BIGTALK

国際情報発信には「戦略性」が必要。
〜国際通信社やマーケティング会社も活用できないか〜

衆議院議員 原田義昭
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APAグループ代表 元谷外志雄

のちに外務省の公式サイトに掲載された、尖閣諸島が日本の領土であることを示す中国編纂の地図を国会で公表するなどの活躍ぶりが目立つ衆議院議員の原田義昭氏。委員長を務める自民党の国際情報検討委員会が新たな国際放送の創立を検討するなど、情報発信の整備に意欲を燃やす原田氏に、日本のこれからの世界に向けての情報戦略についてお聞きしました。
原田 義昭氏

1944年福岡県生まれ。1968年東京大学法学部卒業、1969年新日本製鐵株式会社入社。1970年通商産業省入省。1990年衆議院議員に初当選(現在7期目)、厚生政務次官、文部科学副大臣、財務金融委員長、外務委員長などを歴任。現在自民党、外交・経済連携本部幹事長、衆議院予算委員会理事、弁護士。

「正しければ理解される」は日本人のみが抱く幻想だ

元谷 本日はビッグトークにご登場いただき、ありがとうございます。頻繁にお会いしているのに、まだやっていなかったというのが意外でした。原田さんは国会などでの活躍ぶりが素晴らしく、特に最近では一九六九年に中国が発行した地図に、尖閣諸島が中国名ではなく日本名の「尖閣群島」「魚釣島」と記載されていることを指摘、国境線も明示しており、この時まで中国は尖閣諸島が日本の領土だということをはっきりと認めていました。そのことを毛沢東主席が裏書までしている。外務省もこの地図を公式サイトに掲載しました。地図の存在を指摘したのは、国会でしたでしょうか。

原田 衆議院の予算委員会でとりあげました。最もインパクトがあると考えたからです。

元谷 よくこんな地図が手に入りましたね。

原田 私はいろいろなルートを持っています。公表直後には中国から「日本の捏造だ」という声も聞かれましたが、その後中国側の主張は、尖閣諸島が中国領であるという逆の証拠が「百も千もある」という言い方に変わっています。この尖閣諸島の問題をはじめとする日本と中国、そして日本と韓国などの問題は、国際社会にアピールして第三国、国際社会に理解してもらうことが大切です。そのために、私は片山さつき議員らと一緒に外国人特派員協会で記者会見を行い、この地図の存在を大々的にアピールしました。

元谷 それは素晴らしい。

原田 日本の情報戦略には数多くの問題がありますが、まず日本人はおとなし過ぎる。遠慮し過ぎる。堂々と闘う気概を発信しなければならない。

元谷 全く同感です。さらに日本の場合、中国や韓国との問題をこちらから持ち出していることが多い。従軍慰安婦の問題を吉田証言に基いて報道したり、文部省の高校歴史教科書検定において、日本軍の支那華北地方への「侵略」という記述が「進出」に書き換えられたという誤報報道を行ったりした。これらは朝日新聞のキャンペーンによって、いずれも国際問題化しています。

原田 反日メディアの問題です。

元谷 その通りです。メディアも反日ですし、外務省も反日です。ですから外務省とは別に予算三千億円で三千人の職員を擁する情報省を新設し、世界中のメディアをウォッチして、事実と異なる報道には二十四時間以内にその国の言葉で反論を発表する体制を作るべきです。正しければいずれ皆が理解してくれるというのは、国際社会では通用しません。歴史は勝者が作る。強い人が主張することが真実となるのが、国際社会の常識なのです。

原田 元谷代表は以前から情報戦略の重要性を指摘されていましたが、私も全く同じ思いです。同じ問題意識で私は自民党内で「国際情報検討委員会」設立を提案し当初から委員長を務めています。多くの真面目な日本人が考えるように、正しいことを言っても必ずその通りに伝わるわけではなく、むしろ正しく伝わらないことこそが問題です。「情報戦略」というのは、「広報」を補佐するもので「プロパガンダ(政治宣伝)」とは断じて異なるものです。伝えたいことをどうやって人々に正しく伝えるか。これは広報予算だけがいくらあっても駄目です。慰安婦について、日本政府がこれだけ発信しても、韓国・中国はもちろんアメリカやオーストラリアでも正しく受け取られていません。日本の側に努力も工夫も足りません。

元谷 私は世界八十一カ国を訪問して、各国の有力者と対話を行ってきました。どの国の人も、中国や韓国が主張することは嘘であり、それを彼ら自身もわかっていながら国益のために主張を続けているということを知っています。国家間の武力による争いが違法化された今、戦いは情報戦、言論戦に変わってきているのです。新しい戦いに対して、「情報省」といった体制をまず整えないと、日本はやられっぱなしです。

原田 その通りです。日本の主張を正しく、正確に伝えるには、まじめさのほかに「戦略」が必要です。

元谷 日本のマスメディアの問題も大きい。テレビも新聞も何かあれば、全く同じ意見一色になります。産経新聞が一紙のみ頑張っていますが、如何せん部数が少ない。中立だと思われているNHKや日本経済新聞も、偏向から自由ではありません。特に日経は中国への依存を強めている財界の影響を強く受けています。さらに中国の悪口を許さない日中記者交換協定が効力を維持しています。成功したほんの一握りの中国進出企業のことばかりを報じ、大多数の日本企業が工場や機械などを置いたまま中国からの撤退を余儀なくされ、さらに罰金まで課されていることを、メディアは報じないのです。

若く活力に溢れるインド日印関係はもっと緊密に

原田 しかしその中国に経済的な危機、矛盾が表面化してきました。

元谷 中国のように官需中心で経済を支えるのは、無理があります。七〜八%という経済成長率の数字自体、非常に疑わしい。すでに多くの日本企業がベトナムやカンボジア、ミャンマーなどに進出先を変えています。

原田 冷静に状況を見て、判断することが必要です。「チャイナ・プラス・ワン」という言葉がはやっています。中国の他にあと一国とつきあうことが必要という意味です。

元谷 先日私はインドに行ってきました。今のインドはとても親日的です。道路交通・運輸大臣や観光大臣など要人ともお会いしたのですが、中国に対して行ったようなODAなどの経済援助を日本がインドに対して行っていれば、インドはもっと経済発展したはずだと彼らは言うのです。それは当たっているかもしれませんが、冷戦時代、反ソ連でアメリカと連携していた中国に対し、インドはソ連と手を結んでいると考えられていました。また核兵器を保有したことで、経済制裁も受けていました。アメリカから東側の一員と看做されてきたことで、日本も援助が難しかった。しかし今はそういう制約はありません。インド人は平均年齢も若く、エネルギッシュです。これから日本の財界はもっとインドに目を向けるべきだと思いました。

原田 圧倒的な人口と勤勉性。インドは我が国にとって極めて重要です。確かに冷戦時はソ連寄りでしたが、これから我が国はもっとインドと絆を強めていくべきでしょう。中国ですが、あの国の政治と経済の関係は特別です。資本主義経済を導入してアメリカに迫る経済大国となっていますが、政治体制は共産党一党独裁のまま。いわば、政治体制を維持するために経済があるという状態なのです。しかし、経済は最後はボーダーレスで市場(マーケット)が支配します。中国とてこの摂理を覆すことは出来ません。AIIB(アジアインフラ投資銀行)構想なども前途は多難です。

元谷 その通りです。そして何よりも政治体制の維持が優先です。中国や韓国の対日批判も基本的には、政治体制維持のために外に敵を作るという、国内問題の解決策なのです。中国国内の反日デモも全て官製デモですから。習近平主席は、権力を確立するために反腐敗運動を続けてきましたが、ようやく軍まで掌握することができました。それを踏まえての九月三日の抗日戦争勝利七十年記念式典の軍事パレードだったのでしょう。抗日戦争勝利と言いますが、日本は中国共産党と戦ったわけではありません。これまで中国は建国記念のパレードを十年単位で行っていたのですが、建国七十周年の二〇一九年まで待てなかった。ここで是が非でも国威を発揚しなければならないほど、中国経済が今大変な状況になってしまったということなのでしょう。また原田さんが尖閣諸島の地図を示してから、中国の態度が変わったように思えます。

原田 素直に変わったとも思えないのですが(笑)。百も千も証拠があるというのなら見せろと、自民党名義で中国共産党に質問状を送ったのですが、反応がありません。中国は偽地図を作るのが上手いですから、臆面もなくそういうものをネットでばらまいてくるかもしれません。だから第三国の人々が騙されるのです。情報は質であり量です。中国は党丸抱えでメディア発信を行っていますが、日本のメディアは表現の自由が保証されています。別途予算を作って、情報発信をする必要があります。

元谷 世界中が嘘だと思っていることを中韓が強弁する背景には、アメリカの存在があります。アメリカが原爆投下によって人類に対する罪を犯しました。無警告で何十万人もの民間人を殺戮するなど、ヒトラーでも行わなかったことです。戦後の覇権を目指すアメリカは、悪の帝国になるわけにはいきません。日本が軍国主義の悪の国だから、正義の国・アメリカが原爆投下によって民主主義の国に変えたというストーリーが必要でした。東京裁判やGHQによるウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム、メディアに対するプレスコードなどで、アメリカはそのストーリーを日本人に植えつけたのです。この流れは今でも続き、中国の南京大虐殺や韓国の従軍慰安婦の主張をアメリカは許容しています。従軍慰安婦を単なる戦時売春婦としているミャンマーでの韓国人慰安婦に対するアメリカ軍の尋問報告書など、アメリカは中韓の主張を覆すことができる証拠を多数保有しています。しかし、アメリカが否定すれば原爆投下の正統性が失われるので、それらの証拠は公表されません。

ユダヤを敵に回したことが日米開戦の原因だった

原田 なるほど。日本はどうすればいいのでしょうか。

元谷 アメリカの原爆投下の呪縛を解いてあげるのです。第二次大戦後、ソ連の世界赤化を巡って勃発する可能性が高かった第三次世界大戦という「熱戦」を、アメリカは原爆投下によって「冷戦」に変えたという原爆投下の「正の側面」を、日本がきちんと認めてあげることです。今年の広島・長崎での平和祈念式典には、アメリカからキャロライン・ケネディ駐日大使に加え、ローズ・ガテマラー国務次官が出席しました。日本がアメリカの原爆投下の正統性を認めれば、来年はオバマ大統領が参列、投下を謝罪するのではないでしょうか。そうなれば、日米は真の意味で強固な関係を結ぶことができるようになります。

原田 アメリカでも原爆投下への評価は変わってきていますから、来年には是非大統領にも参列して欲しいですね。

元谷 また日本はなぜ日米戦争が勃発したのかを、きちんと把握する必要があります。それはユダヤを敵に回したからです。アメリカのエスタブリッシュメントはWASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)ですが、その背後には必ずユダヤ人勢力がいます。日露戦争時、多額の戦時公債の引き受けで日本の勝利に貢献したアメリカのユダヤ人鉄道王・ハリマンは、戦後南満州鉄道の共同経営を申し出て、一旦は桂・ハリマン協定が結ばれました。しかし日本のメディアに煽られた日比谷焼打事件を重く見た外務大臣の小村寿太郎の猛反対によって、共同経営は覆されました。これ以降、アメリカはオレンジ計画を立案するなど、日本を仮想敵国化していくのです。

原田 この小村寿太郎の反対が遠因になっていることは、私も聞いています。

元谷 二千年も世界中を流浪し、差別されるなど辛酸を嘗め尽くしたユダヤ人は、一番の財産は知恵だと教育に力を入れ、民族内の阿吽の呼吸で世界中のメディアや金融、マーケティングを抑えてきました。私は逆にこのユダヤの力を日本は利用するべきだと思うのです。大統領選などアメリカの選挙には、必ず大手のマーケティング会社が数百億円のギャラで動いています。有力なマーケティング会社は、全てユダヤ資本です。日本もこのアメリカのマーケティング会社に依頼して、海外のみならず日本国内の広報活動を行ってもらうのです。

原田 なるほど。日本のメディアが偏向しているとはいえ、それを政治家が指摘すると問題視されます。それをアメリカの企業にやってもらおうということですね。

元谷 そうです。特に日本人は舶来のものを尊重する志向がありますから、国内の自虐史観一掃に役立つでしょう。私が最新著書『本当の日本の歴史「理論近現代史学」』に書いたように、日本軍入城前に二十万人の人口だった南京で、三十万人も虐殺できるわけがない。ルーズベルト大統領が真珠湾攻撃を知っていたことも、マッカーサーが一九五一年米上院の外交軍事委員会で、先の大戦は日本の自衛戦争だったと証言していることなども、マーケティング会社の広報戦略で広めていくのです。

原田 バイアスがかかっているNHKではなく、第二NHKのようなものを設立して、中立的、かつ戦略的な情報発信をするべきだという意見を私たちは強く持っています。中国のアメリカでのメディア戦略は凄まじいものがあります。

元谷 ですから私や原田さんのような政治家ではなく、マーケティング会社に仕切らせて、世界中のメディアが間違った報道をすれば二十四時間以内にその国の言語で反論し、正しい情報を流すように仕向けるのです。マーケティング会社には査定による成功報酬でも良いでしょう。これに一千億円ぐらいかけても良いのではないでしょうか。こういうことも含め、日本はもっと世界の現実を知って、したたかな戦略を実行していく必要があります。

原田 正義を信じるというところに日本人の良さがあるのですが、とにかく日本人はしたたかさに欠ける。だが報酬を支払うという発想が国民に受け入れられるでしょうか。

元谷 機密費を使うとか民間からの寄付金等は考えられないでしょうか。全てをオープンにすることが必ずしも正しいわけではありません。一千億や二千億円の金は、秘密でこういった広報予算に使えるようにすべきです。

原田 それぐらい国を挙げての対応にすべきだということですね。

多くの人が感動した素晴らしい戦後七十年談話

元谷 九月三日の中国の軍事パレードでは、水陸両用歩兵戦闘車や対艦弾頭ミサイル等、様々な凄い兵器が次々と登場していました。昔は最新鋭の兵器は、各国の開発努力の結果でした。今は他の国の兵器情報をコンピューターのハッキングなどで盗み出し、製造しているコピー商品です。盗む元は基本アメリカですが、アメリカも馬鹿ではありません。盗まれることを想定して、基本的なハードの情報と、それを動かすソフトウェアの情報を分けている。ハードだけを真似しても、その兵器の十分な性能はでません。ですから中国の兵器の性能は未知数です。例えばロシアから購入した空母を改造した「遼寧」ですが、ミサイルなどフル装備をした艦載機の発艦が可能な性能は持っていません。見た目は通常の空母ですが、その実力はまだお粗末です。しかしこの差を埋めてくると、かなりの脅威となります。

原田 元航空幕僚長の田母神俊雄さんも、現時点で日本の自衛隊は軍事的に中国軍に負けることはないと公言していますね。

元谷 その通りです。そんな中で今国会に提出されている安保法制はしっかりと成立させなければなりません。

原田 はい。できれば衆議院に戻って採決する「六十日ルール」を使わず、参議院できちんと可決させたいと思います。

元谷 安保法制を巡って反日メディアの安倍政権攻撃が激しいですが、これだけでは上手くいかないので、オリンピック関連の批判で、下村文部科学大臣の方から安倍政権を攻撃しています。三千億円が高いとか言いますが、原発が止まっているだけで、毎日百億円、年に三兆六千億円もの無駄な燃料費を支払っているのです。まずこれを批判すべき。オリンピックの経済効果は何年にも亘り何十兆円もの大きなものです。長い目で見れば安い投資でしょう。メディアがオリンピックを賞賛するトーンになれば、こんな問題も出てきません。

原田 政府も頑張っているのですが、五十年前とは時代が違います。当時は日本が発展し、先進国となるために皆が一致団結していました。今は何のためにオリンピック? という人もいます。日本人の結束をより強くすべき好機かもしれません。

元谷 安部首相が無投票で自民党総裁に再選される見込みで、これから三年間は首相の座に留まる可能性が高くなりました。安保法制で支持率が下がっても、戦後七十年談話で盛り返すのはさすがです。私はあの談話を読んで、本当に感動しました。西欧列強の植民地批判、アメリカ批判、中国の牽制など全部入っていて、侵略などのキーワードは「引き継ぐ」と、自分の言葉では言わない。非常に考えられた談話で、いいブレーンがいると思いました。オリンピックを誘致した首相なのですから、開会式まで責任を持ってもらうためにも、もう一期総裁をやって欲しいですね。一番の心配は体調ですが、細かいことには気を揉まず泰然と。中国や韓国は経済がガタガタになって、必ず日本に擦り寄ってきます。

原田 その通りです。下手に出る必要はありません。毅然として、少し突き放すぐらいの度量が求められます。抗日戦争勝利七十年記念式典という反日の国家活動に、韓国の朴槿恵大統領と国連の潘基文事務総長が参加しているのです。日中韓の首脳会談開催で中韓が合意したなどと伝えられていますが、日本は慌てず、筋を通して参加を決断すべきです。

元谷 そうですね。そもそも潘基文が軍事パレードに参加していることがおかしい。アメリカに次ぐ二番目に多い国連分担金を払っている日本は、潘基文が行くなら支払いを一時保留すると言うべきだったでしょう。彼は次の韓国大統領を目指していますが、実現すれば日韓関係は破滅的な状態になります。日本と韓国の国民同士は仲が良いのです。日本に観光に来た韓国人は、皆日本は素晴らしい国だと賞賛していますよ。今後来日する韓国人が増加していけば、韓国は変わらざるを得ません。

原田 同感です。

元谷 最後にいつも、「若い人に一言」をお聞きしています。

原田 歴史をしっかりと勉強して、日本人たることに限りない誇りを感じて、ついには、自分達の将来を思い定めてほしいですね。今国会で選挙権年齢を十八歳に引き下げる法案が成立しました。さらに議論は続いていますが、十八歳に「成年」となった自覚と責任を認識させるためには、少年法の適用はやめ、一方飲酒も喫煙もいづれは認めるのもやむを得ないと考えています。

元谷 大人としての責任を持たせるために全ての基準を十八歳にするのは、私も賛成です。少年法については六一条の記事等掲載の禁止に問題があります。被害者の名前が公表されるのに、加害者の名前が匿名なのはおかしいでしょう。

原田 加害者の人権は大切なのですが、被害者の苦しみも人権保護の観点から救済しなければなりません。

元谷 インターネットで何でも調べられる時代ですから、まずは歴史の真実を学んで欲しいということですね。今日はありがとうございました。