループの金沢本社の前の橋で二回あり、三人が亡くなっています。車輪の半径よりも車道と歩道の段差が大きければ車が歩道に乗り上げることはあまりありませんが、車輪が大きかったり、雪などで段差が無くなったりしている場合には、こういった事故が発生するのです。これらの事故の責任は、道路を管理している役所にもあるはずです。しかし裁判ではそのことは問題にならずに官僚を守り、運転者のみが悪いことになります。メディアの報道も同じです。

鬼木 福岡の事故はよく覚えています。

元谷 ではなぜガードレールの設計を変えないのか。その理由は、変えると既存受注業者の仕事がなくなるからです。誰のための道路行政なのかと言いたくなります。事故が起こったのであれば、原因を徹底的に究明して改善改良を行わないと、進化はありません。アパホテルは常にそうしていて、新しいホテルは必ずどこかが既存ホテルよりも進化しているのです。

鬼木 私も福岡の事故のことをもう一度詳しく調べてみます。

元谷 是非そうしてください。自動ブレーキなど車の安全装備がどんどん進化しているために、交通事故の件数自体は減少しています。しかし事故原因を徹底的に調べれば、日本ではガードレールが原因の事故が年間千件以上は発生しているでしょう。国土交通委員会の一員としてこういう視点も持ち、国交省を指導して、正しい事故原因を突き止めて欲しいのです。そうすることは、事故で亡くなった方の家族だけではなく、罪を犯した人にも救いになるでしょう。

鬼木 確かに仰る通りです。

元谷 最後にいつも「若い人に一言」をお聞きしているのですが。

鬼木 戦後七十三年が経過し、日本という国をどうすれば自分達で守ることができるのかという話が、やっとできる環境が整ってきました。この話を踏まえて、どういう憲法であるべきかを皆で考えて議論する。若い人達の参加も得て、改憲議論の新しい一歩を踏み出す年にしていきたいですね。

元谷 まずは自衛隊を憲法が認める組織にすることが最初のステップなのですが、そこで終わってはいけません。さらに「軍」としてしっかり日本を守ることができる組織にする。そこを目指してお互い頑張っていきましょう。今日はありがとうございました。

鬼木 ありがとうございました。

対談日 2018年3月29日