BIGTALK

戦後レジームからの
脱却がようやく始まった

内閣総理大臣補佐官 参議院議員 衛藤晟一
×
APAグループ代表 元谷外志雄

市議会議員からの叩き上げで国政に携わって二十七年、第二次安倍政権発足時から内閣総理大臣補佐官として首相を支えてきた参議院議員の衛藤晟一氏。学生時代から参議院議員の今まで保守の思想を貫き、日本の国益のために奔走する氏に、情報謀略戦が激しくなる一方の世界の中での日本の戦略についてお聞きしました。
衛藤 晟一氏

1947年大分県生まれ。1970年大分大学経済学部卒業。1973年大分市議会議員に最年少で当選。その後大分県議会議員を経て、1990年衆議院議員に初当選、その後4期務める。2007年参議院議員選挙に当選、現在2期目。第二次安倍政権発足時から内閣総理大臣補佐官を務める。

靖国と千鳥ヶ淵の違いを
アメリカに理解してもらう

元谷 今日はビッグトークへの登場、ありがとうございます。最近はワインの会にも勝兵塾にも参加してもらっていますが、衛藤さんのことを知れば知るほど素晴らしい政治家だという思いを新たにしています。学生の時からの信念を今でも貫かれている。勝兵塾のお話で中国の三つの外交方針を、贖罪意識を日本に植え付け、日本に謝罪をさせ、更に日本人が自分で考えられないようにすることと明確に主張したのが、非常に印象的でした。物事の本質を理解している人だと感じましたね。

衛藤 ありがとうございます。今日はよろしくお願いします。

元谷 二〇一三年十二月の安倍首相の靖国神社参拝の際に、駐日アメリカ大使館が「失望している」とコメントを出したのに対して、衛藤さんは「むしろ我々の方が失望した」という声明を出しました。あの意図は何だったのでしょうか。

衛藤 靖国神社というのは、日本という国の命令で亡くなられた軍人や軍属をお祀りしているところですから、首相が参拝するのは当たり前です。参拝して平和を祈念し、改めて亡くなられた方々に感謝の誠を捧げ、日本の加護をお願いするのです。A級戦犯が靖国神社に合祀されていることを理由に、中国が首相の参拝を批判していますが、これは日本の内政であって中国が干渉すべき問題ではありません。しかし日本の立場は弱かった。第一次政権では靖国神社参拝を果たせなかった安倍首相は、再び政権を担うようになった二〇一二年十二月から翌年に掛けて、いつ行くかの検討を真剣に行いました。三年の任期の中で国内や外遊のスケジュールと合わせて考えると、二〇一三年の暮から年明けしかない。そこに向けて、アメリカの様々な要人にお会いして、参拝に対する理解を求めました。何人かの方は中国の反応を心配されていましたが、首相の強い意志を伝えると、慎重にやってくれればいいという返事でした。その際、参拝してもアメリカは賛意を示すか沈黙するかをお願いして、了承を得ていたのです。それを軽い気持ちだったのかもしれませんが、駐日アメリカ大使館が「失望」という言葉を使ったので、話が違うという意味も込めて発言したのです。

元谷 根回しを台無しにするアメリカに失望したのですね。この時、アメリカはオバマ大統領の民主党政権でした。歴史的に見れば、日本にとっては共和党政権の方がいい。私は早くから共和党のトランプ大統領の誕生を予言していましたが、もし民主党のクリントン氏が大統領になっていれば、日本にとってはより厳しい状況が待っていたと思います。今は正に歴史の変わり目で、第一次政権時に安倍首相がよく口にしていた戦後レジームからの脱却が、ようやく始まったのではないでしょうか。

衛藤 その通りです。ですからアメリカの現政権には、安倍政権の意志をしっかり理解してもらわなければならない。アメリカのアーリントン墓地に当たるものは日本では靖国神社なのであって、千鳥ヶ淵戦没者墓苑は遺族にお引き渡しができなかった無縁戦士の遺骨をしっかりとお祀りしようという施設です。ですから千鳥ヶ淵は、戦没者全員のための施設ではありません。しかし二〇一三年に来日したアメリカのケリー国務長官とヘーゲル国防長官は、千鳥ヶ淵戦没者墓苑を訪れて献花を行いましたが、靖国神社には行きませんでした。彼らはこの二つの施設の意味を理解していないのです。トランプ政権には是非理解していただき、靖国神社にも参拝して欲しいと思っています。

元谷 二〇〇二年に来日したブッシュ大統領は、当時の小泉首相に一緒に靖国神社に参拝しようと申し入れたのですが、小泉政権や外務省は中国を慮ってそれを断ったのです。もし一緒に参拝していれば、その後の中韓の態度がどう変化したかを考えると、大きな判断ミスだと思います。

衛藤 自民党政権も中国との関係だけを重視して、そのような判断を下していました。第二次安倍政権では安倍首相がきちんと判断できるように、様々な角度から情報を収集して首相に示しています。トランプ大統領から靖国神社参拝の誘いがあれば、安倍首相は喜んで一緒に行くでしょう。

「書籍の撤去は行わない」に
多くの人々の支持が集まる

元谷 中韓はアメリカの威を借りて日本を攻めてきます。先の大戦に関しても、日本はきちんとした総括を行うべきでしょう。今年一月、南京大虐殺はなかったと書いた私の書籍についてネット動画の投稿が行われ、中国で大騒ぎになりました。中国政府の批判を受けても、私は客室からこの書籍を一切撤去しませんでした。私のスタンスに保守は連帯し、何万通もの支援のメールが届き、多くの人が応援宿泊をしてくださって、以来アパホテルは売上の最高記録を更新し続けています。

衛藤 凄いですね。

元谷 六月二日に開催した私の新刊書出版の記者会見で、今年開催された札幌でのアジア大会と二〇二〇年の東京オリンピックでの書籍に関する対応について、質問がありました。アジア大会ではこの騒動が起こる前からアパホテル&リゾート〈札幌〉を全館アジア大会側が借り上げる契約ができており、その条件として情報物撤去が最初から決められていました。その契約条件に従ってアジア大会時には書籍を撤去したのですが、東京オリンピックの時には撤去するつもりはないと答えました。記者会見のこのやり取りの二時間後にはロイター通信発の記事として、世界中に配信されました。ネットのYahoo!ニュースにも掲載され、約三千八百のコメントがついたのですが、その九五%が「撤去しなくてもなんら問題がない。アパホテル頑張れ!」というものでした。

衛藤 それは素晴らしいですね。

元谷 このロイターの質問の背景には誤報があるのです。アジア大会で事前の契約に従って書籍を撤去したことを、中国の新華社は中国や韓国からの抗議に応える形で撤去したと嘘の報道を行い、朝日新聞もその新華社の報道を引用して報じたのです。本来であれば朝日新聞はアパホテルに真偽を尋ねてから報じるべきでしょう。自分達の思うように世論を誘導していこうというメディアの印象操作は相変わらずです。トランプ大統領が既存メディアをフェイクニュース(嘘のニュース)と決めつけるのも、一部は理解できます。ドイツではSNSのフェイクニュースを規制する法律を作ろうとしています。日本もメディアやSNS利用者が流すフェイクニュースをどこかの機関がチェックして、規制する必要があるのではないでしょうか。

衛藤 難しい問題です。ある機関がチェックするとなると、公平性を担保しなければならない。公開の場で判断する仕組みを作るという手はあるかもしれません。罰を与えるかどうか以外にも、嘘で毀損された真実をどうやって正すか、措置を考える必要があると思います。朝日新聞は吉田清治の証言に基づく従軍慰安婦の報道を取り消し、謝罪をしました。しかし本当に悪かったと思うのであれば、誤報を流したことをどうやって償うのかを具体的に示す必要があるでしょう。

元谷 全社を挙げて被害回復の姿勢を見せるべきです。世界最大の反日勢力は反日日本人なのですが、彼らが反日メディアを支持しています。中国や韓国がどれだけ日本を攻撃しようと日本人が結束していれば問題にもならないのに、反日メディアのために事態が悪化するのです。そもそも反日日本人や反日メディアが生まれたのは、日本を占領したアメリカが広島・長崎の原爆投下を将来責められないように、日本人を自虐的な方向へ徹底的に洗脳したからです。また南京大虐殺や慰安婦の強制連行が存在しないことも、その当時の調査や情報収集によってアメリカはわかっているはず。しかし歴史問題で日本の味方をしないのは、原爆投下の罪悪感故に、日本をさらに悪い国にする必要を感じているからです。日本がやるべきことは、ソ連の世界赤化と第三次世界大戦を防いだという原爆投下の正の側面を認めて、アメリカを原爆投下の罪悪感の呪縛から解放してあげることではないでしょうか。

衛藤 確かに仰る通りだと思います。第二次世界大戦のそもそも論を言えば、西側諸国は選択を誤ったのです。ヨーロッパ戦線でイギリスやフランスは、ドイツやイタリアを叩くためにソ連と手を組んだ。結局これがソ連に力を与え冷戦に繋がってしまった。アジアでは同じことを繰り返さないために、日本には原爆を投下してソ連抜きで戦争を終結させたのです。また完成していたとしても、西欧人の感覚として、ドイツには原爆投下は行わなかったでしょう。

元谷 日清戦争、日露戦争で世界の白人支配に風穴を開けてきた日本に、アメリカは脅威を感じ始めていました。そもそもペリーの黒船以来、アメリカには日本を屈服させたいという思いがありました。だから先の大戦後に戦艦ミズーリ号の上で行われた降伏文書の調印式の場に、ペリーが乗っていたサスケハナ号の国旗が飾られていたのは念願叶ったという証なのでしょう。アメリカは遠大な計画の下、白人国家への挑戦者だった日本を最終的には原爆を使って屈服させたのです。

慰安婦問題について
外務省の反論準備が整った

衛藤 日本側のアメリカ理解も足りなかった。日露戦争後、まだ太平洋艦隊を持っていなかったアメリカが日本を脅威に感じたのは確かでしょう。だからハリマンを通して日本に南満州鉄道の共同経営を提案し、日米が連携して北の脅威に対抗することで日本との強固な関係を築こうとしたのです。桂太郎首相が認めたこの共同経営を外務大臣の小村寿太郎がひっくり返したことで、日米関係にひびが入ります。アメリカの意図をもっと知るべきでした。

元谷 これはメディアの問題でもあります。日清戦争では多額の賠償金や台湾などの領土を得たのに、日露戦争では戦利品が少ない。これを新聞が批判、国民を煽った結果、日比谷焼打事件などが起こっています。そんな情勢の中、せっかく獲得した南満州鉄道の利権をアメリカと分け合うとすれば、新聞と国民から強い抵抗があるのは明らかで、これを小村寿太郎は恐れたのでしょう。ただ結果アメリカとユダヤ資本を敵に回すことになり、その後のアメリカの対日作戦であるオレンジ計画、そして日米開戦へと繋がっていきます。

衛藤 さらに言えば、日本はもっと広い視野も持つべきでした。当時、日英同盟を結んでいたイギリスにとって、日露戦争は大国ロシアの軍隊を東側に釘付けにするのに打ってつけだったのです。

元谷 そうですね。自国への圧力を、同盟を利用して日本に振り分けるのは、老練なイギリスらしいやり方でしょう。先の大戦ではヒトラーがモスクワに迫りますが、ゾルゲの報告で日本は北進しないとわかったソ連は、シベリアにいた冬装備の軍隊を西に移し、ヒトラーを破ります。日本がもっとソ連を東側に引きつけていれば、ドイツがモスクワを攻略できたかもしれません。情報戦の重要さを示す史実だと思います。

衛藤 その通りです。

元谷 日本は常に情報戦で負けてきました。先の大戦でも外交暗号と海軍の暗号を全てアメリカに解読されていて、真珠湾攻撃も察知され、空母と新鋭艦は真珠湾を離れていました。今も情報面での備えが弱く、サイバー戦力では北朝鮮にも負けているでしょう。私は三千億円の予算で三千人の人員を擁する情報省を作り、サイバー戦はもちろんのこと、情報収集や解析、そして間違った報道への反論などを一手に委ねることを、前々から提案しているのです。また他国同様にサイバー戦に備えて小さい子供の時から才能ある要員をリクルートして、英才教育を行うことも必要かもしれません。

衛藤 仰る通り、情報戦略の強化は必要です。敗戦国である日本に反日日本人が多いのは確かで、従軍慰安婦問題も日本から始まったことです。しかし中国や韓国の団体にせっつかれて、二〇〇〇〜二〇〇七年、三〇億円を掛けてアメリカが行った女性虐待の調査の中で、強制連行や性奴隷の事実がなかったことがはっきりしているのです。第二次安倍政権の四年半で、外務省はこの事実を前提として主張する体制を整えてきました。これは過去を見ると、非常に画期的なことです。

元谷 二〇一五年の日韓合意は不可逆なものと言われていましたが、日本側は基金に資金を提供したのに、韓国の新しい政権は約束を守らず反古にしそうです。慰安婦像もソウルだけではなく釜山にも建てられ、さらに世界中に拡散しています。

衛藤 歴史的な調査など周到に完全な準備を外務省で行った上での不可逆的な合意ですから、文在寅政権も疎かにはできません。またアメリカやオーストラリアでの慰安婦像設置運動を一つずつ丁寧に潰しているところです。

元谷 もっと資金を使ってアピールしてもいいのではないでしょうか。中国など他国の方がプロパガンダにもっと予算を投入し、国連など国際機関がそれらの国の主張を丸飲みしています。日本は相変わらずアメリカに次いで二番目に多額の国連分担金を支払っているのに、国連の日本人職員が少ない。もっと人を送り込んで、真っ当な影響力を行使できるようにするべきです。現状の国連では一部の反日日本人の方が影響力を持っています。

衛藤 その実態を政権も外務省もようやく理解するようになってきました。

朝日新聞は反日を止めて
冷静な報道に徹するべき

元谷 自民党の党則が改正になって、安倍首相が三期九年在任することが可能になりました。今でも安倍首相は、G七の首脳の中でもドイツのメルケル首相に次いで古参となり、経験豊かな国際政治家としてのポジションを得、影響力も増しています。いよいよ本当に、戦後レジームからの脱却を図る時が来たのではないでしょうか。そのためにも日本はアメリカの原爆投下の意義を認めないと。さらに本来であればサンフランシスコ講和条約によって独立を回復した時に行わなければならなかった、憲法改正やプレスコードの撤廃に着手すべきです。特に憲法改正は、今の安倍政権で行わないと百年できない。安倍首相が五月三日に表明した憲法九条の一項、二項はそのままで、自衛隊を認める三項を加えるなどの改憲を二〇二〇年までに行うという方針に、私は賛同しています。しかし自衛隊を認めるにせよ、今のような警察と同じ行動基準では意味がない。認めるのであれば、自衛隊は防衛のための「戦力」としなければならないし、防衛のための「交戦権」も認めるべきでしょう。そうすれば一般の軍隊のように軍法会議の開催も可能になり、自衛隊員の行動の法的位置が明確になります。今のままでは例えばPKOで自衛隊員が任務で誰かを殺した場合、日本で殺人罪に問われる可能性があるのです。逆に防衛のための戦力と交戦権を認めない改憲になると、今の曖昧な解釈が固定することになり、日本が真っ当な国になる道筋が遠のくと危惧しています。

衛藤 憲法改正問題は、首相補佐官としては、少しコメントしづらい話題です。

元谷 また日本の安全保障のためには、先程お話した情報戦やサイバー戦対策ばかりではなく、盾ばかりではなく鉾も持てるように、抑止力として攻撃力も持てるようにするべきでしょう。経済力のない北朝鮮でも核兵器を持ち、サイバー部隊を備えているのですから、世界第三位の経済力を持つ日本はもっと安全保障に力を入れて、東アジアの平和と安定に貢献するべきです。それができるのが安倍政権です。衛藤さんの益々の活躍を期待しています。

衛藤 わかりました。しかし、日本は敗戦国家なのだとしみじみ思うことが多いですね。先程お話したように西側諸国は第二次世界大戦でソ連と組むことで冷戦を引き起こし、大きな犠牲を払うことになりました。ヨーロッパにおける冷戦がアジアに飛び火したのが、一九四九年の中華人民共和国の誕生であり、一九四八年の朝鮮半島の南北分離独立による朝鮮民主主義人民共和国の誕生でしょう。一九五〇年からの朝鮮戦争を戦うことによって、マッカーサーは日本が北からの脅威に対して自衛のために戦っていたことが理解できたのではないでしょうか。ここからアメリカは安全保障に関して占領政策を変更することになります。とにかく戦後、混乱がずっと日本を支配してきました。第二次世界大戦の最中、反米を掲げて日本国民を一番戦争へと煽ったのは朝日新聞でしたが、戦後引き続き反米スタンスで原爆使用を批判する鳩山一郎のインタビューを掲載したところ、GHQから二日間の発禁処分を受けます。これで反米の表看板を下ろすのですが、本心ではまだ反米が燻っていて、それが反日へと働いていき、今の朝日新聞になっています。せめて反日は撤回して冷静な報道をして欲しいですね。

元谷 森友学園や加計学園報道を見ていると、本当にそう感じます。

衛藤 中国でもアメリカでも、その他ヨーロッパでもどの国でも、国家戦略として国益のためにプロパガンダを行います。これまで日本はそれらに惑わされ過ぎていました。従軍慰安婦や徴用工、南京大虐殺、靖国神社参拝など一つひとつ整理して、事実を持って反論すべきは反論していこうと。相手の国の利害を見極めた上で、的確な対応を行う体制が整ってきました。

元谷 政治家が迂闊に反論するわけにはいきませんが、役所ならできます。だから先程私が言及したような情報省のような組織が必要になるのです。情報戦に加えてリアルな抑止力を持つために、自衛隊を戦力にすべく憲法を改正し、NATO四カ国が便益を受けているニュークリア・シェアリングを日本にも導入するのです。

衛藤 戦後七十年、もうここで戦後体制を克服して、日本が自立した国家にならないと。安倍政権の今がチャンスであり、ここでできないといつまでもできないでしょう。責任を果たさなければならないと感じています。

元谷 キャリア十分の衛藤さんが補佐官であれば、きっと実現するかと。私もできる限りのサポートをしますし、期待しています。今日はありがとうございました。